基本情報技術者試験 科目A免除試験 (旧 午前免除試験) の講評 ~ 2025年6月8日実施


2025-06-12 更新

試験対策講座の講師として、誠に勝手ながら、2025年6月8日(日)に実施された基本情報技術者科目A免除試験(修了認定に係る試験)の講評をさせていただきます。

今回受験された人は振り返りの題材として、今後受験される人は対策の資料として、参考にしていただければ幸いです。

実施月 問題 解答
2025 年 6 月 問題 解答

問題の内容

表1は、今回の科目A免除試験の内容です。
問題の番号、分野、テーマ、難易度、および過去問題の再利用かどうかを示しています。

表1 今回の科目A免除試験の内容

番号 分野 テーマ(分類) 難易度 過去問題
1 T 16進数と10進数の変換(情報の基礎理論) R05公問1
2 T 標準偏差の特徴(情報の基礎理論) R05免問3
3 T ディープラーニングの説明(情報の基礎理論) R03午前問3(AP)
4 T センサとモータの制御(情報の基礎理論) H29秋問4
5 T 二分木の性質(アルゴリズム) H30秋問6(AP)
6 T ソートのアルゴリズム(アルゴリズム) H20春問13
7 T 多相性を実現するオーバーライドの説明(ソフトウェア) H29秋問7
8 T 命令を解釈・実行する順序(ハードウェア) H20春問18
9 T USB 3.0の説明(ハードウェア) H30秋問12
10 T ビデオメモリの記憶容量(ハードウェア) H15秋問28
11 T ライブマイグレーションの概念(システム構成) H30秋問12(AP)
12 T LAN設備の稼働率(システム構成) H16春問39
13 T メモリリークの説明(ソフトウェア) H29秋問16
14 T OSにおけるAPIの説明(ソフトウェア) H20春問29
15 T ディレクトリの指定方法(ソフトウェア) H29春問18
16 T 内部クロック発生器のブロック図(ハードウェア) H30春問23(AP)
17 T チェックデジットを付加した結果(マルチメディアとヒューマンインタフェース) H29秋問24
18 T DBMSのスキーマを決める機能(データベース) H27秋問25
19 T E-R図に関する記述(データベース) H28秋問26
20 T SQLのSELECT命令(データベース) H17春問60
21 T データベースにアクセスするためのJava API(データベース) H23特別問32
22 T 共有ロックと専有ロック(データベース) H25春問30
23 T ネットワークの応答時間(ネットワーク) H22春問34
24 T ブロードキャストフレームによるデータ伝送(ネットワーク) H25秋問34
25 T メールサーバから電子メールを取り出すプロトコル(ネットワーク) H21春問37(AP)
26 T リクエストをWebサーバに中継する仕組み(ネットワーク) H31春問35(AP)
27 T リバースブルートフォース攻撃に該当するもの(セキュリティ) R01秋問19(SG)
28 T AESで用いる鍵(セキュリティ) R01秋問17(SG)
29 T デジタル署名を生成する鍵(セキュリティ) H25秋問39(AP)
30 T サイバー情報共有イニシアティブの説明(セキュリティ) R03春問9(SC)
31 T IDカードでの再入室を許可しない仕組み(セキュリティ) H31春問13(SG)
32 T VDIサーバの動作の特徴(セキュリティ) R04春問44(AP)
33 T 認証ヘッダと暗号ペイロードを含むプロトコル(セキュリティ) H31春問43
34 T リポジトリを構築する理由(開発技術) H21春問57(AP)
35 T オブジェクト指向のカプセル化の説明(開発技術) H28秋問47
36 T 外部設計で顧客の承認を得るもの(開発技術) H29春問46
37 T 複数条件網羅のテストデータ(開発技術) H30春問49
38 T リバースエンジニアリングの説明(開発技術) H29秋問50
39 T スクラムチームの生産量の尺度(開発技術) R04春問49(AP)
40 T リファクタリングの説明(開発技術) H27秋問49(AP)
41 M 転嫁に該当するリスク対応 H27春問54(AP)
42 M アローダイアグラムから短縮する作業を求める R05公問13(AP)
43 M サービスマネジメントの事象 R01秋問41(SG)
44 M 必要なオペレータの人数 R03秋問56(AP)
45 M 電子文書の電子証明書 H30秋問39(SG)
46 S 業務と情報システムの理想を表すモデル H29秋問61(AP)
47 S パブリッククラウドの説明 R05公問15
48 S CSR調達に該当するもの H28秋問65
49 S プロダクトポートフォリオマネジメントの説明 H24春問67
50 S 現在の動向から未来を予測する手法 R02秋問68(AP)
51 S 四つの視点に基づく経営管理手法 H25秋問69(AP)
52 S 技術進化過程を表す曲線 H30秋問70
53 S 3PLを説明したもの H29秋問73(AP)
54 S セル生産方式が生かせる対象 H30春問73
55 S クラウドファンディングの例 R01秋問72
56 S マトリックス組織の説明 H28秋問76
57 S 定量発注方式の発注点の計算 H31春問75(AP)
58 S 負の相関を示す散布図 H24秋問77
59 S 売上原価の計算 H15秋問75
60 S クリエイティブコモンズの説明 H30秋問78(AP)

