3週間で仕上げる ITサービスマネージャ 午後Ⅰ[午後1] 対策 過去問とその特徴【令和元年更新】


2018-10-01 公開

Check-1.午後Ⅰ試験の過去問題をチェック

情報処理技術者試験の高度系の 午後Ⅰ 試験 (記述式) の対策は、過去問題を使って行います。

その目的は試験区分によって微妙に異なるのですが、おおよそ次の 2 つです。

    高度試験 午後Ⅰの過去問を練習する目的

  1. 知識の補充
  2. 速く解くための練習

ITサービスマネージャの場合、ITIL® やシステム管理に関するある程度の知識があれば、たっぷりと時間をかければ合格点を取れます。

問題は、それが時間内に解けるかどうかという点 なので、2. の目的で練習をしなければなりません。

 

具体的には、過去問題に目を通して、パターン別に問題文の読み方、マークの仕方、設問になるところなどを学習し、時間のかかっていた部分(手順)を改善した上で、

「次に、このパターンの出題があった場合には、この手順で解いていこう!」

ということを決めるというものです。

したがって、多かれ少なかれ過去問題に目を通すことになります。

 

いかがでしょう?

どれくらいの問題を解いてみましたか? 時間を計って、時間内に解けるかどうかを試してみましたか? 無駄な手順を見つけましたか? 改善点を見つけましたか?

もしもまだなら、まずはそこから始めましょう。

今からでも、過去問題を時間を計って解いてみて、その感触を確かめながら、 1. 知識の補充 と 2. 速く解く ための練習をしてみてください。

Check-2.応用情報技術者試験の過去問題をチェック

Check-1. で、ITサービスマネージャ試験の過去問題を解いてみて、「時間が足りない!」となった人は、そのままその練習を続けていいと思いますが、「知識が足りない!」と感じた方は、応用情報技術者試験の問題を解いて知識を付けましょう。

応用情報技術者試験のサービスマネジメント分野の問題はこちらです。

応用情報技術者試験 午後対策
サービスマネジメント編 「 ITIL® を攻略する 」

知識が無いなと感じた分野だけでも構いません。

応用情報技術者試験の午後問題は、基礎を丁寧に説明してくれているので、高度系から見れば参考書代わりに使える のです。一度目を通してみてください。

Check-3.過去問から見る 午後Ⅰ試験の特徴 をチェック

情報処理技術者試験の高度系の記述式問題(午後Ⅰ、論文系以外の午後Ⅱ)は、試験区分によって、速く解くための “解答手順” が異なります。

そのため、いくら他の高度試験に合格しているからと言って、その “解答手順” が他の試験区分に通用しない可能性があるのです。過去の成功体験が、必ずしも次につながらないということですね。

まず、それを認識しましょう。

 

ITサービスマネージャ試験の午後Ⅰ試験には次のような特徴があります。

    ITサービスマネージャ試験 午後Ⅰ試験の特徴

  • 最初に「ITサービスの概要」や「ITサービスを提供している(管理対象の)システムの説明」
  • そのあとは、時系列に説明されていることが多い
    • 特に “インシデント” や “改善” の問題ではその傾向が強い
  • “問題文中の数値を使って解答する設問” が存在する
  • 解答例が具体的
  • なぜか 5 年連続出題される表

この特徴からすると、同じマネジメント系のプロジェクトマネージャ試験の午後Ⅰ、インシデントが発生する情報処理安全確保支援士試験の午後Ⅰや午後Ⅱと、ほぼ同じ解答手順でいけるでしょう。

午後Ⅰの特徴を意識した対策

Check-4. その1 数値のチェック

ITサービスマネージャ試験の特徴のひとつに “問題文中の数値を使って解答する設問” が存在するという点があります。

具体的には、計算問題 と、 記述式の解答の中に数値が必要な問題(設問) です。

 

こうした問題は、ある程度午前レベルの知識があれば確実に点数が取れるはずなのですが、問題文中に書かれている条件や数値の読み落としで間違ったり、それを避けるために必要以上に時間を使ってしまったりすることがあります。

 

そうならないように、短時間で正確に解くための “解答手順” を意識しなければなりません。

例えば、問題文を俯瞰した時に数値が多い場合や、設問に先に目を通して計算問題を見つけたときには、問題文を読み進めるときに “数値” を見つけたら、あとで確認しやすいようにわかりやすくマークするとか、連番を振っていくとかしてワンアクション早める工夫を考えましょう。

Check-5. その2 具体的な解答内容

ITサービスマネージャ試験のもうひとつの特徴が、 解答例がかなり具体的 だという点です。

 

例えば、問題文中に何か “具体的な課題” が出ていて、その課題に対して問題文中で何かしらの対策をしていたときに「なぜ、その対策をしたのですか?」という設問があったら、原則、その “具体的な課題” を解決するためになります。

 

