試験対策本の著者が CBT になった基本情報技術者試験を受験してみた


2021-11-12 更新
本記事は「情報処理試験教科書 プロジェクトマネージャ」(翔泳社刊) など数多くの人気試験対策本を執筆されている 三好 康之 さんが、基本情報技術者試験を CBT で受験されたと伺い、寄稿いただきました。

2021 年 10 月某日、コロナも落ち着いてきたということで … CBT 化された基本情報技術者試験を受験してきました。

通常開催されていた頃の基本情報技術者試験から大きく変化したことも理由の一つです。

午前試験は「理数能力を重視し、線形代数、確率・統計等、数学に関する出題比率を向上させる」という変更が、午後試験では「ソフトウェア開発の問題(プログラム言語別の問題)で COBOL が無くなり Python を加える」という変更が公表されていました。配点も見直されました。データ構造及びアルゴリズムとソフトウェア開発、情報セキュリティの問題で 70 点を占めるようになったのです。

それに加えて CBT info 化です。

「これは受験するしかない。 Python で受験したい。」ということで行ってきました。

infoCBT とは
Computer Based Testing の略で、紙の用紙に筆記する試験ではなくコンピュータで実施する試験のこと。基本情報技術者試験では令和 2 年度より全国の CBT 対応の試験会場と試験日時を選択して受験する CBT 方式に変更された

CBT 化で変わった点

主な変更点は次の通りです。

午前試験と午後試験を別日に受験できる

筆者にとって、喜ばしい変更は … なんといっても「試験日時を選択できる」という点ですね。

これまでの情報処理技術者試験は、 1 年間で最大 2 区分しか受験できませんでした( IT パスポートを除く)。そのため、どうしても高度系の試験を優先的に受験せざるを得ず基本情報技術者試験は受験できなかったのです。「最後に(前回)受験したのはいつか?」を調べてみたら … なんと平成 23 年です。実に 8 年も前なんですよね。

試験対策を行う立場で、講師が受験しなくなったら終わりです。

“実務” と “試験” では、時間的制約や正確性など異なる部分がいくつかあるからです。 “実務” は仕事を通じてしか向上できませんよね。でも、それは “試験” も同じで「受験しないとわからない、視えてこないこと」ってあるわけです。しかも、変化の激しい IT 界隈の話です。取り残されるのは “一瞬” ですからね。(少ないとはいえ)筆者も基本情報技術者試験の対策について語ることがあるので、そろそろ受験しなければならないとは考えていたところです。

しかも、午前試験と午後試験を別日に受験できるようになりました。

午前試験を先に予約しないといけないという順番(受験は午後からでも可能)はありますが、この変更は、加齢で体力と集中力が劣化してきた筆者にとっては喜ばしい変更です(笑)。若い方にとっても、対策を取りやすくなったのではないでしょうか。

午前試験も午後試験も当日結果がわかる

また、午前試験も午後試験も当日結果がわかります。当日(もしくは翌日)、試験結果がメールで届きます(ネットでは “当日すぐ” という声が多かったのですが、筆者の場合、午前試験は当日の 18 時頃、午後試験はなぜか翌日の早朝 4 時頃に受信していました)。

これまでも、午前試験も午後試験も全問マークシートで、問題冊子を持ち帰ることができたため、ある程度の手応えはわかりましたが、正式なスコアが出るのは楽ですよね。そのスコアで、合否が確定したわけではありませんが、 60 点の基準点を大きく上回っていたり、その逆だったりした場合、合否は変わることはないでしょう。

IPA 独立行政法人 情報処理推進機構:試験実施案内:令和3年度下期基本情報技術者試験についてより
成績照会 受験後、「スコアレポート」により、成績照会が可能です。午前試験の「スコアレポート」には、得点等が記載されます。午後試験、免除試験の「スコアレポート」には、得点、問題ごとの正答率、問題ごとの選択状況が表示されます。

