基本情報技術者試験 とは ~難易度や過去問、勉強法、勉強計画など疑問に答えます

2022 年 8 月 4 日fiber_newIPA の試験制度変更と IBT (インターネット試験)の実証実験開始に関する発表に伴い、記事末尾に変更内容を 追記 しました。

プレス発表 基本情報技術者試験と情報セキュリティマネジメント試験を通年試験化:IPA 独立行政法人 情報処理推進機構

もくじ

プログラミングだけじゃない、IT エンジニアの基礎教養が詰まった国家資格

IT エンジニアの基礎とはどこからどこまでを指すのでしょうか? 人によってコンピュータの基礎を挙げる人もいれば、プログラミングで簡単な処理を書けるようになることだという人もいます。

どれが正しいかは人の主観によって変わりますが、実は、「国家として、これが基礎です」と定めているものがあります。それが基本情報技術者試験です。

統計など数学、アルゴリズムとデータ構造、コンピュータ、OS 、メディア表現、データベース、ネットワーク、セキュリティ、Web 、アーキテクチャ、開発手法、プロジェクトマネジメント、経営戦略、プログラミング、これら全てが基本情報技術者の試験範囲です。

それぞれの分野でどこまでが基礎なのか、それは、この資格が教えてくれます。

合格して、 IT エンジニアとして基礎教養があることを証明しましょう。

基本情報技術者はアドバイスをもらいながら仕事ができるレベル

では IT 業界において、基本情報技術者は具体的にどのようなレベルになるのでしょうか?

試験を運営する経済産業省所管の IPA (情報処理推進機構) が、基本情報技術者に要求される技術水準を公開しています。

  1. 情報技術を活用した戦略立案に関し、担当業務に応じて次の知識・技能が要求される。
    • 対象とする業種・業務に関する基本的な事項を理解し、担当業務に活用できる。
    • 上位者の指導の下に、情報戦略に関する予測・分析・評価ができる。
    • 上位者の指導の下に、提案活動に参加できる。
  2. システムの設計・開発・運用に関し、担当業務に応じて次の知識・技能が要求される。
    • 情報技術全般に関する基本的な事項を理解し、担当業務に活用できる。
    • 上位者の指導の下に、システムの設計・開発・運用ができる。
    • 上位者の指導の下に、ソフトウェアを設計できる。
    • 上位者の方針を理解し、自らソフトウェアを開発できる。

ポイントは

上位者の指導の下に、

というところです。「アドバイスをもらいながら担当業務ができる」というレベルが基本情報技術者のポジションです。まさしく「入門者」の資格です。

 

なお、基本情報技術者の上位資格である応用情報技術者の技術水準では、「上位者の方針を理解し、自ら技術的問題を解決できる。」とあり、これで IT エンジニアとして一人前です。

さらに、その応用情報技術者の上位資格である高度情報処理技術者 (例としてシステムアーキテクト) の対象者像を見てみると、「情報システムについては開発を主導する者」とあるので、高度情報処理技術者が「上位者」に当たることがわかります。

令和 5 (2023) 年 4 月以降は試験制度が変更され、レベルや技術水準が変わります。 詳しくは 本記事の末尾 をご覧ください

どんな人が受験する? ~ IT エンジニアの人気上昇と連動

応募者数はコロナ禍で減少

年間 13 万人が受験していましたが、 IT エンジニアの人気が高まるにつれ、2017 年度より応募者数が増え、令和元年度で年間 17 万人近くまで増加しました。ただし、コロナ以降、応募者数は減少しています。

info編集部注: スマートフォンでご覧の際は、表やグラフは横スクロールすると全データをご覧になれます
IPA 独立行政法人 情報処理推進機構:
情報処理技術者試験・情報処理安全確保支援士試験:統計情報
より

応募者のうち学生と若手社会人が 7 割

IPA の統計情報によると、受験者の平均年齢は 25.4 歳(令和 3 年度 下期)、年齢別一覧によると、学生を含めた若手( 25 歳以下と想定)が約 7 割を占めており、まさに基礎をしっかり身につけようとしている方が受験しています。

