美術史専攻のド文系出身で基本情報技術者試験を初受験し午後のスコア 95.5 点で合格できた対策方法とは?

error

この記事は基本情報技術者試験の旧制度( 2022 年以前)の記事です。
この記事の題材となっている「午後問題」は現在の試験制度では出題されません。 ご注意くださいませ。

ブログ、SNS、動画など様々なメディアに情報が溢れ、基本情報技術者試験の対策方法は、さまざまな方の受験体験から、近しい人の勉強法を参考にして、自身のやり方を決める時代になりました。

この「受験体験記」では、合格不合格問わず、様々な受験者の方の受験体験をインタビューしています。

 

今回は、“ド” 文系の美術史専攻で、2 進数も 16 進数も「人生でほとんど触れたことがなかった」のに、初受験で、午後スコア 95.5 点をとって合格された 山本 萌子 さんに、その勉強方法だけでなく、オススメしない方法、自分は使えなかった午前免除制度を激推しする理由など、対策したことを伺いました。

お話を伺った方

山本 萌子 さん
株式会社 SE プラス
Media Team エンジニア

開発経験があっても、基本情報は別物

― まずは受験前のご経験について、伺えますか?

新卒でエンジニアとして就職して、トータル開発経験 2 年 7 ヶ月くらいです。

普段は自社サービス「独習ゼミ」「 SE カレッジ」「 DOJO 」のアプリケーション開発を行ったり、ランディングページのデザイン・作成を行ったり、他のページで使用するイラストを描いたりと、いろんなことをしています。

― エンジニアの領域、超えてるものがありますね (笑) 。ちなみに、学生の頃は、何を専攻されていたのですか?

“ド” が付くレベルの文系で、大学では美術史を専攻していました。なので、IT は何も知らなかったですね。

― IT ほぼ無縁ですね (笑) なぜに IT にきたのか。。
とはいえ、開発経験があるなら、基本情報の知識はそれなりにお持ちだったのですか?

今回が初受験で、基本情報は初めて勉強したので、業務で使っているデータベースやプログラミングのほかは、全く知識はありませんでした。

― なるほど、開発経験があるといっても、基本情報の知識とはまた違うんですね

結構、違うようには思います。

私が普段、使っているプログラミング言語も PHP や JavaScript なので、残念ながら、選択できませんでした。。

― PHP はなく、しかも、追加されるのは Python ですものね。
では、すでに開発経験を積んでらっしゃるのに、なぜ受験しようと思われたのでしょうか ?

今年の 3 月ぐらいに上司から、エンジニアとしての基礎知識の向上と、自社の「独習ゼミ」の基本情報技術者試験対策コースの改善点をユーザー目線から挙げよう、という目的で受験するよう指示を受けました。

私としても社会人 3 年目になりますし、資格を 1 つくらいは取っておきたいなと思っていたので、これを機会に、という感じでした。

― いいですね、ドッグフーディング。実際、ドッグフードしてみた結果も気になるところですが、先に話を進めましょう。
試験に合格されたとのこと、試験スコアを教えて頂いてもよいでしょうか?

午前試験が 82.5 点、午後試験が 95.5 点でした。

午後試験の選択はデータベース、ソフトウェア設計、プロジェクトマネジメント、経営戦略・企業と法務、表計算です。

スコアの様子

― ちょっとエグいスコアとってますね。。完璧じゃないですか。

午前試験についてはもっと点数取りたかったなというのが本音です。ケアレスミスが数問あったので、少なくとももう 2 ~ 3 点くらいは取れたかな … と少し悔しいです。

午後試験は解いたあと、結構自信があったので(自己採点で 2 問ミス)、90 点台後半を取れてよかったです!

― ( 完璧主義かよ。。) そんなスコアなら、やっぱり試験対策も「余裕に 1 週間前から、チョロっとやった」みたいな感じですか ?

いやいや、いやいやいやいや、そんなことはありませんよ (笑)

― またまた (笑)。 では、どんな対策をしようと考えていたのですか ?

