基本情報技術者試験 科目A免除試験の講評 ~ 2026年6月14日実施


2026-06-17 更新

試験対策講座の講師として、誠に勝手ながら、2026年6月14日(日)に実施された基本情報技術者科目A免除試験(修了認定に係る試験)の講評をさせていただきます。

今回受験された人は振り返りの題材として、今後受験される人は対策の資料として、参考にしていただければ幸いです。

実施月 問題 解答
2026 年 6 月 問題 解答

問題の内容

表1は、今回の科目A免除試験の内容です。
問題の番号、分野、テーマ、難易度、および過去問題の再利用かどうかを示しています。

表1 今回の科目A免除試験の内容

番号 分野 テーマ(分類) 難易度 過去問題
1 T 情報落ちの発生を防ぐ工夫(情報の基礎理論) (なし)
2 T 天気の移り変わりの確率(情報の基礎理論) H22秋問3
3 T ファインチューニングの説明(情報の基礎理論) R07公開問1
4 T A/D変換器の使用例(ハードウェア) (なし)
5 T 二分探索木の構成(アルゴリズム) (なし)
6 T 行きがけ順深さ優先探索(アルゴリズム) (なし)
7 T メソッドのオーバーロードの説明(ソフトウェア) (なし)
8 T MIPSの計算(ハードウェア) H29秋問9
9 T パルス幅の計算(ハードウェア) (なし)
10 T RAIDの方式(システム構成) H28秋問12
11 T フェールセーフの説明(システム構成) (なし)
12 T システムに必要なCPUの数(システム構成) (なし)
13 T 仮想ページ番号とページ内変位のビット数(ソフトウェア) (なし)
14 T ローコード開発ツールの説明(ソフトウェア) R07公開問5
15 T GPLのOSSでライセンス違反となるもの(ソフトウェア) H25秋問21
16 T セグメントLEDの点灯回路(ハードウェア) H28秋問21
17 T バーチャルサラウンドの説明(マルチメディアとヒューマンインタフェース) (なし)
18 T NoSQLのグラフ型のデータベースの特徴(データベース) (なし)
19 T 正規形の条件(データベース) (なし)
20 T SQLのUNIONの機能(データベース) (なし)
21 T ストアドプロシージャの説明(データベース) (なし)
22 T DBMSのチェックポイントの処理の順番(データベース) (なし)
23 T 無線LANのWi-Fi Directの説明(ネットワーク) (なし)
24 T OSI基本参照モデルの階層(ネットワーク) (なし)
25 T IPv4ネットワークにおける識別番号(ネットワーク) (なし)
26 T ネットワーク管理プロトコルであるもの(ネットワーク) H20秋問55
27 T サーバ内への侵入の痕跡を隠蔽するツール(セキュリティ) (なし)
28 T 暗号の危殆化の説明(セキュリティ) R07公開問9
29 T 生体認証の本人拒否率と他人受入率(セキュリティ) (なし)
30 T セキュリティに関するブラックボックステストの手法(セキュリティ) (なし)
31 T EDRの機能に該当するもの(セキュリティ) (なし)
32 T ゼロトラストの説明(セキュリティ) R07公開問3(SG)
33 T クロスサイトスクリプティング対策(セキュリティ) H30秋問41(AP)
34 T DFDの表記法(開発技術) H16春問50
35 T オブジェクト指向の基底クラスとサブクラス(開発技術) (なし)
36 T マイクロサービスアーキテクチャの説明(開発技術) (なし)
37 T ブラックボックステストのテストケース(開発技術) (なし)
38 T 部品を組合わせたアプリケーション構築(開発技術) (なし)
39 T スクラムにおけるプロダクトオーナーの責任(開発技術) (なし)
40 T テスト駆動開発において典型的な手順(開発技術) (なし)
41 M プロジェクトマネジメントのプロセス群 (なし)
42 M アローダイアグラムの期間の短縮 H30春問51
43 M サービスマネジメントにおけるインシデント管理の活動 (なし)
44 M ITサービスの可用性の目標値 (なし)
45 M 内部監査人の独立性と客観性 (なし)
46 M BPMSの検証フェーズに該当するもの (なし)
47 S 既存のビジネスに最先端のITを取り入れ新しいビジネスやサービス (なし)
48 S 内部ビジネスプロセスの視点のKPIの例 H30秋問64(AP)
49 S ポートフォリオマネジメントで分類した事業 H23特別問65
50 S カニバリゼーションの事例 (なし)
51 S ビジネスモデルを把握するフレームワーク (なし)
52 S ハッカソンの説明 (なし)
53 S RPAの説明 R01秋問71(AP)
54 S IoTのエネルギーハーベスティングの説明 R05春問71(AP)
55 S ソーシャルメディアの説明 H25春問73
56 S OJTによるスキル修得に該当するもの H14春問74
57 S 移動平均法による販売予測 (なし)
58 S パレート図として適切なもの H28春問77
59 S 損益計算書の区分 (なし)
60 S 個人情報保護法に照らして適法な行為 H23秋問80
表1について
●分野
T=テクノロジ系、M=マネジメント系、S=ストラテジ系 
※テクノロジ系は、カッコ内に問題のテーマの分類を示す

