ITサービスマネージャ の対策準備 2023年度(令和5年度)~12月はITIL® と午後Ⅱ(午後2)論文対策を
さぁ、 12 月になりました。 今月を含め試験まで約 4 か月半です。
もくじ
春期試験における 12 月とは?
春期試験の場合、企業で開催する試験対策講座の多くは年明けの 1 月中旬から始まります。 それゆえ、この 12 月という時期は … ほとんどの人が、まだ本格的には始動していません。 もちろん、モチベ―ションの高い人は既に学習を開始しているでしょうが、それでも … 少なくとも “プロのノウハウ” を得て急成長している時期ではありません。 プロ野球で例えると、ちょうど … キャンプインするまでの自主トレ期間のようなものです。
したがって、この時期から自発的に学習を始めれば、次のようなメリットを享受できるでしょう。
- この時期、まだ始動していない人との差が詰まる、もしくは差を広げることができる
合格まで遠いかなと思う人 → 「今の間に追いつくぞ」と考えられる時期
合格に近いと思っている人 → 「今の間に差を広げよう」と考える時期 - どんなことをしてもプラスになると自覚すると、ちょっとした “心の余裕” ができる
試験対策の最大の敵のひとつは “焦り”。 “諦め” につながるだけではなく、頭に入りにくくなるからです。 “周りは、まだ止まっている” と考えて余裕をもてるこの時期 … ロケットスタートを決めるには最適な時期だと言えるでしょう。
この試験( IT サービスマネージャ試験)についての基本情報を確認
まずは、IT サービスマネージャ試験について確認しましょう。 この試験の特徴や難易度、学習計画と対策など普遍的なことをまとめています。
info IT サービスマネージャ試験の概要を確認する記事
12 月にやるべきこと
「 IT サービスマネージャ 学習計画と対策」の全体スケジュールは 11 月から線引きしているので、「いやいや、もう 1 か月過ぎてるやん」とツッコミを入れたくなりますが、時間軸はあくまでも目安程度に考えてください。 重要なのは順番です。
ITサービスマネージャ試験の 12 月の対策は、次の 2 つのことを目標にするといいでしょう。
- ITIL ® の学習
- 午後Ⅱ対策
「 IT サービスマネージャ 学習計画と対策」の全体スケジュールには 1. を先に着手するように書いていますが、どちらでも大差はありません。 その理由を含めて、この後に説明するので、その説明を踏まえて自分の好みの方(モチベーションが上がる方)、あるいは自分の特性に合っている方から始めてみてください。
1 ITIL ® の学習
IT サービスマネージャとしての経験がなく、システム管理や運用・保守で何をしているのか全くイメージが湧かない人は、先に ITIL ® の知識から入った方がいいかもしれません。 ITIL ® を学べば、実際のシステム管理等のイメージを持つことまでは難しいですが、システム管理の考え方や最低限の知識が得られます。
もちろん、システム管理や運用・保守の経験者やイメージが湧く人でも、「ここで知識を整理しておきたい!」という気持ちに向いているのなら、自分の気持ちに素直になってここからスタートするのがベストです。 これまでの経験やイメージが、ひょっとしたら我流だったと気付くかもしれませんからね。 自分の経験と ITIL ® の知識を照らし合わせて知識を整理するのも、とても有益だと思います。
ITIL ® のバージョンに注意
なお、ITIL ® について勉強する場合、そのバージョンや重点的に学習する部分には注意が必要です。
現在(令和4年12月)の最新バージョンは 、2019 年から 2020 年にかけてリリースされた “V4” になります。 したがって、ITIL ® について勉強する場合も、最新の “V4” をお勧めします。 “V4” は DX を意識した内容になっているので、今の情報処理技術者試験の狙いとも合致しますからね。
前回の 2022 年 4 月の試験(午前Ⅱ)で出題されていたのは、まだ、そのひとつ前のバージョンの “2011 edition” だったのですが、今後、新規問題を作るとしたら、 “V4″ の問題になるはずですし、仮に、”2011 edition” の過去問題が再出題されたとしても、それは過去問題をチェックしておけばカバーできます。 そう考えても、やはり”V4″ がベストだと思います。
後は、重点的に学習する部分を間違わないように注意すること。 “V4” は 6 冊の書籍(ファンデーション、 CDS 、 DSV 、 HVIT 、 DPI 、 DITS )と 34 のプラクティス・ガイドで構成されるのですが、このうち、 IT サービスマネージャ試験にとって重要なのはファンデーションと 34 のプラクティス・ガイドです。 それ以外は “不要” ではないのですが、 DX 対応の部分が大きく “経営” や “マーケティングの知識” が多分に含まれています。 この領域は、 ITIL ® で考えれば不可欠な知識なのでしょうが、情報処理技術者試験では IT ストラテジストなど他区分の範疇になります。 知っていて損はないし、総合的に考えればプラスになるとは思いますが、まずは “この試験で必要な部分” を中心に押さえるべきですね。
ITIL “V4” 関連の書籍を購入して知識を得る場合には、重視する部分と軽く読み流す部分を判別して、効率良く学習を進めていきましょう。
2 午後Ⅱ対策を確認
一方、 IT サービスマネージャとしての経験がある人や(古いバージョンでも構わないので) ITIL ® の知識がある人は、午後Ⅱ対策から始めても構いません。 自分の経験や、今持っている知識で論文が書けるのかどうかの確認から始めるパターンです。
その場合は、まずは午後Ⅱ対策の内容を確認しましょう。
info 午後Ⅱ対策記事
3 午後Ⅱ 過去問題の読み込み
それが終われば、午後Ⅱの過去問題(平成 21 年以後の問題は試験センターのサイトから入手できます)に目を通します。
IT サービスマネージャのテーマは、ザックリ言うと次の 3 つになります。