まず、午前試験は数学分野の出題が増えることが予告 (*) されていて、私は数学が “本当に” できない人間なので(高校数学は数Ⅰ・数A・数Ⅱしかやっていません)、そこは点を取れない前提にしました。

関連記事: いいね! いいね! 見直された基本情報技術者試験 ~Pythonと午後分野の変更予測

― あらら

ただ、数学の問題を増やすと言っても、他の分野を出さないわけにもいかないでしょうから、おそらく増えても全 10 問くらいだろうと予測を立てて、平成 22 年度 秋期~平成 31 年度春期の午前試験の過去問で、

  • 試験の出題数 80 問から、数学の 10 問を引いた 70 問で、試験の合格ラインとなる正解率 60%
    = 80 問で換算すると 55 問は最低限、正解できるようになるまで学習する
  • 比較的難易度の低い年度の問題に関しては 8 割以上= 64 問以上正解できる

という方針を立てました。

― おお、しっかり計画してらっしゃる !! スコアからは予想だにしない、まったくもって厳しいスタートだったんですね。。確かに “ド” 文系は数学苦手ですよね。

そうですね。一応、理系の知り合いに行列ってなに?ベクトルってなに?という基本的なことは教えてもらいました。

あとは、データベースなどは普段の業務で使っていて特に学習しなくてもできるので飛ばしました。

逆に 2 進数や 16 進数など、人生でほとんど触れたことのない分野や、ネットワークなど普段使ってはいるけど意識を全然していない、かつ想像がつきにくい分野は苦手だったので、そこを重点的に学習しました。

― 文系の人生には 2 進数、ほとんど出てこないですよね。。伺うと、やはり、開発経験と基本情報の知識は違いますね。
では、午後対策はどんな方針だったんですか?

午後問題に関しては、長文を読むのが苦手ではなかったので、基本的には、

  • 午前問題で知識を付けること
  • 表計算の関数について参考書を読んで学習
  • アルゴリズムの疑似言語の表記がどのようなものなのかを過去問で確認

と考えていました。

アルゴリズム問題そのものについては業務で要件定義~実装まで 1 人で行うことが多く、「このシステムを実現するためにはロジックはこうあるべき」というのを日常的に考えているので、特に対策はしませんでした。

ちなみに、アルゴリズムが苦手な方は、まずは身近なシステムのアルゴリズムを想像してみると良いと思います。

― なるほど! 開発経験があると、そのあたりが違うんですね。ただ、午後試験にも苦手分野でてきますよね

「ソフトウェアが出たらできる限り選択しない」
「ネットワークは絶対に選択しない」

と選択しない分野を決めておきました。問題を選択するときに迷うのが一番、時間の無駄だと思っていたので … 。

― とても、エンジニアっぽい発想です。となると、学習時間も、バッファを積んで見積もりしたのですか?

いえ、長期的に学習するのが向いていないタイプなので、お盆から学習を開始すると決めていました。

― あら、そうなんですか。計画を伺うと、結構やることが多いように見えるのですが、進捗はどんな感じでしたか?

概ね、予定通りに進みました。 … が、結構、買った参考書が分厚いものだったので、読むのに普通に 1 ヶ月くらいかかりましたし、それが終わったらもう残り1ヶ月しかないので、半ば、背水の陣みたいな感じで進めていました。

なので、ちょっとした Hack を色々しました。

例えば、午前試験は問題によって移動中などでもできる問題と、紙とペンがないとキツい問題に分かれるので、移動中などは “暗記分野” 、紙とペンが使えるときは “計算分野” 、と分けて効率的に勉強したりしていました。

― 暗記問題と計算問題に分けてやるのは、いいですね。実際、お盆明けからどんな勉強していたのですか?

お盆 ~ 9 月中旬の 1 ヶ月で参考書を 1 周し、残り 1 ヶ月で過去問をとにかく解く、という時間配分で考えていたのですが、実のところ、お盆~ 9 月末までは毎日学習していたわけではなく、1 週間に平均 2 ~ 3 日、気が向いたときに学習していました。( 1 ヶ月で合計 20 時間くらい)

10 月に入ってからは、平日は 1 日に 2 回分の午前試験の過去問を解き、休日は 4 回分の午前試験の過去問を解く、を繰り返しました。

それに加えて、苦手のネットワークの過去問を詰める、という感じです。2 週間で合計 30 時間くらいですかね。

試験直前は金曜日にお休みを頂いて、試験前 2 日間で午後試験の過去問を 3 回分と、午前試験の苦手だった年度、苦手な分野を解きました。2 日間で合計 10 時間くらいです。

合計すると、およそ 2 ヶ月で 60 時間です。

― なかなか地道にコツコツと苦手克服の勉強されていますね。

計算問題や苦手克服に近道なし

― 勉強で、つまづいたところはどんなところでしたか?

