「厳選5題」過去問と解説 | 平成30年度 春期 の過去問やるならこれをやれ


2020-09-08 更新

ここでは、平成 30 年度 春期 基本情報技術者試験の午前試験 の中から「やるべき問題」を 5 題に厳選し、ぶっちゃけた解説をさせていただきます。

やるべき問題とは、よく出る問題であり、かつ、練習すればできる問題(練習しないとできない問題)です。

info編集部注: スマートフォンでご覧の際は、 IP アドレスや 2 進数、表などは横スクロールするとすべての値をご覧になれます

【厳選問題 1 】
丁寧に学習して IP アドレスの苦手意識を克服しよう

問 32 平成 30 年度 春期

次のネットワークアドレスとサブネットマスクをもつネットワークがある。このネットワークをある PC が利用する場合,その PC に割り振ってはいけない IP アドレスはどれか。

ネットワークアドレス :
200.170.70.16
サブネットマスク :
255.255.255.240

ア 200.170.70.17  
イ 200.170.70.20
ウ 200.170.70.30  
工 200.170.70.31

解説

私が講師を担当している試験対策講座では、「 IP アドレス苦手!」「サブネットマスクわかんない!」という人が、とっても多いです。

読者の皆さんも、おそらく同じではないでしょうか。

この問題を解くには、 IP アドレスに関する様々な知識が要求されますので、丁寧に学習して、苦手意識を克服しましょう。やや説明が長くなりますが、がんばってお読みください。

IP アドレスの基礎知識

IP アドレスの範囲

IP アドレス( IP version 4 の IP アドレス)は、 2 進数で 32 ビットの数値です。

11000000101010000000000000000001

それを 8 ビットずつ 4 つの部分に区切り、それぞれの部分を 10 進数で示して、区切りにドット( . )を置きます。

11000000.10101000.00000000.00000001

-> 192.168.0.1

8 ビットの 2 進数の範囲は、00000000 ~ 11111111 です。これを 10 進数に変換すると、0 ~ 255 になります。

したがって、IP アドレスの範囲は、0.0.0.0 ~ 255.255.255.255 です。これが、 1 つ目の知識です。

ネットワークアドレスとホストアドレス

一般的には、「ネットワーク = インターネット」というイメージがありますが、IT エンジニアが「ネットワーク」と言った場合は、会社や事務所のネットワークのように、小規模なネットワークを指します。

インターネットは、この小規模なネットワークと別のネットワークの間をつなぐものです。「インター( inter )」は、「間の」という意味です。

この仕組みから、インターネットにおける識別番号である IP アドレスは、会社や事務所を識別する「ネットワークアドレス」とパソコンや通信機器を識別する「ホストアドレス」から構成されています。これが、 2 つ目の知識です。

サブネットマスク

32 ビットの IP アドレスの上位桁がネットワークアドレスであり、下位桁がホストアドレスです。その区切りを示す情報が「サブネットマスク」です。

サブネットマスクは、IP アドレスと同じ形式で示されます。

この問題では、255.255.255.240 がサブネットマスクです。
これを 2 進数にすると、

11111111.11111111.11111111.11110000

になります。

このように、サブネットマスクは、上位桁に 1 が並び、下位桁に 0 が並んだものとなります。

1 が並んだ範囲が ネットワークアドレス であり、
0 が並んだ範囲が ホストアドレス です。

このサブネットマスクは、上位 28 ビットが ネットワークアドレス であり、下位 4 ビットが ホストアドレス であることを示しています。

これが、 3 つ目の知識です。

ネットワークアドレスのルール

この問題では、ネットワークアドレスが、200.170.70.16 です。

下位 4 ビットが ホストアドレスなので、200.170.70.16 の 下位 8 ビットの 16 の部分だけを 2 進数にしてみましょう。

200.170.70.00010000

になります。

ネットワークアドレスとホストアドレスを [ ] で囲んで区別して示すと、

[ 200.170.70.0001 ][ 0000 ] 

になります。

ネットワークアドレスは、同じネットワーク(会社や事務所)では同じでなければなりません。逆に、ホストアドレスは、同じであってはなりません。

したがって、このネットワークでホストに割り振れる IP アドレスは、ホストアドレスの 4 ビットを変化させた

[ 200.170.70.0001 ][ 0000 ] ~ [ 200.170.70.0001 ][ 1111 ]

