「48 歳 自動車整備士 代表取締役 親父」異色の経歴で基本情報技術者試験に合格できた秘訣をインタビュー

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この記事は基本情報技術者試験の旧制度( 2022 年以前)の記事です。
この記事の題材となっている「午後問題」は現在の試験制度では出題されません。 ご注意くださいませ。

ブログ、SNS、動画など様々なメディアに情報が溢れ、基本情報技術者試験の対策方法は、さまざまな方の受験体験から、近しい人の勉強法を参考にして、自身のやり方を決める時代になりました。

この「受験体験記」では、合格不合格問わず、様々な受験者の方の受験体験をインタビューしています。

 

今回は「 48 歳、自動車整備士、代表取締役、親父」という異色の経歴から、基本情報技術者試験を初受験して合格された 位田 幸司 さん に、ハートフルな受験理由や、心が折れなかった理由、勉強方法など合格の秘訣を伺いました。

お話を伺った方

位田 幸司 さん
(有) 位田モータース
代表取締役

子どもと一緒に机に向かう親父

― 位田さんは、基本情報技術者試験の受験層では、とても珍しいご経歴とご年齢ですが、これまでのご経歴や受験前の知識を伺ってもよろしいでしょうか?

1971 年生まれの 48 歳、自動車整備士です。位田モータースの代表取締役です。

工業高校 (電子科) を卒業して、大学で電機情報工学科 (夜間) を専攻していました。

大学卒業後は、通信系技術職、金融系営業職を経て、現在は、自動車整備士や自動車検査員の資格を取得し、日々仕事をしています。

基本情報技術者試験は、工業高校時代 (昭和 63 年) に前身の第 2 種情報処理技術者を受験して落ちて以来、30 年以上、全く関わりがありませんでした。

また IT についても同じ時期に高校の実習などで回路やプログラムを触った程度です。

IPA がまとめた令和元年 秋期の統計資料では、48 歳の合格者は、全合格者のうち 0.2 % ( 39 名)、サービス業の合格者は全体の 1.4 % ( 174 名) しかいません。レア中のレアです。
なぜ、受験されようと思われたのでしょうか?

Arduino (*) というマイコンを趣味で扱ってみて、いろいろ書籍を読んでいるうちに高校時代の思いが戻ってきたところ、工業高校生になった息子がレポートや宿題で机に向かっているのを見て「一緒に机に向かってみよう」と思ったことがキッカケです。

それなら、成果がわかりやすい資格試験を取得しようと思って、基本情報技術者試験に挑戦しました。

(*) Raspberry Pi と同じようなマイクロコンピュータ。Ras Pi が プリインストールされた OS があるコンピュータなのに対して、Arduino は CPU など演算装置のみがある

― 一緒に勉強する姿勢を見せるのは難しいもの。一人の親として頭が下がります。
とはいえ、異業種・ご年齢からすると、合格するのは至難の業。どんな勉強をされたのですか?

まず、合格を目標にし、試験制度を調べたところ、午前免除制度 (*) があることを知り、試験前に使える時間を考えて、この制度を活用することにしました。

そこから、午前免除の認定を受けている会社に複数問い合わせをした結果、「独習ゼミ」の基本情報技術者コースに決めました。

(*1) 関連ページ: 基本情報技術者試験 午前免除制度とは【独習ゼミ】

― なるほど、まずは「 “敵” を知る」ということわざ通りに進められたのですね。

心が折れそうになる勉強と、折れなかった理由

― では、午前免除試験に向けて、どのように対策されたのですか?

午前免除試験はテキストの前から順に進めました。解らないところは飛ばして進め、区切りのいいところまで進めて、また戻りという感じです。

ただ、60 点で合格できるので、完ぺきにする意識はありませんでした。

それでも勉強を始めた当初、月に 10 時間程しか勉強できなかったので、理解が進まず、苦しくて、面倒で、時間を作るのが嫌で、逃げていた時期もありました (笑)。

午前免除コースでお金をかけていなかったら、諦めてリタイヤしていたかもしれません。

― 自腹でお金をかけるのは、やはり重要になるんですね (笑)

思わぬ副次効果ですね。

そこで苦しんだ結果、6 月の午前免除試験は 73.75 点 でクリアできました。

― 正解率が 74 % とは、知識がついている証左ですね。その午前の知識があれば、午後はスムーズに進められたのですか?

午後問題はアルゴリズムとプログラムを優先してやりましたが、最初、アルゴリズムは書いてあることがさっぱり頭に入らず、午後の勉強でも苦労しました。

テンポよく進まず、仕事の都合もあり何度もへこたれたのですが、家に帰って息子が机に向かっていると、「自分もやらなきゃ」と思い、30 分でもやるようにしました。

― ここでもお子様の姿勢に励まされたのですね。

詰まったら「環境を変える」

― 一方で、なかなか “敵” は手強いですね。
ちなみに、なぜ、アルゴリズムとプログラムを優先されたのですか?

  • 配点が大きい
  • ハードウェアのように出たり出なかったりしない
  • 知らないと解けないような「知識を問う問題ではない」

という点を考え、アルゴリズムとプログラムを優先しました。

また、試験実施側の意図を想像すると、アルゴリズムとプログラムを重視しているのは自明でしたので。

― そこでもやはり “敵を知る” だったのですね

そうですね。本番の午後試験でも同じようにアルゴリズムとプログラムを優先して、正解でも不正解でもこの 2 つの分野に全部回答してから、次に進むと決めていました。

― そんな「難敵」のアルゴリズムとプログラム、どのように攻略されたのですか?

