エンベデッドシステムスペシャリスト試験の「特徴」と「合格しやすい人」


2018-12-25 公開

昨今,IoTが重点キーワードのひとつになって注目されている“組込みシステム”分野の試験区分がエンベデッドスペシャリスト試験です。

組込み系システムの開発に携わっている人はもちろんのこと,エンタープライズ系システム(業務システム)の開発に携わっている人も受験しています。

どういう特徴があって,どういう人が合格しやすい(チャンスがある)のでしょうか?

エンベデッドシステムスペシャリスト試験の特徴は?

    エンベデッドシステムスペシャリスト試験の3つの特徴

  1. 対象システムがバラエティに富んでいる
  2. 有効な参考書がない
  3. IoTは最重要問題
  4. 計算問題が多い

この試験の最大の特徴は,開発対象のシステムがバラエティに富んでいるところでしょう。

ここ2年の出題でも,ドローン,冠水防止システム,自動運転,スマート工場,競りシステム,観光案内用ロボット,カメラ付き防犯灯,病院内資料配送システム,スマートグリッド,駐輪場管理システムと,かなり広範囲です。

したがって,この観点から考えれば,組込み系システムの開発に従事しているエンジニアでも,自分の経験したシステムが出題されることは少ないと言えるでしょう。

そのバラエティに富んでいることに起因して,有効な参考書が無いのも大きな特徴の一つです。

筆者が情報処理技術者試験の全区分に合格したのは平成21年春なのですが,実は,リーチ(残り1区分)をかけたのは,その7年も前のことです。

他の試験区分は,ほとんど初回,遅くとも2回目には合格していたのですが,最後のエンベデッドシステムスペシャリスト試験だけは7回もかかりました。その合格できなかった要因は,テキストが無かったからです。

市販されているテキストだけで勉強しても,実際の試験問題はそこからは全く出題されなかったのです。もちろんRTOSやタスク間通信など対象システムに左右されない設問は確実に得点していたのですが,それだけでは点数が足りなかったのです。

最終的には,高校の物理や電子回路や電気,モータの専門書などを揃えて対応できました。新試験になって簡単になったのも大きかったと思うのですが。

また,最近では,国の目指すべき方向性(未来投資戦略2018)に沿う形で,午後Ⅱを中心に“IoT”の問題が重視されています。

ちなみに,組込み系の問題が出題される他の高度系区分(ITストラテジスト,システムアーキテクト)でもIoTの問題が出題されています。今後の必須テーマだと思います。

そして最後の特徴が,計算問題のパターン(種類)が多いことです。

モーターの回転数を制御したり,時間を計算で求めたり。計算問題は,答えが一意になるだけではなく,一つのミスで連鎖的に失点してしまう可能性もあるので注意が必要です。

合格しやすい人は?

このような特徴を持った試験なので,次のような条件に合致する人は合格しやすいと思います。

受験区分で迷っている方で,次の条件をクリアしている人には,エンベデッドシステムスペシャリスト試験に挑戦することをお勧めします。

そして受験を決めたら,“強み”になるのか“弱み”になるのかを確認してみてください。

そして,学習計画を立てる際の参考にしていただければ幸いです。

その1:理系の人

先に説明した通り,物理や電気,電子回路などの知識と計算問題が出題されるので,その知識がまだ脳内に残っている人は有利だと思います。

大学で専攻していたり,高校の時の記憶が残っていたり,その時の教科書や参考書を残していれば,さらにいいでしょう。

その2:メカが好きな人

対象システムがバラエティに富んでいるので,そこに興味が持てる人は,過去問題が知的好奇心をくすぐってくれると思います。それゆえ必然的に多くの過去問題に目を通すようになり,結果的に多くのパターンを会得するようになるでしょう。

また,多くの過去問題の中から共通項(タスク間通信や,使用されるコマンドや図表など)を見出すこともできるでしょう。

その3:他の高度系試験で,記述式問題(午後Ⅰ等)が短時間で解けるようになっている人

これは,ある意味全区分共通なのですが,知識だけではなく記述式問題を速く正確に解くことも必要になります。

解答例を見ていただければわかると思いますが,一意になる計算問題や単語で答える設問が多いのですが,記述式問題も出題されます。しかも,配点が高いため,そこもしっかりと答えていかなければなりません。

特に,実際に組込み系システムを開発している人(経験者)は,高度系の最初の試験区分としてこの試験を受験される人が多いため,そこが苦手だったりします。

逆に,組込み系が未経験で,普段はエンタープライズ系の開発をしている受験者の場合,筆者のように最後の最後にこの試験を受験する人も少なくなく,そういう人は,記述式の設問を得意とするので,そこで差が出てくることがあるのです。

試験対策は?

合格しやすい人の条件は以上です。

では,具体的にどんな試験対策が必要なのでしょうか?

それを次回,整理してみたいと思います。試験勉強の計画を立案する際に,参考にしていただければ幸いです。

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