IT初心者のための基本情報ではじめる コンピュータ 入門 ~コンピュータシステム分野 1


2022-08-19 更新

この連載は、これから IT の勉強をはじめる人を対象としたものです。 基本情報技術者試験の出題分野ごとに、仕組み、主要な用語、および過去問題を紹介します。 受験対策としてだけでなく、 IT の基礎知識を幅広く得るために、ぜひお読みください。

今回は、コンピュータシステム 分野 その 1 として コンピュータ を取り上げます。

コンピュータの仕組み

コンピュータには、マイコン、パソコン、大型コンピュータ、スーパーコンピュータなど、様々な種類がありますが、およそコンピュータと呼ばれるものは、

  • 入力装置
  • 記憶装置
  • 演算装置
  • 出力装置
  • 制御装置

から構成されていて、これらを コンピュータの五大装置 と呼びます。 五大装置を持つことが、コンピュータの仕組みなのです。

入力装置
コンピュータの外部から内部にデータを取り込みます。
記憶装置
コンピュータの内部でデータを保持します。
演算装置
コンピュータの内部でデータを加工します。
出力装置
コンピュータの内部から外部にデータを送り出します。
制御装置
コンピュータに与えられたプログラムの内容に従って、他の装置を動作させます。

下図に、コンピュータの五大装置の関係を示します。

図 コンピュータの五大装置の関係

身近なパソコンを例にして、コンピュータの五大装置の具体例を示しましょう。

プロセッサ( CPU とも呼ばれます)は、制御装置と演算装置を兼務しています。

キーボードやマウスは、入力装置です。

メモリ、ハードディスク装置、光ディスク( CD 、 DVD 、ブルーレイディスク)装置は、記憶装置です。 メモリを「主記憶装置」と呼び、ハードディスク装置と光ディスク装置「補助記憶装置」と呼んで、それぞれを区別することもあります。

液晶ディスプレイやプリンタは、出力装置です。

コンピュータの主要用語

基本情報技術者試験のシラバス(情報処理技術者試験における知識・技能の細目)には、コンピュータの分野の用語が

  • プロセッサ
  • メモリ
  • バス
  • 入出力デバイス
  • 入出力装置

に分けて示されています。

バスとは、コンピュータ内部でデータをやり取りするための伝送路のことです。

入力装置と出力装置に関する用語は、入出力装置にまとめて示されています。 入出力デバイスには、入出力装置のインターフェース、データ転送方式、接続形態、入出力制御方式などに関する用語が示されています。

それぞれの主要な用語を紹介しましょう。 赤色で示した用語は、後で紹介する過去問題のテーマになっています。

プロセッサ
CPU 、GPU 、命令レジスタ、指標レジスタ、スタックポインタ、内部割込み外部割込み、 CPI 、 MIPS 、パイプライン
メモリ
RAM 、 ROM 、 DRAMSRAM 、キャッシュメモリ、実効アクセス時間、 SSD 、 CD 、 DVD 、ブルーレイディスク、フラッシュメモリ( USB メモリ、 SD カード)
バス
アドレスバス、データバス、コントロールバス
入出力デバイス
USB 、 IEEE1394 、 Bluetooth 、 IrDA 、シリアル、パラレル、スター接続デイジーチェーン接続
入出力装置
マウス、キーボード、スキャナー、液晶ディスプレイ、有機 EL ディスプレイ、レーザープリンター、インクジェットプリンター、 3D プリンタ

コンピュータの過去問題

コンピュータの分野の過去問題を 3 問ほど紹介しましょう。

CPU の機能に関する問題

最初は、 CPU の機能に関する問題です。 CPU には、現在実行中のプログラムを中断させて、他のプログラムを実行する 割込み と呼ばれる機能があります。

割込みは、プログラムの動作によって発生する 内部割込み と、装置の動作によって発生する 外部割込み に分類されます。

問 10 平成 30 年度 春期

内部割込みに分類されるものはどれか。

商用電源の瞬時停電などの電源異常による割込み
ゼロで除算を実行したことによる割込み
入出力が完了したことによる割込み
メモリパリティエラーが発生したことによる割込み

