基本情報技術者試験 午前免除(修了試験)の講評 ~ 2021年7月25日実施


2021-12-13 更新

試験対策講座の講師として、誠に勝手ながら、2021年7月25日(日)に実施された基本情報技術者午前免除試験(修了認定に係る試験)の講評をさせていただきます。今回受験された人は振り返りの題材として、今後受験される人は対策の資料として、参考にしていただければ幸いです。

実施月 問題 解答
2021 年 7 月 問題 解答

他の試験区分の過去問題が多かったが、難易度はこれまでと同じ

今回の試験問題の内容も、ほぼ 100 % が過去問題の再利用でした。したがって、過去問題を数多く練習していれば、きっと合格点が取れたはずです。

「何これ? 見たことない!」と思う問題もいくつかありましたが、それらは基本情報技術者試験とは別の試験区分の過去問題です。毎回、別の試験区分の過去問題が 3 、 4 問ほど出るのですが、今回は、いつもより多く 8 問も出ていました。

ただし、全体的な難易度は、これまでの試験と同じでした。

以下は、今回の試験問題の分類と難易度を A, B, C で示したものです。この難易度は、私の講師経験から、

  • 受講者のほぼ全員ができるものを A (やさしい)
  • 半数ぐらいができるものを B (ふつう)
  • ほとんどができないものを C (むずかしい)

としたものです。

問題の分類と難易度
分野 問題番号(難易度)
情報の基礎理論 問 1 (B) 、問 2 (B) 、star問 3 (C) 、問 4 (C) 、問 5 (B) 、問 6 (B)
アルゴリズム 問 7 (A) 、問 8 (B) 、star問 9 (B) 、問 10 (B)
ハードウェア 問 11 (B) 、問 12 (A) 、問 13 (B) 、問 20 (B) 、問 21 (A) 、問 22 (B)
ソフトウェア star問 17 (B) 、問 18 (A) 、問 19 (B)
システム構成 問 14 (B) 、問 15 (C) 、問 16 (B)
マルチメディアとヒューマンインタフェース star問 23 (B) 、問 24 (B)
データベース 問 25 (A) 、問 26 (C) 、問 27 (B) 、問 28 (B) 、問 29 (A)
ネットワーク 問 30 (B) 、問 31 (B) 、問 32 (A) 、問 33 (A) 、問 34 (A)
セキュリティ 問 35 (A) 、star問 36 (B) 、問 37 (A) 、問 38 (B) 、問 39 (A) 、問 40 (A) 、問 41 (B) 、問 42 (B) 、問 43 (B) 、問 44 (B)
開発技術 問 45 (A) 、問 46 (C) 、問 47 (A) 、問 48 (B) 、問 49 (B) 、問 50 (B)
マネジメント系 問 51 (A) 、問 52 (B) 、問 53 (B) 、問 54 (B) 、問 55 (A) 、問 56 (A) 、star問 57 (C) 、問 58 (A) 、star問 59 (C) 、問 60 (A)
ストラテジ系 問 61 (B) 、star問 62 (B) 、問 63 (A) 、問 64 (B) 、問 65 (B) 、問 66 (A) 、問 67 (A) 、問 68 (A) 、問 69 (A) 、問 70 (A) 、問 71 (B) 、問 72 (A) 、問 73問 (B) 、問 74 (A) 、問 75 (B) 、問 76 (B) 、問 77 (C) 、問 78 (B) 、問 79 (A) 、問 80 (A)
  • マネジメント系とストラテジ系は、全体で 1 つの分野にしています。
  • 他の試験区分の過去問題には、 star 印を付けています。

全80問の難易度を集計すると、

A が 30 問、
B が 42 問、
C が 8 問

です。

A が 90 % できて、 B が 50 % できて、 C が 25 % できる(四択問題なので最低でも 25 % できます)とすれば、 1 問が 1.25 点なので、得点の期待値は、

1.25 点 × ( 30 × 0.9 + 42 × 0.5 + 8 × 0.25 )
= 62.5 点

になり、ギリギリですが合格点の 60 点を超えています。

これは、直近6回の午前免除試験の 62.19 点~ 63.75 点と同様です。

試験対策講座で教わったからできた、という問題もあったはず

私の試験対策講座では、よく出る問題を配布して、演習と解説を行っています。ちょっと宣伝になってしまいますが、試験対策講座に参加すると

「教わって計算できるようになった」
「教わった解法テクニックを使ってできた」
「教わった方法で効率的に解くことができた」

という問題があるはずです。

たとえば、今回の試験では、以下の問題です。

教わって計算できるようになる問題の例

問 24

60 分の音声信号(モノラル)を,標本化周波数 44.1 kHz,量子化ビット数 16 ビットの PCM 方式でディジタル化した場合,データ量はおよそ何 M バイトか。ここで, データの圧縮は行わないものとする。