※分野は、T=テクノロジ系、M=マネジメント系、S=ストラテジ系
(テクノロジ系だけ、カッコ内に問題のテーマの分類を示しています。)

※難易度は、筆者の講師経験から、以下の通り設定しています。
 易:受講者のほぼ全員ができるもの
 中:受講者の半数ぐらいができるもの
 難:受講者の数名しかできない問題

※過去問題の再利用である場合は出題された主な試験区分と年度を示す。
(同じ問題が複数の試験区分と年度で何度も再利用されている場合がありますが、ここでは、それらの中から1つの試験区分と年度だけを示す)
※基本情報技術者試験の過去問題ではない場合は「H18秋問7(AP)」のようにカッコの中に試験区分の略称を示す。
AP:応用情報技術者試験、SG:情報セキュリティマネジメント試験、SC:情報処理安全確保支援士試験、SM:ITサービスマネージャ試験
※旧制度の過去問題も、現行制度の略称で示しています。
※公=基本情報の公開問題、免=科目A免除試験の過去問題です。

過去問題の再利用

今回の試験も、これまでに実施された科目A免除試験と同様に、すべての問題が過去問題の再利用でした。
基本情報技術者試験の過去問題だけでなく、他の試験区分の過去問題や、かなり古い年度の過去問題が数多くあったことも、これまでと同様です。

表2は、今回を含めた直近3回の試験で再利用された過去問題の試験区分と問題数です。
基本情報技術者試験の過去問題が多いのは当然ですが、応用情報技術者試験と情報セキュリティマネジメント試験の過去問題も数多く再利用されています。

表2 今回を含めた直近3回の試験で再利用された過去問題の試験区分と問題数

試験区分 12月8日
(前々回)
1月26日
(前回)
6月8日
(今回)
基本情報技術者試験 39問 39問 34問
応用情報技術者試験 12問 11問 20問
情報セキュリティマネジメント試験 5問 6問 5問
その他の試験 4問 4問 1問

問題の難易度

今回の科目A免除試験の問題の難易度は、易が22問、中が32問、難が6問でした。
易が90%できて、中が50%できて、難が25%できる(四択問題なので最低でも25%できます)とすれば、正解数の期待値は、22×0.9 + 32×0.5 + 6×0.25 = 37.30問です。

合格基準は、60問中36問以上の正解なので、ちゃんと勉強していれば、ギリギリですが合格点を取れたでしょう。

表3は、今回を含めた直近3回の試験の正解数の期待値です。
今回の問題は、直近の試験と比べると、ほぼ同じ難易度だったといえます。

表3 今回を含めた直近3回の試験の正解数の期待値

試験実施日 12月8日 1月26日 6月8日
正解数の期待値 38.05問 36.85問 37.30問

※60問中36問以上の正解で合格です。

直前対策講座の成果

私は、科目A免除試験の直前対策講座で、再利用される可能性が高いと思われる問題の演習と解説を行いました。

試験に向けて山を張ったわけです。
はたして、その山は当たったのでしょうか?