●難易度(筆者の講師経験から設定)
易=受講者のほぼ全員ができる問題、中=受講者の半数ぐらいができる問題、難=受講者の数名しかできない問題

●その他
・過去問題の再利用(まったく同じ問題、もしくは、ほとんど同じ問題)である場合は、出題された年度と問題番号を示す。
・基本情報技術者試験の過去問題ではない場合は「H18秋問7(AP)」のようにカッコの中に試験区分の略称を示す。
(略称)AP=応用情報技術者試験、SG=情報セキュリティマネジメント試験
・同じ問題が複数の試験区分と年度で何度も再利用されている場合も、ここでは、1つの試験区分と年度だけを示す。
(科目A免除試験の過去問題の再利用よりも本試験を優先する)
・過去問題の再利用でない場合は、「(なし)」と示す。

過去問題の再利用が減った

今回の試験は、これまでに実施された科目A免除試験と大きく異なります。
過去問題の再利用が減り、難易度がアップしたのです。

まず、過去問題の再利用を見てみましょう。
表2は、今回を含めた直近3回の試験で再利用された過去問題の試験区分と問題数です。

表2 今回を含めた直近3回の試験で再利用された過去問題の試験区分と問題数

試験区分\試験実施日 2025年12月14日 2026年1月25日 2026年6月14日(今回)
基本情報技術者試験 38問 37問 16問
応用情報技術者試験 18問 16問 4問
その他の試験 4問 7問 1問
合計 60問 60問 21問

これまでに実施された科目A免除試験は、すべての問題が過去問題の再利用でした。
それに対して、今回の試験は、過去問題の再利用がわずか21問だけ(半数以下)です。

過去問題の再利用でないものは、まったく新しい問題の可能性もありますが、公開されていない問題(実際の試験に使われているが公開されていない問題)かもしれません。

問題の難易度が上がった

次に、問題の難易度を見てみましょう。

易が12問、中が37問、難が11問でした。
易が90%できて、中が50%できて、難が25%できる(四択問題なので最低でも25%できます)とすれば、正解数の期待値は、12×0.9 + 37×0.5 + 11×0.25 = 32.1問です。
合格基準は、60問中36問以上の正解なので、がんばって勉強していない限り、残念な結果になってしまった受験者が多かったでしょう。
表3は、今回を含めた直近3回の試験の正解数の期待値です。今回の問題は、直近の試験と比べて、とても難しかったといえます。

表3 今回を含めた直近3回の試験の正解数の期待値

試験実施日 2025年12月14日 2026年1月25日 2026年6月14日(今回)
正解数の期待値 37.8問 39.2問 32.1問

※60問中36問以上の正解で合格です。

今後の試験を受ける人へのアドバイス

最後に、今後の科目A免除試験を受ける人にアドバイスをさせていただきます。
過去問題の再利用が減って、難易度が上がったのですから、これまで以上にきちんと勉強する必要があります。
過去問題を数多く練習しておくという学習方法だけではなく、初めて見る問題が出ても対応できるように、しっかりと用語や問題の解き方を理解しておく必要があります。
それぞれの分野に出題されるテーマを、深く理解することを目指してください。
特にテクノロジ系に難しい問題が多いので、重点的に学習してください。

実際の試験のときに、初めて見る難しそうな問題に遭遇したときは、わからないと決めつけずに、自分の持つ知識を総動員して考えてください。
そうすれば、正解を選べる場合があるからです。
今回の試験の正解数の期待値は32.1問です。合格基準の36問まで、あと4問です。
今回の試験の問題の中から、自分の持つ知識を総動員して正解を選ぶ例をいくつか示しますので、参考にしてください。