ちょっと表現が難しく、なんか当たり前のようなことを言っているように聞こえますが、しっかりと準備が進んでいる人には伝わると思います。

解答例を見たときに 「え?そっちかい!そんな直接的な解答でいいのか?」と突っ込みたくなるような解答が多い人は要注意 です。

 

というのも、一般的に “対策” は、表面に出てきている目に見える課題だけではなく、その根っこにある潜在的な課題や、同類の課題などにも広く対応するように取られます。

だから、「なぜ、その対策をしたのですか?」という設問に対しては、抽象的な表現での解答になりやすいのです。

 

しかし、そういう場合はその旨が設問に書かれているので、そうではない場合には直接的に表面に出てきている課題(問題文に書かれている課題)を答えればいいと考えておくといいでしょう。

Check-6. その3 なぜか 5 年連続出てきている表

さらに、平成 26 年度から平成 30 年度まで 5 年連続で出題されている表がある のはご存知でしょうか?

次のような類似の対応手順の表です。

平成 29 年度には、ほかにも変更管理手順の表も出題されていました。また、応用情報技術者試験の過去問題にも、情報処理安全確保支援士の過去問題にも出題されています。

これは明らかに「この手順の概念は覚えておけよ!」という IPA からのメッセージだと思います。

 

そういう意味では、午後Ⅱ でもこの手順に沿った考え方が必要ですし、何より今後はこの表の穴埋め問題が出題される可能性も高くなります。

一応、上記の表には全部目を通しておくことをお勧めします。

 

label参考:平成 29 年度 午後Ⅰ 問 2 より

表 1 K 社の問題管理プロセスの手順
手順 内容
(1) 識別 次の (a),(b) 又は (C) によって問題を識別する。
(a) インシデントの未知の根本原因の検知
(b) 根本的な問題を明らかにするインシデントの分析
(C) 供給者(ソフトウェア開発元など)からの問題の通知
(2) 記録 日時など関する問題の詳細を記録する。また,手順(1) 識別が (a) の場合(以下,インシデント発生ケースという)は,問題の記録の発端となったインシデ ントの相互参照などを記録する。
(3) 優先度の割当て 関連するインシデントがある場合は,関連するインシデントの緊急度及び影響に応じて解決の優先度を割り当てる。関連するインシデントがない場合は,独自に解決の優先度を設定する。優先度は高,又は低のいずれかを割り当てる。
(4) 分類 インシデントを管理するプロセスで使用しているものと同一の分類基準を利用して問題を分類する。
(5) 記録の更新 問題の追跡ができるように,問題の進捗状況を捉え,記録を更新する。
(6) 段階的取扱い 必要な場合は,該当する当事者に対して段階的取扱いを行う。
(7) 解決 ①調査と診断

  • 問題を調査し,診断する。
  •   a  が特定され,問題の解決方法が特定された時点で問題の診断を完了する。

②既知の誤りの文書化の解決

  •   a  が特定されているか,若しくは回避策によってサービスへの影響を低減又は除去する方法がある問題を既知の誤りとして記録する。

③問題の解決

  • 特定された解決方法を適用する。
  • 恒久的な解決策が構成品目 (以下,CI という) の変更を必要とする場合は,変更管理プロセスに変更要求 (以下,RFC という) を提起することによって解決する。
(8) 終了
  • 解決策の詳細を記録する。
  • 全ての処置の完了後,問題解決の有効性を確認する。

Check-7.その4 図表が多い

これは、システムアーキテクトの 午後Ⅰ を参考にしてください。

3週間で仕上げる
システムアーキテクト 試験 午後Ⅰ
特有の対策と必要な知識【令和元年更新】

これから開始する人、これまでに準備ができている人、それぞれの勉強法

これから試験対策を開始する人は、上記の Check-1. ~ 7. を進めていきましょう。

運用経験者なら、ここまで整備できれば十分合格点は取れるはずです。ただし、時間内に解けないと意味がありませんから、ここからは徹底して時間を計測して解答する練習が必要でしょう。

 

そして、特に注意するのが、Check-3. です。

経験上見えているものが解答にならない可能性があるので、そのすり合せが必要です。

一方、未経験者の場合は、特にこれと言って意識することはありません。前から順番に解いていくというオーソドックスな手順になるので、それには慣れていると思います。

午前レベルの一定の知識があれば、上記の Check-1. ~ 5. を意識しながら微調整すればいいと思います。

 

他方、これまでにCheck-1. ~ 5. の準備が出来ている人は、もう 午後Ⅰ は OK かもしれません。

過去問題を “時間を計測して解いた数” にもよりますが、平成 25 年度~ 29 年度までの 5 年分ぐらい解答したのなら、それを再度解く必要はありません。

ただ、解答したとき、解答を確認したとき、どうすれば速く解けるかを考えたときのことを、どれだけ覚えているのかを確認しましょう。

そして、問題文中にある解答の比率、表現のまとめ方なども再チェックしておくと万全だと思います。その上で、本番に向けた戦略を立てましょう。

 

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