はじめての 基本情報技術者試験 で合格できる戦略と戦術


2022-11-28 更新
2022 年 11 月 28 日fiber_new
2022 年度 下期試験終了に伴い、記事内容を 2023 年 4 月からの新試験制度に対応しました。

筆者は、長年に渡り基本情報技術者試験の対策講座で講師を務めています。

この記事では、筆者の講師経験を総動員して、はじめて基本情報技術者試験を受験する人に、基本情報技術者試験というものが、どのような相手であるかを説明し、どのように倒せばよいかをアドバイスします。

もくじ

まずは相手を知ることから

情報 合格点は、科目 A 試験と科目 B 試験の両方で、600 点以上である

基本情報技術者試験( 2023 年 4 月から実施される新制度の試験)は、科目 A 試験と科目 B 試験から構成されています。 試験時間は、科目 A 試験が 90 分で、科目 B 試験が 100 分です。 どちらも 1000 点満点で 600 点以上が合格です。

科目 A 試験と科目 B 試験の両方で、 600 点以上を取らなくてはなりません。

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情報 科目 A 試験は、時間の心配をする必要がない

科目 A 試験は、全部で 60 問あり、全問に解答します。

IRT( Item Response Theory 、項目応答理論)に基づいて解答結果から評価点を算出するので、問題ごとの配点割合はありません

1 問あたりの解答時間の目安は、

90 分 ÷ 60 問 = 1.5 分

ですが、クイズのような短い問題なので、時間の心配をする必要はありません。

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戦略 苦手な分野を集中的に学習しないと得点が上がらない

図 1 は、基本情報技術者試験の出題分野の一覧です。

swipe表は横スクロールできます

図 1 基本情報技術者試験の出題分野の一覧
分野 大分類 中分類
テクノロジ系 基礎理論 基礎理論
アルゴリズムとプログラミング
コンピュータ
システム
コンピュータ構成要素
システム構成要素
ソフトウェア
ハードウェア
技術要素 ヒューマンインターフェイス
マルチメディア
データベース
ネットワーク
情報セキュリティ
開発技術 システム開発技術
ソフトウェア開発管理技術
マネジメント系 プロジェクト
マネジメント
プロジェクトマネジメント
サービス
マネジメント
サービスマネジメント
システム監査
ストラテジ系 システム戦略 システム戦略
システム企画
経営戦略 経営戦略マネジメント
技術戦略マネジメント
ビジネスインダストリ
企業と法務 企業活動
法務

テクノロジ系、マネジメント系、ストラテジ系に大きく分類され、それぞれがいくつかの項目に分けられています。

科目 A 試験
すべての分野から出題されます。
科目 B 試験
アルゴリズムとプログラミング、および情報セキュリティの分野から出題されます。

それぞれの分野の出題数は、毎回ほとんど同じです。

したがって、苦手な分野を集中的に学習しないと得点が上がりません。

情報 科目 B 試験は、時間内に問題を解く練習をしておく必要がある

科目 B 試験は、全部で 20 問あり、科目 A 試験と同様に全問に解答します。

全 20 問中 16 問
アルゴリズムとプログラミング
全 20 問中 4 問
情報セキュリティ

問題の内容は、科目 A 試験より長く、 1 問が 1 ページ程度あります。 1 問あたりの解答時間の目安は、 100 分 ÷ 20 問 = 5 分ですが、アルゴリズムとプログラミングでは擬似言語で記述されたプログラムを読み取らなければならないので、慣れていないと時間が足りないでしょう

現時点で公開されている科目 B 試験のサンプル問題を使って、時間内に問題を解く練習をしておく必要があります。

info_outline科目 B 試験 サンプル問題の解説記事



科目 A 試験の倒し方

戦術 時間がかかる問題は後回しにする

科目 A 試験の問題の中には、 10 秒で解けるものもあれば、 5 分程度かかるものもあります。 時間がかかる問題でつまづいてしまうと、残り時間が一気に少なくなって頭が真っ白になり、できる問題もできなくなってしまう恐れがあるので、「これは時間がかかるな」と思った問題は、後回しにしましょう。

