基本情報技術者試験の特徴と難易度 ~ゼロを1にする資格~


2021-01-04 公開

基本情報技術者試験は、次のような特徴を持つ試験区分です。

  1. ITSSのレベル2
  2. 全範囲
  3. プログラマ向け

試験区分のレベルで言うと “2” になります。レベル 1 は「利用者向け」なので “IT を取り扱うプロ” 向けの登竜門的な位置付けですね。 IT 社会で生活する国民全員が取得することを期待されているレベル 1 の “IT パスポート” や “情報セキュリティマネジメント” の上位資格として、IT 社会を牽引する立場…この業界で働いている “プロ” としての認定証のような価値を持つ資格だと言えるでしょう。

試験範囲は全範囲です。広く浅い IT の基礎知識を身に付けるためのものなので、直接的効果は実感できず「取得しても意味はない」と思われるかもしれませんが…そんなことはありません。間接的効果や自分でも気付かない効果は抜群です。いわゆる “ゼロ” を “1” にするためのもので…しかも最短距離を走ることができるので、もっと重要なことに時間を使いたい人にとっては必須。ここで学ぶようなことに試行錯誤している時間はないですからね。

また、カテゴリで言うと「プログラマ向けの資格」になります。試験センター公表の対象者像や業務と役割、期待する技術水準を見るだけだとわかりにくいのですが、午後問題を見れば明らかです。アルゴリズムとプログラミング言語の問題が選択必須で…それだけで 100 点満点中 50 点を占めていますからね。合格するには、ここをクリアしないといけません。

なお、令和 2 年度の試験より CBT 試験になりました。

受験者層

前述の通り、レベル 2 の “プロへの登竜門的な位置付け” なので、 IT 業界を目指す学生や新入社員、入社 1 ~ 2 年目の社員の多くが受験します。取得を推奨していたり、受験を義務付けたりしている企業も少なくありません。

難易度

難易度は高くはありません。

しかし、範囲が広く…浅くてもいいのですが、多くのことを覚えないといけないため、必然的に学習時間は長くなります。

仕事でプログラミングをしている受験生は、自分の普段使っている言語で受験できれば、学習時間は短くできると思いますが、そうでない受験生は「ひとつのプログラミング言語を覚える」ことが必要になるので、しっかりと時間をかけて学習しましょう。

合格に必要な対策の概要

前述の通り、 IT に関する知識を “ゼロ” から “1” にする資格で、しかも “幅広い知識” が必要になるため、テキスト選びがとても重要になります。

筆者の経験上、 1 冊でなんとかなるものではありません。

少なくとも、下記の参考書を揃えてじっくりと学習する必要があるでしょう。これらだけで(午後の配点は) 70 点あります。もちろん、既に仕上がっていて自信がある人は大丈夫ですが。

  1. アルゴリズムの解き方  1 冊(午後は 25 点/ 100 点)
  2. 各プログラミング言語  1 冊(午後は 25 点/ 100 点)
  3. 情報セキュリティ  1 冊(午後は 20 点/ 100 点)

アルゴリズムやプログラミング言語には、それで 1 冊の試験対策本が用意されています。また、情報処理技術者試験と今後長期間にわたって付き合っていくことを考えれば、情報セキュリティに関する参考書は高度区分(情報処理安全確保支援士)のものを使ってもいいかもしれません。

いずれにせよ、(他のカテゴリもそうなのですが)わからないことはネットで検索して調べれば出てきますが、その検索する時間を短縮したい場合には、こうした参考書の活用を検討することになります。

具体的には、それぞれの分野ごとに過去問題を順次解いてみて、「本当に得意なのかどうか?」を確認しながら進めていきます。そこで「あれ?点数が取れないな」となれば、参考書の活用を考えます。

なお、基本情報技術者試験の午後試験の参考書を購入する時には、ちゃんと考えて “自分の知りたいこと” が載っているものを選ばなければなりません。そのためには、参考書を購入する前に「何を知りたいのか?」を明確にするために、過去問題を一度解いてから書店に行って選ぶのが鉄則です。ネット通販で適当に「売れているから」という理由だけで購入したりするのは言語道断だし、書店で中身をチェックして選択するにしても過去問題を解かずに(つまり、知りたいことが無いまま)行ったりしないように注意しましょう。

まずは、 IPA のサイトから過去問題をダウンロードして解いてみて、ある程度、どんな問題が出ていて、自分は何を知りたいのかが明確になったら、書店に行って書籍を選びましょう。

これまでの情報処理技術者試験のキャリアが活かせるか?

最後に、これまでの情報処理技術者試験のキャリアが活かせるかどうかを説明しておきます。情報処理技術者試験を “点” ではなく “線” で考えている人は参考にしてください。

過去の受験区分 合格しやすさとおススメ度
なし

(合格しやすさ:おススメ度:★★★

情報処理技術者試験への挑戦の 1 区分目にするのは普通です。最も標準的なステップだと思います。ゼロを 1 にするため、特に合格しやすいわけではありませんが、間違った順番でもありません。

(1)
IPIT パスポート

(2)
SG情報セキュリティマネジメント

(合格しやすさ:★★おススメ度:★★★

レベル 1 の次にレベル 2 の基本情報技術者試験を受験するのも王道です。ゼロを 1 にするのではなく、レベル 1 に挑戦していた時の蓄積があるので、 “いきなり受験” よりは合格しやすいでしょう。これらの学習では出てこなかったことを中心に押さえていきましょう。

(3)
AP応用情報技術者

(4)
他の高度区分( 9 区分)

(合格しやすさ:★★おススメ度:★★★

これら上位資格からの基本情報も有益です。というのも、令和 2 年度の試験から、春・秋の固定日(第三日曜日)ではなく、 CBT で任意の日に受験することができるからです。 新たに、あるいは久しぶりにプログラミングやアルゴリズムを学び直したいという人は積極的に受験しましょう。 但し、レベル 4 や 3 からレベル 2 にダウンするから合格しやすいわけでもありません。プログラミングやアルゴリズム中心の出題なので、そこで点数を取ることができない人の合格は難しいでしょう。

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