ネットワークスペシャリスト 試験の特徴と難易度 ~知識量が問われる資格~


2021-01-06 公開

ネットワークスペシャリスト試験は、ネットワークに精通したプロフェッショナルの資格です。今やネットワークを意識しない情報システムはありません。したがって、開発業務を担当するエンジニアにも、運用保守を担当するエンジニアにも必要なスキルだと言えるでしょう。最近流行の “フルスタックエンジニア” を目指すなら、ネットワークに関する知識は必須です。

受験者層

情報処理技術者試験において、最初に “テクニカル系” の試験として作られたのがネットワーク関連の資格(昭和 63 年秋。当時は “オンライン” という名称)でした。その後、他のテクニカル系の資格区分が追加されても(平成 6 年秋以降)、平成 13 年に情報セキュリティの試験が始まるまでは、ずっとテクニカル系の中では人気 No.1 の資格でした。

とは言うものの、実際、開発業務や運用業務ではなく、ネットワーク構築を専門に行っているエンジニア自体少ないという背景もあるのでしょう、例年、この応募者のうち、ネットワークエンジニア(ネットワーク技術支援という業務分類の方)は、 2 割もありません。

したがって、情報処理安全確保支援士同様、開発担当者や運用担当者が(つまり、ある程度未経験者が)…自分の本業にも役立つということで受験するケースがほとんどになるということになります(理論上は約 8 割以上)。実際、筆者の知り合いでもそういうケースが多いです。

加えて、(ネットワーク構築が本業ではないため)一からネットワークを勉強すると難しく感じるのでしょうか、データベーススペシャリストや情報処理安全確保支援士を優先する(先に受験する)方が多い印象があります。つまり、データベーススペシャリストや情報処理安全確保支援士試験に合格した受験者です。他にも、論文系を取得した後に手を伸ばすという受験者も。要するに、後回しにされやすいということです。逆に考えれば、高度系の複数区分に合格した受験者も、かなり居ると言えるでしょう。

難易度

テクニカル系の中では、難易度は “高い” という印象を持つ方が多いのではないでしょうか。実際には、そうでなくても。

ネットワークスぺシャリスト試験と、情報処理安全確保支援士試験の二区分は、なんだかんだ言っても “知識の量” が合否を左右します。加えて、ネットワークスペシャリストは基礎となる “通信の仕組み” を覚えて、それを応用する必要があるので難しく感じるのではないでしょうか。

あるいは、前述の通り他の高度系区分に合格しているという驕りや、(優先順位が低いので)合格しなければならないというところまで追い込まれず、余裕をもって受験するので、試験本番では難しく感じるのだと思います。準備不足で、わからないことが多いのでしょう。

合格に必要な対策の概要

前述の通り、難しく感じるのは準備不足だからでしょう。

基本は、情報処理安全確保支援士同様、知識の絶対量に比例して合格率が上がるので、午前Ⅱ、午後Ⅰ、午後Ⅱのいずれの対策でも、まずは知識の量を増やすことが対策の基本になります。

具体的には、(記憶しやすいように)知識を体系化して暗記していきます。対象は次のようなものです。

優先度 1
参考書(テキスト)
優先度 2
日経 NETWORK の特集記事
優先度 3
過去に出題された午前・午後Ⅰ・午後Ⅱ問題

まずは基礎理論・基礎知識を理解するために、何かしらの参考書(試験対策本)を使って知識を習得していく方がいいでしょう。

次に、その参考書に書かれているテーマごとに日経 NETWORK の特集記事を読むのが効果的です。雑誌なので、わかりやすく書いてくれているし、何より実務書なので深い内容になっています。

そうして、基礎知識を身に付けたうえで過去問題で自分のレベルを確認したり、時間内に解けるかどうかをチェックしてみてください。昔は、結構、国語の部分で困惑する問題も多かったのですが、最近はめっきり減っています。つまり、しっかりとした知識があれば合格点が取れるということです。繰り返しになりますが、しっかりと準備して、必要な知識を順番に覚えていけば、かけた時間に比例して合格する確率は高くなる資格区分です。準備を怠らないようにしましょう。

これまでの情報処理技術者試験のキャリアが活かせるか?