IPA 統計資料 勤務先別一覧(全国、都道府県別)>
平成 31 年度 春期・令和元年度 秋期より

どんなことが問われる? ~技術だけでなくビジネス知識など幅広く必要

では、基本情報技術者試験では、どのような問題が出題されるのでしょうか。

一夜漬けでは太刀打ちできない広大な出題範囲

中分類だけで 23 項目あり、コンピュータサイエンス、プログラミングから経営戦略、法務まで非常に広範囲であり、また、それぞれの基礎が問われます。

基礎教養は一朝一夕で身につきません。繰り返し学ぶことで身につきます。初めて受験される方は腰を据えて、学習計画をたてることをオススメします。

分野 大分類 中分類 主に学ぶこと
テクノロジ系 1 基礎理論 1 基礎理論 IT を支える数学の様々な理論
2 アルゴリズムとプログラミング プログラムを考えるときに使う定番のアルゴリズムやデータ構造など
2 コンピュータシステム 3 コンピュータ構成要素 コンピュータの中にある CPU やメモリなどの要素
4 システム構成要素 システムに必要なコンピュータや OS 、アプリケーションなどの要素
5 ソフトウェア 主に OS の機能
6 ハードウェア CPU やメモリなどに使われる電気・電子回路など
3 技術要素 7 ヒューマンインタフェース UI や音声認識など人とのインターフェース
8 マルチメディア 音声や動画などのデータ処理方法
9 データベース データベースの種類や操作方法 、設計方法など
10 ネットワーク データの伝送方法やコンピュータ同士の接続方法や接続の種類など
11 セキュリティ データを安全に管理する方法や守る仕組みなど
4 開発技術 12 システム開発技術 要求、設計、テストなど各工程で行うこと
13 ソフトウェア開発管理技術 システム開発の進め方や開発で使うツールなど
マネジメント系 5 プロジェクトマネジメント 14 プロジェクトマネジメント システム開発の QCD を管理する方法
6 サービスマネジメント 15 サービスマネジメント 稼働したシステムを安定運用する方法
16 システム監査 システムに不正がないか監査する方法
ストラテジ系 7 システム戦略 17 システム戦略 中長期に必要なシステムの策定や予算管理など
18 システム企画 開発するシステムに必要な要件の企画
8 経営戦略 19 経営戦略マネジメント 経営戦略や経営分析と IT の活かし方
20 技術戦略マネジメント 戦略的に取り組む技術や投資、組織の考え方
21 ビジネスインダストリ 企業の業務と必要なシステムやパッケージ
9 企業と法務 22 企業活動 企業の財務会計や組織構造、業務分析方法など
23 法務 IT やシステム、開発に関連する法律や規格

午前試験と午後試験で出題形式が大きく変わる

午前試験と午後試験があり、所要時間はそれぞれ 2 時間 30 分の試験で、また出題形式が午前と午後で大きく変わります。

午前試験
150 分
80 問出題 (四肢択一)
60 点 以上で合格
問題番号 内容 配点
1 ~ 50 テクノロジ系から 50 問出題 各 1.25 点
51 ~ 60 マネジメント系から 10 問出題 各 1.25 点
61 ~ 80 ストラテジ系から 20 問出題 各 1.25 点
info各分野の問題数は、年度によって若干の違いがあります
午後試験
150 分
11 問出題 (長文問題 [ 1 問に複数の設問]) 5 問解答
60 点 以上で合格
問題番号 内容 配点
1 情報セキュリティ
(必須選択)
20 点
2 ~ 5 テクノロジ系
(ハードウェア、ソフトウェア、データベース、ネットワーク、ソフトウェア設計)から 3 問出題
マネジメント系とストラテジ系から 1 問出題
( 2 問選択)
各 15 点
6 データ構造およびアルゴリズム
(必須選択)
25 点
7 ~ 11 ソフトウェア開発
( C 言語、 Java 、 Python 、アセンブラ言語、表計算ソフトで各 1 問出題)
( 1 問選択)
25 点

午後試験ではプログラミング能力が問われる “データ構造およびアルゴリズム” 問題と “ソフトウェア開発” (プログラミング) 問題が選択必須で、配点が 50 点もあります。この問題を避けて通ることはできず、プログラミング未経験者の方は “プログラミング言語の構文の理解” と “プログラムに慣れる” ことが必要です。

