ITストラテジスト 午後Ⅰ(午後1)記述式 王道の解き方
情報処理技術者試験の高度系の記述式問題(午後Ⅰ、論文系以外の午後Ⅱ)は、試験区分によって、速く解くための “解答手順” が異なります。そのため、いくら他の高度試験に合格しているからと言って、その “解答手順” が他の試験区分に通用しない可能性があるのです。過去の成功体験が、必ずしも次につながらないということですね。
ITストラテジスト試験の午後Ⅰの特徴
ITストラテジスト試験の午後Ⅰ試験には次のような特徴があります。
- ページ数が少ない(しかし内容は濃い)
- 基本は、問題文にランダムに書かれている要求や問題及び課題を体系的に整理してから、設問の解答として使っていくという解き方になる
- 経営戦略立案プロセスに対する知識が必要
- 販売管理や生産管理、財務会計の知識が必要
典型的な問題文の構成は図のようになります。
ITストラテジストの午後Ⅰの問題は、他の高度系区分の午後Ⅰの問題に比べて、ページ数が少ないのが特徴です。図表が少ないこともあるのですが、それよりも密度が濃いという印象ですね。
問題文は、「 A 社は…」という感じで企業概要から始まります。具体的には、市場環境(取り巻く環境)、事業目標、自社の強み、弱み、機会、脅威などが冒頭部分に書かれています。経営戦略のベースになる基礎情報ですね。その後、個々の段落に展開されていくのですが、その中心は、 “現状の説明” と “ニーズ” 、 “問題” 、 “課題” 、 “対策” などで構成されています。
ITストラテジスト試験の午後Ⅰを短時間で解答するための王道の解き方
こうした問題文の構成から、短時間で解答を得るための手順としては次のようになります。
具体的には、冒頭部分で、企業概要や事業目標、 SWOT 分析の各要素、重要成功要因などが書かれていたらチェックし、次に問題文の中から “ニーズ” 、 “問題” 、 “課題” をピックアップしていきます。
そして、ピックアップした “ニーズ” 、 “問題” 、 “課題” を解決する方法を考えながら、どの設問で問われているのかを当てはめていきます。この時に、問題文中で対策が書かれていて解決している場合は設問では問われないことが多いので、それらを除いて設問に対応付けていきます。
問題文中の “ニーズ” 、 “問題” 、 “課題” と個々の設問の対応付けが難しいものもありますが、全てが難しいわけではありません。「もうこれしかない!」という 1 対 1 で対応付けられるものがあるはずなので、そこから解答してくと難問で悩むような設問も、そういう対応を除いたものから選択できるので、対応付けやすくなるんですね。
ITストラテジストの問題は、設問を読んでから、その設問を解くために問題文を探し始めると非常に難しく感じるという声をよく聞きます。実際に、ITストラテジストの午後Ⅰが難しく感じている人は、問題文から対応する設問と紐付けていくという解答手順を一度試してみてください。きっと、凄く解きやすくなると思います。
例外
但し、すべての問題に対して、この解き方がベストだというわけではありません。
例えば、問題文の段落タイトル(〔 〕で囲まれている)が設問にも記載されていて、それが設問 1 から順番に並んでいる問題もたまに出題されています。ちょうど、プロジェクトマネージャや IT サービスマネージャの問題のような構成です。
その場合は、プロジェクトマネージャやITサービスマネージャの典型パターンでの解き方で解いた方が解きやすかったりする可能性も十分あります。
そうしたイレギュラー(この試験としては例外的な問題構成)な問題に対して、少しでも解きにくさを感じたら、すぐに、プロジェクトマネージャや IT サービスマネージャの午後Ⅰの解き方にスイッチすることも大切です。
ひとつの解き方に固執することなく、その都度、柔軟に対応しましょう。
特徴:問題文中に解答があることが多い
ITストラテジスト試験の午後Ⅰ試験には「解答は問題文中にある」という特徴もあります。
「コンサルテーションに唯一無二の正解はそうそうない」ということから考えれば当たり前の話で、いろいろな選択肢があるのはもちろんのこと、企業によって外部環境も内部環境も違いますし、外部環境は時間(時代)によっても異なりますからね。状況に応じた最適解を見つけるというが基本路線になるわけです。
そのため、問題文中に “外部環境”、”内部環境”、”事業目標”、”事業戦略”、”課題”、”対応策” などが必要不可欠で、それらを理解しているかどうかが問われることになるわけです。結果、必然的に問題文中の言葉を使って解答を組み立てることが多くなってしまうのです。
もちろん、全ての設問がそうなっているわけではありません。また、中高生の国語の問題のように「そのまま抜き出す」のではなく多少の表現の加工も必要になるでしょう。しかし、それでも “解答の種” は問題文中に存在していることが多いのです。
午後Ⅰ対策をする場合は、その先入観をもって練習し、(解答例をチェックして)答え合わせをする時にもその視点で確認しましょう。そうすれば、どれくらいの割合でそうなっているのかも把握できますし、例外的にそうではないケースがどれくらいあるのか、新傾向なのかという点も把握できるでしょう。結果、本番の時にも柔軟に解答できるようになると思います。
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- 略歴
- 株式会社エムズネット代表。
大阪を主要拠点に活動するIT コンサルタント。 本業のかたわら、大手 SI 企業の SE に対して、資格取得講座や階層教育を担当している。高度区分において脅威の合格率を誇る。 - 保有資格
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- 情報処理技術者試験全区分制覇(累計 32 区分,内高度系 25 区分)
- ITコーディネータ
- 中小企業診断士
- 技術士(経営工学)
- 販売士 1 級
- JAPAN MENSA 会員
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