国家資格とベンダ資格


2018-04-23 公開

ITエンジニアに用意されている独学ツール(=資格)には,大別すると国又は地方公共団体、あるいはそれらの委託を受けた団体が行う“国家資格”と,数多くの企業が独自で運営している“ベンダ資格”があります。

 

国家資格

国家資格の中でも,多くのITエンジニアのキャリア形成に活用されているのが,経済産業省から委託を受けたIPA(情報処理推進機構)が運営する情報処理技術者試験・情報処理安全確保支援士(登録セキスペ)試験です。

試験開始は昭和44年なので,今年(平成30年)はちょうど50年目の節目。この半世紀の間に延べ○○万人の合格者を輩出しています。これまで何度か制度変更が行われ現在は次のように13区分になっています。

https://www.jitec.ipa.go.jp/1_11seido/seido_gaiyo.html

 

どれぐらいのエンジニアが活用しているの?

ITパスポート試験を除き,毎年年2回,春(4月)と秋(10月)に行われているため,キャリア形成のマイルストーンとして定例行事的に受験するITエンジニアが多いですね。平成29年は延べ60万人が受験しています(ITエンジニアは約100万人と言われています)。

 

どんなことが問われるの?どう活用しているの?

国家資格ですから,基本的に特定の企業,特定の団体の利益になるようなことができません。我々の業界は技術競争が激しく,ある意味企業が新技術を開発して業界をけん引している部分があるので,後述するベンダ資格と比較すると,どうしても“最新のモノ”が問われることは少ないです。しかしその分逆に,業界に根を下ろし基礎となり定着したものを体系化して提供しています。

 

ベンダ資格

他方,ベンダ資格とは、Microsoft社やOracle社のようにIT関連企業や任意団体が主催し,独自に運営している資格です。

試験は,各ベンダから委託を受けた試験運営の会社がCBT(※1)で随時行われているのが一般的です。その代表的な企業“ピアソンVUE”では約450もの試験を全国116箇所 (2018年4月現在) で実施しています。

(※1) CBT
Computer Based Testing の略で、筆記試験ではなくコンピューター上でテストを受験します。

 

どれぐらいのエンジニアが活用しているの?

受験者数を公表している企業がほとんどないため正確な数字はわかりませんが,人気資格のひとつLPICが,15年間で29万人が受験したようなので,年間数万人が受験しているようです。そう考えると,人気のあるベンダ資格は,情報処理技術者試験の1区分あたりの受験者と同じような感じだと考えてもらえばいいでしょう。

 

どんなことが問われるの?

問われているのは,各企業の製品知識や技術に関するものが中心です。IT関連製品は複雑で,その技術習得も一朝一夕にはいかないことや,エンジニアのスキルの差も大きいことから,基本的には,当該製品に対して一定水準の知識や技術があることを証明するために運営されています。また,業界に根付いてデファクトスタンダードになっているか否かに関わらず,良くも悪くも“最新”のことが問われるのも特徴です。

ただ,すべてが自社製品の知識や技術を問う試験というわけではなく,中には国家資格のように,特定製品ではなく “ネットワーク分野” や “セキュリティ分野” 全般のスキルを認定するものもあります。それをベンダ資格の中でも特に “ベンダニュートラル資格” ということも有ります。

 

今後の連載予定

第2回 国家資格とベンダ資格,ITエンジニアはキャリア形成にどう活用しているの?

第3回 国家資格VSベンダ資格 座談会。「俺はこっち派!」

第4回 国家資格,ベンダ資格にある,あまり知られていないメリット

第5回 ここが変だよ国家資格

第6回 ベンダ資格の落とし穴

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