- インシデント管理・問題管理
- 移行(リリース関連)
- 改善関連
まだ、論文を書く必要はありません。 過去問題に目を通しながら「何が問われているのか?」、「何をアウトプットしないといけないのか?」を把握し、自分の今の知識や経験で「どの問題なら書けそうのか?」、「書けそうな問題がどれくらいあるのか?」などをチェックします。 書けない問題があれば、その問題のどの部分が書けないのかもピックアップするといいでしょう。
加えて、それぞれの問題で、どこがポイントなのか押えましょう。 情報処理技術者試験の午後Ⅱ(論文)の問題は、かなり特殊な状況が問われています。 例えばインシデント管理の問題でも、「トラブルが発生したので、それを解消した」という日常よくある話など出題されたことがありません。 そうではなく「インシデント対応している中で、さらにトラブルが発生することがありますよね。 その経験について、どう切り抜けたのかを書いてください」という感じで、複雑なケースが問われるのが通常パターンです。 きっと「そうした経験があるということは、それなりに場数を踏んでいると判断できる」という感じで採点するのでしょう。
要するに、できる限り早い段階で個々の問題のポイントを押えることです。
4 実際に論文を書いてみる / 午後Ⅰ対策を先に着手する
問題文をある程度読みこんだ結果、「よし、この問題なら書けそうだな」という 1 問があれば、その問題に対して、実際に 2 時間手書きで書いてみて、手ごたえをチェックしましょう。
特に初めての論文試験という受験生は、実際に 2 時間かけて手書きで書いてみるのが一番です。 少なくとも、「今受験したら 2 時間で何文字書けるのか?」、「どこで手が止まったのか?」などは把握できますし、うまくいけば「課題」も見えるかもしれません。 まずはやってみることです。
そして、 2 時間を超えても、何時間かかっても構いませんから 1 本仕上げましょう。 そして次のステップ( 5 )に続けます。
論文のネタがない場合
他方、問題文をある程度読みこんだでも書けそうな問題がない場合は、午後Ⅰ対策に移行するのが得策です。 午後Ⅱの問題がまったくイメージできないまま午後Ⅰ対策に着手するのは非効率だと思います。 しかし、上記の 3 で時間を使ってみたけれど、どの問題も論文を書けそうにないなら、先に午後Ⅰ対策に着手するべきです。 午後Ⅰで点数が取れるように練習しながら、(午後Ⅰの問題を一つの事例と考えて)午後Ⅱの問題文に合致する事例が無いかどうかをチェックしましょう。
なお、本格的な午後Ⅰ対策は次回の記事でご紹介させていただきます。 それまでは下記をチェックしていてください。
info 午後Ⅰ対策記事
5午後Ⅱの課題を把握する
ひとまず何かしらの過去問題と向き合ってみると、様々な課題が見えてくると思います。
- 2 時間では書けない。 時間が足りない
- ○○ が書けない(思い付かない)
- 一応、 2 時間で規程文字数は満たしたけれど、その論文が合格レベルかどうかがわからない
その課題を把握します。
6 午後Ⅱの課題克服のための対策スケジュールを作成する
個々の課題が明確で、いつ何をすればその課題をクリアできるか分かる場合は、それで対策スケジュールを考えます。 「不足する知識を補う」という対策や「経験が無いから事例を集める」という対策などですね。
一方、自分が書いた論文が合格レベルかわからなかったり、具体的な課題がわからなかったりする場合は、改めて試験対策本の「午後Ⅱ対策」や「合格論文とは」をチェックしてみてください。 そこに書いていることを理解できれば、合格論文か否かが自分で判断出来たり、課題が見えることもあると思います。
それでも課題が分からない場合は、試験対策講座や論文添削サービスの利用を検討するのもいいでしょう。 特に、論文初挑戦の場合は効果的だと思います。 「具体的に書く」ということや「初対面の第三者に対して通じるように書く」ことができるようになれば、残りの他の論文系試験でも、自分で判断できますからね。
但し、試験対策講座や論文添削サービスを選定する時には注意が必要です。
その試験に 1 回合格しただけの人、もう 10 年以上前に合格していて最近は受験すらしていない人も添削しています。 令和に入って DX 重視に変わっているので、的を得た指摘ができるかどうかはわかりません。 ひどいケースでは、その試験区分に合格していない人が添削することもあります。 そうしたサービスを受ける場合、必ず、相手の “資格保有の有無” と “取得年度” を確認して(普通は公表しているはずなので)信頼のおける人に依頼するようにしましょう。 たとえそれが無料のサービスであってもです。 実際、間違ったことをずっと信じ、なかなか合格できずにいた人を何人も知っているので。
7 午後Ⅱの課題改善の対策を開始する
そして、課題改善のための計画が作成出来たら、後は粛々とそれを実行していくだけです。
まとめ
12 月中に、ここまで進めておくことができれば … ひとまずは “ロケットスタート” に成功です。
まずはここまで。
今はまだ焦る必要はない時期です。 心に余裕をもって、最初の第一歩を踏み出したことに喜びを感じながら進めましょう。
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- 略歴
- 株式会社エムズネット代表。
大阪を主要拠点に活動するIT コンサルタント。 本業のかたわら、大手 SI 企業の SE に対して、資格取得講座や階層教育を担当している。高度区分において脅威の合格率を誇る。 - 保有資格
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- 情報処理技術者試験全区分制覇(累計 32 区分,内高度系 25 区分)
- ITコーディネータ
- 中小企業診断士
- 技術士(経営工学)
- 販売士 1 級
- JAPAN MENSA 会員
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