です。

これが、 4 つ目の知識です。

ホストアドレスのルール

長い説明も、もうすぐ終わりですので、がんばってください。

ホストアドレスには、「他のホストと同じではいけない」ということの他にも、

「すべてが 0 ではいけない」
「すべてが 1 ではいけない」

というルールがあります。

すべてが 0 は、ホストアドレスを無しにして「ネットワークアドレスを示すもの」とみなされます。
すべてが 1 は、ネットワークのすべてのホストを宛先とする「ブロードキャスト(一斉同報)」とみなされます。

そういうルールになっているのです。

したがって、先ほど

[ 200.170.70.0001 ][ 0000 ] ~ [ 200.170.70.0001 ][ 1111 ] 

の範囲の IP アドレスが割り振れると説明しましたが、実際には、すべてが 0 の [0000] と、すべてが 1 の [1111] を 除いた

[ 200.170.70.0001 ][ 0001 ] ~ [ 200.170.70.0001 ][ 1110 ] 

の範囲の IP アドレスが割り振れます。これが、 5 つ目の知識です。

これで、ようやく問題を解く知識がそろいました。

問題の解説

[ 200.170.70.0001 ][ 0001 ] ~ [ 200.170.70.0001 ][ 1110 ] 

から [ ] を取ると、

200.170.70.00010001 ~ 200.170.70.00011110

です。

下位 8 ビットの 2 進数を 10 進数に変換すると、
200.170.70.17 ~ 200.170.70.30 です。

したがって、このネットワークでホストに割り振れる IP アドレスは、
200.170.70.17 ~ 200.170.70.30 です。

この範囲にないのは、エの 200.170.70.31 です。

解答は、エです。

解答 エ

 

1 つの問題を解くのに、これほど多くの知識が必要なのですから、「 IP アドレス苦手!」「サブネットマスクわかんない!」という人が多いのも当然ですね。

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【厳選問題 2 】
状態遷移図? オートマトン? ナニコレ? と思ったら練習しておこう

問 4 平成 30 年度 春期

入力記号,出力記号の集合が { 0, 1 } であり,状態遷移図で示されるオートマトンがある。0011001110 を入力記号とした場合の出力記号はどれか。ここで,S は初期状態を表し,グラフの辺のラベルは,入力/出力を表している。

(状態遷移図]

ア 0001000110  
イ 0001001110
ウ 0010001000  
エ 0011111110

解説

問題に示された図を見て「ナニコレ?」と思った人が多いのではないでしょうか。これは、「状態遷移図」と呼ばれる図です。

さらに問題文に示された「オートマトン」という言葉も「ナニコレ?」でしょう。

オートマトンは、直訳すると「自動(オート)」「機械(マトン)」という意味で、コンピュータを数学的なモデルで示したものです。ますます「ナニコレ?」ですね。

でも、解き方がわかってしまえば、とっても簡単な問題ですので、この機会に、しっかりと覚えておきましょう。

 

オートマトンは、状態を持つ機械であり、外部から入力されたデータに応じて、状態が遷移(変化)していきます。その際に、データを出力することもあります(この問題では、データを出力しています)。

状態遷移図では、それぞれの状態を円で表し、円から円に引かれた矢印で状態の遷移を示します。線の上には「入力 / 出力」という形式でデータを書き添えます。

状態遷移図: 矢印で状態の遷移を示し、入力 / 出力 でデータを書き添える

オートマトンに入力されるデータは、問題文に示された「 0011001110 」です。これが、左から順に
「 0 」
「 0 」
「 1 」
 ︙
「 0 」
と 1 文字ずつオートマトンに与えられ、それぞれに応じて状態の遷移と出力が行われます。そのルールを示したものが、状態遷移図です。

これで、状態遷移図とオートマトンの意味がわかりましたね。

 

それでは、問題を解いてみましょう。

「 0011001110 」という入力に対して、どのような出力が得られるかを選択肢から選ぶ問題です。

状態遷移図の円の中には、状態の名前が書き込まれています。この問題では、S1, S2, S3 です。大きな矢印が付けられた S1 が初期状態です。

「 0011001110 」を 1 文字ずつ「 0 」「 0 」「 1 」・・・「 0 」に分けて、それぞれの入力に対する出力と遷移先は、以下のようになります。

ご参考「 0011001110 」という入力に対する出力と状態遷移
状態 入力 出力 遷移先
S1 0 0 S1
S1 0 0 S1
S1 1 0 S2
S2 1 1 S3
S3 0 0 S1
S1 0 0 S1
S1 1 0 S2
S2 1 1 S3
S3 1 1 S3
S3 0 0 S1

