基本情報技術者試験 科目A免除試験(修了試験)の講評 ~ 2024年7月28日実施


2024-07-31 更新

試験対策講座の講師として、誠に勝手ながら、2024年7月28日(日)に実施された基本情報技術者科目A免除試験(修了認定に係る試験)の講評をさせていただきます。

今回受験された人は振り返りの題材として、今後受験される人は対策の資料として、参考にしていただければ幸いです。

※7/31に表1 問12の出題年度と表2の問題数の変更を行いました※

実施月 問題 解答
2024 年 7 月 問題 解答

問題の内容

表1は、今回の科目A免除試験の内容です。
問題の番号、分野、テーマ、難易度、および過去問題の再利用かどうかを示しています。

表1 今回の科目A免除試験の内容

番号 分野 テーマ(分類) 難易度 過去問題
1 T 誤差の種類(情報の基礎理論) H20秋問4
2 T 正規分布の説明(情報の基礎理論) H26春問4
3 T ディープラーニングの説明(情報の基礎理論) R03秋問3(AP)
4 T コンピュータの計算時間(情報の基礎理論) H23秋問3
5 T スタックによるデータの入れ替え(アルゴリズム) H22秋問5
6 T 二分探索法の比較回数(アルゴリズム) H21春問7
7 T 関数の引数の性質(ソフトウェア) H20秋問39
8 T CPUのMIPSの計算(ハードウェア) H30秋問9
9 T キャッシュメモリ制御装置の動作(ハードウェア) H25秋問10
10 T 画像を表示するメモリ量の計算(ハードウェア) H14春問29
11 T フォールトトレラントシステムの説明(システム構成) H25春問14
12 T システムの一定時間の仕事量を表す用語(システム構成) H20秋問14(AD)
13 T 固定長の仮想メモリの領域を表す用語(ソフトウェア) H16春問30
14 T コンパイラの最適化の目的(ソフトウェア) H30春問18
15 T オープンソースソフトウェアの特徴(ソフトウェア) H22秋問21(AP)
16 T MIL記号を使った論理回路(ハードウェア) H23特別問24
17 T テクスチャマッピングの説明(マルチメディアとヒューマンインタフェース) H27春問25
18 T 企業の意思決定支援に利用するデータ(データベース) H22春問33
19 T 関係データベースの正規化(データベース) H22春問30
20 T SQLのSELECT命令(データベース) H22春問31
21 T データベースアクセスのためのJava API(データベース) H23特別問32
22 T データベースの排他制御(データベース) H30秋問30(AP)
23 T 伝送時間の計算(ネットワーク) H24春問34
24 T ネットワークの階層とLAN間接続装置(ネットワーク) H28秋問31
25 T IPアドレスとサブネットマスク(ネットワーク) H21秋問39
26 T Webサーバと外部プログラムを連携させる仕組み(ネットワーク) H22春問39
27 T サイバーキルチェーンの説明(セキュリティ) R06問4(SG)
28 T エンベロープ暗号化の説明(セキュリティ) R03秋問18(ES)
29 T リスクベース認証の特徴(セキュリティ) R03秋問18
30 T 情報セキュリティガバナンスの範囲とITガバナンスの範囲(セキュリティ) H30秋問8(SG)
31 T IPSの説明(セキュリティ) H31春問15(SG)
32 T ステガノグラフィの説明(セキュリティ) R01秋問11(SG)
33 T 無線LANのWPA2-PSKの機能(セキュリティ) H27秋問39(AP)
34 T UMLのアクティビティ図の特徴(開発技術) R02秋問46(AP)
35 T オブジェクト指向のクラスとインスタンスの関係(開発技術) H22秋問47
36 T デザインレビューを実施するねらい(開発技術) H20春問46
37 T 静的テストを支援する静的解析ツールの特徴(開発技術) H31春問48
38 T プログラムの修正費用の期待値の計算(開発技術) H31春問49
39 T スクラムでスクラムマスタが行うこと(開発技術) R03秋問50(AP)
40 T エクストリームプログラミングのリファクタリングの説明(開発技術) H26春問49(AP)
41 M システム開発に要する期間の計算 H26春問54(AP)
42 M パフォーマンス測定に使用するEVMの管理対象 H24秋問53(AP)
43 M 障害発生時にシステムを初期状態に戻して再開する方法 H30秋問56
44 M 落雷の過電圧からシステムを守る手段 H21秋問57
45 M 情報セキュリティ監査基準の説明 H28秋問40(SG)
46 S エンタープライズアーキテクチャのモデル H22秋問63(AP)
47 S スマートグリッドの説明 H26秋問63
48 S 要件定義プロセスで実施すべきもの H29春問66
49 S M&Aの説明 H23秋問66(AP)
50 S プロダクトライフサイクルの説明 H26春問68
51 S バランススコアカードの戦略目標と業績評価指標 H24春問69
52 S 技術の進化過程を示す曲線 H30秋問70
53 S HEMSの説明 H29秋問73
54 S 製品開発のスピードアップ手法の分類 H28春問71(AP)
55 S クラウドソーシングの説明 H28秋問72(AP)
56 S マトリックス組織の説明 H28秋問76
57 S 定量発注方式の在庫モデルにおける発注量の変更 H26秋問76(AP)
58 S ヒストグラムの利用目的 H22秋問76
59 S 期待できる利益の計算 H16秋問65(AD)
60 S 労働者派遣契約が存在する当事者 H22春問79

