今後の情報処理技術者試験の開催について|2020年度
もう、ご存じの方も多いと思いますが、IPA は先日( 5 月 28 日)、中止になった今年の春期試験に関して「令和 2 年度春期情報処理技術者試験・情報処理安全確保支援士試験の取りやめ(中止)関連情報」を公表しました(要約は下記参照。詳細はリンク先へ)。
- 代替試験を 10 月 18 日(日)に実施する方向で検討中
- 上記の代替試験は 2 回に分けて実施する可能性がある
- 10 / 18:高度系以外( SG, FE, AP )
- 11 月以降:高度系( PM, DB, ES, AU, SC )
令和 2 年度の秋期試験
- 10 月 18 日ではなく、 11 月以降で実施する方向で検討中
- 上記の試験は SC を除く高度系( ST, SA, NW, SM )のみ
- 年 2 回実施している試験区分( SG, FE, AP, SC )については開催しない
(令和 2 年度における実施は年 1 回)
他には、一部免除(基本情報技術者試験の午前試験免除、高度試験、情報処理安全確保支援士試験の午前Ⅰ試験免除)に関しても、中止によって不利にならないように配慮がされるようです(決定次第、後日公表予定)。
もくじ
どう向き合うべきか?
この IPA の発表を受けて、戸惑っている受験生も多いと聞きます。
と言うのも、まだ “決定” ではありませんし、仮に “決定” だったとしても、新型コロナウイルス感染症が以前のように拡大すれば中止になることがわかっているからです。
ただでさえ忙しい中、感染症リスクの不安と闘いながら慣れない環境の中で時間を捻出したとしても、それが「無駄な努力」になってしまうと考えれば無理もありません。
とは言うものの、未来は常に不確実なもの。
確実になった未来にしか備えないという選択は、 “先行者利益” が得られないのはもちろんのこと、後手後手になって…常に誰かの後ろをついて回るだけの人生になってしまうことも。
それに、確実になるのを待っている限り “準備期間” はどんどん少なくなっていきます。 “準備に必要な時間” より “準備に使える時間” が長ければストレスは感じないかもしれませんが、そういうケースばかりではありません。往々にして “準備に必要な時間” に対して “準備に使える時間” は少なく、それが大きくストレスになることも。
そう考えれば、この予定で開催しても合格できるように準備しておくのも悪くはないと思います。
リスクを考えた準備を!
とは言うものの…今回のように、以前と比較して中止になるリスクが高かったり、予定通り開催されると 2 か月間で 2 区分を受験することになったりするのに、それを以前と同じように準備するのも得策ではありません。
時々刻々と変化する可能性のある “リスク” に対しては、やはり、柔軟性のある計画を立てるのが王道です。
プロジェクトマネージャ試験の午後Ⅱの問題にもこんなのがありましたよね(下記の<参考>)。プロジェクトマネジメントでも、優先順位を考えて、どっちに転んでも有益な部分から着手するように言及しています。
今回のケースだと、さながら次のような感じでしょうか。
- 2 か月で 2 区分、連続で合格を狙える計画にする
- 中止になっても(仕事や日常生活で)役に立つ部分とそうでない部分を切り分け、役に立つ部分から着手する
- 一旦習得すれば、記憶が長持ちする部分から着手する
- 体系化して、階層の上位の部分から着手する
平成 14 年度 プロジェクトマネージャ試験
問 2 業務仕様の変更を考慮したプロジェクトの運営方法について
近年、インターネットを用いた新しいビジネスモデルの構築など、未経験領域のアプリケーションが増加している。アプリケーションによっては、プロジェクトの初期の段階で業務仕様をすべて定義しきれなかったり、早期に凍結できなかったりすることがある。
このような場合、プロジェクトの立上げに際しては、まず、全体の業務仕様のうち、変更の可能性のある部分とそれらの変更の発生時期を、利用者の協力を得て可能な限り予測することが肝要である。そして、業務仕様の変更に柔軟に対応できるようプロジェクトの運営方法に工夫を凝らす必要がある。そのために、例えば、次のような事項を検討する。
- プロジェクトの初期の段階から利用者がプロジェクトへ参画する。
- 短いサイクルで段階的に開発するなど、変更に強い開発プロセスモデルを採用する。
- 予想される変更の影響を局所化できるように設計を工夫する。
- 開発期間、費用に余裕を含めたり、見直し時期や調整方法を顧客と取り決めたりしておく。
プロジェクトの実行に際しては、個々の変更要求に対して、様々な観点から評価する。例えば、利用部門から見た変更の緊急性や効果、変更しないことによる不便さの度合い、開発部門から見た開発期間や費用への影響などを総合的に判断して、採用の可否を決める。また、必要に応じてプロジェクト体制やスケジュールなどを調整する。
あなたの経験と考えに基づいて、設問ア~ウに従って論述せよ。
- 設問ア
- あなたが携わったプロジェクトの概要と、プロジェクトの立上げの際に変更の可能性があると予測した業務仕様とその理由を、800字以内で述べよ。
- 設問イ
- プロジェクトの立上げに際して、業務仕様の変更に柔軟に対応するためにどのような事項を検討したか。また、プロジェクトの実行に際して、業務仕様の変更に対してどのように対応したか。工夫した点を中心に述べよ。
- 設問ウ
- 設問イで述べた活動をどのように評価しているか。また、今後どのような改善を考えているか。それぞれ簡潔に述べよ。
具体的方針
詳細は試験区分ごとに検討するとして、具体的には次のような方針で考えておけばいいでしょう。
① 2 か月で 2 区分、連続で合格を狙える計画にする
- 戦略的に受験する2区分を決定する(共通部分が多いなど)
- その 2 区分の共通部分を見極め、そこから着手する
②中止になっても(仕事や日常生活で)役に立つ部分とそうでない部分を切り分け、役に立つ部分から着手する
- FE(基本情報)や AP(応用情報)は、自分の業務に合った分野や興味の強い分野(例:セキュリティ分野)を徹底的に仕上げる
- 高度区分のテクニカル系も、自分の業務に合ったテーマや興味の強いテーマ(例:DBの正規化)を中心に徹底的に仕上げる
- 高度区分の論文系は、論文共通部分から着手する
③一旦習得すれば、記憶が長持ちする部分から着手する
- 当該区分の基礎の部分から着手する
④体系化して、階層の上位の部分から着手する
- 参考書の目次から覚えていく
- 暗記チェックシートを作成し、理解よりも先に暗記してしまう
(後から深い知識が記憶に残りやすいように)
このような感じで工夫しながら、進めていくことをお勧めします。
いったん中断していたこの連載も 6 月から再開します。今後も各区分、定期的にこの方向で情報提供をしていきますので期待していてください。
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- 略歴
- 株式会社エムズネット代表。
大阪を主要拠点に活動するIT コンサルタント。 本業のかたわら、大手 SI 企業の SE に対して、資格取得講座や階層教育を担当している。高度区分において脅威の合格率を誇る。 - 保有資格
-
- 情報処理技術者試験全区分制覇(累計 32 区分,内高度系 25 区分)
- ITコーディネータ
- 中小企業診断士
- 技術士(経営工学)
- 販売士 1 級
- JAPAN MENSA 会員
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