  • 正答率は、問題ごとの配点割合に対する得点の割合を示した参考値です。
  • プロメトリック株式会社のシステムの仕様上、選択問題において解答する(採点対象とする)問題番号を選択したかどうかにかかわらず、全ての問題(問 1 ~ 11 )の正答率が表示されます。
    解答していない問題についても、正答率 0 % が表示されます。
    解答し、正答率が表示されていても、問題番号を選択していなければ、採点はされません(得点には反映されません)。

令和 3 年度下期の実施分より、「スコアレポート」にて得点および問題ごとに選択した状況が確認できるようになるため、今まではがきでご案内していた成績通知書の郵送は終了いたします。

試験問題を開示しないことへの同意

また、受験する上で次のような「試験問題を開示しないことへの同意」が必要です。そのため、試験問題に関する情報は記事に書けませんし、試験対策講座などでもお話できません。

IPA 独立行政法人 情報処理推進機構:試験実施案内:令和3年度下期基本情報技術者試験についてより
試験問題の非公開への同意 試験問題は非公開です。
受験者は受験にあたり、以下の事項に同意いただく必要があります。
同意いただけない場合は受験できません。

  • 試験問題の全部又は一部(試験問題中に登場する文字に限らず、出題内容を示唆する表現も含む)を第三者に開示(漏洩)しないこと
  • 上記 1. を開示(漏洩)した場合、関係法令等に基づき損害賠償請求等の措置が取られること

なお、試験問題は著作権法で保護されています。
出題に関する SNS への投稿、インターネット掲示板への書込みなどについても、上記の開示(漏洩)とみなす場合がありますので、くれぐれもご注意ください。

〔同意事項に違反する開示(漏洩)の例〕

  • キャッシュメモリをテーマとする問題が出題された。
  • IP アドレスの問題について、間違えてしまった。
  • ●年度春期の午前の問●の出題が参考になった。

したがって、試験対策は、この制約を遵守しながら実施することになりますが、これは一時的なものだと思います。今後の情報処理技術者試験を考えるワーキンググループでも、この試験問題の非公開については議論されており、今後改善されていくでしょう。

ざっくりとですが、主な変更点はこんな感じです。これら以外の細かい変更点は、 IPA の下記のページを参照してください。

IPA 独立行政法人 情報処理推進機構:試験実施案内:令和3年度下期基本情報技術者試験について

CBT 化とは関係なく変わった点

また、 CBT 化以前に変更が決まっていたこともあります。

その詳細は、 2019 年 1 月 24 日にプレス発表された「基本情報技術者試験における出題を見直し」に書かれていますが、元々、 2020 年度 春期試験(一部は 2019 年度 秋期試験)から、次のような変更が予定されていました。

プレス発表 基本情報技術者試験における出題を見直し:IPA 独立行政法人 情報処理推進機構より

さらに、 2021 年 10 月 26 日には、新たなシラバス( Ver 7.2 )も公表されています。

基本情報技術者試験 (レベル 2 ) シラバス

実際に受験してみて

このように大きく変わった基本情報技術者試験ですが、実際に受験してみて感じたことがいくつかあります。

午前試験

午前試験の採点方式、配点、合格基準は変わっていません。試験時間は 150 分、問題数は 80 問、合格基準点は(調整が無ければ) 60 点です。

実際に受験してみても、これまでのペーパー試験との差や違和感はさほどありませんでした。試験対策も大きく変える必要はないでしょう。

但し、(後述している)午後試験ほどではないのですが、問題冊子に直接書き込みながら解答することができないようになったので、問題によっては(これまでのぺーパー試験よりも)時間がかかりました。

午後試験

午後試験は、 “すごくやりにくかった” というのが率直な感想です。予想通りと言えばそうなのですが、 “思っていた通り” 時間もかかりました。

筆者は、普段、こんな感じで問題用紙にぐちゃぐちゃに書き込みながら頭の中を整理していく(体系化していく)解き方をしています。

筆者が、これまで問題を解いていた時の問題用紙のサンプル

でも、今回はそれができません。

座席にペンと紙は用意されているので、それを使うことはできます。しかし、実際の問題文に書き込みながら進めるのと、問題文とは独立した白紙の用紙に書いていくのとでは解答速度が全然違ってきます。

