システム監査技術者 試験の特徴と難易度


2021-07-28 公開

この試験は、ITストラテジスト試験同様、情報処理技術者試験の中で最高峰に位置付けられている試験区分の一つです。

システム監査とは、情報システム等を第三者的な立場で評価することですが、具体的には、他の論文試験(下記の 4 区分)の当事者を、客観的にチェックするようなイメージの試験です。

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  • ITストラテジスト(企画)
  • プロジェクトマネージャ(プロジェクト管理)
  • システムアーキテクト(対象システム)
  • ITサービスマネージャ(運用)

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  • 第三者的立場
  • 客観的視点

受験者層

この試験の受験者の特徴は三つです。

  1. 論文試験の “百戦錬磨” の猛者
  2. 業務 未経験者
  3. しっかりと準備しない

受験者の多くは “システム監査業務” 未経験者です。システム監査を行う人は有資格者が多かったり、システム監査の仕事そのものが(開発案件に比べて)少なかったりするからでしょう。

その一方で、他の論文試験に合格している受験生が多いという特徴もあります。これは、「どうしてもこの資格が欲しい!」とポジティブに受験するのではなく … 「プロジェクトマネージャに合格したから」という … どちらかと言えばネガティブな理由で受験する人が多いからだと思います。中には「他の 4 区分全部合格しているから、コンプ目的で … 」という強者も。

そして、 5 つの試験区分の中では「本気で取りに行く!」という人が最も少ない試験区分だと思います。偏見かもしれませんが … 少なくとも筆者にはそういうイメージがあります。多くの受験者が、「必要な資格はもう取得済み」であったり、「最後の 1 区分」であったりするからでしょう。

難易度

前述の受験者層より、実は、難易度はそんなに高くはありません。

キャリア的には、 ITストラテジスト と同レベルのポジションで、実務をする上では非常にハイレベルな知識と経験が必要です。ただ、基本的には未経験者同士の戦いで、しかも、本気で合格を狙ってくる人が少ないため、しっかりと準備をすれば、普通に合格できます。逆に、システム監査技術者試験を他の 4 区分の延長線上に考えて、十分な準備ができていない人の合格率はかなり低くなっている印象です。

合格に必要な対策の概要

以上より、他の論文試験(あるいは他の論文試験 4 区分すべて)に合格していても、この区分だけは別物と考えて、他の区分で培ったノウハウのどの部分が使えて、どの部分は使えないかを見極め、慢心せずにしっかり準備を行うことが重要です。

試験対策は、午前Ⅱ、午後Ⅰ.午後Ⅱという前に、「システム監査とは何か?」、「どういう手順で進めるのか?」、「専門用語の意味はわかるか?」など、最低限必要な知識があることが前提になります。それが無いのなら、まずはそこからですね。

  • システム監査基準、システム管理基準を熟読して、ある程度暗記する
  • システム監査の流れを把握する

こうした最低限の知識がある場合は、論文試験の王道ですが、午後Ⅱの問題文を読み込んで 「何が問われているのか?」を、できるだけ早い時期に(最初に)把握するのがベストだと思います。「どう表現すればいいのか?」という点はイメージできないと思いますが、それで構いません。まずはそこまでを午後Ⅱで進めます。

また、午後Ⅱの過去問題を見ていただくと明らかですが、 “監査手続” を答えさせる問題がデフォルトです。したがって、 “監査手続” が問われている問題に対して、 “監査手続” を論述できるように仕上げていくことが、最初に行うべき対策になります。

そして、午前Ⅱで知識の整理をして、午後Ⅰ対策をしながら「午後Ⅰの得点アップ」と「論文のネタ(どう表現すればいいのか?)」を把握しながら進めると良いでしょう。午後Ⅰの演習を通じて、午後Ⅱで問われることのイメージを深めていく流れですね。特に、監査手続の表現をしっかりと掴むことが重要です。監査手続は、午後Ⅰでもよく問われていますし、問題文の中に表現されているケースもありますから。

これまでの情報処理技術者試験のキャリアが活かせるか?

最後に、これまでの情報処理技術者試験のキャリアが活かせるかどうかを説明しておきます。情報処理技術者試験を “点” ではなく “線” で考えている人は参考にしてください。

過去の受験区分 合格しやすさとおススメ度
(1)
PMプロジェクトマネージャ

(合格しやすさ:★★おススメ度:★★★

既にプロジェクトマネージャ試験に合格している人にとっては、システム監査技術者試験を受験するのは王道です。同じ論文系なので、論文試験における全区分共通のノウハウが流用できるからです。しかも、午後Ⅰも午後Ⅱも、プロジェクトマネジメントの監査が問われている可能性もありますからね。但し、先に説明したとおり、午後Ⅰも午後Ⅱもシステム監査特有の部分があるので、一から学習する意識をもっておきましょう。

(2)
SAシステムアーキテクト

(3)
STITストラテジスト

(4)
SMITサービスマネージャ

(合格しやすさ:★★おススメ度:★★

春試験の論文系区分でも、プロジェクトマネージャ試験と同じ理由でおススメできる部分はあります。しかし、プロジェクトマネージャ試験にまだ合格していないのであれば、キャリア的にも難易度的にもプロジェクトマネージャを優先するのが一般的だと思います(もちろん、何かしらの理由で必要性が高ければ、システム監査技術者試験を先に受験すべきですが)。そういう理由から、おススメ度の星を一つ落としています。

(5)
SC情報処理安全確保支援士

(合格しやすさ:★★おススメ度:★★★

情報処理安全確保支援士からシステム監査技術者試験へという流れは、十分 “アリ” です。というのも最近のセキュリティに関する価値向上から、システム監査技術者試験でも “セキュリティ監査” の問題が出題されやすくなっているからです。もちろん、システム監査特有の知識は補充しなければなりませんが、それは、どの区分の次に受験しても変わりません。十分おススメです。

(6)
DBデータベース

(7)
NWネットワーク

(8)
ESエンベデッドシステム

(9)
AP応用情報技術者

(合格しやすさ:★★おススメ度:

これらの試験区分からの流れは、あまりおススメできません。午後Ⅰは “状況把握” をしてからそれに応じた解答をしなければならないため、その部分を一から積み上げていかないといけませんし、午後Ⅱの論文も、論文の共通基礎から積み上げていかなければなりません。これらの試験で培ったことが、あまり活かされないのです。

(10)
FE基本情報技術者

(11)
SG情報セキュリティマネジメント

(合格しやすさ:おススメ度:

この 2 区分はいずれもレベル 2 です。レベル 3 の応用情報を飛び越してレベル 4 に、しかもレベル 4 の中でも最高峰に位置付けられるシステム監査技術者試験に挑戦するのはおススメできません。この 2 区分は全問マークでもあり、これらの試験で培ったことはあまり活かせないでしょう。

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