いいね! いいね! 見直された基本情報技術者試験 ~Pythonと午後分野の変更予測


2022-11-28 更新

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この記事は基本情報技術者試験の旧制度( 2022 年以前)の記事です。
この記事の題材となっている「午後問題」は現在の試験制度では出題されません。 ご注意くださいませ。

情報処理技術者試験を実施している IPA(独立行政法人情報処理推進機構)は、2019 年 1 月 14 日付けのニュースリリース で、基本情報技術者試験の内容を見直すことを発表しました。

具体的には、プログラミング言語から COBOL を廃止して新たに Python を採用することと、プログラミング能力および理数能力等に関する出題を増やすことです。どちらも、とってもいいことだと思います。

IPA より 具体的なシラバス改訂 や Python の試験範囲 の続報が発表されました。詳しくは下記の記事をご覧くださいませ。

基本情報技術者試験の 2019 シラバス改訂 で注目すべきポイント (用語解説付き)

Python の出題範囲 (シラバス) が発表されました

2020年度 春期試験 の Python は狙い目だ!

具体的な見直しの内容

  • 2019 年 の 秋期試験 から、午前試験で数学に関する出題比率を見直し、線形代数、確率、統計等、数学に関する出題比率を多くする。
  • 2020 年 の 春期試験 から、午後試験のプログラミング言語で COBOL を廃止し、新たに Python を追加する。
  • 2020 年 の 春期試験 から、午後試験の出題数、解答数、配点等を見直し、出題数および解答数を、現行の 13 問出題 7 問解答から、11 問出題 5 問解答に変更する。

見直しに関するコメント

(1)数学、計算問題が多くなることについて

午前試験は、80 問出題 80 問解答 という形式は同じまま、 数学の問題、つまり計算問題が多くなる ということです。

見直し後のシラバス ver 4.2(知識・技能の細目)を見ると、出題テーマが増えることはないようです。

試験対策としては、これまでの過去問題で、数学の計算問題を数多く勉強しておけば OK でしょう。

 

これは、教える側として、大歓迎です。

用語を覚える問題より計算問題の方が、解けて楽しく、教えて楽しいからです。「数学は苦手」なんて言ってちゃだめですよ。中学レベルの数学なのですから、やればできます。

数学の問題が増える分、どの分野が減るのでしょうか。出題テーマが変わるわけではないので、気にしなくて大丈夫でしょう。

(2) COBOL 廃止、Python 追加

これは予測していましたし、大歓迎です。

最近では、COBOL の研修を実施しても、ほとんど参加者がいないからです。その代わりが Python になるのは、当然のことでしょう。

これは、参考資料ですが、プログラミング言語の人気ランキングを独自に集計し公開している TIOBE Index(オランダのソフトウェア会社が運営する Web ページ)では、上位を独占する C 言語一族( C 言語、C++ 、Java 、JavaScript 、C# など)に食い込んでいる他言語は、Python だけだからです。

2019 年 1 月のランキングでは、Java 、C 言語 に続いて、第 3 位です。

Python の最大の特徴は、C 言語一族ではない ということです。

第 5 位に Visual Basic.NET がありますが、これは、C# と同等のことができるように従来の Visual Basic の言語構文を拡張したものなので、Visual Basic.NET ≒ C# だといえます。

ですから、この人気ランキングで、C 言語一族でない他言語は、Python だけなのです。

 

labelTIOBE Indexに掲載された 2019 年 1 月のランキング

Jan
2019
Jan
2018
change Programming
Language
Ratings change
1 1 Java 16.904% + 2.69%
2 2 C 13.337% + 2.30%
3 4 call_made Python 8.294% + 3.62%
4 3 call_received C++ 8.158% + 2.55%
5 7 call_made VisuialBasic.NET 6.459% + 3.20%
6 6 JavaScript 3.302% – 0.16%
7 5 call_received C# 3.284% – 0.47%

※出典:index | TIOBE – The Software Quality Company

 

今回の見直しでは、表計算ソフトは、廃止されませんでした。選択する受験者が多いからでしょう。

これは、個人的な意見ですが、IT パスポート試験の位置付けが、基本情報技術者試験(エンジニア向けの試験)の下位ではなくて、別枠の試験(ユーザ向けの試験)になった時点で、表計算ソフトは廃止されるべきだったと思います。

