過去問の解き方知りたいぜ | 解法テクニック


2020-03-04 更新

基本情報技術者試験に合格するには、なんたって過去問題を数多く解くことが重要です。

ただし、ただ闇雲に解けばよい、というものではありません。

解法テクニックを意識して解いてください。「ええっ! 解法テクニックって何のこと?」と思われるかもしれませんので、いくつか紹介しましょう。

この記事は、午後問題が主なテーマですが、午前問題を例にして説明します。午後問題を掲載したら、長くて読むのが面倒だからです。

ただし、どの解法テクニックも、午前問題だけでなく午後問題でもバッチリ活用できます。

解法テクニック 1:
選べなかったら消去法

基本情報技術者の問題は、すべて選択問題です。

したがって、もしも「正解を選べない」なら、「不正解と思われるものを消す」という解法テクニックが使えます。いわゆる「消去法」です。

「選べなかったら消去法」 を標語のように意識してください。

 

選択肢に、 panorama_fish_eyeclose だけを付けるのではなく、 panorama_fish_eyechange_historyclosehelp_outline を付けてください。

正しいなら panorama_fish_eye
微妙なら change_history
誤りなら close
そして判断不能なら help_outline

です。

そして、裏をかかずに、 最も無難な選択肢を選んでください。

最も無難とは、

change_historypanorama_fish_eyechange_historyclose 」なら panorama_fish_eye を付けた選択肢

closechange_historyhelp_outlineclose 」なら change_history を付けた選択肢

です。

 

例を示しましょう。

以下は、平成 27 年度 春期 午前 問 79 です。「コンピュータウイルスに関する罪となるものはどれか」という問題ですが、正解を選ぼうと思うとなかなか決められないでしょう。

こういうときこそ「選べなかったら消去法」です。

問 79 (平成 27 年度 春期 午前)

刑法における,いわゆるコンピュータウイルスに関する罪となるものはどれか。

ウイルス対策ソフトの開発,試験のために,新しいウイルスを作成した。
自分に送られてきたウイルスに感染した電子メールを,それとは知らずに他者に転送した。
自分に送られてきたウイルスを発見し,ウイルスであることを明示してウイルス対策組織へ提供した。
他人が作成したウイルスを発見し,後日これを第三者のコンピュータで動作させる目的で保管した。
  • アは、ウイルス対策ソフトの開発と試験のために新しいウイルスを作成したのですから、罪にはならないでしょう。 close を付けましょう。
  • イは、知らなかったとはいえ、他者にウイルスを転送してしまったのですから、少しは罪になるような気がします。 change_history を付けましょう。
  • ウは、ウイルスを発見して、ウイルスであることを明示して、ウイルス対策組織へ提供したのですから、罪にならないでしょう。 close を付けましょう。
  • エは、ウイルスを発見し、それを第三者のコンピュータで動作させる目的で保管したのですから、罪になりそうです。 panorama_fish_eye を付けましょう。

消去法の結果は、「 closechange_historyclosepanorama_fish_eye 」になりました。最も無難なのは、 panorama_fish_eye を付けたエなので、エを選んでください。実際の正解もエです。

 

この例にはありませんでしたが、もしも help_outline を付けた選択肢があったなら、それを選んではいけません。

ちゃんと勉強したのに判断不能の help_outline となる選択肢は、誤りの選択肢である可能性が高いからです。

矛盾した内容だったり、試験の範囲外の用語だったりします。「知らない言葉だから、もしかしたら、これが正解かな?」などと考えてはいけません。

label 関連タグ: 消去法のやり方

解法テクニック 2:
知らない用語は、用語を構成する英語や日本語から意味を考える

先ほど説明したように、もしも、選択肢に知らない用語(消去法で help_outline を付けた用語)があったなら、それは誤りである可能性が高いので、選んではいけません。

 

それでは、問題文の中に知らない用語があったらどうしましょう。

これは、勉強不足としか言いようがありません。

「仕方がないから、当てずっぽうで選択肢を選ぼうかな」と思ったなら、ちょっと待ってください。少しはジタバタしましょう。

用語を構成する英語や日本語から意味がわかる場合があるからです。

 

例を示しましょう。

以下は、平成 27 年度 春期 午前 問 37 です。

「キーロガーの悪用例はどれか」という問題ですが、「キーロガー」という用語を知らなかったとします。「キーロガー」は、「キー」と「ロガー」という英語から構成されています。

どういう意味か考えてください。

問 37 ( 平成 27 年度 春期 午前 )

キーロガーの悪用例はどれか。

通信を行う 2 者間の経路上に割り込み,両者が交換する情報を収集し,改ざんする。
ネットバンキング利用時に,利用者が入力したパスワードを収集する。
ブラウザでの動画閲覧時に,利用者の意図しない広告を勝手に表示する。
ブラウザの起動時に,利用者がインストールしていないツールバーを勝手に表示する。

「キー」は、「キーボード」のことでしょう。「ロガー」とは、「ログ = 記録」する仕組みのことでしょう。

したがって、「キーロガー」は、「キーボード入力を記録するプログラム」だと思われます。この解釈で、選択肢を見てみましょう。

イの「ネットバンキング利用時に、利用者が入力したバスワードを収集する」は、キーボード入力を記録するプログラムの悪用例としてピッタリです。

イを選んでください。実際の正解も、イです。

 

