基本情報技術者試験 午前免除(修了試験)の講評 ~ 2021年1月24日実施


2022-08-01 更新

試験対策講座の講師として、誠に勝手ながら、 2021 年 1 月 24 日(日)に実施された基本情報技術者午前免除試験(修了認定に係る試験)の講評をさせていただきます。

今回受験された人はふりかえりの題材として、今後受験される人は対策の資料として、参考にしていただければ幸いです。

実施月 問題 解答
2021 年 1 月 問題 解答

ちゃんと勉強していれば合格できたはずです

これまでと同様に、今回の試験問題の内容も、ほぼ 100% が過去問題の再利用でした。

以下は、今回の試験問題の分類と難易度を A, B, C で示したものです。この難易度は、私の講師経験から、

  • 受講者のほぼ全員ができるものを A (やさしい)
  • 半数ぐらいができるものを B (ふつう)
  • ほとんどができないものを C (むずかしい)

としたものです。

問題の分類と難易度
分野 問題番号(難易度)
情報の基礎理論 問1(B)、問2(B)、問3(C)、問5(B)
アルゴリズム 問4(B)、問6(B)、問7(B)、問8(A)、問9(B)、問10(C)
ハードウェア 問11(B)、問12(A)、問13(A)、問20(C)、問21(A)、問22(B)
ソフトウェア 問15(B)、問17(B)、問18(B)、問19(B)
システム構成 問14(B)、問16(B)
マルチメディアとヒューマンインタフェース 問23(B)、問24(B)
データベース 問25(B)、問26(B)、問27(C)、問28(B)、問29(B)
ネットワーク 問30(B)、問31(B)、問32(B)、問33(C)、問34(B)
セキュリティ 問35(B)、問36(B)、問37(B)、問38(B)、問39(B)、問40(A)、問41(A)、問42(B)、問43(C)、問44(B)
開発技術 問45(A)、問46(C)、問47(B)、問48(C)、問49(A)、問50(A)
マネジメント系 問51(A)、問52(A)、問53(A)、問54(C)、問55(B)、問56(A)、問57(A)、問58(A)、問59(A)、問60(A)
ストラテジ系 問61(A)、問62(B)、問63(A)、問64(A)、問65(B)、問66(A)、問67(A)、問68(A)、問69(A)、問70(A)、問71(A)、問72(A)、問73問(B)、74問(A)、75問(B)、問76(B)、問77(B)、問78(B)、問79(A)、問80(A)

※マネジメント系とストラテジ系は、全体で 1 つの分野にしています。

全 80 問の難易度を集計すると、

A が 30 問、
B が 41 問、
C が 9 問

です。

A が 90 % できて、 B が 50 % できて、 C が 25 % できる(四択問題なので最低でも 25 % できます)とすれば、 1 問が 1.25 点なので、得点の期待値は、

1.25 点 × ( 30 × 0.9 + 41 × 0.5 + 9 × 0.25 )
= 62.19 点

になり、ギリギリですが合格点の 60 点を超えています。したがって、ちゃんと勉強した人は、きっと合格点を取れたでしょう。

2回のチャンスがある午前免除試験に難易度の差はあるのか?

午前免除試験は、毎期 2 回実施されています。今期であれば、前回の 2020 年 12 月 13 日(日)と、今回の 2021 年 1 月 24 日(日)です。これら 2 回の試験には、どちらかがやさしいといった傾向があるのでしょうか。

以下は、 2020 年秋期向けの 2 回の午前免除試験と、 2021 年春期向けの 2 回の午前免除試験の難易度を比較したものです。

午前免除試験の難易度の比較
試験 難易度 A 難易度 B 難易度 C 得点の期待値
2020 年 秋期 向け 1 回目
2020 年 6 月 14 日(日)
19 問 52 問 9 問 63.75 点
2020 年 秋期 向け 2 回目
2020 年 7 月 26 日(日)
20 問 50 問 10 問 63.75 点
2021 年 春期 向け 1 回目
2020 年 12 月 13 日(日)
28 問 48 問 4 問 62.75 点
2021 年 春期 向け 2 回目
2021 年 1 月 24 日(日)
30 問 41 問 9 問 62.19 点

これを見ると、難易度 A 、B 、C の出題数には、若干のバラツキがありますが、得点の期待値には、ほとんど違いがないことがわかります。 1 回目と 2 回目のどちらかがやさしいということはないのですから、試験を受けられるとなったら(専門学校や通信教育などで既定の学習を完了して受験の条件を満たしたら)、さっさと受験した方が得策です。

用語の意味を覚えれば、あと 1 、 2 問を取れる

今回の午前免除試験で残念な結果になってしまった人は、おそらくまるでダメだったのではなく、あと 1 、2 問で合格点を取れていたのでしょう。次の試験に向けて、その 1 、 2 問を取る方法をアドバイスしましょう。

 

試験の前日や、試験会場に向かう電車の中などで、「少しだけ時間があるので何かを勉強しよう」と思ったとします。

そんなときには、用語の意味を覚えてください。用語の意味を覚えるだけでできる問題が多いからです。たとえば、今回の午前免除試験では、以下の問題です。「こんなにもあるのか!」と驚かれたかもしれませんが、全部で 40 問もあります。したがって、 1 つでも多く用語を覚えれば、あと 1 、 2 問につながるのです。

