「厳選5題」過去問と解説 | 平成22年度 秋期 の過去問やるならこれをやれ


2022-08-17 更新

ここでは、平成 22 年度 秋期 基本情報技術者試験の午前試験 の中から「やるべき問題」を 5 題に厳選し、ぶっちゃけた解説をさせていただきます。

やるべき問題とは、よく出る問題であり、かつ、練習すればできる問題(練習しないとできない問題)です。

【厳選問題 1 】
誤差の名称を具体例に対応付けて覚えよう!

問 2 (平成 22 年度 秋期)

けた落ちの説明として,適切なものはどれか。

値がほぼ等しい浮動小数点数同士の減算において,有効けた数が大幅に減ってしまうことである。
演算結果が,扱える数値の最大値を超えることによって生じる誤差のことである。
数表現のけた数に限度があるとき,最小のけたより小さい部分について四捨五入,切上げ又は切捨てを行うことによって生じる誤差のことである。
浮動小数点数の加算において,一方の数値の下位のけたが結果に反映されないことである。
解説

コンピュータの計算において生じる誤差には、

「丸め誤差」
「桁あふれ」
「情報落ち」
「桁落ち」

などの種類があります。 それぞれを、具体例を示して説明しますので、誤差の名称と対応付けて覚えてください。

コンピュータの内部では、2 進数が使われていますが、わかりやすいように、10 進数で具体例を示します。

丸め誤差

コンピュータは、有限な機械なので、無限に続く数を表現できません。

たとえば、2 ÷ 3 = 0.66666・・・・ と無限に続く数は、途中で打ち切られて 0.666666667 となり、正確な値とは異なった値になります。

これが、丸め誤差です。 打ち切られた値は、四捨五入、切り上げ、切り捨てのいずれかを行った値になります。 0.666666667 は、四捨五入されています。

桁あふれ

コンピュータは、CPU の内部にあるレジスタを使って計算を行います。 レジスタのサイズは、固定的であり有限です。

たとえば、32 ビット CPU なら、レジスタのサイズは 32 ビットであり、10 進数で 2147483647 ~ – 2147483648(約 21 億~約 – 21 憶)の数を取り扱えます。

この CPU を使って、20 億と 10 億を加算するとどうなるでしょう。

結果の 30 億 が、取り扱える数の範囲を超えてしまい、つまり桁があふれてしまい、正しい結果が得られません。 これが、桁あふれです。

情報落ち

これは、浮動小数点数で、極端に大きな数と小さな数を加減算したときに生じます。

たとえば、1.23 × 10100 + 4.56 × 10 -100 という加算を行うとしましょう。

大きな値の指数に揃えて、
1.23 × 10100 + 0.000 ・・・ 000456 × 10100
という計算を行うことになります。

456 の前には、0 が 200 個ありますが、こんなに多くの桁を取り扱うことはできないので、途中で打ち切られ、
1.23 × 10100 + 0.000 ・・・ 0 × 10100
という計算、つまり 1.23 × 10100 + 0 というゼロを足す計算を行うことになってしまいます。

456 という情報が消えてしまいました。 これが、情報落ちです。

桁落ち

これは、浮動小数点数で、値が近い2つの数を減算したときに生じます。

桁落ちの原因は、浮動小数点数で正規化が行われることにあります。 ここでは、小数点以下第 1 桁が 0 でないように正規化するとします。

たとえば、0.00123 なら、0.123 × 10-2 に正規化します。

桁落ちの例として、値が近い 0.12345 と 0.12344 を減算するとしましょう。

現在する前の有効桁は、どちらも小数点以下 5 桁です。

0.12345 – 0.12344 = 0.00001 ですが、正規化によって 0.00001 = 0.1 × 10-4 になり、有効桁が小数点以下 1 桁に減ります。 これが、桁落ちです。

誤差の具体例を見て、誤差の名称と意味がわかりましたね。 それでは、問題を見てみましょう。

桁落ちの説明を選ぶものなので、「値がほぼ等しい浮動小数点数同士の減算において、有効桁数が大幅に減ってしまう」という選択肢アが正解です。

選択肢イ、ウ、エは、それぞれ、桁あふれ、丸め誤差、情報落ちの説明です。

 

解答 ア

【厳選問題 2 】
確率の乗法定理と加法定理の使い方を覚えよう!

