ネットワークとアルゴリズムが大の苦手でも基本情報技術者試験に合格できた午後分野の「捨て方」とは?

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この記事は基本情報技術者試験の旧制度( 2022 年以前)の記事です。
この記事の題材となっている「午後問題」は現在の試験制度では出題されません。 ご注意くださいませ。

ブログ、SNS、動画など様々なメディアに情報が溢れ、基本情報技術者試験の対策方法は、さまざまな方の受験体験から、近しい人の勉強法や学習時間などを参考にして、自身のやり方を決める時代になりました。

この「受験体験記」では、合格不合格問わず、様々な受験者の方の受験体験をインタビューしています。

 

今回は、アルゴリズムの理解が進まず、ネットワークが大の苦手で「捨てる」という選択までしても、合格できた 橋本 さん (仮名) に、その対策した内容と、「捨てる」コツなどをインタビューしました。

お話を伺った方

橋本 博 さん (仮名)
システムエンジニアリングサービス ( SES ) 会社 所属

基本情報技術者を取得していないことを面接で言われた

― まずは受験前の知識はどのようなものでしたか?

2 年前に取得した IT パスポートの知識ぐらいしかなく、基本情報は初めての受験でした。

― IT パスポート合格後、少しブランクがあったんですね。なぜ、今回、基本情報を受験しようと思われたのでしょうか?

IT 業界の登竜門に位置する資格であり、この業界にいるなら取っておきたいと考えていたところ、自分より年下のメンバーが何人か取得していて、その人達に負けたくなかったからと思ったことがキッカケです。

また、一時期、転職を考えたことがあり、その際、面接官の方に「基本情報、持ってないんだねー」と言われ悔しかった ので、何としても合格しようと思っていました。

― やはり、基本情報の取得は一定の基準になるんですね

就職においても基本情報の資格があるとないとでは、かなり差が出ますし、いま私が行っているシステムエンジニアリングサービス ( SES ) の方なら単価アップにも繋がります。

あとは、自分の自信にもなります。

― 確かにそうですね。
では、基本情報を初受験されて、どのような結果だったのでしょうか?

午前免除修了試験に合格できていたので、今回は午前試験を受験していません。

受験した午後試験は 63.50 点と、合格点ギリギリでした。

アルゴリズム以外は 7、8 割解けたのですが、アルゴリズムが 9 問中 1 問しか分からず、残りは勘で解きました。1 問勘で正解していたので、アルゴリズムは 2 / 9 でした。

― 勘で正解していたとは、本当にギリギリでしたね

そうですね、アルゴリズムを再度復習したいと思います。

次の試験からアルゴリズムの配点が 25 点、プログラミングも 25 点に変更されることが決まっていて、今回の試験が最後のアルゴリズム 20 点配点だったので、本当によかったです。

― 本当に合格できてよかったですね !!

午前免除を活用

― どのような試験勉強をされたのでしょうか?

少しでも合格の可能性を広げたかったので、午前免除制度 *1 を活用しようと思い、 IPA の認定を受けている「独習ゼミ」の対策コース を活用しました。

午前免除の試験は 6 月と 7 月(下期向け。上期向けは 12 月と 1 月)にそれぞれ 1 回ずつあり、本番試験同様、出題数は 80 問で、合格のボーダーは 60 % ( 48 問以上の正解) 以上です。

午前免除試験自体は全て過去問の流用 *2 ですので、コースの参考書や動画をみて、過去問をひたすら回して、4 月末から一日 1 時間、休日は 2 時間、午前試験の勉強をしていました。

*1 関連記事: 令和2年(2020年)度と令和3年(2021年)度 基本情報技術者試験 午前免除 活用スケジュール
*2 関連記事: 基本情報技術者試験 午前免除(修了試験)の講評 ~ 2020年12月13日実施

― 午前免除、お金はかかりますが、メリットは大きいですよね

はい、午前試験を免除できたので、午後のみの勉強に集中できました。

― では、その午後対策はどのように進められたのでしょうか?

午後の対策を開始したのは 9 月に入ってからですね。

ただ、午後の必須選択の情報セキュリティは、基本情報の対策の一環で、今年 4 月に情報セキュリティマネジメント試験 ( SG ) を受験・合格していて、このときの勉強がすごく役立ちました。余談ですが、SG の勉強をすれば、基本情報の情報セキュリティは突破できます。

― 基本情報のために、SG まで受験されていたとは … 並々ならぬ対策ですね。
一方で、他の分野はどのように対策されたのですか?

その他はネットワーク 以外 の分野の勉強をしました。

― 以外 … というと?