表4は、今回の試験の問題の中で、直前対策講座で配布した問題(試験2回分の120問)と一致したものを示します。

表4 直前対策講座の山が当たった問題

番号 分野 テーマ(分類) 難易度 過去問題
2 T 標準偏差の特徴(情報の基礎理論) R05免問3
3 T ディープラーニングの説明(情報の基礎理論) R03午前問3(AP)
5 T 二分木の性質(アルゴリズム) H30秋 問6(AP)
10 T ビデオメモリの記憶容量(ハードウェア) H15秋問28
21 T データベースにアクセスするためのJava API(データベース) H23特別問32
32 T VDIサーバの動作の特徴(セキュリティ) R04春問44(AP)
34 T リポジトリを構築する理由(開発技術) H21春問57(AP)
40 T リファクタリングの説明(開発技術) H27秋問49(AP)
46 S 業務と情報システムの理想を表すモデル H29秋問61(AP)
50 S 現在の動向から未来を予測する手法 R2秋問68(AP)
52 S 技術進化過程を表す曲線 H30秋問70
53 S 3PLを説明したもの H29秋問73(AP)
56 S マトリックス組織の説明 H28秋問76

13問が当たったのですから、マアマアでしょう。

これらの「難(2問)」と「中(5問)」を「易」に変更すると、正解数の期待値は、29×0.9 + 27×0.5 + 4×0.25 = 40.60問になります。
合格基準は、60問中36問以上の正解なので、直前対策講座にご参加いただいた人の多くは、きっと合格点が取れたはずです。

この結果には、ホッとしました。
どれだけ山が当たるかはわかりませんが、試験の直前に数多くの問題を解くことは、とても効果的ですので、機会があればぜひ直前対策講座にご参加ください。

試験に合格するための最も効率的で効果的な学習方法

最後に、今後の科目A免除試験を受ける人にアドバイスをさせていただきます。

苦手分野の過去問題を数多く解く
科目A免除試験の内容は、100%が過去問題の再利用です。
試験に出題される分野ごとの問題数は、毎回ほぼ同じです。
したがって、試験に合格するための最も効率的で効果的な学習方法は、苦手な分野の過去問題を数多く解いて、できなかった問題があれば、できるようになるまで練習することです。

問題の解き方の手順をノートに書いてみる
2進数、アルゴリズム、計算問題など、特に苦手な分野があるなら、問題の解き方の手順を、自分で自分に教えるつもりで、ノートに書いてみることをお勧めします。書くことで、頭の中が整理され、記憶にも残るからです。

科目A免除試験の過去問題も解く
科目A免除試験には、基本情報技術者試験の過去問題だけでなく、他の試験区分の過去問題も数多く出題されています。
ただし、他の試験区分の過去問題を解くことは、お勧めしません。
なぜなら、基本情報技術者試験の範囲外の問題(科目A免除試験に出ない問題)もあるからです。
他の試験区分の過去問題の対策として、科目A免除試験の過去問題を解くことをお勧めします。
一度、科目A免除試験に出題されれば、それらはもう基本情報技術者試験の過去問題であり、再利用される可能性が高いからです。

以上、試験対策講座の講師として、誠に勝手ながら、試験問題の講評をさせていただきました。

今回の試験に合格した人は、ここで気を緩めずに、本試験に向けて科目Bの学習を始めてください。
残念な結果になってしまった人は、ここで気を落すことなく、本試験に向けて科目Aと科目Bの両方を学習してください。

どちらも場合も、コツコツと学習を続けていれば、必ず良い結果が得られるはずです。

皆様のご健闘をお祈り申し上げます!

label 関連タグ
科目A試験は、
免除できます。
独習ゼミで科目A試験を1年間免除して、科目B試験だけに集中しましょう。
免除試験を受けた 74.9% の方が、
科目A免除資格を得ています。
※独習ゼミは、受験ナビ運営のSEプラスによる試験対策eラーニングです。
科目A免除試験 最大 2 回の
受験チャンス !
info_outline
科目A免除試験 最大 2 回の
受験チャンス !
詳しく見てみるplay_circle_filled
label これまでの『資格ガイド』の連載一覧 label 著者