基本情報技術者試験の受験をお考えの方へ受験のメリットや勉強時間の見積もり方などのアドバイス
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この記事は基本情報技術者試験の旧制度( 2022 年以前)の記事です。
この記事で説明している「試験制度」は現在の試験制度とは異なります。 ご注意くださいませ。
この記事は、「基本情報を受験しようか」と考えている人に、「絶対に受験するべきです!」とアドバイスするものです。受験への第一歩をなかなか踏み出せないなら、背中を押してあげましょう。
もくじ
試験の位置づけと問われること
「基本情報を受験しようか」と考えている人は、なぜ受験するのかを自問自答してみてください。以下のような理由があるでしょう。これらの理由に共通しているのは、「 IT エンジニアとしての基礎知識を習得していることを示す試験だから」ということです。
- IT エンジニアの登竜門だから
- 会社の同僚の多くが受験しているから
- IT の基礎を幅広く学びたいから
- 会社の昇進や昇格の条件になっているから
基本情報を受験する理由
医者にも、弁護士にも、建築家にも、美容師にも、調理師にも、それぞれ国家試験があるように、 IT エンジニアにも国家試験があります。それが、情報処理技術者試験です。
図 1 に、情報処理技術者試験の試験区分を示します。基本情報(基本情報技術者試験)が、最も基礎に位置づけられていることと、すべての分野を幅広く網羅していることに注目してください。基本情報は、 IT エンジニアとしての基礎知識を幅広く問うものなのです。
国家試験に合格すると、その分野のプロとして仕事を始められます。プロとしての修行がスタートするのです。
基本情報は、国家資格ではないので、合格しなくても仕事をできますが、それでは対外的な信頼が得られません。もしも、基本情報に合格しないまま仕事を始めてしまうと、先輩 IT エンジニアは「基礎知識のない人に仕事を教えるのは面倒だ」と思うでしょう。「基本情報に合格していないのは、そもそも IT に興味がないからだ。そんな人と一緒に仕事をしたくない」と思う先輩 IT エンジニアもいるかもしれません。
基本情報に合格すれば、基礎知識を持ち IT に興味がある人として、先輩 IT エンジニアに受け入れてもらえます。
受験のメリット / デメリット
すでに説明したことも含めると、基本情報を受験する(試験に合格する)ことのメリットには、以下があるでしょう。
- IT エンジニアとして基礎知識を幅広く学べる
- IT エンジニアとして基礎知識を習得していることを対外的に示せる
- 自分が変わると世界が変わる
受験のメリット
これらの中で「自分が変わると世界が変わる」に注目してください。
試験に合格すると、経済産業大臣から合格証書が与えられて、自分が基本情報の合格者に変わるのです。自分が変われば、世界が変わります。これは、基本情報の合格者になれば、新たな仕事のチャンスが訪れるということです。
かくいう筆者は、基本情報の合格者になったことで、試験対策講座の講師の仕事が得られました。基本情報に関する参考書や記事を書く仕事も得られました。チャンスは、どんどん広がるのです。
基本情報を受験することに、何のデメリットもないと思いますが、あえて挙げるとしたら、以下でしょう。
- 学習時間が多くかかる
- 試験日に受験会場に行くのが面倒である
- 教材や受験料などに費用がかかる
受験のデメリット
これらの中で「学習時間が多くかかる」に注目してください。学生であっても、社会人であっても、日常の授業や仕事に加えて、基本情報の学習に時間を割くのは、なかなか難しいことです。だから、これまでに受験をためらってきたのでしょう。
しかし、そこを何とかしてください。「基本情報を受験しようか」と考えたのは、「自分が変わると世界が変わる」ためのチャンスが来たからです。何とか時間を工面して、このチャンスを逃さないでください。
試験の内容と勉強時間の目安
午前試験と午後試験の問題構成の違い
基本情報は、午前試験と午後試験から構成されていて、図 2 に示した問題構成になっています。
午前試験は、全問に解答します。
午後試験には、必須問題と選択問題があります。
どちらも、制限時間は 150 分( 2 時間 30 分)です。どちらも 100 点満点であり、午前試験と午後試験の両方が 60 点以上で合格です。
問題番号 | 内容 | 配点 |
---|---|---|
1 ~ 50 | テクノロジ系から 50 問出題 | 各 1.25 点 |
51 ~ 60 | マネジメント系から 10 問出題 | 各 1.25 点 |
61 ~ 80 | ストラテジ系から 20 問出題 | 各 1.25 点 |
問題番号 | 内容 | 配点 |
---|---|---|
1 | 情報セキュリティ | 20 点 |
2 ~ 5 | テクノロジ系(ハードウェア、ソフトウェア、データベース、ネットワーク、ソフトウェア設計)から 3 問出題 マネジメント系とストラテジ系から 1 問出題 |
各 15 点 |
6 | データ構造およびアルゴリズム | 25 点 |
7 ~ 11 | ソフトウェア開発( C 言語、 Java 、 Python 、アセンブラ言語、表計算ソフトが各 1 問出題) | 25 点 |
