データベーススペシャリスト 試験の特徴と難易度
この資格は、データベースに精通し、データベース設計を行うプロフェッショナルの資格です。今や RDBMS を使用するのが当たり前。ゆえにシステムエンジニアには必須の資格ではないでしょうか? システムアーキテクトで “要件定義” フェーズの進め方を学び、データベーススペシャリストで設計を学ぶ … みたいな感じですね。今の時代は、設計の中心はデータベース設計であり、チューニングも、障害やセキュリティ面への配慮も、データベースに対して行います。ということは、やはり今のシステムエンジニアには、必須の資格だと思います。
受験者層
データベーススペシャリスト試験は、基本情報・応用情報とステップアップした後、高度系試験区分を初受験する人が多い印象があります。
高度系に初挑戦する人は、大別すると “論文系” と “テクニカル系” に分かれますが、データベーススペシャリスト試験が開催される秋期の場合、ざっくりですが … ベテランは “論文系” のプロジェクトマネージャ試験を受験し、若手はこの試験を受験するケースが目立ちます。
普段、データベースの設計をしている IT エンジニアが、同じタイミングで開催されるエンベデッドスペシャリストと情報処理安全確保支援士よりも、データベーススペシャリストを選ぶのは当然ですよね。
また、学生時代に応用情報技術者試験まで取得して入社した新入社員は、 SI ベンダの場合、データベーススペシャリスト試験の受験を勧められるケースが多いです。
難易度
データベーススペシャリスト試験の問題には “型” のように問題文の構成要素がだいたい決まっていて、その “型” に対する解き方を覚えれば点数が取れます。ちょうど、数学の「公式を覚えて、そのパターンに当てはめる」のと同じです。この “型” を含めて覚えなければならないことが他の試験区分に比べて少ないので、そういう点では難易度はそれほど高くはなく、早く仕上げることが可能な試験区分だと思います。
これは筆者が実際に経験したことですが … 以前、とある企業で 3 年間ほどその企業に入社したばかりの新人さん向けに「高度系試験対策」を担当していたことがあります。期間は試験直前の 1 週間。対象は、基本情報技術者試験と応用情報技術者試験を既に取得している人で、原則、データべーススペシャリスト試験を受験することになりました。最初は、会社も、新人さんも特に期待はされていなかったんですが、結果的に全国平均を大きく上回る高確率で合格されていました。一番高い年度で約 7 割です。
筆者の教え方が特に上手かったわけでもありません。筆者は順番に過去問題を指定して、それをひたすら解いてもらっていただけです。解いた後に、わからないところを説明していましたが、約 40 時間( 8 時間 × 5 日間)とプラス自宅学習で合格を勝ち取ったのです。基礎学力があったから理解が早かったのでしょう。
但し、午後Ⅱ試験では「長文を読解して」データモデルを作成しなければならないので、国語力は必要です。国語力を含めた基礎学力が問われる試験区分です。
合格に必要な対策の概要
データベーススペシャリスト試験の問題は、午後Ⅰ試験も午後Ⅱ試験も “定番” が多く、出題の構成パターンがワンパターンです。したがって、そのパターンを覚えることが最優先事項です。
対象とする問題は “直近の問題” 。前回試験や前々回試験で出題された問題です。これが、他の試験区分と大きく異なる部分ですね。
他の高度系の試験区分では、例えばプロジェクトマネージャ試験だと、品質管理、進捗管理、変更管理、要員管理、調達管理、リスク管理などいくつかのテーマに分かれているので、そのテーマごとにある程度順番に出題されています。このため「前回は品質管理の問題が出たから今年は品質管理は出題されないな」というように、前回や前々回に出題されたテーマは優先順位を下げて対策します。そして「最近出題されていないテーマなので、今年あたりそろそろかな」という感じで、それ以前の年度の問題をしっかりと勉強することが重要です。
しかし、データベーススペシャリスト試験は “真逆” なんですね。
データベーススペシャリスト試験は、問題文の構成パターンや設問で問われることの根幹は変わらず “ワンパターン” なので、他の試験区分のようにテーマごとの練習は不要ですが、毎年微妙に変化しています。その微妙な変化は把握しておいた方が良いので、直近の問題が有効になるのです。
また、以前は、午後Ⅰと午後Ⅱで全く別のことが問われるような感じでしたが、平成 26 年以後は、同じ知識や考え方で解く問題に変わったようです。明確に試験センターから公表されているわけではありませんが、午後Ⅱがきちんと解ける受験生は、午後Ⅰも解ける設問が増えています。
したがって、基礎知識を会得したら、午後Ⅱ対策をしっかりと行うことが対策の基本になるでしょう。
これまでの情報処理技術者試験のキャリアが活かせるか?