問 3 (平成 22 年度 秋期)

表は,ある地方の天気の移り変わりを示したものである。 例えば,晴れの翌日の天気は,40 % の確率で晴れ,40 % の確率で曇り,20 % の確率で雨であることを表している。 天気の移り変わりが単純マルコフ過程であると考えたとき,雨の 2 日後が晴れである確率は何 % か。

単位 %
翌日晴れ 翌日曇り 翌日雨
晴れ 40 40 20
曇り 30 40 30
30 50 20

ア 15  イ 27  ウ 30  エ 33

解説

基本情報技術者試験には、確率の問題がよく出題されます。 中学で習ったと思いますが、確率には「乗法定理」と「加法定理」があります。

2 つの事象が連続して起きる確率は、それぞれの確率を掛けて求められます。 これが、乗法定理です。
2 つの事象のいずれかが起きる確率は、それぞれの確率を足して求められます。 これが、加法定理です。

この問題では、確率の乗法定理と加法定理を使います。

 

たとえば、サイコロを 2 回振って、1 回目に 1 が出て、2 回目に 6 が出る確率は、
1 回目に 1 が出る確率の 1/6 と、
2 回目に 6 が出る確率の 1/6 を掛けて、
1/6 × 1/6 = 1/36 です。

サイコロを 1 回振って 1 と 6 のいずれかが出る確率は、
1 が出る確率の 1/6 と、
6 が出る確率の 1/6 を足して、
1/6 + 1/6 = 2/6 = 1/3 です。

いかがでしょう。 確率の乗法定理と加法定理を、思い出していただけましたか?

 

それでは、問題を解いてみましょう。 ここでは、雨の 2 日後が晴れである確率を求めます。

これには、以下の 3 つのパターンがあります。

  1. 雨 → 晴れ → 晴れ
  2. 雨 → 曇り → 晴れ
  3. 雨 → 雨 → 晴れ

それぞれのパターンの確率は、連続して起きる確率なので、確率の乗法定理で求められます。 以下のようになります。

  1. 0.3 × 0.4 = 0.12
  2. 0.5 × 0.3 = 0.15
  3. 0.2 × 0.3 = 0.06

雨の 2 日後が晴れである確率は、これら 3 つのパターンのいずれかが起きる確率なので、確率の加法定理で求めることができ、以下のように 33 % になります。

0.12 + 0.15 + 0.06 = 0.33( 33 % )

したがって、選択肢エが正解です。

問題文の中にある「単純マルコフ過程」とは、1 つ前の状態だけから次に起こる事象が決まる、という意味なのですが、ここでは気にする必要はありません。

 

解答 エ

【厳選問題 3 】
磁気ディスク装置のデータ読み取り時間の計算方法のポイントを知ろう!

問 14 (平成 22 年度 秋期)

表に示す仕様の磁気ディスク装置において,1,000 バイトのデータの読取りに要する平均時間は何ミリ秒か。 ここで,コントローラの処理時間は平均シーク時間に含まれるものとする。

回転数 6,000 回転/分
平均シーク時間 10 ミリ秒
転送速度 10 M パイト / 秒

ア 15.1  イ 16.0  ウ 20.1  工 21.0

解説

基本情報技術者試験に出題される計算問題の多くは、実務で使われる有用な計算ではなく「仕組みがわかっていれば計算できるよね?」という趣旨ものです。

この問題は、「磁気ディスク装置がデータを読み書きする仕組みを知っているよね?」という問題です。

磁気ディスク装置
データを記憶した ディスク と、データを読み書きする ヘッド から構成されています。
ディスクの上には、 トラック と呼ばれる記憶領域が並んでいます。
平均シーク時間
ヘッドの下をデータが通過すると、データを読み書きできますが、その前に、ヘッドを、目的のデータがあるトラックの上に移動する時間が必要です。
平均回転待ち時間
さらに、データの先頭がヘッドの真下に来るまで待つ時間も必要になります。

ここまでを知っていれば、問題を解くことができます。

 

平均シーク時間は、問題に示されていて 10 ミリ秒です。
平均回転待ち時間は、ディスクが半回転する時間です。

回転待ち時間は、最も運が良ければ 0 で、最も運が悪ければディスク 1 回転分なので、平均すると半回転分になるのです。

ディスクの回転数が 6000 回転 / 分ですから、
1 回転は 60 秒 ÷ 6000 = 10 ミリ秒であり、
半回転は 10 ミリ秒 ÷ 2 = 5 ミリ秒です。