2 進数と 16 進数は「なんだこれ????」となっていたのですが、何回か過去問を解いているうちに急にできるようになりました。習うより慣れよ、というやつです。

あと MIPS などのいろいろな計算問題は、何回、解いても見るたびに「うわぁ … 」と思ってました。

計算してると何やってるのかだんだんわからなくなってくるので、ただ数字を計算するだけではなく、今これを出しているぞ、次はこの計算でこれを出すぞ、と、途中経過を考えながら計算することを心掛けました。

あとは、参考書を読む中で「ここは苦手だろうな~」と思ったところが順当に時間がかかりました。

― ちなみに “ド” 文系であれば、苦手な計算問題は「捨てる」という選択肢もある気がしますが ?

先程の通り、数学問題の比率を増やすと IPA から発表があったので、 (捨てるのは) 厳しいと。

その発表で「行列」「極限」など数学の分野が広がると予測されていたことに加え、そういう傾向になるのであれば、計算問題も出題が増える可能性もあると。

そうすると、全部捨てるのはリスキーだと思っていました。

― 実際、読みどおり、午前問題は計算問題や新規問題も増えましたね

あとは、不安要素を無くしてメンタルを安定させるというのも大きかったです。

午後試験は得意や苦手で「選択」することができる問題ですが、午前試験って出題された問題から逃げることができないですよね。

そうなったときに、何も対策しないで捨てた問題がめちゃくちゃたくさん出たらどうしよう?という不安を抱えた状態で受験することは、私にとってはかなり嫌なことでした。

実際、計算問題は、ちょっとやってみると、何一つわからんというレベルの難しさではなく、対策や解法を理解すればそこまで難しいものではなかったので、やって安心しよう、という感じでした!

― あとは先程、話題に挙がっていたネットワークはどうでしたか?

やっぱり、ネットワークの問題全般は苦手でした。なので、とにかくネットワークの過去問を解き続けていました。

過去問を解く→ 解説を見る → なぜ間違えたのかを考える、というサイクルを繰り返して、どうにか最低限の点を取れるようになりました。

どうしたって苦手問題や計算問題にはショートカットが無いので、地道に、とにかくそのサイクルを回し続けるしかないと思います。

おすすめしない勉強方法は ?

― 使ったコンテンツ (参考書、アプリ、Web ページなど) はどうでしたか ?

個人的に使って良かったのは、参考書では 「かんたん合格 基本情報技術者過去問題集」(インプレス) で、アプリは 「基本情報技術者試験 午前問題集 ( iPhone ) 」( Maiji Saito 開発) です。

どちらにも言えることなのですが、問題を解いたあと、すぐに答えを出してくれるのが個人的に好みでした。

すべての問題を解き終わってから答えが出る形式だと、最初の方に解いた問題は自分が何を思ってその答えにしたのか、どういう計算をしてその答えになったのか忘れてしまうことが多いので、解いた直後に答えを確認できるのが、私には合っていたと感じます。

― 自社のコースが挙がっていませんが … (笑)

もちろん、自社のコースも受講していたのですが、ひいき目に見てしまうと体験談としていかがなものか (笑) と思ったことと、改良するともっとスコアアップに繋がる部分があると感じたので、挙げませんでした。なお、改良点はすでに上司に報告書を提出済みです!

― そういうことだったんですね。では、改善進めましょう!
あとは、勉強してみて、これはダメなやり方かも知れない、と思うものはありましたか?

1 つ目は「参考書を読むことに時間をかけすぎる」ことかなと思います。

今回実感したことですが、基本情報技術者試験って範囲が広いので、それを細かいところまで逐一理解しようとすると、果てしなく時間がかかりますし、実際そんなに細かい内容って、ほとんど出題されないんですよね。

なので参考書はざっくりと読んで、過去問を見たときに「マジで何言ってるか 1 つも分からん」という状況を無くすぐらいでいいかな~と個人的には思います。

最終的に過去問をたくさん解いたらイヤでも覚えるので、参考書読解に時間をかけすぎるくらいなら、さっさと過去問を解いた方が手っ取り早いです。

― なるほど! たしかにそうですね!!

2 つ目は「アルゴリズムのトレースを丁寧にやりすぎる」ことではないでしょうか。

綺麗に表を作って書きとどめていきたい派の人も結構いらっしゃるかと思いますが、午後試験は時間がカツカツなので、余程トレースの達人でもない限り時間が足りなくなって焦ってミスをする、ということになりかねない気がします。

学習し始めは丁寧に表を作って理解していく方針で良いと思いますが、試験当日までにはかなり簡略化できるようにしておいた方がいいです。

そして、トレースよりも問題文を読んで仕様を理解できるようになること、求められているアルゴリズムがどのようなものかを想像できるようになる方にウエイトを置いた方がいいと思います。

私は基本的に頭の中だけで追っていって、変化が激しく追いきれない変数だけかいつまんでちょこっとメモをする、ということをしていました。

午前免除のメリットは …「首が痛くならない」!?

