基本情報技術者試験 シラバスの一部内容見直しの詳細 (追加される用語)

info 矢沢久雄さんにシラバス改訂に関する解説いただきました。こちらもぜひご覧ください。

基本情報技術者試験の 2019 シラバス改訂 で注目すべきポイント (用語解説付き)

情報処理推進機構(IPA)が5月27日、先日の見直しに関連して、その詳細な用語例などを公開しました。

情報処理技術者試験の「シラバス」における一部内容の見直しについて
~第4次産業革命に対応した用語例等の追加~
(抜粋) 見直し対象の主な分野、項目等は次のとおりです。

  1. AI(Artificial Intelligence:人工知能)
  2. IoT、ビッグデータ、数学(線形代数、確率・統計等)
  3. アジャイル
  4. 1. ~3. 以外の新たな技術・サービス・概念(ブロックチェーン、RPA等)
  5. その他、用語表記の見直し

https://www.jitec.ipa.go.jp/1_00topic/topic_20190527.html

この記事では発表されたシラバスをもとに、具体的に 追加 / 削除 された用語例をピックアップし、そこから考察してみました。

 

追加された用語

出展 基本情報技術者試験 Ver6.0PDF形式(変更箇所表示版PDF形式)

基礎理論

分野 追加された目標 追加があった項目 追加された用語
2. 応用数学 線形代数,行列などの数値計算を理解し,担当する事項に適用する。 (1)
確率と統計
同時確率

条件付き確率

ベイズの定理

(1)
確率と統計
単回帰分析

重回帰分析

ロジスティック回帰分析)

相関分析

主成分分析

因子分析

(2)
数値計算
線形代数

スカラ

ベクトル

固有値

固有ベクトル

逆行列

単位行列

転置行列

等差数列

等比数列

フィボナッチ数列

三角関数

3.情報に関する理論 (8)
AI(Artificial Intelligence:人工知能)
機械学習

汎化

ディープラーニング(深層学習)

5.計測・制御に関する理論 代表的なセンサ・アクチュエータの種類と動作特性を理解する。 (2)
制御に関する理論
温度センサ

湿度センサ

圧力センサ

ひずみゲージ

サーミスタ

ホール素子

 

アルゴリズムとプログラミング

分野 追加があった項目 追加された用語
4.プログラム言語 (2)
その他の言語
YAML

 

システム構成要素

分野 追加があった項目 追加された用語
1.システムの構成 (2)
システム構成
VDI(Virtual Desktop Infrastructure:デスクトップ仮想化)

FaaS

エッジコンピューティング

マイグレーション(ライブマイグレーションほか)

 

ヒューマンインタフェース

分野 追加があった項目 追加された用語
1.ヒューマンインタフェース技術 (2)
ヒューマンインタフェース
VUI(Voice User Interface)

UX デザイン(User Experience デザイン)

2.インタフェース設計 (5)
ユニバーサルデザイン
JIS X 8341
(6)
ユーザビリティ評価
ユーザビリティテスト

 

マルチメディア

分野 追加があった項目 追加された用語
1.マルチメディア技術 (1)
マルチメディア
コンテナフォーマット

4K/8K

(3)
静止画処理
HEIF
(4)
動画処理
H.264

HEVC

H.265

 

データベース

分野 追加があった項目 追加された用語
5.データベース応用 (3)
データ資源管理
構造化データ

半構造化データ

非構造化データ

ストリーミングデータ

 

ネットワーク

分野 追加があった項目 追加された用語
3.通信プロトコル (1)
プロトコルとインタフェース
IPoE(IP over Ethernet)

メッシュWi-Fi

5.ネットワーク応用 (6)
モバイルシステム
5G

テレマティクス

[モバイル通信技術] ハンドオーバ

ローミング

MIMO

LPWA(Low Power Wide Area)

IoT エリアネットワーク

 

セキュリティ

分野 追加があった項目 追加された用語
1.情報セキュリティ (3)
脅威
ビジネスメール詐欺(BEC)

SNS の悪用

(6)
攻撃者の種類,攻撃の動機
ダークウェブ

サイバーキルチェーン

(8)
情報セキュリティに関する技術
多段階認証
4.情報セキュリティ対策 (1)
情報セキュリティ対策の種類
情報セキュリティ訓練(標的型メールに関する訓練,レッドチーム演習ほか)
5.セキュリティ実装技術 (1)
セキュアプロトコル
WPA3
(5)
アプリケーションセキュリティ
セキュリティバイデザイン

プライバシーバイデザイン

 

ソフトウェア開発管理技術

分野 追加された目標 追加があった項目 追加された用語
1.開発プロセス・手法 アジャイルの概要,アジャイルソフトウェア開発手法の考え方を理解し,担当する事項に適用する。 (1)
ソフトウェア開発手法
[アジャイルの概要] アジャイルソフトウェア開発宣言

アジャイルソフトウェアの 12 の原則

XP(エクストリームプログラミング)

スクラム

ユーザストーリー

テスト駆動開発

リファクタリング

継続的インテグレーション(CI)

ふりかえり(レトロスペクティブ)

[XP(エクストリームプログラミング)の特徴] ペアプログラミング
[スクラムの特徴] スプリント

 

プロジェクトマネジメント

分野 追加があった項目 追加された用語
11.プロジェクトのコミュニケーション (3)
ツールと技法
コミュニケーションチャネル

 