選択肢の中で、プログラムの動作によって発生するのは、選択肢イの ゼロ除算 だけです。

選択肢アの 電源異常 、選択肢ウの 入出力が完了 、選択肢エの パリティエラー は、電源装置、入出力装置、メモリという装置の動作にとって発生します。 したがって、選択肢イが正解です。

メモリの種類に関する問題

次は、メモリの種類に関する問題です。 メモリの種類は、 ROMRAM に大別され、さらに RAM は、 SRAMDRAM に分類されます。

SRAM
フリップフロップ(論理演算による切り替え回路)で記憶を行い、高速ですが高価なので、容量より速度が優先されるキャッシュメモリ( CPU の内部にあるメモリ)として使われます。
DRAM
コンデンサ(小さな充放電素子)で記憶を行い、低速ですが安価なので、速度より容量が優先されるメインメモリとして使われます。
さらに、 DRAM では、記憶されているデータが自然放電で消えてしまうので、定期的に同じデータで上書きする リフレッシュ と呼ばれる動作が必要です。 SRAM では、リフレッシュが不要です。
問 22 平成 27 年度 春期

SRAM と比較した場合の DRAM の特徴はどれか。

主にキャッシュメモリとして使用される。
データを保持するためのリフレッシュ又はアクセス動作が不要である。
メモリセル構成が単純なので、ビット当たりの単価が安くなる。
メモリセルにフリップフロップを用いてデータを保存する。

選択肢を見てみましょう。

選択肢ア
キャッシュメモリとして使用されるので SRAM の特徴です。
選択肢イ
リフレッシュが不要なので、 SRAM の特徴です。
選択肢ウ
単価が安くなるので DRAM の特徴です。
選択肢エ
フリップフロップを用いるので SRAM の特徴です。

したがって、選択肢ウが正解です。

入出力装置の接続形態に関する問題

最後は、入出力装置の接続形態に関する問題です。

ここでは、デイジーチェーン接続であるものを選びます。 デイジーチェーン( daisy chain )は、直訳すると「ヒナギクをつないだもの」という意味ですが、日本語の「数珠つなぎ」という言葉がぴったりでしょう。

問 14 令和元年度 春期

次に示す接続のうち、デイジーチェーンと呼ばれる接続方法はどれか。

PC と計測機器とを RS-232C で接続し, PC とプリンタとを USB を用いて接続する。
Thunderbolt 接続ポートが 2 口ある 4K ディスプレイ 2 台を, PC の Thunderbolt 接続ポートから 1 台目のディスプレイにケーブルで接続し,さらに, 1 台目のディスプレイと 2 台目のディスプレイとの間をケーブルで接続する。
キーボード,マウス及びプリンタを USB ハブにつなぎ, USB ハブと PC とを接続する。
数台のネットワークカメラ及び PC をネットワークハブに接続する。
選択肢ア
PC と計測装置、 PC とプリンタ、それぞれを別々につないでいるので、デイジーチェーンではありません。
選択肢イ
PC → 1 台目のディスプレイ → 2 台目と数珠つなぎにしているので、デイジーチェーンです。
選択肢ウ
PC に接続された USB ハブから広がるようにキーボード、マウス、プリンタをつないでいるので、数珠つなぎではありません。 このような接続形態を スター接続 と呼びます。
選択肢エ
ネットワークハブから広がるように数台のネットワークカメラと PC をつないでいるので、数珠つなぎではありません。 これも、スター接続です。

したがって、選択肢イが正解です。

今回は「コンピュータシステム」その 1 として「コンピュータ」の仕組み、主要な用語、および過去問題を紹介しました。

次回は、「コンピュータシステム」その 2 として「 OS 」の分野を取り上げます。

それでは、またお会いしましょう!

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