ネットワークはおそらく毎回出題されますが、基本情報のネットワークは CCNA レベルに難しいです。

なので、最初からネットワークの分野は選ばないつもりでしたし、現に勉強もしてません。いわゆる、「捨てる」 選択をしました。

実際、今回の秋期試験では NAT の問題でかなり難しかったかと思います。

― 「捨てる」分野を作ったのですね

はい、それ以外のソフトウェア、ハードウェア、データベース、プロジェクトマネジメント、ソフトウェア設計、ストラテジを勉強しました。

この分野の基本的な用語を抑え、過去問をそれぞれ 2 周したほか、独習ゼミのコースにある動画を見たりもしました。

この中でも、ソフトウェア設計は一見難しそうですが、問題をよく読むと解けるようになりましたね。

― 伺っていると、ネットワーク以外は順調に対策できたのですね

いえいえ、そんなことはありません。

実は、スコアにもでている通り、アルゴリズムがほとんど理解できませんでした。

休憩や時間があれば Youtube で検索して動画も見ましたし、過去問も解きましたし、基本的なアルゴリズムの内容も覚えました。ただ、勉強しても分からず、泣きそうでした。

― それはかなり厳しい …

参考書を別に買ってもよかったもかも知れません。見たなかでは、「うかる! 基本情報技術者 [午後・アルゴリズム編] 2020年版 福嶋先生の集中ゼミ(日本経済新聞出版社 刊行)」 は良さそうに見えました。

このため、アルゴリズムより、プログラミングの勉強に注力していました。

プログラミング分野は、普段から関数はある程度使っていたので表計算を選択しようと決めていました。関数やマクロを勉強しましたが、比較的勉強はしやすかったですね。

午後分野の「捨て方」

― アルゴリズムが厳しい状態では、先程の「捨てる」選択は、リスクが高そうですね

選択問題のうち、私にはネットワークが明らかに難しく感じましたが、それ以外の分野は一通り勉強して、行けそうだという感覚は持っていました。

また、必ずしも全ての分野が出題されるわけではないので、1 問だけ捨てても影響は、ほぼありません。ただ捨てるのは 1 分野、多くても 2 分野までです。

3 分野以上になると、100 点満点で 45 点以上は失点することになるので。

また、次の試験では、午後の選択問題に変化がある *3 ので、

  • テクノロジ分野から 2 問選択するか
  • テクノロジ分野から 1 問選択 + マネジメント・ビジネス分野から 1 問選択するか

このどちらかの選択になります。

ただし、マネジメント・ビジネス分野の問題は問題を読み解くのに時間がかかりますので、時間配分は気をつけて下さい。

*3 令和 2 年度 試験以降の午後問題の出題と配点

分野 出題数 選択
配点
1 情報セキュリティ 1 問 必須
20 点
2 ~ 4 ソフトウェア・ハードウェア 3 問 2 問
15 点/問
データベース
ネットワーク
ソフトウェア設計
5 プロジェクトマネジメント 1 問
サービスマネジメント
システム戦略
経営戦略・企業と法務
6 データ構造及びアルゴリズム 1 問 必須
25 点
7 ~ 11 ソフトウェア開発
C,Java,Python,アセンブラ言語,表計算ソフト
5 問 1 問
25 点

過去10回分から分析 基本情報技術者試験 午後問題の出題傾向 (2019秋期試験 更新) より抜粋

令和 2 年度春期試験以降はアルゴリズムとプログラミングが合否を分ける

― はじめて基本情報技術者試験を受験する方に「罠」があるとすると、どのようなものでしょうか?

午後の勉強方法だと思います。

セキュリティ、アルゴリズムとプログラミングは、選択必須なので、勉強しなくてはなりません。

問題は選択する分野です。全部勉強するのはオーバーワークだと思います。

負担軽減のために、1 番苦手な分野はあえて捨てて、勉強しないという方法もあります。先程の通り、私の場合、ネットワークを捨てました。

― 今日伺ったとおり、確かに 1 分野は許容範囲ですね

あとは、プログラミング問題で、経験者ならその言語を、まったくない方は表計算がアセンブラがいいと思います。

表計算はいずれにしてもエクセルがベースなので取り掛かりやすいかと思います。マクロや関数がよく分からない場合はアセンブラがいいと思います。

また、繰り返しになりますが、今後、アルゴリズムとプログラミング言語の配点が各 25 点ずつになります。

アルゴリズムに特化した本、各言語に特化した本が本屋でも売ってます。絶対に活用するべきです。多分、今後はこの 2 つが明暗を分けると思います。

勉強時間の割合も アルゴリズム・プログラミング : その他分野 = 8:2 ぐらいの感覚で重要だと思います。

― もうアルゴリズムが超苦手は厳しくなってしまいますね。
今日は、実感こもったお話、ありがとうございました!

ありがとうございました。

 

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