IT初心者のための基本情報ではじめるコンピュータ科学の基礎理論 入門

この連載は、これから IT の勉強をはじめる人を対象としたものです。 基本情報技術者試験の出題分野ごとに、内容と存在理由、主要な用語、および過去問題を紹介します。 受験対策としてだけでなく、 IT の基礎知識を幅広く得るために、ぜひお読みください。
今回は、「基礎理論」の分野を取り上げます。
もくじ
基礎理論の内容と必要な理由
以下は、「基本情報技術者試験(レベル 2 )シラバス Ver.8.0 」に示されている「基礎理論」の内容です。 このシラバスは、試験を実施している情報処理推進機構が公開している資料であり、情報処理技術者試験における知識・技能の細目が示されています。
シラバスに示された「基礎理論」の内容
- 大分類 looks_one
- 基礎理論
- 中分類 looks_one
- 基礎理論
- 離散数学
- 応用数学
- 情報に関する理論
- 通信に関する理論
- 計測・制御に関する理論
- 中分類 looks_two
- アルゴリズムとプログラミング
「基礎理論」という大分類の中に、「基礎理論」および「アルゴリズムとプログラミング」という中分類があり、さらに、それぞれの中にいくつかの項目があります。 これらは、「基礎理論」という言葉が示す通り、様々な分野の基礎となる知識です。
IT の道具であるコンピュータは、データを処理する機械です。 コンピュータでデータを処理するには、データをコンピュータで取り扱える形式で表現し、アルゴリズム(目的の結果を得るための明確な手順)を考えてプログラムを作る必要があります。 中分類の「基礎理論」は、データの表現に関する基礎知識です。
なお、「アルゴリズムとプログラミング」はパートをわけて、この連載のほかの記事で紹介する予定です。
主要な用語
以下に、「基礎理論」の主要な用語を示します。 シラバスには、膨大な数の用語が示されていますが、ここでは、それらの中から試験によく出題される用語を選んでいます。
赤色で示した用語は、後で紹介する過去問題のテーマになっているものです。
基礎理論の主要な用語
2 進数、 8 進数、 16 進数、固定小数点数、浮動小数点数、論理シフト、算術シフト、論理積、論理和、論理否定、排他的論理和
中央値、最頻値、正規分布、標準偏差
ハフマン符号、逆ポーランド記法、オートマトン、状態遷移図
CRC(Cyclic Redundancy Check)、ハミング符号、パリティチェック
D/A変換(Digital/Analog変換)、A/D変換(Analog/Digital変換)、センサー、アクチュエータ
過去問題にチャレンジ!
それでは、「基礎理論」の過去問題にチャレンジしてみましょう。
基礎理論の過去問題 2進数、16進数、論理和、排他的論理和
以下は、基礎理論に関する問題です。 「 2 進数」「 16 進数」「論理和」「排他的論理和」に関する知識が要求されます。
8 ビットの値の全ビットを反転する操作はどれか。
ア 16 進表記 00 のビット列と排他的論理和をとる。
イ 16 進表記 00 のビット列と論理和をとる。
ウ 16 進表記 FF のビット列と排他的論理和をとる。
エ 16 進表記 FF のビット列と論理和をとる。
16 進数は、 2 進数の代用表現です。 2 進数の 4 桁が 16 進数の 1 桁にピッタリ一致します。
0000 ~ 1111 の 2 進数は、 0 ~ F の 16 進数になります。 2 進数では桁が多くてわかりにくいデータであっても、 16 進数で表記すれば桁が減ってわかりやすくなります。 そのため、 2 進数の代用表現として 16 進数がよく使われるのです。
問題の選択肢に示された 00 と FF という 16 進数は、 2 進数で 00000000 と 11111111 になります。
ビット列と排他的論理和をとるというのは、 2 つのデータの桁どうしで排他的論理和の演算を行うという意味です。
ビット列と論理和をとるというのは、 2 つのデータの桁どうしで論理和の演算を行うという意味です。
排他的論理和では、 1 に対応する桁が反転して、 0 に対応する桁が変化しません。
論理和では、 1 に対応する桁が 1 になり、 0 に対応する桁が変化しません。
ここでは、全ビット(全ての桁)を反転するのですから、 11111111 ( 16 進数で FF )と排他的論理和をとることになります。
したがって、選択肢ウが正解です。
基礎理論の過去問題 正規分布と標準偏差
以下も、基礎理論に関する問題です。 「正規分布」と「標準偏差」に関する知識が要求されます。
平均が 60 ,標準偏差が 10 の正規分布を表すグラフはどれか。




正規分布は、確率論や統計学で使われる理論的な分布の一種であり、横軸をデータの値、縦軸をデータの数として図に示すと、平均値を中心として左右対称な釣鐘型になります。 学校のテストの得点や、工業製品の寸法の精度など、社会で見られる事象の多くが、正規分布によく当てはまります。
正規分布は、平均値と標準偏差(平均値からの隔たりを示す値)を変数とした理論式で示されます。 この理論式から導くと、平均値 ± 標準偏差の範囲に全体の約 68 % のデータが入ります。
問題の選択肢の中で、平均値を中心として左右対称な釣鐘型となっていて、平均値 ± 標準偏差の範囲に全体の約 68 % のデータが入っているのは、選択肢アです。
今回は「基礎理論」の内容と存在理由、主要な用語、および過去問題を紹介しました。
次回は、「コンピュータシステム」の分野を取り上げます。 それでは、またお会いしましょう!
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