ズバリ聞きます!資格って役に立ちますか? ~ITストラテジスト~


2020-06-26 公開

インタビューに応じていただいた方

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安達 秀樹 さん

略歴
1991年に金融機関に入社。17年にわたり、全国基幹系オンラインの基盤システムの企画・開発・運用・保守から生産管理諸制度の企画・開発・運用等に至るまで幅広く経験。途中、子会社のIT企業へ異動。そのノウハウを持って、2008年から新たに外販(親会社以外の金融機関の顧客)を担当することになる。ITSSスキルレベル6~7(PM)、IPSJ CITP(PM)。
保有資格
  • 情報処理技術者試験 ITストラテジスト
  • 情報処理技術者試験 システム監査技術者
  • 情報処理技術者試験 プロジェクトマネージャ
  • 情報処理技術者試験 システムアーキテクト
  • 情報処理技術者試験 ITサービスマネージャ
  • 情報処理技術者試験 ネットワークスペシャリスト
  • 情報処理安全確保支援士
  • 第一種情報処理技術者
  • 第二種情報処理技術者
  • 医療情報技師
  • 情報処理技術者試験 情報セキュリティマネジメント
自身のキャリアの中で役に立った資格
情報処理技術者試験 ITストラテジスト

(インタビュアー: 三好康之)

最初に、この資格を取ろうと思ったきっかけについて教えていただけますか。

私が資格に目を向けたのは、転機となった外販を担当した時(2008年)からです。

金融機関の基盤を担当していたときは、その企業のことだけを考えていれば良かったですし、何よりじっくり時間をかけて、実務を通じて経験を積んでいくことができていました。しかし、外販では複数のお客様を担当し、さらに、新しいお客様を担当したら…その都度、短時間でそのお客様の状況を把握しないといけなくなったのです。

「何とかしなくてはいけない」

これまでの経験と、それによって獲得した知識だけでは、明らかに不足する部分があると感じた私は、そう思いました。それまでのように “自信” が持てなかったのかもしれません。

 

そこで私が目を付けたのが “理論に精通”注1することと、そのための情報処理技術者試験の活用です。情報処理技術者試験に取り組んで、これまでの経験(実務の修練)に加え “理論に精通” することができれば、この課題をクリアできると考えたのです。

 

その中でターゲットにしたのが、(情報処理技術者試験の中で)最高峰だと言われているITストラテジストです。最高難易度のITストラテジストを取得できれば、それ自体で “自信” につながると考えたからです。

注1
技術を習得する過程において「実務の修練」に励むことと「理論に精通」することの二つが必要だという社会心理学者のエーリッヒ・フロムの概念を引用したもの

ズバリ聞きます。この資格は役に立ちますか? ~ITストラテジストのメリット~

そうですね、結果は思惑通りだっただけでなく、それ以上の効果がありました。

メリット 1 とにもかくにも自信が持てた!

外販を担当してから 1 年後の 2009 年 10 月の試験で合格した私は、この合格そのものが大きな自信になりました。これが一つ目の “自信” です。

しかし、私が獲得した “自信” はそれだけではありません。

新しいお客様との会話の中で “知らない用語” が出てきたときにも、自信を持って聞くことができました。顧客に質問することが恥ずかしくなくなったのです。情報処理技術者試験に出てこない用語は、原則 “お客様固有の用語” と解釈することで、自信を持って質問できるようになりました。要するに “自分を信じられる” ようになったわけです。

その結果、お客様からの信頼も得られることを実感し、さらにそれが自信となりました。

 

また、私の資格取得は “理論に精通” することなので、情報処理技術者試験の高度系の資格を順番に取得していくことを考えていたのですが、そのためにも自信が欲しかったのです。

そこで、通常であれば、難易度の低いものから順番に積み上げていき、より難易度の高いものに挑戦するのでしょうが、私の場合はそうは考えませんでした。最初に最高難易度の資格を取得できれば…(次からの)他区分の取得に対しても自信がうまれ、モチベーションも上がると考えたのです。

