いいね! いいね! 見直された基本情報技術者試験 (2019年1月IPA発表)

情報処理技術者試験を実施しているIPA(独立行政法人情報処理推進機構)は、2019年1月14日付けのニュースリリースで、基本情報技術者試験の内容を見直すことを発表しました。

具体的には、プログラミング言語からCOBOLを廃止して新たにPythonを採用することと、プログラミング能力および理数能力等に関する出題を増やすことです。どちらも、とってもいいことだと思います。

 

具体的な見直しの内容

  1. 2019年の秋期試験から、午前試験で数学に関する出題比率を見直し、線形代数、確率、統計等、数学に関する出題比率を多くする。
  2. 2020年の春期試験から、午後試験のプログラミング言語でCOBOLを廃止し、新たにPythonを追加する。
  3. 2020年の春期試験から、午後試験の出題数、解答数、配点等を見直し、出題数および解答数を、現行の13問出題7問解答から、11問出題5問解答に変更する。

 

見直しに関するコメント

(1)数学、計算問題が多くなることについて

午前試験は、80問出題80問解答という形式は同じまま、数学の問題、つまり計算問題が多くなるということです。

見直し後のシラバスver 4.2(知識・技能の細目、https://www.jitec.ipa.go.jp/1_13download/youkou_ver4_2_henkou.pdf)を見ると、出題テーマが増えることはないようです。

試験対策としては、これまでの過去問題で、数学の計算問題を数多く勉強しておけばOKでしょう。

これは、教える側として、大歓迎です。用語を覚える問題より計算問題の方が、解けて楽しく、教えて楽しいからです。「数学は苦手」なんて言ってちゃだめですよ。中学レベルの数学なのですから、やればできます。

数学の問題が増える分、どの分野が減るのでしょうか。出題テーマが変わるわけではないので、気にしなくて大丈夫でしょう。

 

(2) COBOL廃止、Python追加

これは予測していましたし、大歓迎です。

最近では、COBOLの研修を実施しても、ほとんど参加者がいないからです。その代わりがPythonになるのは、当然のことでしょう。

これは、参考資料ですが、プログラミング言語の人気ランキングを独自に集計し公開しているTIOBE Index(オランダのソフトウェア会社が運営するWebページ)では、上位を独占するC言語一族(C言語、C++、Java、JavaScript、C#など)に食い込んでいる他言語は、Pythonだけだからです。

2019年1月のランキングでは、Java、C言語に続いて、第3位です。

Pythonの最大の特徴は、C言語一族でないってことです。第5位にVisual Basic .NETがありますが、これは、C#と同等のことができるように従来のVisual Basicの言語構文を拡張したものなので、Visual Basic .NET≒C#だといえます。

ですから、この人気ランキングで、C言語一族でない他言語は、Pythonだけなのです。

 

<TIOBE Indexに掲載された2019年1月のランキング>

Jan 2019 Jan 2018 change Programming Language Ratings change
1 1 Java 16.904% +2.69%
2 2 C 13.337% +2.30%
3 4 Python 8.294% +3.62%
4 3 C++ 8.158% +2.55%
5 7 VisuialBasic .NET 6.459% +3.20%
6 6 JavaScript 3.302% -0.16%
7 5 C# 3.284% -0.47%

※出典:https://www.tiobe.com/tiobe-index/

 

今回の見直しでは、表計算ソフトは、廃止されませんでした。選択する受験者が多いからでしょう。

これは、個人的な意見ですが、ITパスポート試験の位置付けが、基本情報技術者試験(エンジニア向けの試験)の下位ではなくて、別枠の試験(ユーザ向けの試験)になった時点で、表計算ソフトは廃止されるべきだったと思います。

私の記憶が確かなら(確かでなかったらごめんなさい)、表計算ソフトは、ユーザーが、ITパスポート試験の次のステップとして、基本情報技術者試験を受けられるようにするために採用されたものだからです。

表計算ソフトは、プログラミング言語が苦手なエンジニアに、逃げ道として用意されているものではありません。

 

午後試験の問8の「アルゴリズムおよびデータ構造」にも、見直しがないようです。できることなら、擬似言語をやめて、従来のフローチャートに戻してほしいと思います。

擬似言語は、実用的ではないからです。これも、私の記憶が確かなら、フローチャートから擬似言語に変更されたのは、基本情報技術者試験をCBT(コンピュータの画面で行う試験)にするためだったはずです。