午前と午後の過去問題からわかる特徴

過去問題は CBT (コンピュータを使った試験。あとで詳しく解説) 前の令和元年度までは試験の運営元である IPA (情報処理推進機構) のホームページで公開されています。

そこで午前と午後の過去問題をそれぞれ紹介しますので、ザッとご覧いただいてから、その特徴を紹介します。

午前試験の過去問題と特徴

問 19 (平成 30 年度 春期試験)

ソフトウェアの統合開発環境として提供されている OSS はどれか。

ア Apache Tomcat  
イ Eclipse
ウ GCC  エ Linux

問 17 (平成 22 年度 春期)

あるオンラインリアルタイムシステムでは,20 件/秒の頻度でトランザクションが発生する。このトランザクションは CPU 処理と 4 回の磁気ディスク入出力処理を経て終了する。磁気ディスク装置の入出力処理時間は 40 ミリ秒 / 回であり,CPU 処理時間は十分に短いものとする。それぞれの磁気ディスク装置が均等にアクセスされるとしたとき,このトランザクション処理には最低何台の磁気ディスク装置が必要か。

ア 3  イ 4  ウ 5  エ 6

    午前試験の問題の特徴

  • 4 択から 1 つを選ぶ形式の問題が出題される
  • 大きく分けて 3 つのタイプの問題がある
    • 知識が問われる問題
    • 計算が必要な問題
    • 図解が必要な問題
  • 過去問題から多く出題される

午後試験の過去問題と特徴

問 1 情報セキュリティ (平成 31 年度 春期)

クラウドサービスの利用者認証に関する次の記述を読んで,設問 1 , 2 に答えよ。

 A 社では現在, Web ベースの業務システムが複数稼働しており,それぞれが稼働するサーバ (以下,業務システムサーバという) を社内 LAN に設置している。 A 社のネットワーク構成を,図 1 に示す。

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図 1 A 社のネットワーク構成

 利用者は,業務システムを,社内 LAN に設置されたクライアント PC の Web ブラウザから利用する。社外から社内 LAN へのリモートアクセスは禁止されている。業務システムの利用者認証は, A 社認証サーバでの利用者 ID とパスワード (以下,この二つを併せて利用者認証情報という) の検証によって行っており,シングルサインオンを実現している。

 社内 LAN からインターネットを介した社外への通信は,クライアント PC からプロキシサーバを経由した, HTTP over TLS (以下, HTTPS という) による通信だけが,ファイアウォールによって許可されている。社外からインターネットを介した社内 LAN への通信は,全てファイアウォールによって禁止されている。ファイアウォールの設定は, A 社のセキュリティポリシに基づき変更しないものとする。

〔クラウドサービスの利用者認証〕

 このたび A 社は,業務システムの一つである販売管理システムを, B 社がインターネットを介して提供する販売管理サービス (以下, B 社クラウドサービスという) に移行することにした。利用者認証に関しては, A 社認証サーバと B 社クラウドサービスを連携し,次の 1. ~ 3. を実現することにした。

  1. B 社クラウドサービスをシングルサインオンの対象とする。
  2. A 社の利用者認証は, B 社クラウドサービスについても, A 社認証サーバで行う。
  3. 利用者が本人であることを確認するために A 社認証サーバで用いるaは, B 社クラウドサービスには送信しない。

 1. ~ 3. を実現するために, A 社は,利用者認証を仲介する ID プロバイダ (以下, IdP という) を社内 LAN に設置することにした。 IdP は,認証結果,認証有効期限及び利用者 ID (以下,これら三つを併せて認証済情報という) にディジタル署名を付加してから, Web ブラウザを介して, B 社クラウドサービスに送信する。 B 社クラウドサービスは,付加されているディジタル署名を使って,受信した認証済情報にbがないことを検証する。このために, IdP のcを B 社クラウドサービスに登録しておく。

 Web ブラウザと B 社クラウドサービスとの間,及び Web ブラウザと IdP との間の通信には, HTTPS を用いる。 IdP と A 社認証サーバとの間の通信には LDAP を用いる。

