基本情報技術者試験 科目A免除試験(修了試験)の講評 ~ 2025年1月26日実施

試験対策講座の講師として、誠に勝手ながら、2025年1月26日(日)に実施された基本情報技術者科目A免除試験(修了認定に係る試験)の講評をさせていただきます。
今回受験された人は振り返りの題材として、今後受験される人は対策の資料として、参考にしていただければ幸いです。
実施月 | 問題 | 解答 |
---|---|---|
2025 年 1 月 | 問題 | 解答 |
問題の内容
表1は、今回の科目A免除試験の内容です。
問題の番号、分野、テーマ、難易度、および過去問題の再利用かどうかを示しています。
表1 今回の科目A免除試験の内容
番号 | 分野 | テーマ(分類) | 難易度 | 過去問題 |
---|---|---|---|---|
1 | T | 2の補数表現(情報の基礎理論) | 中 | H11春問2 |
2 | T | 相関係数の特徴(情報の基礎理論) | 中 | H19春問7 |
3 | T | 状態遷移表(情報の基礎理論) | 難 | H28秋問4(AP) |
4 | T | パリティチェック方式(情報の基礎理論) | 中 | H25春問4 |
5 | T | 連結リストの特徴(アルゴリズム) | 中 | H21春問6 |
6 | T | 二分探索の最大探索回数(アルゴリズム) | 中 | H17春問15 |
7 | T | XMLの特徴(ソフトウェア) | 中 | H23秋問8 |
8 | T | 命令列の実行時間(ハードウェア) | 難 | H19春問19 |
9 | T | メモリインタリーブの説明(ハードウェア) | 中 | H23特別問12 |
10 | T | RAIDのミラーリング(システム構成) | 中 | R01問15 |
11 | T | Webブラウザによるクライアント処理(システム構成) | 易 | H28秋問45(SG) |
12 | T | ベンチマークテスト(システム構成) | 易 | H25秋問16 |
13 | T | メモリのセグメントの移動(ハードウェア) | 中 | H27秋問18 |
14 | T | 静的テストツール(ソフトウェア) | 中 | H23秋問23 |
15 | T | GPLのOSSでライセンス違反となるもの(ソフトウェア) | 中 | H25秋問21 |
16 | T | コンデンサを使ったメモリ(ハードウェア) | 中 | H29秋問21 |
17 | T | 陰線消去と陰面消去(マルチメディアとヒューマンインタフェース) | 易 | H29秋問25 |
18 | T | 関係データベースの説明(データベース) | 易 | H22春問29 |
19 | T | データ項目の命名規約(データベース) | 中 | H21秋問32 |
20 | T | SQLのSELECT命令(データベース) | 中 | H25春問28 |
21 | T | 導出表の説明(データベース) | 中 | H23秋問31(AP) |
22 | T | データの同時アクセス(データベース) | 中 | H18春問61 |
23 | T | NAPTの説明(ネットワーク) | 易 | H23特別問34(AP) |
24 | T | ルータの機能(ネットワーク) | 中 | H19春問57 |
25 | T | ブロードキャストアドレス(ネットワーク) | 難 | H20秋問50 |
26 | T | URLの説明(ネットワーク) | 中 | H23特別問40(AP) |
27 | T | ドメイン名ハイジャックの手口(セキュリティ) | 中 | H30春問20(SG) |
28 | T | 共通鍵暗号方式の鍵の総数(セキュリティ) | 中 | H23春問40(AP) |
29 | T | パスワードとハッシュ値を用いた利用者認証(セキュリティ) | 中 | H26春問42 |
30 | T | PCI DSS(セキュリティ) | 中 | H29春問26(SG) |
31 | T | SIEMの特徴(セキュリティ) | 中 | H29秋問38(AP) |
32 | T | ステガノグラフィの説明(セキュリティ) | 中 | H30秋問24(SG) |
33 | T | TLSのクライアント認証の順序(セキュリティ) | 中 | R03春問45(AP) |
