ITサービスマネージャ 試験の特徴と難易度


2021-01-05 公開

情報システムを構築する立場ではなく、構築後の情報システムを安定稼働させ、情報システム利用者に対して IT サービスを提供する立場の人の資格になります。運用保守に関わるエンジニアですね。

また、試験名称で “マネージャ” という表現を使っていることからもわかると思いますが、単なる “担当者” ではなくマネジメントを行う責任者の立場になります。情報システム部の(開発をしない運用部門の)部長、 CIO などですね。したがって、運用体制の構築や改善、投資判断、コストの改善なども出題されます。

ベースになる知識は ITIL ® です。平成 21 年度より ITIL ® 準拠になりました。午前問題では ITIL ® で使用されている用語も問われるようになっています。

受験者層

ITサービスマネージャ試験の受験者は、自分の担当業務によって次の 2 種類に大別できます。

  1. 運用・保守担当者が、初めて論文系に挑戦する
  2. 開発担当者が、システムアーキテクトや IT ストラテジストに合格した後に受験する

前者( 1. )の場合、ITサービスマネージャ試験そのものが自分の担当業務になるので、知識や経験の観点では十分 “強み” になるのですが、運用保守担当者向けのレベル 4 の試験(高度系)があまり存在しないため、自分たちにとって “本命” のこの試験がレベル 4 の試験、特に論文系が初挑戦になるので、試験テクニック(速く解く技術や論文のお作法やルール)が合格に対する課題になります。

というのも、後者( 2. )が結構いるからです。昔から全区分制覇を狙って受験する “試験マニア” 的な受験生は一定量いたのですが、それに加えて最近は “アジャイル” や “DevOps” 、 “フルスタック” などの進展とともに、開発に携わるエンジニアにも運用や保守に関する知識が必要だという意識が芽生えてきたため増えています。この手の受験生はちょうど 1. とは逆で、試験テクニックが “強み” で、運用保守に関する知識と経験が “弱点(=弱み)” になります。

以上より、受験者層から見た ITサービスマネージャ試験の特徴は、 1. と 2. の戦いになるというところでしょう。具体的には “論文” に表れます。 1. は、内容はそれっぽい濃い内容を書いているのですが、時間内に一定量書けなかったり、具体的ではなかったりわかりにくかったりします。一方 2. は、論文自体はそれなりの文章になっているのですが、経験が無いので内容が薄かったりします。

難易度

前述の通り受験者層が二極分化しているので、自分にとって難しいのか易しいのかはそれぞれ違ってきます。

合格に必要な対策の概要

この試験に合格するために必要な経験や知識は次のようなものです。

    A運用・保守担当者が持っている知識や経験

  1. 運用・保守の経験がある
  2. 普段から定量的な数値管理を行っている
  3. ITIL ® に関する知識がある( ITサービスマネージャ試験は ITIL ® 準拠です)
  4. B開発担当者が持っている知識や経験

  5. 他の論文系試験( ST、AU 、PM 、SA )に合格している
  6. 他の高度系区分に合格している
  7. C両者に共通の知識や経験

  8. 情報セキュリティに関する知識

上記のABは、通常、排他的関係になります。両方経験している人や、運用・保守担当者なのに、他の論文系試験を先に受験していたり、 ITサービスマネージャに合格できない間に プロジェクトマネージャ ( PM ) や システム監査技術者 ( AU ) に合格していたりする人は少ないですからね。

したがって、試験対策としては上記の 1. ~ 6. の中で、自分の弱い部分をカバーしていくことが基本戦略になるでしょう。運用・保守担当者Aは、高度系の午後Ⅰの解き方の練習をしたり、午後Ⅱ対策として論文に取り組んだりしなければなりません。開発担当者等Bに該当する人は、 ITIL ® の知識を身に付けるとともに、午後Ⅰの問題等を参考に論文ネタを蓄積していきましょう。

それと、無視できないのが情報セキュリティです(上記の 6. )。今の情報処理技術者試験では、情報セキュリティ分野を重視することになっています。しかも、運用保守がテーマですから、セキュリティインシデントなども発生します。午後Ⅰの問題で情報セキュリティの知識が必要になったり、午後Ⅱの問題でも情報セキュリティをテーマに書くこともできたりします。

これまでの情報処理技術者試験のキャリアが活かせるか?