〔 B 社クラウドサービスが利用可能になるまでの処理の手順〕

 A 社の利用者が,利用者認証されていない状態で, B 社クラウドサービスを利用しようとした場合に,利用可能になるまでの処理の手順を次の 01 ~ 10 に示す。

  1. 利用者は, Web ブラウザから B 社クラウドサービスにアクセスの要求を送信する。
  2. B 社クラウドサービスは,アクセスの要求を IdP に転送する指示 (以下,転送指示という) を, Web ブラウザに返信する。
  3. Web ブラウザは, 02 の転送指示に従い, IdP にアクセスの要求を送信する。
  4. IdP は,利用者認証情報の入力画面を Web ブラウザに返信する。
  5. 利用者は, Web ブラウザで利用者認証情報を入力する。 Web ブラウザは,入力された利用者認証情報を IdP に送信する。
  6. IdP は,利用者認証情報を A 社認証サーバに送信する。
  7. A 社認証サーバは,利用者認証情報を検証し,認証結果を IdP に返信する。
  8. IdP は,認証結果が成功の場合に,認証済情報を発行し,当該情報の B 社クラウドサービスへの転送指示とともに,Web ブラウザに返信する。
  9. Web ブラウザは, 08 の転送指示に従い,認証済情報を B 社クラウドサービスに送信する。
  10. B 社クラウドサービスは,認証済情報に基づいて, B 社クラウドサービスの利用を許可し,操作画面を Web ブラウザに返信する。

 B 社クラウドサービスが利用可能になるまでの処理の流れを,図 2 に示す。図 2 中の (1) ~ (10) は,処理の手順の 01 ~ 10 と対応している。

図 2 B 社クラウドサービスが利用可能になるまでの処理の流れ

設問 1

本文中のに入れる適切な答えを,解答群の中から選べ。

a ~ c に関する解答群

PKI 改ざん 公開鍵
サービス妨害 生体情報 パスワード
秘密鍵 利用者ID 漏えい

設問 2

次の記述中のに入れる適切な答えを,解答群の中から選べ。

続きをご覧になりたい方はクリック
 B 社クラウドサービスでは,接続元の IP アドレスを A 社のものに限定する機能は提供されていない。しかし,他の業務システムと同様に, B 社クラウドサービスを,社内 LAN からの利用に限定できる。

 この理由は,dことが必要であるが, IdP を社内 LAN に設置するので,社外から B 社クラウドサービスを利用しようとしても,図 2 中のeの送信で失敗し,利用者認証されないからである。

d に関する解答群

B 社クラウドサービスが, IdP と直接通信する
B 社クラウドサービスが,利用者認証情報を検証し, Web ブラウザに返信する
IdP が,利用者に代わって,利用者認証情報を B 社クラウドサービスに送信する
Web ブラウザが, IdP と通信する

e に関する解答群

ア (1)  イ (3)  ウ (5)  エ (6)  オ (9)

    午後試験の問題の特徴

  • 問題文が長文で複数の設問がある
  • 午前試験で学んだ知識を応用する
  • 公開されている過去問題では 1 つとして同じ出題はない

ご覧の通り、午後試験に大きな山があり、詳しくはこのあと紹介しますが、多くの方がこの午後試験で不合格になります。ここを攻略できるかどうかが重要です。

令和 5 (2023) 年 4 月以降は午前試験が「科目 A 試験」に、午後試験が「科目 B 試験」に名称が変わり、特に科目 B 試験の出題内容が大きく変更されます。 詳しくは 本記事の末尾 をご覧ください

午前試験の免除制度を活用すると午後試験に集中できる

午前試験だけを本試験前に 2 回受験でき、どちらかに合格できると、午前試験を免除できる制度があります。試験を運営する IPA が認定したコースの受講費用が必要になりますが、活用して合格できると午後試験に集中して勉強できます。

info_outline午前免除制度に関する詳しいページはこちら

基本情報技術者試験 午前免除制度とは【独習ゼミ】

なお、スクールなどに通うタイプ以外にも、自宅で学べる e ラーニングタイプも選べます。

どれぐらいの難易度と合格率? ~合格率は約 25 % の難しい試験~

こういった出題内容なので、合格率は 20 % ~ 30 % の間を推移しており、基本情報技術者試験の下位資格、一般社会人向けの IT パスポートの合格率 54.3 % (令和元年度実績) と比べると、難易度は高く、しっかりと学習する必要があります。

