ITサービスマネージャ 午後Ⅰ(午後1)記述式 王道の解き方


2021-02-05 公開

情報処理技術者試験の高度系の記述式問題(午後Ⅰ、論文系以外の午後Ⅱ)は、試験区分によって、速く解くための “解答手順” が異なります。そのため、いくら他の高度試験に合格しているからと言って、その “解答手順” が他の試験区分に通用しない可能性があるのです。過去の成功体験が、必ずしも次につながらないということですね。

ITサービスマネージャ試験の午後Ⅰの特徴

ITサービスマネージャ試験の午後Ⅰ試験には次のような特徴があります。

  1. 基本は時系列に話が展開する
  2. 最初は、サービス概要(システム構成、 SLA など)から入る
    午後Ⅱの設問アの前半と同じ
  3. 図表が多い
  4. 計算問題が出題されることがある
  5. インシデント対応手順は毎年必ず出題される(だから覚えておく)
  6. 解答がかなり具体的(問題文との関連性が強い)

また、典型的な問題文の構成は図のようになります。

ひとことで言うと「時系列に話が展開する」問題が多いという印象です。

もちろん全部ではありません。問題の種類によってはシステムアーキテクトやデータベーススペシャリストの午後Ⅰの問題のような特徴を持つものもあります。しかし、インシデントが発生した時の問題は時系列に話が展開されますし、移行をテーマにした問題では移行作業が時系列に説明されます。したがって、基本はその形だと考えておくことといいでしょう。

 

加えて、インシデント対応手順が、ここ数年毎年のように問題文中に登場しています。そしてその手順が守られていないから対応に失敗するというベタな展開も少なくありません。

 

計算問題が多いのも特徴の一つです。稼働率の計算、回線使用率の計算など、過去問題で出題される計算問題を抽出して、問題文のどの場所に書かれているどんな数値を使って計算しているのかは覚えておくといいでしょう。計算問題は、問題文中にない数値を使うことはほぼありません。したがって “数値の見落とし” さえなければ普通に正解できるラッキーな設問です。しっかりと準備をしておくことが必要ですね。

 

後は、過去問題を解いて練習している時に「解答例の中で使われている用語やフレーズが、問題文中で使われているかどうか?」をチェックして、自分の解答と比較してみるのが有効です。抽象的にも応えられる設問に対して、かなり具体的な(つまり問題文中で使われている用語を使った)解答例になっていることを確認しましょう。そして、自分自身の解答もそうなるように練習しながら近づけていきましょう。

ITサービスマネージャ試験の午後Ⅰを短時間で解答するための王道の解き方

こうした問題文の構成から、短時間で解答を得るための手順としては次のようになります。

  1. 基本的な解答手順
  2. 数値は重要。マークしよう!
  3. 具体的に答える!
  4. 過去問題で出題されている “表” は暗記する!

1. 基本的な解答手順

ITサービスマネージャ試験の午後Ⅰ試験の特徴は、問題文が時間とともに流れていることが多く、そのため設問も各段落に紐づけられる形で “設問1” から順番に問われているのが一般的です。具体的には、設問の最初に段落のタイトル(〔 〕でくくられたタイトル)が付いていることが多いのです。

したがって、基本的な解答手順は次のようになります。

  1. 設問を確認して、各設問に問題文の〔  〕( = 段落タイトル)がついているかどうか、その順番は問題文の順番と同じかどうかを確認
  2. 上記 1. が従来通りのパターンなら設問 1 の対象段落まで問題文を熟読し、設問 1 を解答する。
  3. 設問 1 の解答が終われば、上記②同様に設問 2 の対象段落まで問題文を熟読し、設問 2 を解答する。以下、設問 3 、 4 と同様に解いていく

このように、問題文を読んで設問 1 から順番に解いていくという最もオーソドックスな解き方になるのですが、だからこそ逆に、 “速く解く” ための工夫がおろそかになりがちになって…時間が足りなくなることもあるので注意しましょう。

2. 数値は重要。マークしよう!

ITサービスマネージャ試験の特徴のひとつに “問題文中の数値を使って解答する設問” が存在するという点があります。

具体的には、計算問題と記述式の解答の中に数値が必要な問題(設問)です。こうした問題は、ある程度午前レベルの知識があれば確実に点数が取れるはずなのですが、問題文中に書かれている条件や数値の読み落としで間違ったり、それを避けるために必要以上に時間を使ってしまったりすることがあります。そうならないように、数値が出てきたら必ずマークしておきましょう。

特に、問題文を俯瞰した時に数値が多い場合や、設問に先に目を通して計算問題を見つけた時ですね。それを先に確認しておきます。そしてその場合は、問題文を読み進める時に “数値” を見つけたら、後で確認しやすいように “わかりやすくマークする” か、連番を振っていきましょう。

3. 具体的に答える!