ア 80  イ 160  
ウ 320  エ 640

「どうやって計算すればいいの?」と思う問題でしょう。言葉の意味がわかれば、計算できます。

標本化周波数 44.1 kHz
1 秒間に 44.1 × 1000 回のデータを記録するということです
量子化ビット数 16 ビット
1 回に記録するデータのサイズが 16 ビットということです

最終的にバイト単位の答えを得るので、 16 ビット = 2 バイトとして計算しましょう。
60 分の音声信号(モノラル)なのですから、ステレオの 2 チャンネルでないということです。
データの記録が秒単位なので、60 分 = 60 × 60 = 3600 秒として計算しましょう。
PCM 方式に関しては、気にする必要はありません。

 

以上を整理すると、この問題の内容は、

  • 1 秒間に 44.1 × 1000 回のデータを記録
  • 1 回のデータのサイズが 2 バイト
  • 全部で 3600 秒分の記録を行うと、データ量は何 M バイトになるか

ということです。

すべてを掛け合わせて、

44.1 × 1000 × 2 × 3600

という計算をすればOKなのですが、 M ( 1000 × 1000 ) 単位で答えを得るので、まず 1000 × 1000 で 割ってから、

44.1 × 2 × 3.6

という計算をしましょう。

44.1 × 2 × 3.6 = 317.52

です。選択肢には、ピッタリした値がありませんが、問題文に「およそ」とあるので、 317.52 に最も近い 320 が正解です。計算方法、わかりましたね!

解答 ウ

教わった解法テクニックを使ってできる問題の例

問 23

コードの値からデータの対象物が連想できるものはどれか。

ア シーケンスコード  
イ デシマルコード
ウ ニモニックコード  
エ ブロックコード

「こんな用語を見たことがない!」と思う問題でしょう。それも、そのはず、これは応用情報技術者試験の過去問題だからです。ただし、あきらめることはありません。

「知らない用語に遭遇したら、言葉の意味から常識的に判断する」および
「選べなかったら、知識を総動員して消去法をする」

という解法テクニックを使えば、正解を選べるからです。

シーケンス、デシマル、ニモニック、ブロックという言葉の意味を考えてみましょう。自分の知識を総動員して、

シーケンスは「連続」
デシマルは「 10 進数」
ブロックは「まとまり」

という意味だとわかり、ニモニックは意味がわからないとしましょう。

問題に示された

コードの値からデータの対象物が連想できるもの

に、「連続したコード」「 10 進数のコード」「まとまりのコード」のどれが該当するでしょうか? どれも該当しない感じがします。

それなら、消去法でニモニックコードを選んでください。それで、正解です。

なお、ニモニック( mnemonic )とは「略名」という意味です。ニモニックコードの例として、日本を JP 、米国を US という略名で表すものがあります。この機会に覚えておいてください!

解答 ウ

searchタグで関連記事をチェック消去法のやり方

教わった方法で効率的に解ける問題の例

問 22

図の NAND ゲートの組合せ回路で,入力 A, B,C,D に対する出力 X の論理式はどれか。ここで,論理式中の “・” は論理積, “+” は論理和を表す。


ア (A + B)・(C + D)  
イ A + B + C + D
ウ A・B + C・D  
エ A・B・C・D

「この手の問題は、入力に具体的な値を想定して出力を求め、それと同じになる選択肢を選べばよいはずだが、ちょっと面倒だなあ!」と思う問題でしょう。実は、もっと簡単に、問題を解く方法があるのです。

 

組合せ回路の左側にある 2 つの NAND 回路の出力の白丸(この白丸は、 NOT を意味します)を右側の NAND 回路の入力に移してみましょう。

図 左側にある NAND 回路の出力の白丸を右側の NAND 回路の入力に移す

AND 回路AND 回路OR 回路と同じ機能

左側は 2 つの AND 回路になり、右側は AND 回路の入力と出力をすべて反転したものになります。

ここで、覚えてほしいのは、

AND 回路の入力と出力をすべて反転したものは、 OR 回路と同じ機能になる

ということです(その理由は、真理値表を書けばわかります)。

したがって、この論理回路は、

  • A と B の AND 演算結果と
  • C と D の AND 演算結果を
  • OR 演算する

ものだとわかります。論理式で示すと A・B + C・D です。入力に具体的な値を想定して出力を求めていたら、 5 分くらいかかると思いますが、この方法なら、 1 分もかからずに解けますね!

解答 ウ

 

私の講師経験上、試験に合格できなかった人の多くは、「まったくダメだった」ではなく「あと数問できていれば合格だった」です。

その数問をできるようにするためには、過去問題、それも、よく出る問題を練習して、できなかった問題を 1 つでも多く克服してください。試験当日まで、それを繰り返してください。機会があれば、試験対策講座にも、ぜひ、ご参加ください。

以上、試験対策講座の講師として、誠に勝手ながら、試験問題の講評をさせていただきました。

無事に合格できた人は、ここで手を抜かずに、午後試験の学習を始めてください。

残念な結果になってしまった人は、ここで気落ちせずに、午前試験と午後試験を並行して進めてください。

皆様のご健闘をお祈り申し上げます!

 

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