合格率は合格者数を受験者数で割ったものです

なお、コロナの影響で CBT 方式に移行後、応募者数は減少し、逆に合格率は 40 % 台と大幅に上昇しています。ただし、この理由は不明です ( CBT 方式に移行後、過去問題が非公開になり、また受験者も守秘義務があるため、問題の難易度が比較できません) 。

info_outlineCBT 移行後の合格率に関する詳しいページはこちら

令和4年度 上期 基本情報技術者試験の応募者・受験者数が減少。試験制度変更に伴い「受験控え」が発生か。合格率は約 40 %と引き続き高水準

「あと 5 点」でも惜しくない午前試験と受験者の約 75 % が不合格になる午後試験

今度は午前試験と午後試験の難易度が如実にわかる得点分布を確認してみましょう。

(出典: IPA 公開 平成 29 年度 秋期試験 の得点分布)

午前問題では受験者の 45 % が 50 ~ 59 点 と 60 ~ 69 点 に集中しています。「あと 5 点あれば!」はまったく惜しくないのが午前試験なので、試験範囲を少しでも広く学習する、つまり苦手分野でも理解しておく必要があります。

そして、午後試験で受験者の約 75 % が不合格です。このうち 50 % は 50 点にも達していません。それだけ午後試験は難易度が高く、繰り返しになりますが、この攻略が最も重要です。

いつ受験する? ~ CBT で午前試験と午後試験を別日で受験可能

コロナにより CBT 方式に移行

コロナの影響で試験延期が続き、試験を運営する IPA は延期の発表と合わせて令和 2 年度から CBT 方式への移行を発表しました。

  • 従来、紙で実施していた試験を CBT ( Computer Based Testing ) 方式に移行
    • コンピュータ上で試験問題が表示され解答する形式
    • 出題範囲と問題数は変更なし
    • 全国の専用の試験会場と試験日を選んで受験
  • 2022 年度をメドに試験制度そのものを変更する

CBT 方式の移行に伴い、 IPA から申込の受付と試験会場運営を委託されたプロメトリック社で、当日の受験の流れや試験会場のイメージに加えて、出題画面のサンプルが公開されています。

基本情報技術者試験:試験当日の受験の流れ|プロメトリック

プロメトリック社提供
試験画面は変更される場合もあるため、最新情報をプロメトリック社ページで確認

特に、長文形式の午後問題は CBT 化の影響を最も受け、問題用紙にメモを書いたり、線を引いたり、バツをつけたりできなくなりました。問題文に書くのではなく、手元のメモ用紙を使って解く練習をすると良いでしょう(試験会場にはメモ用紙と筆記用具が用意されています)。

上期試験 / 下期試験に移行

従来、春期( 4 月第 3 日曜)、秋期( 10 月第 3 日曜)と決められた日に 1 日がかりで午前試験と午後試験が開催されていましたが、 CBT 方式への移行に伴い、令和 3 年度から 上期 / 下期試験 を取り入れたスケジュールになりました。

2022 年上期試験 2022 年下期試験fiber_new
申込期間 2022 年
3 月 1 日

5 月 24 日
(午後試験まで含む)
2022 年
9 月 1 日

11 月 21 日
(午後試験まで含む)
実施期間 2022 年
4 月 1 日

5 月 29 日
(午後試験まで含む)
2022 年
10 月 1 日

11 月 27 日
(午後試験まで含む)
合格発表 午前 / 午後試験を完了した翌月
受験費用 受験費用: 7,500 円 (税込)
クレジットカード / ペイジー / コンビニ で決済可能(支払手数料は除く)

ポイントは、試験日が 1 日ががりで実施されていたのが、およそ 2 ヶ月の実施期間中であれば「午前試験と午後試験を別日程で受験可能」になったことです。体力的な負担が減り、ご自身の勉強の進捗を見ながら受験日をある程度コントロールできるようになりました。

令和 5 (2023) 年 4 月以降は上期 / 下期試験から通年試験に変更されます。 詳しくは 本記事の末尾 をご覧ください

どんな勉強方法がよいの? ~合格する戦略と戦術を知る

試験制度とその特徴がわかったところで、どのような勉強をすればよいのでしょうか?