CBTを断念したのですから、擬似言語をやめて、実用的なフローチャートに戻してほしいと思います。
 
 

(3)午後試験の出題数が、現行の13問出題7問解答から、11問出題5問解答に変更される

これに関しては、具体的な問題構成は示されていません。予測してみると、以下のようになるでしょう。わかりやすいように、変更点を太字で示しています。

 

現行の午後試験と見直し後の午後試験(予測)の比較

現行の午後試験 見直し後の午後試験(予測)
13問出題7問解答 11問出題5問解答
問1
情報セキュリティ(必須)
問1
情報セキュリティ(必須)
問2~問7
「ハードウェア」「ソフトウェア」「データベース」「ネットワーク」「ソフトウェア設計」「マネジメント系」「ストラテジ系」
(4問選択)
問2~問5
「ハードウェア」「ソフトウェア」「データベース」「ネットワーク」「ソフトウェア設計」「マネジメント系」「ストラテジ系」
(2問選択)
問8
「アルゴリズムおよびデータ構造」(必須)
問6
アルゴリズムおよびデータ構造(必須)
問9~問13
「C言語」「COBOL」「Java」「アセンブラ言語」「表計算ソフト」
(1問選択)
問7~問11
「C言語」「Java」「Python」「アセンブラ言語」「表計算ソフト」
(1問選択)

 

問2~問5が、出題分野が7つで2問選択では、分野が多すぎるので、統合されるでしょう。

シラバスを見ると「ハードウェア・ソフトウェア」が1つのに統合されているので、これは決まりでしょう。残りの分野は「データベース・ネットワーク」「ソフトウェア設計」「マネジメント系・ストラテジ系」に統合されるのではないかと思われます。

つまり、4テーマから2問選択です(はずれたらごめんなさい)。

 

全体として問題が減ることは、講師として、大・大・大歓迎です。

1回分の過去問題を解説する時間が少なくて済むからです。学習も少なくて済みますね。さらに欲をいえば、以前の基本情報技術者試験のように、選択問題なし(プログラミング言語だけ選択)に戻してほしいです。そうすれば、ますます教えやすく、学習しやすくなります。

 

「Pythonを選ぼうかな?」とお考えの受験者へアドバイス

これまでの試験では、「新に追加された分野の問題は、とってもやさしい!」という特徴がありました。

これは、「新たな分野の問題は、ほとんどの受験者が選ばなかったし、選んだ人も正解できなかった」という結果になることを恐れてのことでしょう(たぶん)。

したがって、2020年の春期試験から採用されるPythonの第1回目の問題は、とってもやさしいはずです。2020年の春期試験を受けるなら、Pythonを選ぶことを大いにお勧めします。

ただし、第2回目は、ぐっと難しくなるのでご注意ください。Pythonの言語仕様、シラバス、サンプル問題については、2019年10月に公開予定とのことですので、要チェックです。

 

以上、試験対策講座の講師をしている者として、基本情報技術者試験の見直しの内容に関して、勝手ながらコメントさせていただきました。受験者の皆様に、少しでも参考になれば幸いです。

 

『プログラムはなぜ動くのか』(日経BP)が大ベストセラー
IT技術を楽しく・分かりやすく教える“自称ソフトウェア芸人”

大手電気メーカーでPCの製造、ソフトハウスでプログラマを経験。独立後、現在はアプリケーションの開発と販売に従事。その傍ら、書籍・雑誌の執筆、またセミナー講師として活躍。軽快な口調で、知識0ベースのITエンジニアや一般書店フェアなどの一般的なPCユーザの講習ではダントツの評価。
お客様の満足を何よりも大切にし、わかりやすい、のせるのが上手い自称ソフトウェア芸人。

主な著作物

  • 「プログラムはなぜ動くのか」(日経BP)
  • 「コンピュータはなぜ動くのか」(日経BP)
  • 「出るとこだけ! 基本情報技術者」 (翔泳社)
  • 「ベテランが丁寧に教えてくれる ハードウェアの知識と実務」(翔泳社)
  • 「ifとelseの思考術」(ソフトバンククリエイティブ) など多数