ITストラテジスト 試験の特徴と難易度


2020-12-18 公開

この資格は、情報処理技術者試験 13 区分の最高峰だと言われています。それは、ITエンジニアの成長モデルで考えた時、プログラマからシステムエンジニア、プロジェクトマネージャと経験して、最後に到達するのが、(この 試験の対象者像の) IT コンサルタントだからなのでしょう。平成 6 年に “システムアナリスト” として初めて登場したその時から、ずっとトップを走っている資格のひとつです。

受験者層

情報処理技術者試験の中でも最高峰だという位置付けで考えられているため、受験生のレベルは相対的に高くなります

既に論文系試験(午後Ⅱが論述式の試験)に合格していたり、複数の高度系試験に合格していたりする受験生もゴロゴロいます。

しかし、実際にコンサルタントとして活動している受験生はそれほど多くはありません。いつもは開発を担当している SE や PM が、自分の未来への投資的に受験するケースの方が多いと思います。

したがって、 IT ストラテジスト試験の受験者層の特徴は、“試験慣れしている” けれど “未経験” だという受験生の間での戦いだと考えておけばいいでしょう。

難易度

前述の通り、受験生は論文系試験(午後Ⅱが論述式の試験)に合格していたり、複数の高度系試験に合格していたりする人が多いので、情報処理技術者試験の中でも相対的にとても難しい試験になります。

経験豊富なITコンサルタントでも、準備を怠れば簡単には受からない試験だと言えるでしょう。

経験はなくても “試験慣れしている”   、つまりしっかり仕上げてきて知識を持っている受験生が少なくないので、自ずと難易度も高くなります。

合格に必要な対策の概要

この試験の最大の特徴は、しっかりと準備することで合格できる確率がグンと高くなる点です。

難易度が高いため、論文試験で問われるような経験もなく、かつ論文系試験初挑戦や高度系試験初挑戦の場合は厳しいですが、そうでなければ、しっかりと準備すれば大丈夫でしょう。

まずは必要な知識の獲得です。最低限、次の知識が必須になります。

  1. 経営戦略立案プロセス
  2. BSC (バランススコアカード)と代表的な KPI
  3. 投資効果( 1. + 2. )
  4. 個別システムではなく、中長期で複数システム、インフラ、情報システム部を総合的に視た経験や相応の知識

もちろんこれら以外にも必要な知識はありますが、まずはここから。経験者は知識の棚卸しを、未経験者は知識の習得をしておきましょう。

続いて、午後Ⅱ(論文)の対策と準備です。経験者は経験した内容をどう表現すればいいのかを考えます。他方未経験者は、試験対策を通じて架空の企業の戦略を立案したり、改革の企画書を作成したりするイメージで進めていきます。その場合は、情報収集に多くの時間を費やすかもしれません。

そして最後に午後Ⅰ対策です。午後Ⅰは「時間との闘い」です。実務経験が豊富で論文ネタには困らなくても、あるいは、十分な知識があったとしても、午後Ⅰの問題を制限時間内に解答できなければ合格できません。経験者も未経験者も…自分の解答速度を確認しながら、(時間内に解くことが難しければ)本番までに「時間内で解く方法」を練習しておかなければならないでしょう。なお、この IT ストラテジスト試験の午後Ⅰには “王道の解き方” というものがあります。(全ての問題に使えるわけではありませんが)その解き方を理解して習得すれば、 “容易に” とまでは言いませんが、比較的簡単に合格レベルの答案にすることができます。

これまでの情報処理技術者試験のキャリアが活かせるか?

最後に、これまでの情報処理技術者試験のキャリアが活かせるかどうかを説明しておきます。情報処理技術者試験を “点” ではなく “線” で考えている人は参考にしてください。

過去の受験区分 合格しやすさとおススメ度
(1)
AUシステム監査技術者(2)
PMプロジェクトマネージャ(3)
SAシステムアーキテクト(4)
SMIT サービスマネージャ

(合格しやすさ:★★おススメ度:★★★

これらの 4 区分(論文系の他の試験)からは、次のステップとして IT ストラテジスト試験を受験するのが王道になります。午後Ⅱ論文の基本的なお作法や “具体的に書く” 、 “第三者に伝わるように客観性をもって書く” という全区分共通の部分も理解できているので、仕上がりが早いからです。同時期に実施されるシステムアーキテクト、 IT サービスマネージャをすっ飛ばして…という場合はなかなか高いハードルになるかもしれませんが、普段実施している業務がコンサルテーションに近い場合(経営に寄与するか否かの視点でシステムを話し合っている人)、それもアリでしょう。但し、午後ⅡはITストラテジスト試験ならではの準備が必要ですし、午後Ⅰも解き方が全然違うのでその練習が必要になります。また、午前Ⅱもストラテジ系の知識が多く、最近ではマーケティング分野の新傾向の問題も多いことから、合格するにはしっかりとした準備は必須になります。コンサルタント経験が豊富でも舐めてかかって準備しないと合格できないかもしれません。

(5)
DBデータベース(6)
NWネットワーク(7)
ESエンベデッドシステム(8)
SC情報処理安全確保支援士

(9)
AP応用情報技術者

(合格しやすさ:おススメ度:★★

これらの区分(レベル 3 とレベル 4 のテクニカル系)からいきなり IT ストラテジスト試験を受験するのは、あまりお勧めできません。これらの区分で練習した午後Ⅰ、午後Ⅱの解答手順とITストラテジスト試験の解答手順は全然違うので、また一から練習しないといけないからです。「合格に必要な対策の概要」のところで説明している必要な知識や経験の 1. ~ 3. も特に、これらの区分で蓄積できるものでもありません。もしも、それでも…これらの区分の後に IT ストラテジスト試験を受験する場合には、全くの別試験を一から勉強する意気込みでいきましょう。

(10)
FE基本情報技術者(11)
SG情報セキュリティマネジメント

(合格しやすさ:おススメ度:

この 2 区分はいずれもレベル 2 です。レベル 3 の応用情報を飛び越してレベル 4 の、しかも最高峰の IT ストラテジスト試験に挑戦するのは、かなり難しいと考えてください。基本お勧めできません。午前Ⅰから勉強しなければいけませんし。合格は不可能ではありませんが、合格するには “かなりの勉強時間” が必要になることを覚悟しましょう。

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