もともとハードウェアの知識があったので、最初は CASLⅡ で進めていました。ですが、その途中、普段エクセルでマクロを使っているので、表計算のほうがいいかもと感じ、変更しました。

表計算のマクロもアルゴリズムと同じ擬似言語で表記されていたので、一通り、擬似言語を理解してからはスイスイ進みました。

― 攻略法は「プログラミング言語の選択を変えたこと」ですか

それもそうですが、出来ないと感じれば、「何か環境を変えること」もいいと思っています。

例えば、私の場合、プログラミング言語だけでなく、独習ゼミの午後コースが合わなかったので、参考書を変えて、別に購入しました。

アルゴリズムの本は 3 冊、表計算の本は 2 冊購入しました。少しの表現の違いで、内容がスッと頭に入ってきましたね。

― なるほど! ちなみに、どの参考書が良かったのでしょうか?

あとは、参考書ではありませんが、基本情報技術者試験ドットコムで午後の過去問を問きながら、同じように頑張っている受験生を掲示板で見て、励まされたりしました。

― 伺っていると、逆説的ですが、「独りではない」と感じることが、独習を進めるキモかも知れませんね。
では、気になる実際の午後のスコアは?

自己採点で 68 点でしたから、マークミスやチェックミスが無いかとヒヤヒヤしていましたが、結果は 69 点でした。


スコアの様子

経営戦略、会計、財務、法務などは IT 企業でなくともわかり、普段の過去問練習では 70 % ぐらい取れていたのですが、今回は計算間違いが重なり、10 % の正解率で、「あちゃー」って感じでした。

逆に、表計算やアルゴリズムはもともと 40 ~ 50 % 程度の正解を目指していましたが、アルゴリズムは 60 % 、表計算はおそらく 80 % 以上正解です。

― おおー!! 苦手だったアルゴリズムとプログラムで、逆に得点を稼いだんですね !! スゴイ!!

プログラムやアルゴリズムは読めるかどうかですから、慣れれば点数が取れると感じました。

ちなみに、表計算は面白くなってエクセルのマクロの参考書を買ってきました。リアルに効率化できそうです。

― 学んだ基本情報の知識が役に立っているんですね !!

そうですね。

その他にも結構、役立っていて、工場内のセキュリティカメラ映像や販売管理情報など、どのようなデータがあって、どのような処理をして、どのサーバで保存するか、業者さんとの打ち合わせがあったのですが、一般の整備工場よりも理解できているらしく、「何かやってるんですか?」と聞かれました。

打ち合わせ時間そのものが、確実に時短出来ていますし、それだけでなく業者さんとの認識の齟齬もなくなっていると思います。

あとは、障害のある職員の雇用継続のために VPN でリモートデスクトップを利用したり、直接的に役に立ってます。

また、自動車整備士としては使わなさそうな、SQL やオブジェクト指向なども、いつかどこかで役に立つかもしれないと感じています。

― 現場もわかって、IT がわかる社長、スゴイです。

親父からのアドバイス ― 合格の秘訣 ―

― では、最後に、ズバリ、位田さまが思う、基本情報の合格の秘訣を教えて頂いてもよいでしょうか?

今回、合格できたのは「戦略によるもの」だと思っています。

何度も受験すれば、時間も予算も必要になってしまいます。少々予算が必要でも集中投資して午前免除を使い、午後対策だけを受験日までにしっかりするほうが、私には合っていると思い、実践しました。

その他にも、例えば、午後試験の回答順で、私は過去問を何度やっても時間不足だったので、回答順を変えて、

  1. アルゴリズム
  2. プログラム
  3. 情報セキュリティ
  4. そのあとに選択問題
  5. 残り 5 分で未回答問題を直感で穴埋めする

という作戦を立て、一度の受験で合格しました。

出題順に回答していったらアルゴリズム問題まで到達していなかったかもしれません。

― “敵を知り、己を知る” ということですね

はい。一流ではないバッターが、とにかく塁に出るには、野球のルールを知り、ピッチャーや野手の癖、得意 / 不得意を可能な限り知ることで、出塁の可能性はどんどん高まるはずです。

試験でも同じように、試験の仕組みや範囲、出題傾向を調べ、今、自分ができること・出来ないことを知り、どうすると合格できるか考えることが重要です。

もちろん、こういう感覚や実践は、試験だけでなく会社組織やプロジェクトなど様々なところで役立ちます。

― “親父” らしい重みのあるお言葉ですね

でも、戦略を立てて、試験勉強は出来る限りしたつもりでも、最後には、すがるものが欲しくて、名古屋市中区にある桜天神に行き、何度か神だのみをしました。(笑)

私には目薬より学業お守りのほうが効果があるはずだと思って、受験会場にはお守りも持って行きました。

桜天神には近々お礼参りに伺います。(笑)

― (笑) 素晴らしい締めで、助かります!
今日は貴重なお話、ありがとうございました !!

ありがとうございました。

からお知らせ

位田さんの体験談にあったご指摘のポイントも改善 !!
出題の見直しで配点が高くなる「午後アルゴリズム」コンテンツを大幅にボリュームアップ!

午前免除だけではなく、つまづきがちなアルゴリズムも徹底演習が可能になりました。

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