ITサービスマネージャ試験ガイド 難易度や合格のしやすさ | 令和元年 秋期試験にむけて


2019-05-16 公開
資格紹介

IT サービスマネージャ試験は、運用保守に関わるエンジニアのための資格です(下図参照)。

産業構造・市場取引の可視化(METI/経済産業省) より一部加工)

受験者層から見た試験の特徴

ITサービスマネージャ試験の受験者は、自分の担当業務によって次の2種類に大別できます。

  1. 運用・保守担当者が、初めて論文系に挑戦する
  2. 開発担当者が、システムアーキテクトやITストラテジストに合格した後に受験する

1. 運用・保守担当者が、初めて論文系に挑戦する

ITサービスマネージャ試験の受験者のうち、例年約半数が、実際に運用・保守を担当しているエンジニアになります。

彼らにとっては、高度系の “本命” がこの試験になるので、当然と言えば当然でしょう。

彼らの “強み” は経験と知識 で、課題( “弱み” )は試験テクニック(速く解く技術や論文のお作法やルール)になります。

情報処理技術者試験のレベル4(高度系)の中で、運用・保守担当者向けの試験が他にないため、高度系の初挑戦になることが多いからです。情報処理安全確保支援士を先に受験する場合もありますが、その場合でも論文試験は初挑戦になりますからね。

それに、自分自身が高度系や論文試験に “初挑戦” だったとしても、システムアーキテクト試験のように他の受験生も “初挑戦” なら差は出ないのですが、受験者の中には他の高度系区分に合格しているシステム開発担当者(上記の2.)が結構います(例年約半数)。

このため、相対的に“弱点”になってしまうというわけです。

2. 開発担当者が、システムアーキテクトやITストラテジストに合格した後に受験する

ITサービスマネージャ試験の受験者には、運用・保守の担当ではなく、開発(設計やプログラミング、プロジェクト管理、テクニカルエンジニアなど)に携わっている人も少なくありません。おおよそ半数が非運用・保守担当者になります。

昔から全区分制覇を狙って担当業務以外の区分を順番に受験する “試験マニア” 的な受験者は一定量いたのですが、それに加えて最近は “アジャイル” や “DevOps” 、”フルスタック” などを目的に、開発に携わるエンジニアであっても運用や保守に関する知識が必要だという意識が芽生えてきたのでしょう。この類の受験者が増えています。

彼らは、(自分たちの本命の区分に合格した後に受験するケースが多いので)試験テクニックが “強み” で、運用保守に関する知識と経験が “弱み” になります。

ちょうど運用・保守担当者の真逆ですね。

 

ちなみに、このような受験者層の特徴から、1. と 2. の戦いになる、珍しい試験区分になります。言い換えれば、“運用・保守担当者 VS. 開発担当者”ですね。

特に “論文” が二分されます。

運用・保守担当者は、内容はそれっぽい濃い内容を書くのですが、時間内に一定量書けなかったり、具体的じゃなかったりわかりにくかったりしがちです。国語力で損をするケースですね。

逆に開発担当者は、論文自体はそれなりのものになっているのですが、経験が無いところで、内容を濃くするための苦労をしがちです。

難易度や合格率

難易度や合格率は、受験生の “経験” と “知識” によって大きく異なりますが、この試験の合格に必要な “経験” や “知識” は次のようなものになります。

    運用・保守担当者が持っている知識や経験

  • (1) 運用・保守の経験がある
  • (2) 普段から定量的な数値管理を行っている
  • (3) ITIL ® に関する知識がある(ITサービスマネージャ試験はITIL ® 準拠です)
  • 開発担当者が持っている知識や経験

  • (4) 他の論文系試験(ST、AU、PM、SA)に合格している
  • (5) 他の高度系区分に合格している
  • 両者に共通の知識や経験

  • (6) 情報セキュリティに関する知識

上記の (1) ~ (6) がすべて “YES” の人はかなり合格に近い位置にいますが、なかなか稀有な存在ではないでしょうか。

というのも、そういう人は、運用・保守担当者なのに、他の論文系試験を先に受験していたり、ITサービスマネージャに合格できない間にPMやAUに合格していたりする人になりますからね。ゼロとは言いませんが無視できるくらい少ないと思います。

受験者層の特徴からすると、上記の (1) ~ (3) がすべて “YES” の人か、(4) ~ (5) がすべて “YES” の人が合格に近い人になります。

そこに(6) が “YES” ならなおいいと思います。

 