最後に、これまでの情報処理技術者試験のキャリアが活かせるかどうかを説明しておきます。情報処理技術者試験を “点” ではなく “線” で考えている人は参考にしてください。
過去の受験区分 | 合格しやすさとおススメ度 |
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(1) AP応用情報技術者 |
(合格しやすさ:★★★おススメ度:★★★) 秋に応用情報技術者試験に合格した人のうち、データベース設計の経験者や、その知識が近い将来必要になる人は、この試験を受験するのが王道です。特に、実務で SQL を使っている人は、 “早く仕上がる” 可能性が高いのでチャンスです。 SQL を仕上げるには、そこそこ時間がかかりますからね。このため、基本情報と応用情報の受験時に SQL を仕上げていたり、得意としている人にもおススメです。高度系区分保有者になる一番の近道だと思います。 |
(2) SAシステムアーキテクト |
(合格しやすさ:★★★おススメ度:★★★) この試験に最も近い試験区分がシステムアーキテクトです。それぞれで類似問題が出るほど強い相関関係があります。したがって、どちらかの資格が必要な人は、秋は DB 、春は SA を受験することを勧めています。 |
(3) STITストラテジスト (4) |
(合格しやすさ:★★おススメ度:★★) ITストラテジスト 試験とシステム監査技術者試験も、この試験区分同様 “業務知識” が必要になる試験区分です。しかし、超上流の企画フェーズの ITストラテジスト や監査のシステム監査技術者と、実装フェーズのこの試験では、あまり共通部分はありません。一般的には、ITストラテジスト試験やシステム監査技術者の方が “格が上” だと考えている人が多いのですが、問われていることは全然別物なので、しっかりと勉強し直さなければならないでしょう。ITストラテジスト試験とシステム監査技術者試験で培ったノウハウは、ほとんど役に立ちません。 |
(5) PMプロジェクトマネージャ (6) (7) (8) (9) |
(合格しやすさ:★★おススメ度:★★) これらの試験区分で培ったノウハウや知識も、残念ながらデータベーススペシャリスト試験では、ほとんど役に立ちません。ITストラテジスト等では必要な “業務知識” も、これらの試験区分では、さほど必要とされないからです。一から、別の試験を準備すると考えた方がよいでしょう。フルスタックを目指して、全然別の知識を身に着ける目的がある人にはおススメです。 |
(10) FE基本情報技術者 (11) |
(合格しやすさ:-おススメ度:-) この 2 区分はいずれもレベル 2 です。どうしてもレベル 4 の高度系の資格が必要だというケースでもない限り、レベル 3 の応用情報を受験した方がいいでしょう。応用情報をすっ飛ばした場合、午前Ⅰ試験から受験しなければなりませんから、その負担は大きいと思います。 |
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- 略歴
- 株式会社エムズネット代表。
大阪を主要拠点に活動するIT コンサルタント。 本業のかたわら、大手 SI 企業の SE に対して、資格取得講座や階層教育を担当している。高度区分において脅威の合格率を誇る。 - 保有資格
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- 情報処理技術者試験全区分制覇(累計 32 区分,内高度系 25 区分)
- ITコーディネータ
- 中小企業診断士
- 技術士(経営工学)
- 販売士 1 級
- JAPAN MENSA 会員
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