最後に、これまでの情報処理技術者試験のキャリアが活かせるかどうかを説明しておきます。情報処理技術者試験を “点” ではなく “線” で考えている人は参考にしてください。

過去の受験区分 合格しやすさとおススメ度
なし

(合格しやすさ:おススメ度:条件付き★★★

いきなり高度系の ITサービスマネージャ試験に挑戦するのも、運用保守業務に携わっている人なら “アリ” でしょう。基本情報や応用情報には開発業務を担当していなければわからないことも多いですからね。そこに時間をかけるよりも早い可能性があります。したがって「運用保守業務に携わっている人」であればおススメ度は高くなります。 但し、午前Ⅰをクリアしなければならない点や、午後Ⅰ、午後Ⅱなど情報処理技術者試験の癖に慣れる必要もあるので、そのあたりの対策をしっかりしていきましょう。

(1)
AUシステム監査技術者

(2)
PMプロジェクトマネージャ

(3)
SAシステムアーキテクト

(4)
STIT ストラテジスト

(合格しやすさ:★★★おススメ度:★★★

他の論文系に合格している人や、同じくらいの力量のある人は “合格しやすい” という観点からおススメです。難易度的には、システムアーキテクトと同じくらいで、残りの 3 区分よりは低くなります。受験生の約半分の運用・保守担当者は、論文試験初挑戦の受験生が多いですからね。それまでに蓄積した “午後Ⅰ記述式対策” や “論文対策” は大きな強みになるでしょう。 また、開発担当者には “自分の幅” を広げるという意味合いからもおススメです。今後、アジャイル開発が広がってくると開発担当者にもリリース等運用面の知識が求められるからです。 “フルスタック” や “DevOps” なども注目されていますよね。

(5)
SC情報処理安全確保支援士

(6)
NWネットワークスペシャリスト

(合格しやすさ:★★おススメ度:★★★

運用保守担当者には、いきなり ITサービスマネージャ試験を受験するのもいいですが、それよりも先に “情報処理安全確保支援士” や “ネットワークスペシャリスト” 試験を受験しておくのもいいでしょう。これらの試験は、午後Ⅰ、午後Ⅱ試験のいずれも、知識があれば合格点を取りやすくなっています(国語があまり問われない)。そのため、午後Ⅰ試験の練習になるからです。もちろん、情報セキュリティやネットワークの知識も ITサービスマネージャには必要ですからね。 後は論文の解答技術です。他の論文系試験に合格しているのなら問題ありませんが、そうでなければ論文対策をしっかりとしていかないといけません。その分 “合格のしやすさ” をひとつ減らしました。

(7)
AP応用情報技術者

(合格しやすさ:★★おススメ度:★★★

普段運用・保守を担当している受験者は、 AP の次に ITサービスマネージャ試験を受験するのが標準的な順番になるでしょう。初の論文や初の高度系なので準備には時間がかかるでしょうが、おススメ度は Max です。 午前Ⅱは ITIL ® の知識を習得し、午後Ⅰでは高度系の記述に慣れて時間内に解く練習をし、午後Ⅱでは論文の書き方を覚える必要もあるので、合格しやすさは低いので(あるいは時間が必要なので)、十分に時間を取って取り組みましょう。

(8)
ESエンベデッドシステムスペシャリスト

(9)
DBデータベーススペシャリスト

(合格しやすさ:おススメ度:

これらの区分から、春に IT サービスマネージャ試験を受験する人は “少数派” ではないでしょうか。他の論文系試験にすでに合格していたり、 SC に合格していたりして春もしくは秋に「他に受験する区分が無いから」という理由の人ぐらいでしょう。したがって「他に受験する区分が無いから」という理由以外ではお勧めできません。 “合格のしやすさ” も低くなります。まず午後Ⅰの問題文の構造が違うため、問題文の読み方や解答の組み立て方など解答技術を一からマスターしなければなりません。論文試験もそうです。論文初挑戦の場合、これも一からマスターしなければなりません。 秋試験から引き継いで活用できる “資産” はほとんどなく、普通に別区分として一から勉強することになります

(10)
FE基本情報技術者

(11)
SG情報セキュリティマネジメント

(合格しやすさ:おススメ度:

この 2 区分は CBT 試験になりました。したがって、別枠と考えましょう。並行して学習するのなら、何の問題もありません。 但し、いずれもレベル 2 です。レベル 3 の応用情報を飛び越してレベル 4 に挑戦する場合、合格は不可能とは言いませんが “かなりの勉強時間” が必要になるのは間違いありません。上記の応用情報技術者試験後に準備する以上に時間がかかることは覚悟しておかないといけません。

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