 

平均シーク時間の 10 ミリ秒と、平均回転待ち時間の 5 ミリ秒を足した 15 ミリ秒が、データを読み書きする前に必要な時間です。

これに、データを読み書きする時間を足せば、答えを得られます。

ここでは、1000 バイトのデータを、10 M バイト / 秒で読み取るので、1000 ÷ 10 M = 0.1 ミリ秒の時間がかかります。

したがって、15 + 0.1 = 15.1 ミリ秒の選択肢アが正解です。

 

解答 ア

 

label 関連タグ: ディスク

【厳選問題 4 】
英語の意味と対応付けて、リーダ、チャレンジャ、フォロワ、ニッチャの戦略を区別しよう!

問 67 (平成 22 年度 秋期)

競争上のポジションで, フォロワの基本戦略はどれか。

シェア追撃などのリーダ攻撃に必要な差別化戦略
市場チャンスに素早く対応する模倣戦略
製品,市場の専門特化を図る特定化戦略
全市場をカバーし,最大シェアを確保する全方位戦略
解説

同じ市場で競い合う複数の企業がある場合、それぞれの企業は、「リーダ」「チャレンジャ」「フォロワ」「ニッチャ」に分類でき、それぞれに合った戦略を取ります。

どのような戦略なのかは、それぞれの英語の意味からわかるでしょう。

リーダ
市場占有率が最大の企業ですから、選択肢エの「全市場をカバーし、最大シェアを確保する全方位戦略」が適切です。
チャレンジャ
リーダに挑戦する企業ですから、選択肢アの「シェア追撃などのリーダ攻撃に必要な差別化戦略」が適切です。
フォロワ
業績をあげている企業におとなしく付いていく(フォローする)企業ですから、選択肢イの「市場チャンスに素早く対応する模倣戦略」が適切です。
ニッチャ
他の企業が手を出さない隙間(ニッチ)で業績を上げるので、選択肢ウの「製品、市場の専門特化を図る特定化戦略」が適切です。

ここでは、フォロワの戦略を選ぶので、選択肢イが正解です。

 

解答 イ

【厳選問題 5 】
日本語の意味どおりに、導入期、成長期、成熟期、衰退期の戦略を判断しよう!

問 68 (平成 22 年度 秋期)

プロダクトライフサイクルにおける成長期の特徴はどれか。

市場が商品の価値を理解し始める。 商品ラインもチャネルも拡大しなければならない。 この時期は売上も伸びるが,投資も必要である。
需要が大きくなり,製品の差別化や市場の細分化が明確になってくる。 競争者間の競争も激化し,新品種の追加やコストダウンが重要となる。
需要が減ってきて,撤退する企業も出てくる。 この時期の強者になれるかどうかを判断し,代替市場への進出なども考える。
需要は部分的で,新規需要開拓が勝負である。 特定ターゲットに対する信念に満ちた説得が必要である。
解説

製品を市場に投入してから撤退するまでを「プロダクトライフサイクル」と呼び、その中には「導入期」「成長期」「成熟期」「衰退期」があります。

それぞれの意味は、日本語の意味から判断できます。 それぞれの選択肢が、どの期に該当するか考えてみましょう。

基本情報技術者試験には、ヒッカケ問題が出ないので、素直に常識的な判断をすればOKです。

選択肢ア
市場が商品の価値を理解し始め、売上も「伸びる」のですから「成長期」です。
選択肢イ
需要が大きくなり、競争が激化するのですから、「導入期」「成長期」「成熟期」「衰退期」の中では、「成熟期」が適切です。
選択肢ウ
需要が減り、代替市場への進出を考えるのですから、「衰退期」です。
選択肢エ
新規需要開拓のために、特定ターゲットに信念に満ちた説得をするので、「導入期」です。

以上のことから、選択肢アが正解です。

 

解答 ア

記事をお読みいただきありがとうございます。

もしも、一度解いただけでは、よくわからない問題があったなら、わかるまで何度でも練習してください。 「やるべき問題」は「わかるまでやるべき問題」だからです。

この厳選問題大全集が、受験者の皆様のお役に立てば幸いです。

 

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