ここでは、上から下に向かって、状態の遷移を書いています。すべての出力を、上から順に並べると「 0001000110 」になります。

解答は、アです。

解答 ア

【厳選問題 3 】
できる! と思っても、うっかり間違いをしないように絵を書こう

問38 平成30年度 春期

A さんが B さんの公開鍵で暗号化した電子メールを,B さんと C さんに送信した結果のうち,適切なものはどれか。ここで,A さん,B さん,C さんのそれぞれの 公開鍵は 3 人全員がもち,それぞれの秘密鍵は本人だけがもっているものとする。

暗号化された電子メールを,B さんだけが,A さんの公開鍵で復号できる。
暗号化された電子メールを,B さんだけが,自身の秘密鍵で復号できる。
暗号化された電子メールを,B さんも,C さんも,B さんの公開鍵で復号できる。
暗号化された電子メールを,B さんも,C さんも,自身の秘密鍵で復号できる。
解説

公開鍵暗号方式では、受信者が鍵のペアを作り、一方を暗号化用の「公開鍵」としてネットワーク経由で送信者に送り、もう一方を復号用の「秘密鍵」として受信者が保持します。

「そんなこと知ってるよ!」「公開鍵暗号方式の問題はできるぜ!」と思っている人が多いかもしれません。

ただし、そういう問題ほど、うっかり間違いをすることがよくあるので、鍵とデータの扱いを絵に書いて整理してみることをお勧めします。絵に書けば、うっかり間違いを防げます。

この問題における鍵とデータの扱いを絵にしたもの

ア~エの選択肢は、どれも「暗号化された電子メールを復号できるのは誰か?」という内容になっています。

この電子メールは、B さんの公開鍵で暗号化されているので、それを復号できるのは、公開鍵のペアとなる秘密鍵を保持している B さんだけです。復号の際に使われるのは、自分自身の( B さんの)秘密鍵です。

したがって、解答は、イです。

解答 イ

 

この解説を読んで「絵なんか書かなくてもできるよ!」と思った人こそ、うっかり間違いをしないように絵を書いてください。

かくいう筆者は、講座や記事で問題の解説をするときに、何度もうっかり間違いをしています。「できる!」と思っているからです。

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【厳選問題 4 】
問題の意味がわかれば、楽勝! 楽勝!

問 44 平成 30 年度 春期

社内ネットワークとインターネットの接続点に,ステートフルインスペクション機能をもたない,静的なパケットフィルタリング型のファイアウォールを設置している。このネットワーク構成において,社内の PC からインターネット上の SMTP サーバに電子メールを送信できるようにするとき,ファイアウォールで通過を許可する TCP パケットのポート番号の組合せはどれか。ここで,SMTP 通信には、デフォルトのポート番号を使うものとする。

送信元 宛先 送信元
ポート番号
宛先
ポート番号
PC SMTP サーバ 25 1024 以上
SMTP サーバ PC 1024 以上 25
PC SMTP サーバ 110 1024 以上
SMTP サーバー PC 1024 以上 110
PC SMTPサーバ 1024 以上 25
SMTP サーバ PC 25 1024以上
PC SMTP サーバ 1024以上 110
SMTP サーバ PC 110 1024以上
解説

意味がわかりににくい問題であり、難しく感じるでしょう。そういう問題は、意味がわかれば、とっても簡単です。

問題文に示された「ステートフルインスペクション」「静的なパケットフィルタリング」といった難しそうな言葉を気にする必要はありません。

 

この問題を解くには、

  • ファイアウォールがポート番号を見て、パケット通過の可否を判断していること
  • Web ページを提供する HTTP サーバは 80 、メールを転送する SMTP サーバは 25 、メールを受信する POP3 サーバは 110 のように、よく知られたサーバプログラムのポート番号は、あらかじめ決められていること
  • Web ブラウザやメールソフトなどクライアント側のプログラムのポート番号は、1024 以上の任意の値が設定されること

を知っていれば OK です。ポート番号とは、プログラムが持つ通信窓口を識別する番号のことです。

 

選択肢を見てみましょう。

左側には、送信元とあて先に「 PC 」と「 SMTP サーバ」という言葉が並んでいます。

「 PC 」とは、クライアント側のプログラムのことですから、ポート番号は 1024 以上です。
「 SMTP サーバ」のポート番号は、25 です。

したがって、左側の「 PC 」「 SMTP サーバ」と、右側の「 1024 以上」「 25 」の対応が合っている選択肢を選べばよいのです。そういう意味の問題です。

解答は、ウです。

解答 ウ

 

「ええっ、たったそれだけの問題ですか?」と思われるかもしれませんが、そうなのです。

「 SMTP サーバ」の部分を「 HTTP サーバ( Web サーバ)」に変えた問題も何度も出ていますので、主要なポート番号を覚えておきましょう。

  • HTTP サーバ は 80
  • SMTP サーバ は 25
  • POP3 サーバ は 110

です。

【厳選問題 5 】
知らない用語に遭遇したら、言葉の意味から判断せよ!