システム戦略

分野 追加された目標 追加があった項目 追加された用語
2.業務プロセス (1)
業務プロセスの改善と問題解決
RPA(Robotic Process Automation)
4.システム活用促進・評価 情報システムに蓄積されたデータを分析して,事業戦略に活用することの重要性を理解する。 (1)
システム活用促進・評価
チャットボット
[データの分析及び活用] データマイニング(テキストマイニングほか)

エンタープライズサーチ
オープンデータ

パーソナルデータ

データサイエンティスト

 

システム企画

分野 追加があった項目 追加された用語
1.システム化計画 (1)
システム化構想の立案
SoR(Systems of Record)

SoE(Systems of Engagement)

SoI(Systems of Insight)

 

経営戦略マネジメント

分野 追加があった項目 追加された用語
1.経営戦略手法 (1)
経営戦略
デジタルトランスフォーメーション(DX)
(2)
マーケティング戦略
カニバリゼーション

スキミングプライシング

サブスクリプションモデル

3.ビジネス戦略と目標・評価 (1)
ビジネス戦略と目標の設定・評価
ビジネスモデルキャンバス

 

技術戦略マネジメント

分野 追加された目標 追加があった項目 追加された用語
1.技術開発戦略の立案 技術動向の把握,イノベーション促進の重要性を理解する。 (1)
技術開発戦略
オープンイノベーション

イノベーションのジレンマ

リーンスタートアップ

API エコノミー

デザイン思考

PoC(Proof of Concept:概念実証)

PoV(Proof Of Value:価値実証)

[価値創出の三要素] キャズム

魔の川(Devil River)

死の谷(Valley of Death)

ダーウィンの海(Darwinian Sea)

 

ビジネスインダストリ

分野 追加された目標 追加があった項目 追加された用語
1.ビジネスシステム (2)
基幹業務支援システム及び業務パッケージ
ブロックチェーンの活用(トレーサビリティ確保
スマートコントラクトほか)
(3)
行政システム及び公共情報システム
超スマート社会
Society 5.0
3.e-ビジネス ソーシャルメディアの概念,類型,技術的背景を理解する。 (1)
EC(Electronic Commerce:電子商取引)
キャッシュレス決済(スマートフォンのキャリア決済

非接触 IC 決済
QR コード決済ほか)

フィンテック(FinTech)

暗号資産(仮想通貨)

クラウドソーシング

(3)
ソーシャルメディア
ライフログ

情報銀行

シェアリングエコノミー

4.民生機器 IoT システム・組込みシステムのあらましを理解する。 (1)
IoTシステム・組込みシステム
BLE ビーコン
(2)
民生機器
スマートスピーカ
5.産業機器 (1)
産業機器
スマートファクトリー

インダストリー4.0

ロボット(産業用,医療用,介護用,災害対応用ほか)

ドローン

[自動車制御システムの特徴と動向] コネクテッドカー

自動運転

 

企業活動

分野 追加があった項目 追加された用語
1.経営・組織論 (2)
経営管理
アダプティブラーニング

HR テック(HRTech)

テレワーク

(4)
経営環境の変化
レピュテーションリスク

 

法務

分野 追加があった項目 追加された用語
2.セキュリティ関連法規 (1)
サイバーセキュリティ基本法
サイバーセキュリティ協議会
(4)
個人情報保護法
マイナンバー法
要配慮個人情報

匿名加工情報

一般データ保護規則(GDPR)

(8)
情報セキュリティに関する基準
中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン

コンシューマ向け IoT セキュリティガイド

IoT セキュリティガイドライン

サイバー・フィジカル・セキュリティ対策フレームワーク

3.労働関連・取引関連法規 (2)
取引関連の法規
資金決済法

 

削除された用語

基礎理論

分野 削除があった項目 削除された用語
4.通信に関する理論 (1)
伝送理論
直列

並列

 

コンピュータ構成要素

分野 削除があった項目 削除された用語
5.入出力装置 (2)
出力装置
CRT ディスプレイ

プラズマディスプレイ

 

ソフトウェア

分野 削除があった項目 削除された用語
3.ファイルシステム (2)
ファイルシステムの種類と特徴
HFS(Hierarchical File System)
5.オープンソースソフトウェア (2)
UNIX系OS
IRIX

 

マルチメディア

分野 削除があった項目 削除された用語
1.マルチメディア技術 (5)
情報の圧縮・伸張
LZH

 

ビジネスインダストリ

分野 削除があった項目 削除された用語
4.民生機器 (2)
民生機器
DLNA

 

考察

今回追加された用語がそのまま出題されるとは限りません。あくまでも、具体的にどこまで試験範囲が広がったのかを指し示すものです。

ただ、追加された用語をみると、AI や Python といったバズワードだけでなく、「モダン」と言われる技術・概念・知識を網羅しています。

個人的には、このこと、そのものはとても良い傾向に思います。テクノロジを扱う以上、アップデートするのが常です。

一方で、前回、平成最後の基本情報技術者試験 で 出題者たちが変わった、もしくは、出題傾向が変わったような印象を受けますが、そのことにより平均合格率が落ち、合格者そのものが減少してしまう可能性があります。

アップデートして機能拡張するだけでなく、よりスマートに、機能を削ぎ落とし、モダンな試験になるとよいですね。

 

今後の予定

このあと、令和二年 ( 2020 年度) の春期試験で追加される Python について、シラバス、例題が発表される予定です。

基本情報技術者試験 受験ナビでは、ひきつづき、アップデート情報をお知らせしてまいります。

fiber_new IPA より 2019 年 7 月 1 日 に Python の具体的なシラバス (試験範囲) の続報が発表されました。詳しくは下記の記事をご覧くださいませ。

Python の出題範囲 (シラバス) が発表されました

 

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