この例では、運良くピッタリと合う選択肢がありましたが、もしも「キーボード入力を記録するプログラム」という解釈に合う選択肢がなかったら、「検索のキーを記録するプログラム」のような別の解釈をしてください。

その際に、選択肢の内容を、大いにヒントとしてください。

解法テクニック 3:
具体的な数値を想定する

いきなりですが、例を示しましょう。

以下は、平成 17 年度 春期 午前 問 2 です。2 進数に関する問題であり、選択肢に難しそうな数式が並んでいます。

さあ、どうやって解いたらよいでしょうか。

問2 (平成 17 年度 春期 午前)

ある自然数 x を 2 進数で表現すると, 1 と 0 が交互に並んだ 2n けたの 2 進数 1010・・・10 となった。このとき, x に関して成立する式はどれか。

学校の数学の先生なら「式の意味を考えろ」や「式を導け」などと教えるかもしれませんが、ここでは「答えが選べればいいのだ」と割り切ってしまいましょう。

そのためには、n に具体的な数値を想定すればよい のです。

試しに、n に 1 を想定してみましょう。

2n けたの 2 進数 1010・・・10 は、2 けたの 2 進数 10 になります。2 進数 の 10 は、10 進数 で 2 です。つまり、n が 1 なら、自然数 x は 2 です。

 

選択肢を見てみましょう。

どの選択肢も、左辺は x + x / 2 です。

ここでは、x が 2 なのですから、左辺は x + x / 2 = 2 + 2 / 2 = 3 です。

したがって、選択肢の右辺の n に 1 を代入して、3 になるものがあれば、それが正解です。

アは、22n = 22 = 4 です。
イは、22n-1 = 22 - 1 = 3 です。
ウは、22n+1 = 23 = 8 です。
エは、22n+1 - 1 = 23 - 1 = 7 です。

右辺が 3 になったのは、イ だけなので、イ を選んでください。実際の正解も イ です。

label 関連タグ: テクニック 具体的な値を想定

解法テクニック 4:
よい子の常識的な判断で答える

基本情報技術者試験には、滅多にヒッカケ問題が出題されません。

社会人だけでなく、大学生や高校生などの青少年も受験しているからでしょう。もしも、青少年にヒッカケ問題を出題したら、国家試験として不健全です。そんなことをしたら「こんなヒッカケ問題を出すIT業界なんかに就職するもんか!」と思われてしまうかもしれません。

ヒッカケ問題が出ないのですから、よい子になって常識的な判断をすれば解ける問題が多々あります。

 

例を示しましょう。以下は、平成 24 年度 秋期 午前 問 80 です。

問 80 (平成 24 年度 秋期 午前)

派遣元会社 A 社と派遣先会社 B 社が派遣契約を結び,A 社は社員である N 氏を派遣した。労働者派遣法に照らして適切な行為はどれか。

ア B 社の繁忙期と N 氏の休暇申請が重なったので,B 社から直接 N 氏に休暇の変更を指示した。
イ N 氏からの作業環境に関する苦情に対し,B 社は雇用関係にないので,対応は A 社だけで行った。
ウ N 氏は派遣期間中の仕事に関する指示を,B 社の担当者から直接受けることにした。
エ 派遣期間中に N 氏の作業時間が空いたので,B 社は派遣取決め以外の作業を依頼した。

派遣労働法に関する問題ですが、法律の内容を調べる必要はありません。よい子になって常識的な判断をすれば解けるからです。

この問題では、強い立場にある企業ではなく、弱い立場にある派遣労働者を守るのがよい子です。

  • アは、派遣先企業の B 社が、派遣労働者の N 氏の休暇を変更するのですから、よい子ではありません。
    N 氏は、あくまでも A 社の社員なのですから。
  • イは、派遣労働者の N 氏が、派遣先企業の B 社の作業環境に苦情を言っているのに、それを B 社が関係ないと無視するのは、よい子ではありません。
    B 社は、作業環境を改善すべきです。
  • ウは、派遣先企業の B 社が派遣労働者のN氏に、派遣期間中の仕事の指示をするのですから、当然のことであり、よい子です。
    もしも、B 社が N 氏に仕事の指示をしなかったら、N 氏は何をすればよいのかわからずに困ってしまうでしょう。
  • エは、派遣先企業の B 社が、派遣労働者の B 氏に派遣取り決め以外の作業をさせるのですから、よい子ではありません。
    B 氏は「話が違うよ!」ということになってしまいます。

よい子の常識的な判断は、ウ だけなので、ウ を選んでください。実際の正解も ウ です。

 

試験問題の解法テクニック、いかがだったでしょう。

「なるほど! こうやって解けば簡単だったんだ」と感じて頂けたなら幸いです。

ここで紹介したもの以外にも、様々な解法テクニックがあると思いますので、過去問題を解きながら、ご自身で見出してください。

お友達とお互いの解法テクニックを交換し合う、というのも効果的ですので、ぜひやってみてください。

それでは、またお会いしましょう!

 

Photo by rawpixel on Unsplash

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