応用情報技術者試験〔午後〕プロジェクトマネジメント 対策「過去問で PMBOK ® を学ぶ」
応用情報技術者試験の午後問題において、選択問題になっているプロジェクトマネジメント(通常は問 9 で出題)をどうするのかを考えてみましょう。
選択すべきかどうか
この分野は、システム開発プロジェクトの “プロジェクト管理” をテーマにした問題です。
したがって、普段、プロジェクトマネジメントをしている人が選択することになるでしょう。
あるいは、今はまだそういう立場では無くても、将来プロジェクトマネージャを目指している人や、プロジェクトマネジメントせざるを得ない人は選択して、応用情報技術者試験への挑戦時からしっかりと勉強しておくといいでしょう。
というのも、 “人を管理する” 、すなわち “人に仕事をしてもらう” スキルは一朝一夕ではつきませんし、資格試験の知識だけでうまくできるようになるわけでもありません。十分な準備期間が必要になります。
そこで、早い段階で知識を付けて、先輩や上司のマネジメントの実際を見て “理解できる” レベルにする必要があるわけです。仮に、マネジメントを開始する 5 年前に基礎知識を身に着けていたとすれば、その後 5 年間、先輩や上司の行動や発言の狙いや真意が理解できるようになります。逆に、基礎知識が無ければ… 5 年間、まったく見えないまま過ごすことになります。時間に換算すると約 1 万時間。この差は、恐ろしく大きいですからね。
特徴や課題、対策方法
この分野は、プロジェクトマネージャとしての経験の有無で大きな差になるという特徴があります。経験者にとっては、どの問題もとても簡単に感じると思いますが、未経験者にとっては “ピン” と来ない問題が多く、しかも問題の種類がバラエティに富んでいるので、短時間で効果的な対策を取るのが難しいでしょう。
情報処理技術者試験のプロジェクトマネージャ試験及び、応用情報技術者試験のプロジェクトマネジメント分野の問題は、平成 21 年に大きく試験制度が変わった頃から、明確に PMBOK ® や ISO/IEC21500 準拠 を打ち出しています。
したがって、応用情報技術者試験を受験する段階で PMBOK ® の学習を進めていくといいでしょう。
どんな知識(何について)を、どのレベルまで知っておくべきか?
次の表は、 IPA が公表している平成 21 年以後の過去問題をテーマ別に分類したものです。
カテゴリ | 年 | 期 | 問題番号 | テーマ |
---|---|---|---|---|
統合・スコープ | 24 | 春 | 10 | プロジェクト評価 |
27 | 秋 | 9 | スコープ管理、変更管理 | |
02 | 秋 | 9 | プロジェクト計画の変更 | |
タイム | 24 | 秋 | 10 | PDM 、スケジュール短縮技法 |
31 | 春 | 9 | PDM 、スケジュール短縮技法 | |
21 | 春 | 10 | スケジュール遅延、計画変更 | |
29 | 春 | 9 | 移行判定会議 | |
28 | 秋 | 9 | 要件定義工程のマネジメント | |
コスト | 17 | 春 | 4 | 見積技法( FP 法) |
03 | 春 | 10 | コスト見積もり | |
22 | 春 | 10 | EVM 、ADM ( Arrow Diagramming Method: アロー・ダイアグラム法) | |
25 | 春 | 10 | EVM | |
01 | 秋 | 9 | EVM | |
品質 | 20 | 秋 | 2 | 各種テストの基礎( V 字モデル) |
17 | 秋 | 2 | テストケース、原因結果グラフ | |
22 | 秋 | 10 | ピアコードレビュー、単体テスト | |
28 | 春 | 9 | 定量的な品質評価、なぜなぜ分析 | |
18 | 秋 | 2 | ソフトウェアの構成管理 | |
人的資源 | 25 | 秋 | 9 | 要求、選定、RACI (*) チャート |
27 | 春 | 9 | RAM ( Responsibility assignment matrix: 責任分担表) 、コミュニケーション計画 | |
ステークホルダ | 23 | 春 | 10 | ステアリングコミッティ |
リスク | 21 | 秋 | 10 | リスク特定、リスク評価、優先度 |
26 | 秋 | 9 | リスク特定、リスク分析 | |
30 | 春 | 9 | パッケージ導入、リスク対応 | |
30 | 秋 | 9 | パッケージ導入、リスク対応 | |
調達 | 23 | 秋 | 10 | パッケージの調達(選定、評価基準、評価方法) |
29 | 秋 | 9 | パッケージの調達(選定、評価基準、評価方法) | |
その他 | 26 | 春 | 9 | 単純移行のプロジェクト |
* RASI: Responsible, Accountable, Consulted, Informed の頭文字をとったもの
この表を見ればわかると思いますが、様々な管理分野が万遍なく出題されています。 PMBOK ® の 10 の知識エリアの全てから出題されています。
ただ、やはり応用情報技術者試験では、成果目標の “タイム” 、 “コスト” 、 “品質” のいわゆる QCD の問題が多いので、まずはここから確実に得点できるように仕上げていくといいでしょう。
そして、上記の表を参考に、自分の苦手な分野があれば、そこもチェックしておけば万全です。
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- 略歴
- 株式会社エムズネット代表。
大阪を主要拠点に活動するIT コンサルタント。 本業のかたわら、大手 SI 企業の SE に対して、資格取得講座や階層教育を担当している。高度区分において脅威の合格率を誇る。 - 保有資格
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- 情報処理技術者試験全区分制覇(累計 32 区分,内高度系 25 区分)
- ITコーディネータ
- 中小企業診断士
- 技術士(経営工学)
- 販売士 1 級
- JAPAN MENSA 会員
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