あえてアルゴリズムは対策しない。知識ゼロから初受験で合格できた、試験と自分を客観的に見つめた勉強方法

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この記事は基本情報技術者試験の旧制度( 2022 年以前)の記事です。
この記事の題材となっている「午後問題」は現在の試験制度では出題されません。 ご注意くださいませ。

ブログ、SNS、動画など様々なメディアに情報が溢れ、基本情報技術者試験の対策方法は、さまざまな方の受験体験から、近しい人の勉強法や勉強時間などを参考にして、自身のやり方を決める時代になりました。

この「受験体験記」では、合否問わず、様々な受験体験をインタビューしています。

「マネジメントやストラテジは初心者にオススメ」などインターネットや SNS にはたくさんの情報があります。今回はそういったものに流されず、合格に必要なことと自身の得意不得意を照らし合わせて、アルゴリズムを対策しなかったり、情報セキュリティの出題パターンを独自に見つけて満点を出すなど、独自の勉強方法で合格された秋多さんに、どのように考えて対策したのか、インタビューしました。

お話を伺った方

秋多 橙子(仮名) さん

IT 企業所属。普段は Web デザインやクリエイティブ業務に従事

非IT業界にも「国家資格」は通じやすい

―― 基本情報の勉強をし始めたときの知識や経験を伺えますか?

簡単な HTML や CSS を書くアルバイトをしたことがありますが、プログラミングや開発は未経験ですし、コンピュータや IT の知識はゼロでした。

―― ほとんど初心者だったのですね。なぜ基本情報を受験しようとお考えになったのですか?

所属企業で昇格条件になっていたので受験しました。あとは今後 IT 業界ではない企業に転職するときにでも、「国家資格」というとわかりやすいな、とは思っていました。

―― 確かに「国家資格」というと記号としてわかりやすいですね。ということは受験も初めて…

はい、初めてです。

―― 受験が初めての方は勉強計画を立てるのが難しいのですが、どのようにお考えだったのですか?

所属企業からは入社直後の 4 月に受験するよう求められていたのですが、初めての受験で今の知識では午前午後どちらも受験するのは難しいと考えて、午前免除を活用しようと計画しました。

―― 会社からの要求でも自分で冷静に考えられたのですね

計画を長期にしたのはよかったのですが、同期がどんどん合格していくため、「合格して当たり前」のような空気やプレッシャーの方が強くなりました。

そういった環境だったので、とにかく「絶対に落ちたくない」というのが、わたしのモチベーションになっていました。

勉強時間は逆算して見積もり

―― その空気はキツい。では、午前免除までのことを伺えますか?

午前免除試験の分野数から逆算して 1 ヶ月前から本格的に勉強を始めました。具体的には午前免除対応のコースの教材のほかに、「イメージ&クレバー方式でよくわかる 栢木先生の基本情報技術者教室」(技術評論社刊) という参考書を購入して、それを週に 3 日読んで、章ごとの過去問を演習する、というのを繰り返しました。

―― 参考書はたくさんありますが、選んだ基準はありましたか?

知識がゼロだったので、とにかく読みやすさを基準にしました。「キタミ式イラストIT塾 基本情報技術者」(技術評論社)もイラストが多く有名ですが、文字のフォントが手書き形式での解説が多く、自分にとって読みづらいと感じました。

―― フォントにこだわりとは、さすがクリエイティブ畑ですね

「柏木先生の~」のほうが余白もあってスッキリしていたので読みやすかったですね。

―― 午前対策で気にしていたことはありますか?

午後のように選択することはないので、とにかくすべての分野を網羅して勉強することを意識していました。あとは暗記だと考えていました。

―― 午前免除の結果はいかがでしたか?

80 点ぐらいだったので、うまくいったと思います。

午前も暗記、午後も暗記で解ける

―― では、初心者にとって難しい午後の対策はどのような方針を立てたのですか?

午前は網羅することを重視しましたが、午後は選択できるので、必須選択問題に加えて、ハードウェア/ソフトウェア、ソフトウェア設計、ネットワークの 4 つと、かなり絞りました。あとは試験の延期で、午前免除試験から空いてしまったので、基礎の振り返りをしようと思っていました。

―― 初心者としては選択が特殊ですね

初心者が選ぶことが多いかどうかは気にしていませんでした。どちらかというと自分の得意不得意で考え、読解力が問われるような問題は苦手だったので、マネジメントとストラテジの問題を外しました。

―― なるほど、フラットに考えたのですね。計画はどのように立てたのですか?

10 年分の過去問は解こうと考えていましたので、試験受験の 1.5 ヶ月前から平日に週 2 日、出社前に 2 時間カフェに籠もり、土日に 4 時間したので、週 8 時間の勉強時間を取ろうと考えました。

―― やってみると、いかがでしたか?

午後は暗記ではないとよく言われますが、過去問題の演習を進めていると、案外似たような問題が多く、半分は暗記で解けると思いました。

―― おっと意外なご意見ですね

例えば、情報セキュリティは公開鍵暗号方式の仕組みでパターンがありました。他の分野でも同じようにパターンがあるように思います。

―― なるほど、情報セキュリティや選択されたネットワークはプロトコル中心というのも影響しているかも知れませんね

それもあるかも知れません。ただ、選択した中ではソフトウェア設計はわかる問題と、わからない問題の差が激しく、わかれば全問正解、わからなければ 3 割の正解率だったので、得点源としては計算できなかったですね。

アルゴリズムを対策しないメリットとは?

―― 続いて、プログラミングは何を選んだのですか?

プログラミングを仕事ですることがないので、表計算を選びました。 Python も少し考えましたが、仕事で使わない以上、時間をそれほどかけても仕方がないかなと。

―― 初心者がつまづきがちなアルゴリズムはいかがでしたか?

実はアルゴリズムは、意図的に過去問題を演習しなかったので、つまづく以前に止めてしまいました。

―― ?? なぜ演習しなかったのでしょうか?

いくつか問題を解いてみたのですが、わかる問題は解けるし、わからない問題はわからない、とハッキリ分かれ、これはいくら勉強しても変わらないと考えました。そこで、わからないものは仕方ないので、もし正解できてなくても焦らないように、アルゴリズムに割く時間を他の分野にあてて完璧に仕上げておくことが大切だと思っていました。

―― 大胆な攻め方ですね

わからないものでも、消去法で 50 % で当たるぐらいには絞れることも多かったので、わらかないなりには正解する確率を上げることを意識して解いていました。

―― 実際アルゴルズムの正解率はどうだったのでしょうか?

70 % 程度でしたので、運が良かったというところですね。

―― ほかの分野はどうだったのでしょうか?

当日はハードウェア/ソフトウェア、ネットワークを選んで、それも 70 % 程度の正解率で、表計算も同じく 70 % でした。最後、情報セキュリティは 100 % でした。

―― 情報セキュリティのパターンをしっかり掴んでいたのは伊達ではないですね。では、最後に受験者の方へのメッセージがあればお願いします

繰り返しになりますが、わたしは「落ちたくない」という思いが、モチベーションに繋がりました。周りが合格しているという環境はなかなか無いと思いますが、周りに合格することを宣言するなどして、「落ちるとマズい」という状況を作ることはできると思うので、自分を追い込むやり方も一つの手だと思います!

―― 貴重なアドバイスありがとうございます。では、今日はありがとうございました!

ありがとうございました。

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