確率|やさしい基礎理論

この連載は、基本情報技術者試験の受験者を対象としたものです。
多くの受験者が苦手としている「情報の基礎理論」の分野から毎回1つずつテーマをあげて、やさしくポイント解説と問題解説を行います。
苦手分野を克服して、試験の得点をアップしましょう。

今回のテーマは、 前回に引き続いて数学のテーマである「確率」 です。

基本的な確率の求め方

たとえば、サイコロ(一般的な6面のサイコロ)を1回振ると、出る目のパターンは1、2、3、4、5、6の6通りです。
確率の分野では、それぞれのパターンのことを事象と呼びます。
確率は、「目的の事象の数/すべての事象の数」という計算で求めます。

たとえば、サイコロを1回振って3が出る確率は、3が出る事象の数が1通りで、すべての事象の数が6通りなので、1/6です。
サイコロを1回振って偶数が出る確率は、偶数が出る事象の数が3通り(2が出る、4が出る、6が出る)で、すべての事象の数が6通りなので、3/6=1/2です。

事象の数を求めるときに、前回の記事で取り上げた順列や組み合わせの考え方を使う場合もよくあります。

たとえば、前回の記事で「男子3人、女子5人の中から3人を選ぶとき、男子が少なくとも1人含まれる選び方は何通りあるか(出典:H18秋問7)」という組み合わせの問題を紹介しました。
これを「男子3人、女子5人の中から3人を選ぶとき、男子が少なくとも1人含まれる確率を求めよ」にアレンジすれば、確率の問題になります。

男女8人の中から3人を選ぶ組合せ(すべての事象の数)は、(8×7×6)/(3×2×1)=56通りです。
女子5人の中から3人を選ぶ組合せ(女子だけの事象の数)は、(5×4×3)/(3×2×1)=10通りです。
男女8人の中から3人を選んだ組み合わせの中で、男子が少なくとも1人含まれている組み合わせ(男子が含まれている事象の数)は、56-10=46通りです。

したがって、その確率は、46/56です。

確率の加法定理と乗法定理

事象Aまたは事象Bが起きる確率は、事象Aが起きる確率と事象Bが起きる確率の加算で得られます。
これを、確率の加法定理と呼びます。

たとえば、サイコロを1回振って3または5が出る確率は、3が出る確率が1/6で、5が出る確率が1/6なので、両者を加算した(1/6)+(1/6)=2/6=1/3です。

事象Aが起こり、続けて事象Bが起きる確率は、事象Aが起きる確率と事象Bが起きる確率の乗算で得られます。
これを、確率の乗法定理と呼びます。

たとえば、サイコロを1回振って3が出て、続けてもう1回振って5が出る確率は、3が出る確率が1/6で、続けて5が出る確率が1/6なので、両者を乗算した(1/6)×(1/6)=1/36です。

確率の加法定理と乗法定理は、組み合わせて使う場合もよくあります。

たとえば、サイコロを1回振って3か5が出て、続けてもう1回振って2か4が出る確率は、3か5が出る確率が加法定理で(1/6)+(1/6)=2/6=1/3であり、2か4が出る確率が加法定理で(1/6)+(1/6)=2/6=1/3なので、それらが続けて起きる確率は、乗法定理で(1/3)×(1/3)=1/9です。

確率に関する問題の例(その1)

確率に関する問題を2つ紹介しましょう。
はじめは、基本的な確率の求め方で解く問題です。

問1(出典:R01秋問6)

Random(n)は、0以上n未満の整数を一様な確率で返す関数である。整数型の変数A,B及びCに対して次の一連の手続きを実行したとき、Cの値が0になる確率はどれか。

A=Random(10)
B=Random(10)
C=A-B

    ア  1/100   イ  1/20    ウ  1/10    エ  1/5

Random(n)は、0以上n未満の整数を一様な確率で返すので、Random(10)は、0以上10未満の整数(0~9の整数)を一様な確率で返します。

A = Random(10)、B = Random(10)なので、AとBの値は、0~9のいずれかの整数です。
C=A-Bの値が0になる確率は、A=Bとなる確率と同じです。

AとBの組み合わせは、Aが0~9の10通りで、Bも0~9の10通りなので、10×10=100通りです。
これらの組み合わせの中で、A=Bとなるのは、A=B=0、A=B=1、A=B=2、A=B=3、A=B=4、A=B=5、A=B=6、A=B=7、A=B=8、A=B=9の10通りです。

したがって、A=Bとなる確率は、10通り/100通り=1/10です。
選択肢ウが正解です。

確率に関する問題の例(その2)

次は、確率の加法定理と乗法定理を使って解く問題です。
問題文の中にある「単純マルコフ過程」とは、直前の状態によって次の状態が決定されるということです。

問2(出典:H22秋問3)

表は、ある地方の天気の移り変わりを示したものである。例えば、晴れの翌日の天気は、40%の確率で晴れ、40%の確率で曇り、20%の確率で雨であることを表している。天気の移り変わりが単純マルコフ過程であると考えたとき、雨の2日後が晴れである確率は何%か。

    ア  15    イ  27    ウ  30    エ  33

雨の2日後が晴れであるパターンには、以下の3つがあります。

(1)雨→晴れ→晴れ
(2)雨→曇り→晴れ
(3)雨→雨→晴れ

それぞれのパターンの確率は、それぞれの事象(ここでは、晴れ、曇り、雨の天気が事象)が続けて起きる確率なので、確率の乗法定理で求められ、以下のようになります。

(1)雨→晴れ→晴れ・・・雨の翌日晴れ(30%)×晴れの翌日晴れ(40%)=12%
(2)雨→曇り→晴れ・・・雨の翌日曇り(50%)×曇りの翌日晴れ(30%)=15%
(3)雨→雨→晴れ・・・雨の翌日雨(20%)×雨の翌日晴れ(30%)=6%

雨の2日後が晴れである確率は、3つのパターンのいずれかが起きる確率なので、確率の加法定理で求められ、以下のようになります。

12%+15%+6%=33%

したがって、選択肢エが正解です。

基本情報技術者試験の公開問題を見ると、過去問題(過去の試験に出題された問題)の再利用が多いことがわかります。
したがって、試験に合格するために最も効率的で効果的な学習方法は、できなかった問題があれば、できるようになるまで練習することです。
もしも、今回取り上げた問題がすぐにできなかったら、できるようになるまで練習してください。

それでは、またお会いしましょう!

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