私の記憶が確かなら(確かでなかったらごめんなさい)、表計算ソフトは、ユーザーが、IT パスポート試験の次のステップとして、基本情報技術者試験を受けられるようにするために採用されたものだからです。

表計算ソフトは、プログラミング言語が苦手な IT エンジニアに、逃げ道として用意されているものではありません。

 

午後試験の問 8 の「アルゴリズムおよびデータ構造」にも、見直しがないようです。できることなら、擬似言語をやめて、従来のフローチャートに戻してほしいと思います。

擬似言語は、実用的ではないからです。

これも、私の記憶が確かなら、フローチャートから擬似言語に変更されたのは、基本情報技術者試験を CBT(コンピュータの画面で行う試験)にするためだったはずです。

CBT を断念したのですから、擬似言語をやめて、実用的なフローチャートに戻してほしいと思います。

(3)午後試験の出題数が、現行の 13 問出題 7 問解答から、11 問出題 5 問解答に変更される

これに関しては、具体的な問題構成は示されていません。予測してみると、以下のようになるでしょう。

わかりやすいように、変更点を太字で示しています。

現行の午後試験と見直し後の午後試験(予測)の比較

現行の午後試験 見直し後の午後試験(予測)
13 問出題 7 問解答 11 問出題 5 問解答
問 1
情報セキュリティ(必須)
問 1
情報セキュリティ(必須)
問 2 ~ 問 7
「ハードウェア」
「ソフトウェア」
「データベース」
「ネットワーク」
「ソフトウェア設計」
「マネジメント系」
「ストラテジ系」

( 4 問選択)

問 2 ~ 問 5
「ハードウェア」
「ソフトウェア」
「データベース」
「ネットワーク」
「ソフトウェア設計」
「マネジメント系」
「ストラテジ系」

( 2 問選択)

問 8
「アルゴリズムおよびデータ構造」
(必須)
問 6
アルゴリズムおよびデータ構造(必須)
問 9 ~ 問 13
「C 言語」
「COBOL」
「Java」
「アセンブラ言語」
「表計算ソフト」

(1 問選択)

問 7 ~ 問 11
「C 言語」
「Java」
「Python」
「アセンブラ言語」
「表計算ソフト」

(1 問選択)

 

問 2 ~ 問 5 が、出題分野が 7 つで 2 問選択では、分野が多すぎるので、統合されるでしょう。

シラバスを見ると 「ハードウェア・ソフトウェア」が1つに統合 されているので、これは決まりでしょう。

残りの分野は

「データベース・ネットワーク」
「ソフトウェア設計」
「マネジメント系・ストラテジ系」

に統合されるのではないかと思われます。

つまり、4 テーマから 2 問選択です(はずれたらごめんなさい)。

 

全体として問題が減ることは、講師として、大・大・大歓迎です。

1 回分の過去問題を解説する時間が少なく済むからです。学習も少なく済みますね。

さらに欲をいえば、以前の基本情報技術者試験のように、選択問題なし(プログラミング言語だけ選択)に戻してほしいです。そうすれば、ますます教えやすく、学習しやすくなります。

「 Python を選ぼうかな?」とお考えの受験者へアドバイス

これまでの試験では、「新たに追加された分野の問題は、とってもやさしい!」という特徴がありました。

これは、「新たな分野の問題は、ほとんどの受験者が選ばなかったし、選んだ人も正解できなかった」という結果になることを恐れてのことでしょう(たぶん)。

したがって、2020 年の春期試験から採用される Python の第 1 回目の問題は、とってもやさしいはずです。2020 年の春期試験を受けるなら、Python を選ぶことを大いにお勧めします。

 

ただし、 第2回目は、ぐっと難しくなる のでご注意ください。

Python の言語仕様、シラバス、サンプル問題については、2019 年 10 月に公開予定とのことですので、要チェックです。

 

以上、試験対策講座の講師をしている者として、基本情報技術者試験の見直しの内容に関して、勝手ながらコメントさせていただきました。受験者の皆様に、少しでも参考になれば幸いです。

 

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