※分野は、T=テクノロジ系、M=マネジメント系、S=ストラテジ系

※難易度は、筆者の講師経験から、以下の通り設定しています。
 易:受講者のほぼ全員ができるもの
 中:受講者の半数ぐらいができるもの
 難:受講者の数名しかできない問題

※過去問題の再利用である場合は出題された主な試験区分と年度を示す。
(同じ問題が複数の試験区分と年度で何度も再利用されている場合がありますが、ここでは、それらの中から1つの試験区分と年度だけを示す)
※基本情報技術者試験の過去問題ではない場合は「R03秋問3(AP)」のようにカッコの中に試験区分の略称を示す。
AP:応用情報技術者試験、SG:情報セキュリティマネジメント試験、ES:エンベデッドシステムスペシャリスト試験、AD:初級システムアドミニストレータ試験(旧制度の試験)

※テクノロジ系だけ、カッコ内に問題のテーマの分類を示しています。
※問23は、公開されている過去問題の中に同じ問題はありませんが、H24春問34とほとんど同じ内容なので、過去問題の再利用としました。

過去問題の再利用

今回の試験も、これまでに実施された試験と同様に、すべての問題が過去問題の再利用でした。基本情報技術者試験の過去問題だけでなく、他の試験区分の過去問題や、かなり古い年度の過去問題(現時点では、情報処理推進機構のWebページで公開されていない過去問題)が数多くあったことも、これまでと同様です。

表2は、今回を含めた直近3回の試験で再利用された過去問題の試験区分と問題数です。
基本情報技術者試験の過去問題が多いのは当然ですが、応用情報技術者試験の過去問題も数多く再利用されています。

表2 今回を含めた直近3回の試験で再利用された過去問題の試験区分と問題数

試験区分 1月28日
(前々回)
6月9日
(前回)
7月28日
(今回)
基本情報技術者試験 38問 37問 38問
応用情報技術者試験 14問 19問 14問
情報セキュリティマネジメント試験 7問 2問 5問
その他の試験 1問 1問 3問

問題の難易度

今回の科目A免除試験の問題の難易度は、易が19問、中が38問、難が3問でした。
易が90%できて、中が50%できて、難が25%できる(四択問題なので最低でも25%できます)とすれば、正解数の期待値は、19×0.9 + 38×0.5 + 3×0.25 = 36.85問です。

合格基準は、60問中36問以上の正解なので、ちゃんと勉強していれば、ギリギリですが合格点を取れたでしょう。

表3は、今回を含めた直近3回の試験の正解数の期待値です。
今回の問題は、前回の6月9日と比べると、やさしかったといえます。前回は残念な結果になってしまった人も、コツコツと学習を続けたことで、今回は合格できたでしょう。

表3 今回を含めた直近3回の試験の正解数の期待値

試験実施日 1月28日 6月9日 7月28日
正解数の期待値 36.9問 33.35問 36.85問

※※60問中36問以上の正解で合格です。

試験に合格するための最も効率的で効果的な学習方法

最後に、今後の科目A免除試験を受ける人にアドバイスをさせていただきます。

科目A免除試験の内容は、100%が過去問題の再利用です。
したがって、試験に合格するための最も効率的で効果的な学習方法は、苦手な分野の過去問題を数多く解いて、できなかった問題があれば、できるようになるまで練習することです。

基本情報技術者試験の過去問題だけでなく、他の試験区分の過去問題も数多く出題されていますが、一度出題されれば、それらはもう基本情報技術者試験の過去問題です。
同じ問題が、今後の科目A免除試験で再利用される可能性があるので、練習の題材としましょう。
一見して難しそうな問題に思えるかもしれませんが、基本情報技術者試験の出題範囲を超えているはずはないので、教材や対策講座などでちゃんと勉強していれば、正解を選べるはずです。自信を持って取り組んでください。

以上、試験対策講座の講師として、誠に勝手ながら、試験問題の講評をさせていただきました。

今回の試験に合格した人は、ここで気を緩めずに、科目B試験の学習を始めてください。
残念な結果になってしまった人は、ここで気を落すことなく、次回の科目A試験免除試験の合格を目指してください。
どちらも場合も、コツコツと学習を続けていれば、必ず良い結果が得られるはずです。<

皆様のご健闘をお祈り申し上げます!

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