応用情報技術者試験〔午後〕経営戦略 対策 「午前と午後の過去問を分けて学習」


2021-06-07 公開

応用情報技術者試験の午後問題において、選択問題になっている経営戦略(通常は問 2 で出題)をどうするのかを考えてみましょう。

選択すべきかどうか

最初に、選択すべきかどうか、すなわち選択分野での対策の優先順位をどうするのかを考えてみましょう。

この分野の高度系区分は IT ストラテジスト試験です。企業に対して情報化の企画・提案をする IT コンサルタントを対象とした試験区分になります。したがって、今、そういう仕事をしている人や、応用情報技術者試験合格後に IT ストラテジスト試験の受験を予定している人は優先順位が高くなると思います。

加えて、この分野で学ぶ “経営” や “業務知識” に強くなれば、( IT ストラテジスト試験だけではなく)システムアーキテクト試験、データベーススペシャリスト試験、システム監査技術者試験も楽になるでしょう。

また、午前問題での同分野(ストラテジ系)の出題比率が約 4 分の 1 ( 80 問中 20 問)になることと、午後問題で問われていることが…そこそこ午前問題で問われる知識の有無でもあるため、ストラテジ系を得意分野にしておこうと考えている人も優先順位を高くしておくといいでしょう。ストラテジ系を得意分野にしておくと午前、午後、いずれにも有利になりますからね。

これらのことを考慮して、経営戦略(ストラテジ系)分野への優先順位を考え、準備するかどうかを考えましょう。

特徴や課題、対策方法

経営戦略分野を仕上げるには、午前と午後を分けて考えることをお勧めします。

まずは、午前問題を使って“断片的な知識” を習得します。というのも、覚えないといけない知識がかなり多いですからね。経営、マーケティング、業務プロセス、法律など、必要な知識は多岐にわたります。

そして、その断片的な知識(用語の意味など)を「経営シーンのどこでどう使うのか?」をしっかりと把握して、線でつなげるのが午後の問題になります。ある程度、午前問題を使って断片的な知識がストックできてきたら、午後の問題を使ってつなげていきましょう。

例えば、午前問題を通じて SWOT 分析というワードを学べば、 SWOT 分析をテーマにした午後問題に目を通して理解を深めるというわけです。

これが、経営戦略分野(ストラテジ系)に対する基本戦略になります。

どんな知識(何について)を、どのレベルまで知っておくべきか?

それでは、具体的にどんな知識を、どのレベルまで知っておくべきなのでしょうか。

IPA が公表している平成 16 年以後の過去問題(平成 20 年以前は、旧ソフトウェア開発技術者試験の問題)をテーマ別に分類したものが次の表です。大別すると、簿記関連知識、経営戦略策定、マーケティング、 BCP 、その他に分類できます。

過去問題で体系的に学ぶ経営戦略

カテゴリ 問題番号 テーマ 対象業界
業務
簿記関連知識 22 1 財務分析( 1 ) 外食チェーン
26 2 財務分析( 2 ) 電子部品の製造・販売
29 2 財務分析( 3 ) 電子部品会社
21 3 原価計算 電子部品メーカ
25 1 投資評価( NPV ) 製造業
24 1 M & A(のれん) 飲料事業
21 1 工事進行基準 SW 受託開発会社
事業戦略策定 21 3 SWOT 分析基礎 フィルム製造
23 1 SWOT 分析,アウトソーシング 家具の製造販売
30 2 クロス SWOT ,ポジショニング スーパー
01 2 SWOT 分析 スマートフォン製造・販売
29 2 BSC (バランス・スコア・カード) ,財務分析 コーヒーチェーン
22 3 BSC
24 1 ロジカルシンキング 婦人服小売業
02 2 PEST ( Politics / Economy / Society / Technology ) 分析 IT 企業
マーケティング 21 1 マーケティング戦略基礎 食品スーパー
28 2 4 P コンビニ
22 1 販売戦略 旅行会社
23 1 価格戦略 家電量販店
31 2 ファイブフォース分析 ホテル
25 1 ファイブフォース分析 料理教室チェーン
27 2 ブランド戦略 冷凍食品専業メーカ
26 2 RFM ( Recency / Frequency / Monetary ) 分析 輸入雑貨
03 2 バリューチェーン分析 機械部品メーカー
BCP 23 3 BCP 外食産業
28 2 BCP 家電部品メーカ
その他 24 3 業務改善 建設会社
22 3 発注方式 家電製造・販売
25 3 リスク分析,対応計画 電子メール
24 3 システム実現方式 CRM
23 3 EA 合併
30 2 QC 7 つ道具 レストラン

looks_one経営戦略立案手順

最初に押えておきたいのは、経営戦略の立案手順です。経営理念、経営方針、経営目標、経営戦略、中長期経営計画等、順を追って経営計画まで落とし込む一連の手順ですね。この一連の流れをベースにして、個々必要な知識をつなげていきます。

また、経営戦略立案ツールのひとつ BSC (バランス・スコアカード)に関する知識も早期に理解しておきたいところです。事業環境分析の SWOT 分析や BSC は午後問題でも、よく出題されています。イメージもしやすいと思うので、押えておきましょう。

looks_two簿記

続いては “簿記” の知識ですね。会社の状況は財務諸表に現れます。戦略を立案する時も、時に財務諸表をどのようにするのか?を考えますからね。それに、売上から入金、仕入れから支払いまでの一連の業務に関する知識も整理できます。

簿記を勉強するには、簿記 3 級及び簿記 2 級のテキストを使うのがベストです。情報処理技術者試験対策だけを考えれば、具体的な細かい仕訳はできなくても構いません。なので、簿記の資格取得を目標にするほど時間をかけなくても大丈夫です(もちろん、簿記の資格取得を目指すとと、もっと良いと思います)。代表的な勘定科目の意味や貸借対照表や損益計算書がどのように作られるのか(簿記一巡の手続き)などを中心に学んでいきましょう。

looks_3午前対策

応用情報技術者試験の経営戦略分野の問題は、前述の通り、マーケティングや経営戦略に関する “知識” が頻繁に問われます。

そこで、午前対策を中心に断片的な知識を身に付け、その上で、午後の問題をチェックして、深く理解するようにしていきましょう。午後問題を午前問題で習得した断片的な知識を線でつなげるために活用するというわけです。

そのために重要なのは、問題文を読む順番です。過去問題をやみくもにやるだけでは効率が悪すぎます。上記の表を参考にしながら、テーマごとに知識を整理していきましょう。もちろん、設問単位では前後することもありますが、問題文を参考書代わりに使うと考えて、テーマごとにチェックするようにしましょう。

参考書

過去問題を中心に学習を進めていく上で、必要に応じて参考書を使うと効率的です。

参考書は、高度系の IT ストラテジスト試験の対策本を活用するのも悪くはありませんが、(手前味噌かつ宣伝になってしまうのですが…)翔泳社から出している拙著の「ITエンジニアのための【業務知識】がわかる本」がお薦めです。

これは、試験対策本ではなく実務用途で書いた書籍なのですが、掲載するキーワードの絞り込みを行う上で、中小企業診断士試験や情報処理技術者試験を参考にしています。過去問題で出題された問題は、ほぼ全部掲載しています。加えて、実務用途なので新規問題にも対応できます。

業務知識を体系的にまとめているので学習もしやすいので、効率よく学習したい方や、この先 IT ストラテジスト試験を見据えている方は、一度チェックしてみてください。

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