最後に、これまでの情報処理技術者試験のキャリアが活かせるかどうかを説明しておきます。情報処理技術者試験を “点” ではなく “線” で考えている人は参考にしてください。

過去の受験区分 合格しやすさとおススメ度
なし

(合格しやすさ:★★おススメ度:条件付き★★★

いきなりネットワークスペシャリスト試験を受験する場合、実務経験者なら全然アリだと思います。プログラミングや開発経験がない場合、逆に、基本情報や応用情報の方が難しく感じると思います。それならば、自分の強みを活かす方向で、いきなり受験する方がいいでしょう。 午前Ⅰ試験は全範囲なので、その対策だけしっかりしておけば、後はネットワークの知識習得に専念しても構いません。

(1)
AP応用情報技術者

(合格しやすさ:★★おススメ度:★★★

レベル 4 (高度系)の最初の試験にネットワークスペシャリスト試験を選択するのも全然アリだと思います。ここでネットワークの知識を身に着けてき、その後に情報処理安全確保支援士へとつなげていくというステップです。情報処理安全確保支援士を受験するときに、ネットワークの知識があれば、かなり勉強時間を削減することができますからね。高度系の午後Ⅰや午後Ⅱ試験対策は、一から習得しなければならないため、合格のしやすさは低いかもしれませんが(つまり時間がかかりますが)、先を見た戦略としてはおススメです。急がば回れですね。

(2)
SC情報処理安全確保支援士

(合格しやすさ:★★★おススメ度:★★★

ネットワーク系の知識が必須だと考えている人は、秋に情報処理安全確保支援士、春にネットワークスペシャリスト試験と計画しているかもしれません。その場合、このルートになるのでしょう。このように、 “この 2 区分を一つと考える” のもおススメです。 というのも先に説明した通り、この 2 区分は密接に関係しているからです。この後に、翌秋 = システム監査技術者、翌々春 = IT サービスマネージャという順で広げていくといいでしょう。 情報処理安全確保支援士で学習したネットワークの基礎知識や、午後Ⅰや午後Ⅱの記述式試験の解答テクニックは、そのまま活用できます。したがって、後はネットワークスペシャリスト試験にだけ出てくる知識をピックアップして覚えていけばいいでしょう。

(3)
AUシステム監査技術者

(4)
PMプロジェクトマネージャ

(5)
STITストラテジスト

(6)
SMITサービスマネージャ

(7)
SAシステムアーキテクト

(合格しやすさ:★★おススメ度:★★

論文系の試験から、ネットワークスペシャリスト試験につなげていく場合、 “試験慣れしている” という点を除き、そんなに役に立つところはありません。取得後 2 年以内であれば午前Ⅰが免除できるという点ぐらいだと思います。したがって、前述の “なし” や “応用情報技術者試験” の時と同じように、それこそ「初めてのテクニカル系試験」と考えて準備を進めていきましょう。論文系をいくつも合格していても慢心していると足元をすくわれることになります。

(8)
DBデータベーススペシャリスト

(9)
ESエンベデッドシステムスペシャリスト

(合格しやすさ:★★おススメ度:★★★

これら 2 区分からネットワークスペシャリスト試験を受験する場合も、上記の論文系と同じです。基本的には、必要な知識だけではなく解答手順も違います。これらの区分の試験勉強で培ったノウハウは、あまり再利用できません。したがって、ここでも “応用情報技術者試験” からこの試験を受験するのと同じように考えるといいでしょう。 ネットワークの知識はもちろんのこと、午後Ⅰ・午後Ⅱの記述式に関する解答テクニックも、(ほぼ別物だと考えて)新たに一から学習すると考えておいた方がいいと思います。

(10)
FE基本情報技術者

(11)
SG情報セキュリティマネジメント

(合格しやすさ:おススメ度:

この 2 区分は CBT 試験になりました。したがって、別枠と考えましょう。並行して学習するのなら、何の問題もありません。 但し、これらの学習後にネットワークスペシャリスト試験を受験したからと言って、合格する可能性が高くなるわけではありません。 もちろん、既に学習済み、もしくは取得済みの場合、重複している部分の学習が不要になるので、多少は学習時間が減るかもしれませんが、画期的に減ることは無いでしょう。これらの後に受験することを否定しているわけではありません。

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