基本情報技術者試験 受験ナビではお馴染みの 矢沢 久雄 さんに、はじめて基本情報技術者試験に挑む方に向けて、合格できる戦略と戦術をまとめてもらいました。

合格に向けて大きな山となる午後問題の勉強方法や、午前試験の解答テクニックなどの戦術まで、合格するすべが詰まっています。ぜひご覧くださいませ。

info_outline勉強方法がわかる記事はこちら

はじめての 基本情報技術者試験 で合格できる戦略と戦術

どんな勉強計画を立てるとよいの? ~受験体験談を参考にする

受験される方のバックグラウンド (知識や経験) は 1 人として同じ人はいません。専攻の違い (文系 / 理系) や職種の違い (事務職、学生など) 、プログラミング経験の有無、現場経験の有無など様々です。

それだけに受験者の方々はご自身の今の状況からオリジナルに勉強計画を立てて、ご自身に適した用語の記憶方法や、勉強ツール、過去問題の演習方法を編み出しています。

そこで参考になるのが合格者の体験談です。

  • 3 ヶ月で合格できた方、
    10 年がかりで合格できた方
  • 苦手なアルゴリズムを克服した方、
    逆にアルゴリズム問題は対策しなかった方
  • 知識を詰め込みすぎて過去問題の練習が不足した方、
    逆に過去問題だけをやり過ぎ基礎知識を応用する問題が解けなくなった方
  • 本の学習が一番良かったと答える方、
    本ではなく動画のほうがわかりやすかったと答える方

受験される方のバックグラウンドが違えば、本当に勉強計画と勉強方法が変わります。ぜひ受験体験談の連載をご覧いただき、ご自身に近い方を見つけてください。

info_outline受験体験記の連載

受験体験記

令和 5 (2023) 年 4 月以降から始まる「新・基本情報技術者試験」はこう変わる! 変更点まとめ

IPA から令和 5 (2023) 年 4 月以降に試験制度に変更することが発表されました。 午後試験が大きく変更されるなど、試験内容はまったく新しくなります。 ここではその変更により、どのように難易度や出題内容、勉強方法が変わるのか、まとめました。

変更内容のまとめ

まずは変更内容を確認しましょう。

  • 上期 / 下期試験から通年試験へ(受験者が受験日時を選ぶ方式へ)
  • 午前 / 午後試験から科目 A 試験 / 科目 B 試験へ変更
  • 午前試験と科目 A 試験の出題範囲は変更なし
  • 午後試験の試験範囲が大きく変更され、情報セキュリティから 4 問、アルゴリズム(擬似言語)から 16 問が出題
    • 選択分野を廃止(従来は、テクノロジ系 [ハードウェア、ソフトウェア、データベース、ネットワーク、ソフトウェア設計] とマネジメント系 / ストラテジ系から選択)
    • Java や Python などプログラミング言語の選択を廃止
  • 試験時間を短縮し、問題数を削減(上記の IPA プレス発表より抜粋)
    変更前 変更後
    変更前午前試験
    (小問)
    試験時間: 150 分
    出題数: 80 問
    解答数: 80 問
    変更後科目 A 試験
    (小問)
    試験時間: 90 分
    出題数: 60 問
    解答数: 60 問
    変更前午後試験
    (大問)
    試験時間: 150 分
    出題数: 11 問
    解答数: 5 問
    ※選択問題あり
    変更後科目 B 試験
    (小問)
    試験時間: 100 分
    出題数: 20 問
    解答数: 20 問
    ※選択問題なし(全問必須解答)
  • 合格基準を従来の 60 点以上という絶対評価から IRT 方式へ変更(項目ごとに点数を調整)
  • CBT 方式に加え IBT (インターネット試験) 方式も実証実験を開始( 2022 年 10 月~)
  • 午前試験免除制度は維持