短時間で解ける問題を一通り解いたら、十分に残った時間で、時間がかかる問題を丁寧に解けばよいのです。

戦術 答えを選べなかったら、消去法で最も無難な選択肢を選ぶ

科目 A 試験の問題は、すべて四択の選択問題です。 もしも、答えを選べなかったら、誤りと思われる選択肢を消してください。 いわゆる「消去法」です。

この消去法も、closepanorama_fish_eye だけではなく、不適切なら close 、微妙なら change_history 、悪くないなら panorama_fish_eye 、適切なら 、判断できないなら help_outline を付けてください。

基本情報技術者試験には、ヒッカケ問題は出ませんので、closechange_historypanorama_fish_eyehelp_outline を付けた選択肢の中で、最も無難なものを選んでください。

searchタグで関連記事をチェック消去法のやり方

戦術 具体的な値を想定して、不適切な選択肢を消す

すべて四択の選択問題であることから、具体的な値を想定して、不適切な選択肢を消すという解法もできます。

たとえば、ディジタル回路と同じ意味の論理式を選ぶ問題では、ディジタル回路の入力に具体的な数値を想定して出力を求め、同じ数値で同じ演算結果にならない論理式を消していけばよいのです。

ディジタル回路と同じ意味の論理式を選ぶ問題
問 23 (平成 29 年度 秋期)

図に示すディジタル回路と等価な論理式はどれか。 ここで,論理式中の ・ は論理積, + は論理和, XX の否定を表す。


ア X = A・B + A・B
イ X = A・B + AB
ウ X = A・B + A・B
エ X = (A + B)・(A + B)

infoこの問題の正解は、選択肢ウです。

searchタグで関連記事をチェック具体的な値を想定する解き方

戦術 知らない用語に遭遇したら、言葉の意味から常識的な判断をする

もしも、知らない用語に遭遇したら、言葉の意味から常識的な判断をして、それに該当する選択肢を選んでください。

たとえば、「キーロガーの悪用例はどれか」という問題で「キーロガー」という用語を知らなかったとしましょう。

「キー(キーボード)」と「ログ(記録)」という言葉の意味から、キーボード入力を記憶するものであり、その悪用例なのですから、キーボード入力を盗むことだと予測できます。

「キーロガー」という言葉の意味を問う問題
問 37 ( 平成 27 年度 春期 午前 )

キーロガーの悪用例はどれか。

通信を行う 2 者間の経路上に割り込み,両者が交換する情報を収集し,改ざんする。
ネットバンキング利用時に,利用者が入力したパスワードを収集する。
ブラウザでの動画閲覧時に,利用者の意図しない広告を勝手に表示する。
ブラウザの起動時に,利用者がインストールしていないツールバーを勝手に表示する。

infoこの問題の正解は、選択肢イです。

戦略 できない計算問題は、その問題を何度も練習して、計算方法を覚える

テクノロジ系、マネジメント系、ストラテジ系、どの分野でも、計算問題が出題されます。

計算問題が苦手な人は「公式があれば丸暗記したい」と思うかもしれませんが、基本情報技術者試験には、公式を丸暗記する必要がある問題が出たことはありません。

仕組みが分かっていれば計算できる問題、もしくは、用語の意味が分かっていれば計算できる問題になっています。

同じ問題が何度も再利用されているので、できない問題があったら、類題を探そうなどと思わずに、その問題を何度も練習して、計算方法を覚えてください。

info_outline計算問題をわかりやすく解説する連載

科目 B 試験の倒し方

戦略 科目 B 試験の情報セキュリティの問題が苦手なら、科目 A 試験の情報セキュリティの問題を数多く解いて知識を補充することで克服できる

科目 B 試験の情報セキュリティの問題は、科目 A 試験のテーマとなっている様々な用語や概念を、架空の事例に仕立てた内容になっています。 一見して難しそうに感じるかもしれませんが、そこで問われていることは、科目 A 試験と同様です。

