データベーススペシャリスト 午後Ⅰ(午後1)記述式 王道の解き方
情報処理技術者試験の高度系の記述式問題(午後Ⅰ、論文系以外の午後Ⅱ)は、試験区分によって、速く解くための “解答手順” が異なります。そのため、いくら他の高度試験に合格しているからと言って、その “解答手順” が他の試験区分に通用しない可能性があるのです。過去の成功体験が、必ずしも次につながらないということですね。
もくじ
データベーススペシャリスト試験の午後Ⅰの特徴
データベーススペシャリスト試験の午後Ⅰ試験には次のような特徴があります。
- 平成 25 年度以前の定番の問題(基礎理論)が出なくなった
- 3 問の出題で、次のようなことが問われる
- データベース設計(午後Ⅱのデータベース設計と同じ)※通常は問 1
- データベースの実装の問題(午後Ⅱの物理データベース設計と類似)
- SQL の問題
以前は、定番の問題でワンパターンの出題でした。「問 1 が基礎理論、問 2 がデータベース設計、問 3 が SQL 」という感じです。中でも基礎理論は、 “型” を覚えて、その “型” に当てはめて解答するだけで良かったのです。
しかし、平成 26 年には、それまでずっと問 1 で出題されていた「基礎理論」が無くなり、現在のようなパターンに変わりました。
その結果、午後Ⅰと午後Ⅱで問われていることに “差” がなくなってきました。以前は、全く別のことが問われる感じでしたが、平成 26 年以後は、徐々に同じ知識や考え方で解ける問題が増えてきました。明確に試験センターから公表されているわけではありませんが、午後Ⅱがきちんと解ける受験生は、午後Ⅰも解ける設問が増えています。
データベーススペシャリスト試験の午後Ⅰを突破するための王道の対策
データベーススペシャリスト試験の午後Ⅰには、プロジェクトマネージャ試験や IT ストラテジスト試験のような “王道の解き方” はありません。また、情報処理安全確保支援士試験やネットワークスペシャリスト試験のように “知識がある” だけで突破できるわけでもありません。
それゆえ、ここでは王道の対策をご紹介します。
looks_one午後Ⅱ対策をしっかりと行う
前述の通り、午後Ⅰと午後Ⅱで問われていることに “差” がなくなってきたことから、午後Ⅰ対策の多くの部分は、午後Ⅱ対策で賄います。
午後Ⅱの問題は、通常、 1 問が論理設計(データベース設計)で、もう 1 問が物理設計です。それに対して、多くの受験生はどちらかに絞って午後Ⅱ対策を実施します。自分が得意な方ですね。
午後Ⅱ対策はそれで問題ありません。
しかし、午後Ⅱ対策ではなく、午後Ⅱの問題を使った午後Ⅰ対策だと考えれば、選択しない方の問題も解けるようにならなければいけません。
looks_twoデータベースの基礎理論を理解し、解き方を覚える
データベーススペシャリスト試験の午後Ⅰの “型(出題パターン)” は、平成 26 年を境に大きく変わりました。それまで、午後Ⅰの主流であった “データベースの基礎理論” の問題が無くなったのです。
データベースの基礎理論とは、関数従属図を完成させたり、候補キーを列挙させたりする問題です。それまでずっと問 1 で出題されており、毎年、ほぼ同じようなパターンで出題されてきたため、以前は、この解き方を覚えることが午後Ⅰ対策の主流だったのです。
そんなデータベースの基礎理論に関する問題が無くなり、その後平成 30 年になると、設問単位での出題もなくなりました。
それゆえ、対策としては「もう必要なくなった」と思われるかもしれませんが、そういうわけでもないんですね。確かに、設問では問われなくなりましたが、正規化や主キーの設定における基本的概念として必要であることに変わりはありません。
したがって、まずはデータベースの基礎理論について理解しましょう。具体的には、次のような問題にも対応できるようにしましょう。
- 関数従属図を完成させる問題
- 候補キーを列挙させる問題
- 更新時異常の具体的状況を指摘させる問題
- 正規化に関する問題(知識としては第 5 正規形まで、実践的には第 3 正規形まで)
- 主キーを設定する問題
looks_3SQL
最近の午後Ⅰ試験では、 SQL が重視されてきた印象を受けます。以前は、 SQL の問題はせいぜい 1 問で、 SQL の問題を選択しなくても、午後Ⅰを突破できていたのですが、最近はそうも言ってられなくなりました。全ての設問が “SQL” というわけではないのですが、部分的に出題される問題が 2 問のケースが続いているのです。
したがって、 SQL に関する知識は、午後Ⅰを突破するためには必須の知識になりつつあるので、しっかりと押さえましょう。
具体的には、参考書と午前問題を駆使して基本的な構文を押さえ、その後、午後Ⅰの過去問題を解いてみて、午後Ⅰで問われるポイントと解き方を把握しましょう。時間が無ければ前者だけでも構いません。午後Ⅰならではの(短時間での)ポイントや解き方もありますが、それ以前に “SQL” そのものを知らなければ答えは出てきませんからね。午前Ⅱの対策とのバランスを考えながら、 SQL も仕上げましょう。
なお、 SQL の問題は基本情報技術者試験でも出題され、午後のデータベース分野の問題は SQL がメインです。したがって基本情報技術者試験の勉強をしている時に、しっかりと SQL を仕上げておけば、高度系のデータベーススペシャリスト試験を受験する時には、かなり楽になるわけです。「今さら」の話だとは思いますが、後輩に情報処理技術者試験の話をする機会があれば、それを教えてあげましょう。
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- 略歴
- 株式会社エムズネット代表。
大阪を主要拠点に活動するIT コンサルタント。 本業のかたわら、大手 SI 企業の SE に対して、資格取得講座や階層教育を担当している。高度区分において脅威の合格率を誇る。 - 保有資格
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- 情報処理技術者試験全区分制覇(累計 32 区分,内高度系 25 区分)
- ITコーディネータ
- 中小企業診断士
- 技術士(経営工学)
- 販売士 1 級
- JAPAN MENSA 会員
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