34 | T | UMLのユースケース図の説明(開発技術) | 易 | H28秋問46(AP) |
35 | T | クラスとインスタンスの関係(開発技術) | 中 | H24春問22(ES) |
36 | T | 状態遷移図を用いることが適切なシステム(開発技術) | 易 | H25春問46 |
37 | T | スタブの説明(開発技術) | 易 | H25秋問50 |
38 | T | リバースエンジニアリングの説明(開発技術) | 易 | H26秋問50 |
39 | T | スクラムにおけるスプリントのルール(開発技術) | 中 | サンプル問41 |
40 | T | リファクタリングの説明(開発技術) | 中 | H25春問49 |
41 | T | デルファイ法の説明(開発技術) | 中 | H23特別問13(PM) |
42 | M | プレシデンスダイアグラム法 | 中 | H31春問52 |
43 | M | ミッションクリティカルシステムの意味 | 易 | H28春問55 |
44 | M | 重み付けを行った総合評価点 | 中 | R03秋問18(PM) |
45 | M | 内部統制の統制活動に該当するもの | 易 | R01秋問38(SG) |
46 | M | IT投資評価の事前評価の説明 | 易 | H30秋問61 |
47 | M | SOAの説明 | 易 | H30春問62 |
48 | M | システム化構想の立案プロセスで行うべきこと | 中 | H30秋問65(AP) |
49 | S | ニッチ戦略の特徴 | 易 | H21春問69 |
50 | S | コモディティ化の説明 | 易 | H27春問68(AP) |
51 | S | CRMの説明 | 易 | H21秋問70 |
52 | S | プロダクトイノベーションの説明 | 易 | R01秋問68 |
53 | S | Society 5.0の説明 | 中 | H30春問71 |
54 | S | 実現可能な最大利益の計算 | 中 | H28秋問71 |
55 | S | RFIDの説明 | 易 | H25春問72 |
56 | S | マトリックス組織の説明 | 中 | H28秋問76 |
57 | S | 期待利益の計算 | 中 | H16秋問77 |
58 | S | OC曲線の説明 | 中 | H30秋問75(AP) |
59 | S | 貸借対照表の説明 | 易 | H29秋問77 |
60 | S | 前払式支払手段の情報漏えい、滅失、毀損の防止措置を求める法律 | 中 | R04秋問11(AU) |
※分野は、T=テクノロジ系、M=マネジメント系、S=ストラテジ系
※テクノロジ系だけ、カッコ内に問題のテーマの分類を示しています。
※難易度は、筆者の講師経験から、以下の通り設定しています。
易:受講者のほぼ全員ができるもの
中:受講者の半数ぐらいができるもの
難:受講者の数名しかできない問題
※過去問題の再利用である場合は出題された主な試験区分と年度を示す。
(同じ問題が複数の試験区分と年度で何度も再利用されている場合がありますが、ここでは、それらの中から1つの試験区分と年度だけを示す)
※問7、問37、問45は、公開されている過去問題の中にまったく同じ問題はありませんが、ほとんど同じ内容の過去問題があるので、再利用としました。
※問39の過去問題のサンプル問41は、情報処理推進機構が公開している科目Aのサンプル問題の再利用です。
※基本情報技術者試験の過去問題ではない場合は「H18秋問7(AP)」のようにカッコの中に試験区分の略称を示す。
AP:応用情報技術者試験、SG:情報セキュリティマネジメント試験、ES:エンベデッドシステムスペシャリスト試験、PM:プロジェクトマネージャ試験、ST:ITストラジスト試験、AU:システム監査技術者試験
※旧制度の過去問題も、現行制度の略称で示しています。
過去問題の再利用
今回の試験も、これまでに実施された科目A免除試験と同様に、すべての問題が過去問題の再利用でした。
基本情報技術者試験の過去問題だけでなく、他の試験区分の過去問題や、かなり古い年度の過去問題(現時点では、情報処理推進機構のWebページで公開されていない過去問題)が数多くあったことも、これまでと同様です。
表2は、今回を含めた直近3回の試験で再利用された過去問題の試験区分と問題数です。