問4
ディープラーニング
問8
クイックソート
問12
外部割込み
問14
ディスクストライピング
問15
ライブマイグレーション
問17
スラッシング
問21
SRAM
問24
H.264/MPEG-4 AVC
問25
ストアドプロシージャ
問29
射影
問31
ゲートウェイ
問32
NAT
問34
SNMP
問35
CAPTCHA
問36
WPA3
問37
チャレンジレスポンス認証方式
問40
SIEM(Security Information and Event Management)
問42
ファジング
問44
WAF
問45
E-R図
問49
ペアプログラミング
問50
リバースエンジニアリング
問52
PERT
問53
ファンクションポイント法
問57
UPS
問61
SOA
問62
オムニチャネル
問64
プライバシーバイデザイン
問65
アクティビティ図
問66
ベンチマーキング
問68
CRM(Customer Relationship Management)
問69
プロダクトイノベーション
問70
ディジタルディバイド
問71
逆オークション
問72
ロングテール
問73
HEMS
問74
機械学習
問75
ABC分析
問76
OC曲線
問77
ROI

info問 40 と問 68 は、問題に略語の意味が示されていたので、ここでもそれを示しています。

用語を覚えるコツは、 過去問題を通して用語を覚えることです。

なぜなら、試験問題は、ほぼ 100 % が過去問題の再利用だからです。教材や用語辞典に示された意味ではなく、実際に出題された過去問題に示された意味を覚えた方が、試験対策として効果的です。

 

過去問題を通して用語を覚えるときに、注意してほしいことがあります。

それは 「問題の選択肢に複数の用語が示されている場合には、正解となっている用語だけを覚えて、他の用語を気にしないこと」です。

たとえば、以下は、今回の試験の問 14 です。選択肢に様々な用語が並んでいますが、この問題の正解は選択肢ウの「ディスクストライピング」なので、この問題を通して「ディスクストライピング」だけを覚えてください。

問 14

並列にアクセス可能な複数台の磁気ディスクに,各ファイルのデータを一定サイズのブロックに分割して分散配置し,ファイルアクセスの高速化を図る手法はどれか。

ア ディスクアットワンス  イ ディスクキャッシュ
ウ ディスクストライピング  エ ディスクミラーリング

不正解の「ディスクアットワンス」「ディスクキャッシュ」「ディスクミラーリング」という用語は、それらが正解となっている問題に遭遇したときに覚えてください。不正解の用語の中には、試験に出題されたことがないものもあります。そんな用語を覚えるのは、まったくもって無駄なことです。

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苦手な計算問題を克服すれば、あと 1 、 2 問を取れる

もう 1 つ、あと 1 、 2 問を取る方法をアドバイスしましょう。

私の講師経験では、「計算問題が苦手です」という人が多いようです。苦手な問題が明確なのは、とてもよいことです。苦手を克服すれば、あと 1 、 2 問を取れるからです。

試験問題は、ほぼ 100 % が過去問題の再利用なのですから、 苦手な問題は、その問題をできるようになるまで練習してください。学生時代のように「他の類題を練習しよう」と思う必要はありません。

 

計算問題の例を示しましょう。以下は、今回の試験の問 11 です。

MIPS がテーマの問題ですが、これを見て「 MIPS に関する他の類題を練習しよう」と思わないでください。まず、目の前にある「この問題をできるようにすること」が重要です。何度も繰り返しますが、試験問題は、ほぼ 100 % が過去問題の再利用なのですから、この問題が再び出題されることがあるからです。

問 11

1 件のトランザクションについて 80 万ステップの命令実行を必要とするシステムがある。プロセッサの性能が 200 MIPS で,プロセッサの使用率が 80 % のときのトランザクションの処理能力(件/秒)は幾らか。

ア 20  イ 200  ウ 250  エ 313

書籍や Web 教材などに、この問題の解き方が、以下のように示されていたとしましょう。この手順を、何度も繰り返して練習してください。苦手であっても、何度も繰り返して練習すれば、きっと克服できます。あせらずに、 1 問ずつ克服していきましょう。それが、あと 1 、 2 問につながります。

手順1.
MIPS (ミップス)とは、 Million Instructions Per Second の略で、「プロセッサが、 1 秒間に実行できる命令の数を、百万単位で示したもの」という意味です。
手順2.
プロセッサの性能が 200 MIPS で、プロセッサの使用率が 80 % なので、実際に利用できる処理能力は、
200 MIPS × 0.8 = 160 MIPS
です。
手順3.
1 件のトランザクション( 1 つの処理のまとまり)について 80 万ステップの命令実行を必要とするとは、「 1 件のトランザクションが 80 万命令である」という意味です。
手順4.
ここでは、トランザクションの処理能力を「件/秒」で求めます。プロセッサの処理能力が 160 MIPS ( 1 秒間に 160 百万命令)なのですから、 1 件が 80 万命令のトランザクションを 1 秒間に処理できる件数は、
160 百万 ÷ 80万 = 2 百件 = 200 件
になります。

正解は、選択肢イです。

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以上、試験対策講座の講師として、誠に勝手ながら、試験問題の講評をさせていただきました。

無事に合格できた人は、ここで手を抜かずに、午後試験の学習を始めてください。

残念な結果になってしまった人は、ここで気落ちせずに、本試験に向けて午前試験と午後試験の学習を並行して進めてください。皆様のご健闘をお祈り申し上げます!

 

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