もしも、科目 B の情報セキュリティの問題が苦手なら、科目 A 試験の情報セキュリティの問題(現時点では、旧制度の午前試験の過去問題)を数多く解いて知識を補充することで克服できます。

戦略 基本的なデータ構造とアルゴリズムをしっかりマスターしておくこと

アルゴリズムとプログラミングの問題は、科目 B 試験の 8 割を占めているので、これができるかどうかが合格の要になるでしょう。

様々なテーマで問題が出題されますが、科目 A 試験で出題される

基本的なデータ構造 配列、リスト、キュー、スタック、二分探索木、ヒープなど
アルゴリズム バブルソート、選択法、挿入法、マージソート、クイックソート、線形探索、二分探索など

を理解していることを想定している内容なので、それらをしっかりマスターしておく必要があります。

info_outline擬似言語問題の解き方を紹介する連載

戦略 擬似言語の読み方をしっかりとマスターしておくこと

アルゴリズムとプログラミングの問題では、擬似言語で記述されたプログラムを読まなければなりません。

擬似言語は、架空のプログラミング言語であり、基本情報技術者試験独自のもの です。

あらかじめ、擬似言語の読み方をしっかりとマスターしておく必要があります。

戦略 何らかのプログラミング言語でプログラミングを経験しておくこと

まったくプログラミング経験がない人は、短時間にプログラムを読み取ることに苦戦するでしょう。 何らかのプログラミング言語で、プログラミングを経験しておきましょう。 プログラムを読み取ることに慣れるためです。

擬似言語の構文は、 C 言語と Java に似ているので、どちらかをお勧めします。

学習計画と勉強方法

それでは、最後に、学習計画と勉強方法をアドバイスしましょう。

戦略 基本情報技術者試験の学習書 1 冊とプログラミング言語の入門書 1 冊を一通りやりとげるまでの期間が、学習時間の目安である

まず、書店に行って、基本情報技術者試験の学習書 1 冊と、プログラミング言語の経験がないなら、何らかのプログラミング言語の入門書 1 冊を購入してください。 これらの書籍を一通りやりとげるまでの期間が、学習時間の目安になります。

1 日 1 時間学習するとして、それぞれ 1 か月程度かかると思いますので、 2 か月が学習時間の目安です。

戦略 試験当日まで、数多くの過去問題(旧制度の午前試験の過去問題)を解いて、できなかった問題があれば、できるようになるまで繰り返し解く

基本情報技術者試験は通年で実施されるので、試験会場が予約できればいつでも受験できます。 受験日が決まったら、試験当日まで、ひたすら過去問題(旧制度の午前試験の過去問題)を解いてください。 何度も同じ問題が出題されているので、過去問題を解いて、できなかった問題があれば、できるようになるまで繰り返し解くことが、最も効率的な効果的な学習方法です。

過去問題と解答は、情報処理推進機構の Web ページからダウンロードできます。 年度の新しい順に解いていくとよいでしょう。

なお、旧制度の午後試験の問題は、新制度の科目B試験とは、問題の構成もボリュームも擬似言語の仕様も、ほとんどが異なるので、学習題材にはなりません。

info_outline膨大な科目 A 試験(午前)の過去問から厳選した 5 問を紹介する記事

記事をお読みいただき、ありがとうございます。

筆者は、講師として数多くの受験者に接してきましたが、合格できた人の多くには共通した特徴がありました。

それは、「合格したい!」という意欲を持っていたことです。 何となく「合格できればいいな!」ではなく、「絶対に合格したい!」という強い意欲です。

この記事が、皆さんの意欲を駆り立てる一助となったなら幸いです。 では、またお会いしましょう!

 

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