問 2 ~問 5 は、 2 問を選択します。問 7 ~問 11 は、 1 問を選択します。
- 午前試験: 問 1 ~問 80
- 基礎知識や用語の意味を問う数行程度の短い問題です。
- 午後試験: 問 1 ~問 5
- 午前試験と同様のテーマを架空の事例に仕立てた数ページの長い問題です。
- 午後試験: 問 6
- 擬似言語で記述されたプログラムを読み取る長い問題です。
- 午後試験: 問 7 ~問 11
- プログラミング言語で記述されたプログラムを読み取る長い問題です。
info_outline試験制度に関する詳しい記事はこちら
初めて学ぶ方の勉強時間の見積もり方
午前は 50 日程度
午前試験の学習をしてから、午後試験の学習をするのが、一般的でしょう。
IT の基礎知識をほとんど学んだことがない人は、午前試験で合格点を取れるようになるために、 500 ページ程度の教材の内容を一通り学習する必要があります。
500 ÷ 10 = 50 日程度
かかるでしょう。
午後の選択問題は 21 日程度
午前試験で合格点を取れるようになれば、午後試験の問 1 ~問 5 は、各分野(テクノロジ系 5 分野およびマネジメント系とストラテジ系で 7 分野)の過去問題を 3 問ずつ学習すれば、十分でしょう。
長い問題であっても、午前試験と同様のテーマだからです。
7 × 3 = 21 日程度
かかるでしょう。
午後のアルゴリズムとプログラミング問題は … プログラミング経験次第
午後試験の問 6 ~問 11 の学習時間は、プログラミング経験の有無によって、大きく異なります。
以上のことから、学習時間のトータルは、
50 日+ 21 日+ 30 日= 101 日
≒ 3 か月です。
これを長いと感じるかもしれませんが、「自分が変わると世界が変わる」ためだと思えば、「たったの 3 か月」です。
info_outline勉強方法に関する記事はこちら
合格率が高い今こそチャンス
先ほど「このチャンスを逃さないでください」と言いましたが、今は、基本情報に合格する絶好のチャンスなのです。
図 3 に、近年に実施された基本情報技術者試験の合格率を示します。ここで注目してほしいのは、令和元年秋期まで 20 % 台だった合格率が、令和 2 年度 10 月以降は 40 % 台になっていることです。大幅に上がっています。いったいなぜなのでしょう?
年度 | 応募者数 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 (合格者数 / 受験者数) |
---|---|---|---|---|
平成 31 年 春期 |
77,470 | 54,666 | 12,155 | 22.2 % |
令和元年 秋期 |
91,399 | 66,870 | 19,069 | 28.5 % |
令和 2 年 10 月 |
60,441 | 52,993 | 25,499 | 48.1 % |
令和 3 年 上期 |
37,048 | 32,549 | 13,544 | 41.6 % |
令和 2 年度から、これまで紙ベースで実施されていた試験が、コンピュータを使った CBT ( Computer Based Testing ) 形式に変わりました。それでは、 CBT 形式になったことで、問題の内容がやさしくなったのでしょうか?
それは、言えません。なぜなら、 CBT 形式で実施された試験の内容は、公開されていないからです。受験した人は、問題の内容を他人に教えてはいけないことになっています。
したがって、この記事でも、現在の試験問題の内容に言及することはできません。ただし、合格率が高い今が、基本情報に合格する絶好のチャンスであることは事実でしょう。先延ばしせずに、今すぐ、受験のための学習を始めてください。
この記事をお読みいただいて「よし受験するぞ!」と決めたなら、その第一歩として、基本情報の教材を購入しましょう。お近くの書店に行ってみてください。膨大な数の教材があるはずです。それらの中から、自分に合っているものを、じっくりと選んでください。
ほとんどの教材には、試験制度や出題分野が示されているので、それらを参考にして、受験までの学習スケジュールを立ててください。
この記事のように、インターネットで入手できる情報も大いに活用してください。通信教育を受けるのも効果的です。どんな方法であっても、コツコツと歩み続ければ、必ず合格できます。
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大手電気メーカーでPCの製造、ソフトハウスでプログラマを経験。独立後、現在はアプリケーションの開発と販売に従事。その傍ら、書籍・雑誌の執筆、またセミナー講師として活躍。軽快な口調で、知識0ベースのITエンジニアや一般書店フェアなどの一般的なPCユーザの講習ではダントツの評価。
お客様の満足を何よりも大切にし、わかりやすい、のせるのが上手い自称ソフトウェア芸人。
主な著作物
- 「プログラムはなぜ動くのか」(日経BP)
- 「コンピュータはなぜ動くのか」(日経BP)
- 「出るとこだけ! 基本情報技術者」 (翔泳社)
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