では、これらの変更により何が変わるのか、詳しく紹介します。

基本情報技術者試験は開発者向けから 開発者 / IT ユーザーを含めた DX を担う「デジタル人材」向けへ変更

なぜ、 IPA は試験制度を大きく変更したのでしょうか? これは IPA が公開している試験要項の対象者像の変更によく表れています。

変更前
高度 IT 人材となるために必要な基本的知識・技能をもち,実践的な活用能力を身に付けた者
変更後
IT を活用したサービス,製品,システム及びソフトウェアを作る人材に必要な基本的知識・技能をもち,実践的な活用能力を身に付けた者

「高度 IT 人材」と “開発者” を意識した文章から、 「活用および作る人材」と表現が変化しています。 つまり基本情報技術者試験は従来の “開発者” の登竜門から、 IT ユーザーにも対象を広げ、他の先進国に比べ日本が遅れを取るデジタルトランスフォーメーション( DX )を担う「デジタル人材」への登竜門に変化したのです。 これが試験制度の変更に繋がりました。

この背景には、試験制度変更前から、経済産業省は「 2030 年に IT 人材が 45 万人不足する」という調査結果を発表しており、従来の開発者人口も含めた「デジタル人材」人口の増加が急務だったことが挙げれられます。

これに伴って、

  • 「デジタル人材」に必要な基礎知識を新たに定義
  • 「デジタル人材」を増加させるために通年試験に移行

この 2 つの大きな変更が加えられました。

試験の難易度は科目 B 試験(旧午後試験)により大きく変化。 プログラミング的思考が中心に問われる

「デジタル人材」に必要な基礎知識はどのように定義されたのでしょうか。

科目 A 試験(旧午前試験)は、ほぼ変更が無く、引き続きデジタル人材にも旧午前試験の知識は必要です。 ただし、旧午後試験から大きく変わった科目 B 試験にデジタル人材らしい特徴が出ています。

以下は、現行試験になる前の 2019 年変更前、現行試験( 2019 変更)、 2023 年の新試験( 2023 変更)で配点割合の推移をまとめたものです。

  • 2023 の変更は配点割合を出題割合(情報セキュリティ 2 割、アルゴリズムとプログラミング 8 割)にしています。 実際は IRT 方式で採点されるため、配点は実施の都度、変わります
  • 2019 変更前と 2019 変更の選択問題の配点ならびにアルゴリズムとプログラミングの配点は合算しています

一目瞭然ですが、選択問題が無くなり、アルゴリズムとプログラミングが中心に問われることになりました。 このプログラミング的思考がデジタル人材に必要な基礎知識の特徴的なところです。

また、アルゴリズムとプログラミングは現行試験まではそれぞれ分けて出題されていますが、新試験ではアルゴリズムとプログラミングに統一され、各プログラミング言語の選択が無くなり、擬似言語一択となります。 これに伴ってプログラミング言語そのものを学習する必要は無くなりました。

 

では、アルゴリズムとプログラミングにおいて、現行試験との難易度に変化はあるのでしょうか?

IPA はこの科目 B 試験のサンプル問題を公開しています。 以下はそのサンプル問題から 1 問を転載したものです。

「基本情報技術者試験 科目 B のサンプル問題」より転載

問 5プログラミングの諸分野への適用

次のプログラム中のabに入れる正しい答えを,解答群の中から選べ。

 任意の異なる 2 文字を c1, c2 とするとき,英単語群に含まれる英単語において, c1 の次に c2 が出現する割合を求めるプログラムである。英単語は,英小文字だけから成る。英単語の末尾の文字が c1 である場合,その箇所は割合の計算に含めない。例えば,図に示す 4 語の英単語 “importance” , “inflation” , “information” , “innovation” から成る英単語群において, c1 を “n” , c2 を “f” とする。英単語の末尾の文字以外に “n” は五つあり,そのうち次の文字が “f” であるものは二つである。したがって,求める割合は, 2 ÷ 5 = 0.4 である。 c1 と c2 の並びが一度も出現しない場合, c1 の出現回数によらず割合を 0 と定義する。

続きをご覧になりたい方はクリック
図 4 語から成る英単語群の例

 プログラムにおいて,英単語群は Words 型の大域変数 words に格納されている。クラス Words のメソッドの説明を,表に示す。本問において,文字列に対する演算子 “+” は,文字列の連結を表す。また,整数に対する演算子 “÷” は,実数として計算する。

