応用情報技術者試験の特徴と難易度 ~よい参考書がない資格~
応用情報技術者試験は、次のような特徴を持つ試験区分です。
- ITSS のレベル 3
- 全範囲
- システムエンジニア向け
試験区分のレベルで言うと “3” です。 テクノロジ、ストラテジ、マネジメントなど全区分を範囲とする最後の試験区分であり、この後(上位試験が)専門分野に特化することを考えれば、ここで問われる知識こそ、我々にとっての “標準” を意味します。
標準 … それはつまり … 応用情報で学んだ言葉は外で使っても恥ずかしくないものだということ。 応用情報で学ぶことは、仕事に関係あろうが無かろうが知っていて当然のこと。 仕事と無関係の分野なら、応用情報で学んでいないことは知らなくて当然だと自信をもっても構わないということ。 質問する相手が、それこそ部下や後輩であっても「えー知らないな。 教えてよ」と聞いても全然 OK です。 知らないことに自信を持ててはじめて、自分に自信が持てたと言えますからね。 それを可能にする資格こそ、応用情報技術者試験だと思います。
また、基本情報技術者試験がプログラマ向けであるのに対し、応用情報技術者試験は、端的に言って「 SE (システムエンジニア)の資格」だと言えるでしょう。
もくじ
受験者層
上記のような特徴により、基本情報技術者試験に合格した人が高度系を受験する前に挑戦するケースが多いです。 学生時代に基本情報技術者試験に合格した受験生が入社 1 年目に受験することも少なくありません。 また、管理職への昇進や昇格の条件に加える企業もあります。
難易度 ~ よい参考書がない ~
難易度が特に高いわけではありませんが、午後対策が難しい試験区分ではあります。
1 冊で網羅性の高い試験対策本(参考書、テキスト)を作るのが難しいからです。 各分野ごとにまとまった試験対策本があればいいのですが、今、市販されているもので、そういうものを筆者は知りません。
したがって、学習に必要なベストなツールや方法を見つけた人には、それほど難しい試験ではないのですが、 1 冊で何とかしようと考えていると(その 1 冊を完璧に仕上げたとしても)、試験本番時に知らないことだらけになる可能性が高くなります。
合格に必要な対策の概要 ~ 過去問を一度解き、知りたいことを明確にして参考書を選ぶ ~
とにもかくにも、学習ツールの選択が最重要ポイントです。
情報セキュリティと、得意分野にしたい 2 区分の過去問題に、ある程度目を通して「どんな問題で、何が問われているのか?」、「自分は何を知りたいのか?」がわかれば、いよいよ参考書選びです。
基本情報技術者試験の記事でも説明していますが、基本情報技術者試験や応用情報技術者試験の参考書を購入する時は、しっかり考えて “自分の知りたいこと” が載っているものを選ばなければなりません。 そこで、参考書の購入前に「何を知りたいのか?」を明確にするために、過去問題を一度解いてから書店に行って選ぶのが鉄則です。 ネット通販で適当に「売れているから」という理由だけで購入するのは言語道断ですし、書店で中身をチェックして選択するにしても、過去問題を解かずに(つまり、知りたいことが無いまま)行くと、不適切な参考書を使うリスクが大きくなるので、それだけは避けなければなりません。
このため、試験申込が開始された時期では、まずは IPA のサイトから過去問題をダウンロードして解いてみて、どんな問題が出ていて、自分は何を知りたいのか、ある程度、明確にしてから、書店に行って参考書を選びましょう。
これまでの情報処理技術者試験の知識とキャリアが活かせるか? ~ 「資格なし」や「 IT パスポートのみ」などから受験しても OK
最後に、これまでの情報処理技術者試験のキャリアが活かせるかどうかを説明します。 情報処理技術者試験を “点” ではなく “線” で考えている人は参考にしてください。
過去の受験区分 | 合格しやすさとおススメ度 |
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looks_one なし IT パスポート IP 情報セキュリティマネジメント SG |
(合格しやすさ:★おススメ度:★★★) 基本情報技術者試験を受験せずに、応用情報技術者試験を受験するのも悪い選択ではありません。 プログラミング経験がない人にとっては、応用情報技術者試験の方が合格しやすいかもしれませんから。 但し、基本情報技術者試験の受験で蓄積した知識がないので、基本情報技術者試験の範囲もカバーする(アルゴリズムやプログラミング言語は除く)だけの勉強時間になることだけは我慢しましょう。 |
looks_two 基本情報技術者 FE |
(合格しやすさ:★★おススメ度:★★★) レベル 2 の基本情報技術者試験を受験するのが最もオーソドックスな順番でしょう。 基本情報に挑戦していた時の蓄積があるので、それを上手く活用しながら挑戦すれば、学習時間も少なくできます。 |
looks_3 他の高度区分( 9 区分) |
(合格しやすさ:★★★おススメ度:★★★) 特に会社から受験を義務付けられていなければ(昇格昇進の条件になっていなければ)、先に高度系区分から取得するというのも悪くはありません。 例えば、情報処理安全確保支援士を先に取得すると、特に学習をしなくても、必須の情報セキュリティ分野は高得点を狙えます。 極端な話、複数区分取得すれば、何もしなくても合格レベルになるのですから。 何も順番を守らなければいけないというわけではありません。 |
『定額制』
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- 略歴
- 株式会社エムズネット代表。
大阪を主要拠点に活動するIT コンサルタント。 本業のかたわら、大手 SI 企業の SE に対して、資格取得講座や階層教育を担当している。高度区分において脅威の合格率を誇る。 - 保有資格
-
- 情報処理技術者試験全区分制覇(累計 32 区分,内高度系 25 区分)
- ITコーディネータ
- 中小企業診断士
- 技術士(経営工学)
- 販売士 1 級
- JAPAN MENSA 会員
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