こちらも思惑通りでした。

私はそのとき、すでに 40 代に入っていましたが、ITストラテジスト を取得したあと、それが自信になって、そこからプロジェクトマネージャ、ITサービスマネージャ、システム監査技術者、情報セキュリティスペシャリスト、ネットワークスペシャリスト、システムアーキテクトに合格できたのです。もちろん、試験区分ごとに特徴があり “差” はありますが、すでに、情報処理技術者試験に対しても(きちんと対策すれば合格できるんだという) “自信” を持っていたのも大きかったと思います。これが三つ目の自信です。

ちなみに…社内で「中年の星」と呼ばれるようになりました(笑)。

数多くの資格をもつことができたことを振り返ると、ITストラテジストの合格が “ターニングポイント” になったと思います。

 

セオリー無視の順番かもしれませんが、最高難易度のITストラテジストを取得して、他の区分に対する苦手意識を払拭するのも一考の余地はあると思います。私はお勧めします。

メリット 2 自分の仕事の幅が広がった

自信が持てたという効果以外にも、いろいろメリットがありました。

IT企業に異動したときも、最初は従来通りの基盤部門に所属していたのですが、ITストラテジストの取得をきっかけに、コンサルティング部門へ異動し、その後(順次資格を取得していったので)アプリケーション開発部門へ異動することになりました。いろいろな部門を渡り歩いて、私の仕事の幅はとても拡がりました。

もちろん、情報処理試験の資格を持っているからといって実務ができるわけでないことは十分承知しています。しかし、基礎知識があるという自信が、新しい領域への参画の背中を押してくれたと考えています。

メリット 3 ITSS のスキルレベルが向上した

他には…所属会社は IPSJ(情報処理学会)の CITP 認定企業であり、3 年に一度 ITSS スキルレベルの更新審査を行っています。専門職性はプロジェクトマネジメントですが、この評価レベルが 6 ~ 7(最高評価)になりました。特に品質、コスト、納期のコントロールに関する評価が高く、これは高度情報処理試験を複数区分習得する中で、基盤からアプリ、運用、コンサルティング、管理部門までの幅広い基礎知識を、 30 年の実務キャリアに加えて得られたためと考えています。

部下の育成や子どもたちの教育に活かすことができた

私の所属する会社は、高度情報処理試験を少なくとも 2 つ持っていないと課長職に昇格できません。このため、部下を持つ上司としては、日常的な OJT での部下指導に加えて、情報処理試験の受験指導も大切な育成要素となります。自分自身が複数の高度情報処理試験に合格したことは、部下に合格方法を指南することにつながりましたし、基礎知識が増えたために指導する内容にも幅が生まれたと思います。

また、これは想定外だったのですが、自分の子どもたちが高校・大学受験を行う際に、情報処理試験の勉強で身に着けたスケジュール力(同じ問題集を 3 回~ 5 回解き、問題と解答を覚えるための段取りを組む力)が活用できました。加えて、大学生になった子どもは学校で IT 基礎という講座があり、これが情報処理試験の基礎知識がばっちりと活かせる内容で、子どもが分からないという問題をすらすらと解いてみせると、「お父さんすごい」となりました(笑)。

さらに、ある小学校にてプログラミング教育のボランティア授業に参加しました。簡易言語を使って生徒さんたちがゲームを作るのを支援するのですが、ここでは、自分の身に着けた知識が地域に還元できた感があり、とても感慨深く感じました。生徒さんや先生からもとても喜んでもらえました。

最後に、これからのキャリアをどのようにお考えかお聞かせください

このように、まずは自分のキャリアを何とかするために情報処理試験の勉強を行ったわけですが、自分の役に立った次には部下のためになり、次には自分の子供たちのためになり、さらには地域の子供たちに自分のスキルを還元できたと感じるに至りました。これはいわゆる「利他」の心の芽生えのような気がしております。

これからも自己の知識習得と、その知識や経験をいろいろな人に還元していく取り組みを進めていきたいと考えています。

 

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