手順をヒントにトレースする練習問題|アルゴリズムとプログラミング問題を解くコツ


2022-11-28 更新
info2022 年 11 月

科目 B 問題の新しい擬似言語に合わせて、プログラムを変更しました。
なお、本記事では過去問題を一部改変しています。

この連載では、基本情報技術者試験で、多くの受験者が苦手意識を持っている科目 B 試験 アルゴリズムとプログラミング分野の「アルゴリズム穴埋め問題」に的を絞って、正解を見出すポイントを詳しく説明します。

苦手を克服するには、短いプログラムを何度も練習して、穴埋めに慣れることが重要です。

そのために、実際の試験問題の一部をアレンジした練習問題を作りました。とても短い問題ですので、気軽に取り組んでください。

練習問題

問 4 「挿入ソートで昇順に整列するプログラム」(平成 19 年度 春期 午後)を一部改変

 手続 InsertSort は、引数で与えられた配列 A[] を、挿入ソートで昇順に整列する。配列 A[] の添字は 0 から始まり、要素数は引数 N で与えられる。挿入ソートの手順は、次のとおりである。

  1. まず、 A[0] と A[1] を整列し、次に A[0] から A[2] までを整列し、その次に A[0] から A[3] までというように、整列する区間の要素を一つずつ増やしていき、最終的に A[0] から A[N – 1] までを整列する。
  2. 整列する区間が A[0] から A[M]( 1 ≦ M < N )までのとき、 A[M] を既に整列された列 A[0] , more_horiz, A[M – 1] 中の適切な位置に挿入する。その手順は次のとおりである。
    1. A[M] の値を、作業領域 Tmp に格納する。
    2. A[M – 1] から A[0] に向かって Tmp と比較し、 Tmp よりも大きな値を順次隣(要素番号の大きい方)に移動する。
    3. b. で最後に移動した値の入っていた配列要素に Tmp の値を格納する。 b. で移動がなかった場合には A[M] に格納する。

swipeプログラムは横スクロールできます

[プログラム]

◯InsertSort(整数型の配列: A, 整数型: N)
  整数型: Idx1, Idx2, Tmp
  論理型: Loop

  for (Idx1 を 1 から N より小さい間 1 つずつ増やす)
    Tmp ← A[Idx1]
    Idx2 ← a
    Loop ← true

    while (Idx2 が 0 以上でかつ Loop が true)
      if (A[Idx2] が Tmp より大きい)
        b
        Idx2 ← Idx2 - 1
      else
        Loop ← false
      endif
    endwhile

    A[Idx2 + 1] ← Tmp
  endfor

設問 プログラム中のに入れる正しい答えを、解答群の中から選べ。

a に関する解答群
ア Idx1
イ Idx1 + 1
ウ Idx1 – 1
エ 1 – Idx1

b に関する解答群
ア A[Idx2] ← A[Idx2 + 1]
イ A[Idx2] ← A[Idx2 – 1]
ウ A[Idx2 + 1] ← A[Idx2]
エ A[Idx2 – 1] ← A[Idx2]

ポイント1: 手順の説明とプログラムを対応付ける(その1)

この問題のように、問題文に手順が詳しく示されている場合は、手順の説明とプログラムを対応付けることで、空欄で行う処理がわかる場合がよくあります。

以下は、手順の説明とプログラムを対応付けた例です。ここでは、手順の説明を青色の文字でコメントとして追加しています。実際の試験では、これを頭の中でやってください。

図 手順の説明とプログラムを対応付けた例
[プログラム]

◯InsertSort(整数型の配列: A, 整数型: N)
  整数型: Idx1, Idx2, Tmp
  論理型: Loop

  /* 1. まず、 A[0] と A[1] を整列し、次に A[0] から A[2] までを整列し、*/
  /* その次に A[0] から A[3] までというように、整列する区間の要素を一つ */
  /* ずつ増やしていき、最終的に A[0] から A[N - 1] までを整列する。 */
  for (Idx1 を 1 から N より小さい間 1 つずつ増やす)
    /* 2. 整列する区間が A[0] から A[M] ( 1 ≦ M < N ) までのとき、A[M] を */
    /* 既に整列された列 A[0], more_horiz, A[M - 1] 中の適切な位置に挿入する。 */
    /* その手順は次のとおりである。 */
    /*  a. A[M] の値を、作業領域 Tmp に格納する。 */
    Tmp ← A[Idx1]
    /*  b. A[M - 1] から A[0] に向かって */
    Idx2 ← a
    Loop ← true

    while (Idx2 が 0 以上でかつ Loop が true)
      /* Tmp と比較し、Tmp よりも大きな値を */
      if (A[Idx2] が Tmp より大きい)
        /* 順次隣(要素番号の大きい方)に移動する。 */
        b
        Idx2 ← Idx2 - 1
      else
        Loop ← false
      endif
    endwhile

    /* c. b. で最後に移動した値の入っていた配列要素に Tmp の値を格納する。 */
    /* b. で移動がなかった場合には A[M] に格納する。 */
    A[Idx2 + 1] ← Tmp
  endfor

ポイント2: 手順の説明とプログラムを対応付ける(その2)

手順の説明とプログラムを対応付けたことで、以下がわかります。

  /*  a. A[M] の値を、作業領域 Tmp に格納する。 */
  Tmp ← A[Idx1]

手順の説明で M と呼んでいる変数は、プログラムでは Idx1 です。

  /*  b. A[M - 1] から A[0] に向かって */
  Idx2 ← a
  Loop ← true

  while (Idx2 が 0 以上でかつ Loop が true)

A[M – 1] から A[0] に向かって

を A[Idx2] で示すので、空欄 a で Idx2 に設定する初期値は M – 1 です。説明の M がプログラムでは Idx1 なので、空欄 a は Idx1 – 1 であり、選択肢ウが正解です。

ポイント3: 手順の説明とプログラムを対応付ける(その3)

空欄 b がある分岐では、

  /* Tmp と比較し、Tmp よりも大きな値を */
  if (A[Idx2] が Tmp より大きい)
    /* 順次隣(要素番号の大きい方)に移動する。 */
    b
    Idx2 ← Idx2 - 1

Tmp と比較し、 Tmp よりも大きな値を順次隣(要素番号の大きい方)に移動する。

という処理を行っています。

A[Idx2] が Tmp より大きい

なのですから、 Tmp より大きな値は A[Idx2] であり、この値を順次隣(要素番号の大きい方)に移動するのですから、 A[Idx2 + 1] ← A[Idx2] が適切であり、選択肢ウが正解です。

 

解答a - ウ, b - ウ

「習うより慣れろ」ということわざがあります。アルゴリズム穴埋め問題の克服に関しては、正にその通りでしょう。

この連載では、これからも短い練習問題を掲載していきますので、穴埋めに慣れることを目指してください。

正解を見出すポイントとして、同じことが示されることもあると思いますが、それは、多くの問題に共通したポイントがあるからです。

それでは、またお会いしましょう!

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