これは受験前から想定していた課題です。

そこで、最初に考えたのが「時間配分を CBT 試験用に変える」という戦略でした。

午後試験の試験時間 150 分を “配点が均等” になるように案分すると( looks_one )のようになります。ただ、問題によって解答に必要な時間は異なりますし、自分の得意不得意によっても変わります。したがって、次にその点を加味した調整を行います。筆者の場合は(調整 looks_two )という感じです。

そこからさらに、 CBT 化への対応によって配賦時間を調整 ( looks_3 ) し、当日はその時間配分をベースラインとして挑むことに決めました。アルゴリズムの問題とソフトウェア開発(プログラム言語)の問題に、十分すぎる時間をキープしておこうという考えです。

配点 案分した時間
(looks_one)
調整
(looks_two)
CBT 化への対応
(looks_3)
問 1 情報セキュリティ 20 点 30 分 20 分 15 分
問 2 ~問 5 選択問題 (1) 15 点 22.5 分 20 分 15 分
選択問題 (2) 15 点 22.5 分 20 分 15 分
問 6 アルゴリズム 25 点 37.5 分 45 分 55 分
問 7 ~ 問 11 ソフトウェア開発 25 点 37.5 分 45 分 50 分

アルゴリズムとソフトウェア開発以外の 3 問は、アルゴリズムとソフトウェア開発ほど CBT 化による解答速度低下はないという判断をしました。加えて、問 2 〜問 5 の選択問題は、状況把握しやすいもの(短時間で把握できるもの)を優先して解こうとも決めました。

試験当日は、計画通りの時間配分でアルゴリズムとソフトウェア開発以外の 3 問を解答し、十分な時間を残してアルゴリズムとソフトウェア開発の問題を解くことができました。

結果的に、アルゴリズムの問題もソフトウェア開発( Python を選択)の問題にも、特に嵌ることもなく順調に解答できたため、かなりの時間を余らせて退出できたのですが…、仮に難問で(理解に)時間がかかっていたとしても、十分対応できていたと思われます。なので、今後受験するときもこの戦略(時間配分)で問題ないと考えています。

今後の課題

今回、実際に受験してみてわかったことは、自分の短期記憶能力と空間認識能力、及び集中力の劣化(低下)です。

…老化ですね。

そもそも、紙に書き込まないと状況把握ができないという点に問題があるのです。

若い頃は、全ての変数や配列…それらの状況や推移を “頭の中だけ” でできていましたし、 4 ~ 5 ページぐらいの問題文に書かれていることは集中すれば記憶できていたわけです。

それが、かなり衰えていました。

老化現象なので、ある程度は仕方がないとは思いますが、まだまだ抗えるはずです。

そこで、次回の受験に備えて、従来の基本情報技術者試験の対策に加え、 CBT 試験だということを意識した練習をしようと思います。

具体的には、 IPA が公表している過去問題(令和元年秋期試験までは公開されています)を画面に出して、時間を計測して解答するという練習方法です。もちろん頭の中だけで。

これから基本情報技術者試験の受験を考えている人も、同じような練習が必要かもしれません。特に、筆者と同じように「問題文に書き込むことで状況把握をしている」人は。

この練習方法を通じて、自分が何分あれば合格ラインの点数を取れるのか?を考えて、そこで把握したデータで、本番の時間配分を決めておくといいでしょう。

また、選択問題では、どの分野の問題が得意なのか、どの分野の問題が CBT 化されても速く解けるのかをチェックした上で優先順位を付け、さらに試験本番時に柔軟に変更できるように不得意分野を無くすことも必要かもしれません。

いずれにせよ、情報処理技術者試験は時間との闘いです。「あと 10 分あれば … 」と悔やむことも少なくありません。それゆえ、 CBT 試験で時間内にどう解くか?をしっかりと考えて、準備(対策)することが重要です。その視点を、試験対策に加えましょう。

筆者は、この練習方法で老化と闘います。

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