そうでない人は、まずは自分の”強み”になるはずの部分を勉強し、その上で”弱み”を勉強していくようにしていきましょう。

2019年度 春期試験 受験者からみたITサービスマネージャ試験

もしも、あなたが2019年4月21日に春期試験を受験していたのなら、その時に勉強した “知的資産” の有効活用を考えましょう。

活用できれば、それだけ勉強時間も少なくなりますからね。多忙な社会人にとって “勉強する順番” はとても重要 です。

それに、自分自身のキャリアを考えるうえで、ITサービスマネージャ試験と他の試験区分との関係性も知っておくことは “損” にはなりませんから。

2019年度春期の受験区分 ITサービスマネージャ試験との関連(3つで評価)
AU

(1) システム監査技術者

PM

(2) プロジェクトマネージャ

(合格しやすさ:★★★ おススメ度:★★★

これらの2区分(AU、PM)に比べると、ITサービスマネージャ試験の難易度は低くなります。したがって合格はしやすいと思います。

春試験で “論文対策” を行っていたのなら,前述の通り論文試験初挑戦者が多いので、大きな強みになりますからね。

それに、 “フルスタック” や “DevOps” なども注目される中、自分の知識の幅を広げるという観点からもおススメです。

試験対策としては、ITIL®の知識を習得する必要はありますが、この2区分のあとでしたら、春に蓄積された “解答技術” が有効活用できます。午後Ⅱの論文対策だけではなく、実は午後ⅠもAUやPMとよく似た文章構成なので、解答手順がほぼ同じでいいからです。

SC

(3) 情報処理安全確保支援士

(合格しやすさ:★★ おススメ度:★★★

ITサービスマネージャ試験でも “情報セキュリティ” の問題が出題されます。午前Ⅱ、午後Ⅰ、午後Ⅱのいずれでも出題される可能性があります。

したがって、春に情報セキュリティの勉強をしてきた場合、その知識はかなりの “強み” になります。

試験の解答技術に関しても、ITサービスマネージャの午後Ⅰの解き方はSCと同じなので、春試験時に練習した午後Ⅰ対策がそのまま活きてきます。

午後Ⅱの論文はSCにはありません。したがって、他の論文系試験に合格しているのなら問題ありませんが、そうでなければ論文対策は一から必要になります。

AP

(4) 応用情報技術者

(合格しやすさ: おススメ度:★★★

運用・保守を担当している受験者の王道がこの順番(AP→ITサービスマネージャ)です。初の論文試験、初の高度系試験になるかもしれませんが、おススメです。

「難易度や合格率」のところで説明した必要な知識や経験の (1) ~ (6) の、最大全部を勉強する必要があるので、かなりの時間が必要になりますが、その価値はあると思います。十分に時間を取って取り組みましょう。

DB

(5) データベーススペシャリスト)

ES

(6) エンベデッドシステムスペシャリスト

(合格しやすさ: おススメ度:

これらの区分から、秋にITサービスマネージャ試験を受験する人は “少数派” ではないでしょうか。

他の論文系試験にすでに合格していたり、SCに合格していたりして春もしくは秋に「他に受験する区分が無いから」という理由なら問題ありませんが、それ以外はお勧めできません。

まず午後Ⅰの問題文の構造が違うため、問題文の読み方や解答の組み立て方など解答技術を一からマスターしなければならないからです。論文試験もそうです。論文初挑戦の場合、これも一からマスターしなければなりません。

つまり、この2区分から引き継いで活用できる “資産” はほとんどないので、普通に別区分として一から勉強することになると考えておきましょう。

FE

(7) 基本情報技術者

SG

(8) 情報セキュリティマネジメント

(合格しやすさ: おススメ度:

この2区分はいずれもレベル 2 です。

レベル3の応用情報を飛び越してレベル4に挑戦する場合、合格は不可能とは言いませんが “かなりの勉強時間” が必要になるのは間違いありません。上記の応用情報技術者試験後に準備する以上に時間がかかるでしょう。

したがって、何かしらこの資格を必要な理由がある場合以外はおススメできません。

合格者に聞く! 資格の価値や勉強時間など学習方法

ズバリ聞きます!資格って役に立ちますか?
~情報処理技術者試験 ITサービスマネージャ~

勉強方法や勉強時間

このあたりは、今後の記事にご期待ください。

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