基本情報技術者試験の過去問題が多いのは当然ですが、応用情報技術者試験と情報セキュリティマネジメント試験の過去問題も数多く再利用されています。
表2 今回を含めた直近3回の試験で再利用された過去問題の試験区分と問題数
試験区分 | 7月28日 (前々回) |
12月8日 (前回) |
1月26日 (今回) |
---|---|---|---|
基本情報技術者試験 | 39問 | 39問 | 39問 |
応用情報技術者試験 | 14問 | 12問 | 11問 |
情報セキュリティマネジメント試験 | 5問 | 5問 | 6問 |
その他の試験 | 2問 | 4問 | 4問 |
問題の難易度
今回の科目A免除試験の問題の難易度は、易が19問、中が38問、難が3問でした。
易が90%できて、中が50%できて、難が25%できる(四択問題なので最低でも25%できます)とすれば、正解数の期待値は、19×0.9 + 38×0.5 + 3×0.25 = 36.85問です。
合格基準は、60問中36問以上の正解なので、ちゃんと勉強していれば、ギリギリですが合格点を取れたでしょう。
表3は、今回を含めた直近3回の試験の正解数の期待値です。
今回の問題は、直近の試験と比べると、同程度もしくは少し難しかったといえます。
表3 今回を含めた直近3回の試験の正解数の期待値
試験実施日 | 7月28日 | 12月8日 | 1月26日 |
---|---|---|---|
正解数の期待値 | 36.85問 | 38.05問 | 36.85問 |
※60問中36問以上の正解で合格です。
試験に合格するための最も効率的で効果的な学習方法
最後に、今後の科目A免除試験を受ける人にアドバイスをさせていただきます。
科目A免除試験の内容は、100%が過去問題の再利用です。
試験に出題される分野ごとの問題数は、毎回ほぼ同じです。
したがって、試験に合格するための最も効率的で効果的な学習方法は、苦手な分野の過去問題を数多く解いて、できなかった問題があれば、できるようになるまで練習することです。
2進数、アルゴリズム、計算問題など、特に苦手な分野があるなら、問題の解き方を、自分で自分に教えるつもりで、ノートに書いてみることをお勧めします。書くことで、頭の中が整理され、記憶にも残るからです。
基本情報技術者試験の過去問題だけでなく、他の試験区分の過去問題も数多く出題されていますが、一度出題されれば、それらはもう基本情報技術者試験の過去問題です。
同じ問題が、今後の科目A免除試験で再利用される可能性があるので、練習の題材としましょう。
難しそうだと感じるかもしれませんが、基本情報技術者試験の出題範囲を超えているはずはないので、教材や対策講座などでちゃんと勉強していれば、正解を選べるはずです。自信を持って取り組んでください。
以上、試験対策講座の講師として、誠に勝手ながら、試験問題の講評をさせていただきました。
今回の試験に合格した人は、ここで気を緩めずに、本試験に向けて科目Bの学習を始めてください。
残念な結果になってしまった人は、ここで気を落すことなく、本試験に向けて科目Aと科目Bの両方を学習してください。
どちらも場合も、コツコツと学習を続けていれば、必ず良い結果が得られるはずです。
皆様のご健闘をお祈り申し上げます!
label 関連タグ免除試験を受けた 74.9% の方が、 科目A免除資格を得ています。
※独習ゼミは、受験ナビ運営のSEプラスによる試験対策eラーニングです。

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大手電気メーカーでPCの製造、ソフトハウスでプログラマを経験。独立後、現在はアプリケーションの開発と販売に従事。その傍ら、書籍・雑誌の執筆、またセミナー講師として活躍。軽快な口調で、知識0ベースのITエンジニアや一般書店フェアなどの一般的なPCユーザの講習ではダントツの評価。
お客様の満足を何よりも大切にし、わかりやすい、のせるのが上手い自称ソフトウェア芸人。
主な著作物
- 「プログラムはなぜ動くのか」(日経BP)
- 「コンピュータはなぜ動くのか」(日経BP)
- 「出るとこだけ! 基本情報技術者」 (翔泳社)
- 「ベテランが丁寧に教えてくれる ハードウェアの知識と実務」(翔泳社)
- 「ifとelseの思考術」(ソフトバンククリエイティブ) など多数