今週の午後問題〔問題〕情報セキュリティ クラウドサービスの利用者認証 2019 年度 春期

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この記事は基本情報技術者試験の旧制度( 2022 年以前)の記事です。
この記事の題材となっている「午後問題」は現在の試験制度では出題されません。 ご注意くださいませ。

今週の午後問題 のコーナーでは毎週月曜に午後の必須選択問題から 1 問ピックアップして出題し、 解答欄 を設け、読者の皆さまも参加して解答できます! その週の金曜にはその解答と 矢沢久雄 さんによる 解説 ページを公開し、皆さんの正解率も発表します。

今週から「情報セキュリティ」に絞って出題します!今回は 「 2019 年度 春期 クラウドサービスの利用者認証」です。

ぜひ腕試しにお使い下さい!

今週の午後問題
2019 年度 春期 情報セキュリティ クラウドサービスの利用者認証

問 1

クラウドサービスの利用者認証に関する次の記述を読んで,設問 1 ,2 に答えよ。

 A 社では現在, Web ベースの業務システムが複数稼働しており,それぞれが稼働するサーバ (以下,業務システムサーバという) を社内 LAN に設置している。 A 社のネットワーク構成を,図 1 に示す。

図 1 A 社のネットワーク構成

 利用者は,業務システムを,社内 LAN に設置されたクライアント PC の Web ブラウザから利用する。社外から社内 LAN へのリモートアクセスは禁止されている。業務システムの利用者認証は, A 社認証サーバでの利用者 ID とパスワード (以下,この二つを併せて利用者認証情報という) の検証によって行っており,シングルサインオンを実現している。

 社内 LAN からインターネットを介した社外への通信は,クライアント PC からプロキシサーバを経由した, HTTP over TLS (以下, HTTPS という) による通信だけが,ファイアウォールによって許可されている。社外からインターネットを介した社内 LAN への通信は,全てファイアウォールによって禁止されている。ファイアウォールの設定は, A 社のセキュリティポリシに基づき変更しないものとする。

〔クラウドサービスの利用者認証〕

 このたび A 社は,業務システムの一つである販売管理システムを, B 社がインターネットを介して提供する販売管理サービス (以下, B 社クラウドサービスという) に移行することにした。利用者認証に関しては, A 社認証サーバと B 社クラウドサービスを連携し,次の 1. ~ 3. を実現することにした。

  1. B 社クラウドサービスをシングルサインオンの対象とする。
  2. A 社の利用者認証は, B 社クラウドサービスについても, A 社認証サーバで行う。
  3. 利用者が本人であることを確認するために A 社認証サーバで用いるaは, B 社クラウドサービスには送信しない。

 1. ~ 3. を実現するために, A 社は,利用者認証を仲介する ID プロバイダ (以下, IdP という) を社内 LAN に設置することにした。 IdP は,認証結果,認証有効期限及び利用者 ID (以下,これら三つを併せて認証済情報という) にディジタル署名を付加してから, Web ブラウザを介して, B 社クラウドサービスに送信する。 B 社クラウドサービスは,付加されているディジタル署名を使って,受信した認証済情報にbがないことを検証する。このために, IdP のcを B 社クラウドサービスに登録しておく。

 Web ブラウザと B 社クラウドサービスとの間,及び Web ブラウザと IdP との間の通信には, HTTPS を用いる。 IdP と A 社認証サーバとの間の通信には LDAP を用いる。

〔 B 社クラウドサービスが利用可能になるまでの処理の手順〕

 A 社の利用者が,利用者認証されていない状態で, B 社クラウドサービスを利用しようとした場合に,利用可能になるまでの処理の手順を次の 01 ~ 10 に示す。

  1. 利用者は, Web ブラウザから B 社クラウドサービスにアクセスの要求を送信する。
  2. B 社クラウドサービスは,アクセスの要求を IdP に転送する指示 (以下,転送指示という) を, Web ブラウザに返信する。
  3. Web ブラウザは, 02 の転送指示に従い, IdP にアクセスの要求を送信する。
  4. IdP は,利用者認証情報の入力画面を Web ブラウザに返信する。
  5. 利用者は, Web ブラウザで利用者認証情報を入力する。 Web ブラウザは,入力された利用者認証情報を IdP に送信する。
  6. IdP は,利用者認証情報を A 社認証サーバに送信する。
  7. A 社認証サーバは,利用者認証情報を検証し,認証結果を IdP に返信する。
  8. IdP は,認証結果が成功の場合に,認証済情報を発行し,当該情報の B 社クラウドサービスへの転送指示とともに,Web ブラウザに返信する。
  9. Web ブラウザは, 08 の転送指示に従い,認証済情報を B 社クラウドサービスに送信する。
  10. B 社クラウドサービスは,認証済情報に基づいて, B 社クラウドサービスの利用を許可し,操作画面を Web ブラウザに返信する。

 B 社クラウドサービスが利用可能になるまでの処理の流れを,図 2 に示す。図 2 中の (1) ~ (10) は,処理の手順の 01 ~ 10 と対応している。

図 2 B 社クラウドサービスが利用可能になるまでの処理の流れ

設問 1

本文中のに入れる適切な答えを,解答群の中から選べ。

a ~ c に関する解答群

PKI 改ざん 公開鍵
サービス妨害 生体情報 パスワード
秘密鍵 利用者ID 漏えい

設問 2

次の記述中のに入れる適切な答えを,解答群の中から選べ。

 B 社クラウドサービスでは,接続元の IP アドレスを A 社のものに限定する機能は提供されていない。しかし,他の業務システムと同様に, B 社クラウドサービスを,社内 LAN からの利用に限定できる。

 この理由は,dことが必要であるが, IdP を社内 LAN に設置するので,社外から B 社クラウドサービスを利用しようとしても,図 2 中のeの送信で失敗し,利用者認証されないからである。

d に関する解答群

B 社クラウドサービスが, IdP と直接通信する
B 社クラウドサービスが,利用者認証情報を検証し, Web ブラウザに返信する
IdP が,利用者に代わって,利用者認証情報を B 社クラウドサービスに送信する
Web ブラウザが, IdP と通信する

e に関する解答群

ア (1)  イ (3)  ウ (5)  エ (6)  オ (9)

問題のヒント

利用者認証の方法を、説明文から読み取る問題です。

Web ブラウザ、 ID プロバイダ、およびクラウドサービスが、どのような手順で通信しているかに注目してください。 ID プロバイダ( IdP )は、聞いたことがない用語だと思いますが、それが何であるかは、説明文に示されています。

さらに、 HTTP over TLS の役割、ディジタル署名における公開鍵と秘密鍵の使い方、ファイアウォールの機能などに関する設問もあります。これらには、午前試験の問題をしっかりと練習していれば、答えられるでしょう

みんなの解答欄

こちらから解答できます!

今週の金曜に解答解説ページを、ご解答頂いた方の正解率とともに公開します !!

 

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