ITサービスマネージャ試験のもうひとつの特徴が、解答例がかなり具体的だという点です。

例えば、問題文中に何か “具体的な課題” が出ていて、その課題に対して問題文中で何かしらの対策をしていた時に「なぜ、その対策をしたのですか?」という設問があったら、原則、その “具体的な課題” を解決するためになります。

ちょっと表現が難しく、当たり前のようなことを言っているように聞こえますが、しっかりと準備が進んでいる人には伝わると思います。解答例を見た時に「え?そっちかい!そんな直接的な解答でいいのか?」と突っ込みたくなるような解答が多い人は要注意です。

というのも、一般的に “対策” は、表面に出てきている目に見える課題だけではなく、その根っこにある潜在的な課題や、同類の課題などにも広く対応するように取られます。だから、「なぜ、その対策をしたのですか?」という設問に対しては、抽象的な表現での解答になりやすいのです。

しかし、そういう場合はその旨が設問に書かれているので、そうではない場合には直接的に表面に出てきている課題(問題文に書かれている課題)を答えればいいと考えておくといいでしょう。

4. 過去問題で出題されている “表” は暗記する!

さらに、平成 26 年から令和元年まで 6 年連続で出題されている表があるのはご存知でしょうか?

次のような類似の対応手順の表です。

平成 26 年度 問 3 表 1 インシデント発生時の対応手順
平成 27 年度 問 2 表 2 サービス要求に関する対応手順
平成 28 年度 問 3 表 2 インシデント対応手順
平成 29 年度 問 1 表 4 POS レジに故障が発生した場合の回復手順
平成 29 年度 問 2 表 1 K 社の問題管理プロセスの手順
平成 30 年度 問 2 表 3 AP 展開ツールの処理手順
平成 30 年度 問 3 表 2 インシデント対応手順
令和元年度 問 1 表 1 継続的サービス改善の手順

平成 29 年度には、他にも変更管理手順の表も出題されていました。これは ITIL ® を強く意識したものだとは思うのですが、これは明らかに「この手順の概念は覚えておけよ!」という IPA からのメッセージだと思います。

そういう意味では、午後Ⅱでもこの手順に沿った考え方が必要ですし、何より今後はこの表の穴埋め問題が出題される可能性も高くなります。一応、上記の表には全部目を通しておくことをお勧めします。

表 2 H 社の継続的サービス改善の手順
手順 概要
1. 改善の戦略の識別 (省略)
2. 測定対象の定義 現状どこにいるかのベースラインを決め,どこを目指すかの達成目標を評価できるように,何を測定すべきかの測定対象を決定する。
3. データの収集 データ収集のための手順を決定し,サーバのログやSD の対応履歴などの記録を参照し,効率的にデータを収集する。
4. データの処理 3. で収集したデータを改善に役立てるために,サービス目標値や KPI がどの程度 達成できたかが分かるように加工する。
5. 情報とデータの分析 4. の加工されたデータによって導出された情報を基に,改善すべき内容を分析する。サービス目標値や KPI の目標値を達成できていない場合,原因は何かなどを分析する。
6. 情報の提示と利用 5. の分析結果を取りまとめ,問題点と改善計画を上長に報告し,レビューする。
7. 改善の実施 6. のレビューの結果,必要と判断された場合に改善計画を実施する。

注記手順は,ITIL 2011 edition の “7ステップの改善プロセス” を参考にして H 社が作成したものである。

参考:令和元年度 午後Ⅰ 問 1 より

例外

IT サービスマネージャの問題は、オーソドックスな解き方なので、あまり例外を考える必要はありません。

しかし、設問の中には難問もあります。

そういう場合は、ITストラテジスト試験のように “問題文からアプローチする” など、他の試験区分の解答手順に切り替えれば、それまでわからなかった解答が見えてくることがあります。

そういう意味でも、他の試験区分の解答手順も把握しておくと、柔軟に対応できると思います。

label王道の解き方を解説した動画もあります

ITサービスマネージャ試験 午後Ⅰ 基本的考え方 – YouTube

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