― 勉強した中で、仕事などで役に立ちそう、と思ったところはどのようなものですか?

基本情報技術者試験に出題される内容って、基本的に、いまの開発の業務で直接使うことって、あまりないんですね。

ただ、アルゴリズムの問題は役に立っているかなと思います。

アルゴリズムって仕様が分かれば、自分で 1 から書いた方が分かりやすいし、やりやすいんですけど、業務だと知らない人が書いたアルゴリズムを読み解いて改修することが多々あります。

アルゴリズムの穴埋め問題は、自分以外の人間が書いたアルゴリズムを読み解く練習になると思います。

あとは、広い試験範囲のなかで、この分野、興味あるなとか、ここは学習を進めていったら業務に役立てそうだな、というものを発見したり、その分野を学ぶ第一歩にすることはできると思っています。

― ちなみに、開発業務だとデータベースはどうでしょうか? サブクエリやトランザクションなどの学習は割と実務寄りに思います

取っ掛かりにはいいと思いますね。

ただ、実務だともっと面倒くさい SQL を書くこともありますし、テーブルも、もっと細分化されていたり JOIN が複雑だったり … ということが多くて、試験の内容は結構、入門的だなと感じています。

― 確かに、実務の SQL 複雑ですものね。わかりみです。
では、最後に、これから受験する方に「これだけは伝えたい」と思うものはありますか?

基本情報技術者試験は午前試験を免除できる制度がある (*) んですが、個人的には絶対免除しておいた方がいいと思います。

理由は 2 つあって、

  1. 今回のように午前試験の難易度が高かった場合に対応できる
  2. 当日圧倒的に疲れない

です。

関連ページ: 基本情報技術者試験 午前免除制度とは【独習ゼミ】

今回の午前試験、極限など今までになかった数学分野が出題されたり、その他の問題でも計算問題が増えたりなど、ちょっと難しかった印象があります。

午前試験を免除できれば、試験当日に難しい午前の問題に直面することもありませんし、本試験では午後試験に集中することができます。

なので、 午前の問題が苦手な人にも、午後の問題が苦手な人にもメリットがあるということなんです!

― たしかに、どちらかが苦手であれば、なおさらですね

そして 2 つ目は声を大にしてお伝えしたいのですが、真剣に 5 時間通して問題を解き続けるのって、めちゃくちゃしんどいです。しんどかったです。

現在は CBT 試験になり、午前と午後は別々に受験できるようになりました。

― 2 回、言いましたね (笑) 大事なことですね。

はい、もう本当に実感しました。(笑)

午前試験と午後試験の間に休憩はありますが、それほど時間は取れませんし、午後試験は長文を読むので集中力が欲しいところですが、午前試験を受け終わってヘロヘロになったあとに、午後試験で集中力を保つのはかなり厳しいものがあります。

― 受験者の皆さん、そう言いますよね。

あとは首が超痛いです。(笑)

5 時間くらい下を向いて問題を解き続けるのは結構つらいです。午後試験の最後の方は「首が痛い」が思考の半分を占めていました。

コンディションが良い状態で午後試験を受けられる、これだけで午前免除はする価値が大アリだと思います。

― 午前免除のメリットはそこですか (笑)

そう言い切っても過言ではありません。(笑)

そして、最後は宣伝になりますが、「独習ゼミ」基本情報技術者試験対策コース は午前免除試験に対応していますので、受験を考えている方は、ぜひご検討ください!

ちなみに、私はインサイダーになる (*) ので午前免除試験が受けられませんでした。 (笑)

IPA から午前免除コースと認定されると、認定された企業・団体が午前免除試験を実施する

― (笑 笑 笑)
今日はありがとうございました !!

ありがとうございましたー。

 

label 関連タグ
科目A試験は、
免除できます。
独習ゼミで科目A試験を1年間免除して、科目B試験だけに集中しましょう。
免除試験を受けた 74.9% の方が、
科目A免除資格を得ています。
科目A免除試験 最大 2 回の
受験チャンス !
info_outline
科目A免除試験 最大 2 回の
受験チャンス !
詳しく見てみるplay_circle_filled
label これまでの『受験体験記』の連載一覧 label 著者