表 クラス Words のメソッドの説明
メソッド 戻り値 説明
freq(文字列型: str) 整数型 英単語群中の文字列 str の出現回数を返す。
freqE(文字列型: str) 整数型 英単語群の中で,文字列 str で終わる英単語の数を返す。

〔プログラム〕

大域: Words: words /* 英単語群が格納されている */
/* c1の次にc2が出現する割合を返す */
○実数型: prob(文字型: c1, 文字型: c2)
 文字列型: s1 ← c1の1文字だけから成る文字列
 文字列型: s2 ← c2の1文字だけから成る文字列
 if (words.freq(s1 + s2) が 0 より大きい)
  return 
 else
  return 0
 endif

解答群

(words.freq(s1) - words.freqE(s1)) ÷ words.freq(s1 + s2)
(words.freq(s2) - words.freqE(s2)) ÷ words.freq(s1 + s2)
words.freq(s1 + s2) ÷ (words.freq(s1) - words.freqE(s1))
words.freq(s1 + s2) ÷ (words.freq(s2) - words.freqE(s2))

プログラミングでは当たり前となっているライブラリを使用することがテーマの一つに挙がっており、受験ナビでお馴染みの矢沢久雄さんはこの問題を以下のように評しています。

もしも、このサンプル問題と同様の問題が従来の午後試験で出題されたとしたら、配列に格納された文字列をコツコツと処理するプログラムが示されたはずです。 それがライブラリを利用するプログラムになっているのですから、科目 B 試験のアルゴリズムとプログラミングの問題は、従来よりも解きやすくなった(やさしくなった)といえます

ただし、まったくプログラミング経験がないと、問題の意味がわからないでしょう。

「新・基本情報 科目 B アルゴリズムとプログラミング サンプル問題 解説 2」 より

つまり、結果的には引き続き、プログラミング経験が問われます。

なお、現行試験のアルゴリズム問題は大問(令和元年の試験では 7 ページ)なので、午後の制限時間をアルゴリズムの配点で割ると、だいたい 30 分~ 40 分かけて解くものでした。 1 ページで換算すると、だいたい 4 分~ 5 分です。 これが新試験では約 1/2 ~ 1 ページの問題を 5 分 で解く計算になるので、ほぼ変化はなく、引き続き、解答スピードが要求されます。

 

まとめると、難易度は以下のように変わります。

  • 科目 A 試験の難易度は変わらず
  • 科目 B 試験はプログラミング経験の有無で難易度が変わる
    • プログラミング経験者にとっては難易度は下がる
    • プログラミング未経験者にとっては、これまでと同じ難易度
      • ただし選択問題が無くなったことで、プログラミングに割く勉強時間を大幅に増やせる

通年試験となり受験者が日程を選べるように変わる ~インターネット試験も実験開始

従来の上期 / 下期試験から通年試験となり、受験者が日程を選んで受験できるようになります。

科目 A 、科目 B と分けて受験できるかどうかなど、詳細はこれから IPA から発表されますが、従来の上期 / 下期試験よりさらに受験者が受けやすくなります。 このため先程のプログラミングの仕上がりを見ながら、受験できるようになります。

また、 IPA は 2022 年 10 月から IBT (Internet Based Testing インターネットでの試験) の実証実験の開始を発表しており、さらに受験しやすさを向上させて、受験者を増加させようとしています。

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IPA が基本情報技術者試験と情報セキュリティマネジメント試験でインターネット試験( IBT 方式)の実証実験を10月から行うと発表

まだ具体的な受験手続きや日時、再受験のポリシー(再受験するのに期間をあける)など未発表のことが多々ありますが、ご覧のように “新・基本情報技術者試験” が「デジタル人材」を対象にしたことで、その門戸を拡げようとしています。 これまで IT に取り組んでいない方には、体系的に知識とスキルを身につけるチャンスです。

このまとめが受験を検討されている方の材料になれば幸いです。

この記事では試験制度の概要とその特徴(新制度含む)、それに対応する勉強方法や勉強計画について紹介いたしました。

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苦手になりがちなアルゴリズム問題の解き方がわかる

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