ITストラテジスト試験ガイド 難易度や合格のしやすさ | 令和元年 秋期試験にむけて
ITストラテジスト試験は、いわゆる “ITコンサルタント” の資格です。経営とIT のどちらにも精通した人材で、企業全体を俯瞰できるだけの総合力が問われます。顧客にIT を提案するエンジニアにとって必須の資格です(下図参照)。
受験者層から見た試験の特徴
ITストラテジストは 情報処理技術者試験の中でも最高峰に位置付けられる資格の一つ です。
一般的に、ITエンジニアはプログラマからSE 、PM 、そしてコンサルタントへとキャリアアップしていくため、キャリアのゴールのように考えられているからでしょう。順番的にも最後になりますからね。
平成21年に「ITストラテジスト」という名称になってからは若干身近に感じられるようになりましたが、平成20年度までのITストラテジストの前身にあたる「システムアナリスト」という名称の時代には、とてもハードルが高かったことを覚えています。当初は合格率も5%前後でした(今の3分の1)。
その延長線上で、今でも最高峰だと考えている人が少なくないのでしょう。
実際、ITストラテジストの受験者は、他の高度区分の合格者…特に他の論文試験のある区分の合格者が多く、そういう方々の戦いになっているのが現状です。したがって相対的には競争が激しい資格区分だと考えておく必要があります。
その一方で、午後Ⅰや午後Ⅱには王道の “解き方” があるので、それを理解して習得することで、特に難しい試験でもないという意見もあります。筆者も同じ認識です。
筆者は、毎年数多くの受験予定者の研修や論文添削をしていますが、「こうすれば合格できる!」という情報が少ないだけで、それを知ることで、 “容易に” とは言いませんが、しっかりと準備することで合格できる確率が高くなっています。
以上より、「しっかりと準備する必要がある」…これがこの試験の最大の特徴だと思います。
難易度や合格率
このような特徴を持つITストラテジストですが、難易度や合格率は受験生の “これまでの経験” によって若干変わってきます。
次のようなことを経験したり、得意だったりすると合格の可能性は”グン”と上がります。
- 経営戦略立案プロセスについて知識や経験がある
- BSC(バランススコアカード)に関する知識や経験があり代表的なKPIに関しての情報も持っている
- 個別システムではなく中長期的視点で、複数のシステム、インフラ、情報システム部門(組織や人)を総合的にデザインした経験、もしくは相応の知識がある
上記の 1. ~ 3. が “YES” の人は、ITストラテジスト特有の “午後Ⅰの問題を時間内に解くための手順” をマスターし、午後Ⅱ(論文)の準備(主に情報収集)をすれば、合格する確率はかなり高くなるでしょう。
逆に、上記の 1. ~ 3. のいずれかが欠けている人は、早い段階からそれらの知識を補充するところから始める必要があります。
2019年度 春期試験 受験者からみたITストラテジスト試験
2019年4月21日に春試験を受験された方で、その試験区分をしっかりと勉強したのなら、その資産によって、もう既に合格に近くなっているかもしれません。そのあたりの関係性も、この時期知っておいた方がいいでしょう。
春期試験の受験区分 | ITストラテジスト試験との関連(★3つで評価) |
---|---|
AU
(1) システム監査技術者 PM
(2) プロジェクトマネージャ |
(合格しやすさ:★★ おススメ度:★★★)
これらの2区分からは、次のステップとしてITストラテジスト試験を受験するのが王道になります。 しかも、午後Ⅱ論文の基本的なお作法や “具体的に書く” 、”第三者に伝わるように客観性をもって書く” という全区分共通の部分も理解できているので、仕上がりは早いでしょう。 但し、午後ⅡはITストラテジスト試験ならではの準備が必要ですし、午後Ⅰも解き方が全然違うのでその練習が必要になります。また、午前Ⅱもストラテジ系の知識が多く、最近ではマーケティング分野の新傾向の問題も多いことから、合格するにはしっかりとした準備は必須になります。 コンサルタント経験が豊富でも舐めてかかって準備しないと合格できないかもしれません。 |
DB
(3) データベーススペシャリスト ES
(4) エンベデッドシステムスペシャリスト SC
(5) 情報処理安全確保支援士 AP
(6) 応用情報技術者 |
(合格しやすさ:★ おススメ度:★★)
これらの区分(レベル3とレベル4のテクニカル系)からいきなりITストラテジスト試験を受験するのは、あまりお勧めできません。 これらの区分で練習した午後Ⅰ、午後Ⅱの解答手順とITストラテジスト試験の解答手順は全然違うので、また一から練習しないといけないからです。 「難易度や合格率」のところで説明している必要な知識や経験の 1. ~ 3. も、これらの区分で特に蓄積できるものでもありません。 もしも、それでも…これらの区分の後にITストラテジスト試験を受験する場合には、全くの別試験を一から勉強する意気込みでいきましょう。 |
FE
(7) 基本情報技術者 SG
(8) 情報セキュリティマネジメント |
(合格しやすさ:- おススメ度:-)
この2区分はいずれもレベル2です。レベル3の応用情報を飛び越してレベル4の、しかも最高峰のITストラテジスト試験に挑戦するのは、かなり難しいと考えてください。 基本お勧めできません。 合格は不可能ではありませんが、合格するには、午前Ⅰから勉強しなければいけませんので “かなりの勉強時間” が必要になることを覚悟しましょう。 |
合格者に聞く! 資格の価値や勉強時間など学習方法
~情報処理技術者試験 ITストラテジスト (1)~
~情報処理技術者試験 ITストラテジスト~ (2)
~情報処理技術者試験 ITストラテジスト~(3)
勉強方法や勉強時間
このあたりは、今後の記事にご期待ください。
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- 略歴
- 株式会社エムズネット代表。
大阪を主要拠点に活動するIT コンサルタント。 本業のかたわら、大手 SI 企業の SE に対して、資格取得講座や階層教育を担当している。高度区分において脅威の合格率を誇る。 - 保有資格
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- 情報処理技術者試験全区分制覇(累計 32 区分,内高度系 25 区分)
- ITコーディネータ
- 中小企業診断士
- 技術士(経営工学)
- 販売士 1 級
- JAPAN MENSA 会員
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