問 78 平成 30 年度 春期

商品 A の当月分の全ての受払いを表に記載した。商品 A を先入先出法で評価した場合,当月末の在庫の評価額は何円か。

日付 摘要 受払個数 単価
(円)
受入 払出
1 前月線越 10 100
4 仕入 40 120
5 売上 30
7 仕入 30 130
10 仕入 10 110
30 売上 30

ア 3,300  イ 3,600  
ウ 3,660  エ 3,700

解説

基本情報技術者試験の受験者の多くは、IT エンジニア(または、それを目指す人)でしょう。

IT エンジニアというものは、技術に興味はあっても、金勘定には興味がないものです。その気持ち、よ~くわかります。お金は、数えても増えないからです。

「お金を数えている暇があったら、技術でお金を稼ぎたい」と考えるのが、IT エンジニアです。

しかし、基本情報技術者試験には、金勘定に関する問題も出題されます。そのような問題には、IT エンジニアが知らない(そもそも覚える気がない)用語があります。

この問題の「先入先出法」は、その好例でしょう。さあ、どうしましょう?

 

もしも、知らない用語に遭遇したら、言葉の意味から判断してください。それを知ってほしいので、この問題を厳選問題としました。それに、「先入先出法」は、とてもよく出題されます。

言葉の意味は、「先に入れたものを、先に出す方法」でしょう。

問題に示された表には、「日付」ごとに「仕入」や「売上」があり、それぞれに「個数」と「単価」が示されています。このことから、「先入先出法」とは、「先に仕入れた商品を、先に売る方法」と予測できます。

この予測に沿って計算を行ってみて、結果と同じ値が選択肢にあれば、きっと予測は合っています(もしも、選択肢になければ、違う予測を立ててください)。

以下は、それぞれの日付における在庫の評価額(在庫として持っている商品の個数 × 単価)を書き出したものです。

それぞれの日付における在庫の評価額
日付 在庫
1 日 10 個 × 100 円
4 日 10 個 × 100 円
40 個 × 120 円
5 日 20 個 × 120 円
7 日 20 個 × 120 円
30 個 × 130 円
10 日 20 個 × 120 円
30 個 × 130 円
10 個 × 110 円
30 日 20 個 × 130 円 = 2,600 円
10 個 × 110 円 = 1,100 円

当月末(ここでは最後の日付の 30 日)の在庫の評価額は、

20 個 × 130 円 = 2,600 円 と
10 個 × 110 円 = 1,100 円 を足した 3,700 円

です。この値は、選択肢のエにあります。

実際の解答も、エです。

解答 エ

記事をお読みいただきありがとうございます。

もしも、一度解いただけでは、よくわからない問題があったなら、わかるまで何度でも練習してください。「やるべき問題」は、「わかるまでやるべき問題」だからです。

この厳選問題大全集が、受験者の皆様のお役に立てば幸いです。

 

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『プログラムはなぜ動くのか』(日経BP)が大ベストセラー
IT技術を楽しく・分かりやすく教える“自称ソフトウェア芸人”

大手電気メーカーでPCの製造、ソフトハウスでプログラマを経験。独立後、現在はアプリケーションの開発と販売に従事。その傍ら、書籍・雑誌の執筆、またセミナー講師として活躍。軽快な口調で、知識0ベースのITエンジニアや一般書店フェアなどの一般的なPCユーザの講習ではダントツの評価。
お客様の満足を何よりも大切にし、わかりやすい、のせるのが上手い自称ソフトウェア芸人。

主な著作物

  • 「プログラムはなぜ動くのか」(日経BP)
  • 「コンピュータはなぜ動くのか」(日経BP)
  • 「出るとこだけ! 基本情報技術者」 (翔泳社)
  • 「ベテランが丁寧に教えてくれる ハードウェアの知識と実務」(翔泳社)
  • 「ifとelseの思考術」(ソフトバンククリエイティブ) など多数

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