自分の持つ知識を総動員して正解を選ぶ例(その1):問17

バーチャルサラウンドの説明として,適切なものはどれか。

ア 音の大きさを1ビットのデジタルパルスの密度で表現するので,データの間引きがなく,実際の音源を聴いているような滑らかな音質を再現できる技術
イ 音の方向性を感じる人間の耳の知覚特性を利用し,前方に配置されたスピーカーだけで,音が後方から聴こえるように感じさせる技術
ウ デジタルデータを間引いて,低いサンプリング周波数やビット数に変換することで,高いサンプリング周波数に対応していないスピーカーでも出力できる技術
エ 滑らかなアナログ波形を得るために,デジタル補間技術を用いて音楽データのビット数やサンプリング周波数を拡張し,より臨場感を音にもたせる技術

もしも、「バーチャルサラウンド」を知らなかったら、自分の持つ知識を総動員して、言葉の意味から判断してください。
バーチャルは「仮想的」という意味で、サラウンドはサラウンドスピーカーという言葉が「聞き手を囲むように配置された複数のスピーカー」という意味です。
サラウンドスピーカーをバーチャルに提供するのですから、選択肢イの「前方に配置されたスピーカーだけで、音が後方から聴こえるように感じさせる技術」がよさそうです。
基本情報技術者試験には、ヒッカケ問題がないので、その選択肢を素直に選んでください。
実際の正解も、選択肢イです。

自分の持つ知識を総動員して正解を選ぶ例(その2):問18

NoSQL におけるグラフ型のデータベースの特徴として,適切なものはどれか。

ア JSON や XML などの記述書式で記述されたデータをドキュメントとして管理する。
イ 行と列で構成される表の形式でデータ構造を設計し,表同士の関係性を定義する。
ウ 個々のキーに対して任意個数の列をもつ行データを管理する。
エ データとデータの関係性をノード,リレーション及びプロパティを用いて管理する。

もしも、「グラフ型のデータベース」を知らなかったら、自分の持つ知識を総動員して、消去法で不適切な選択肢を消してください。
選択肢アのJSONやXMLが汎用的なデータ交換形式であることを知っていれば、それらはグラフ型とは言えなそうなので、不適切だと判断できます。
関係データベースが表形式であることを知っていれば、選択肢イは関係データベースの説明なので、不適切だと判断できます。
これで、正解を選択肢ウと選択肢エに絞り込めました。
グラフ型のデータベースとして、どちらが適切でしょう。
「キーに対するデータ」よりも、「データとデータの関係性」の方がグラフにふさわしい感じがするので、選択肢エがよさそうです。
実際の正解も、選択肢エです。

自分の持つ知識を総動員して正解を選ぶ例(その3):問20

次のSQL文を実行したとき,エラーになる状況はどれか。

 〔SQL文〕
  SELECT * FROM R
  UNION
  SELECT * FROM S

ア 表Rと表Sがソートされていない。
イ 表Rと表Sに重複する行が存在する。
ウ 表Rと表Sに列値がNULLの行が存在する。
エ 表Rと表Sの列数が一致していない。

自分の持つ知識を総動員すれば「SELECT * FROM R」が表Rから無条件ですべての列を得るという意味で、「SELECT * FROM S」が表Sから無条件ですべての列を得るという意味であることはわかるでしょう。
もしも、「UNION」の意味を知らないなら、それを日本語に直訳した「連合」や「結合」という意味から「2つのSELECT命令の結果を1つの表にするのだろう」と判断してください。
結合するのですから、表Rと表Sの列数が一致してないと、エラーになるのではないかと考えて、選択肢エがよさそうです。
実際の正解も、選択肢エです。

自分の持つ知識を総動員して正解を選ぶ例(その4):問22

DBMS のチェックポイント時点の処理を正しい順番に並べたものはどれか。

 ①チェックポイントレコードをログに書き出す。
 ②トランザクションを再開する。
 ③データベースバッファの内容を全てデータベースに書き出す。
 ⓸実行中のトランザクションを全て一時停止する。

ア ①→④→③→②
イ ③→④→①→②
ウ ④→①→③→②
エ ④→③→①→②

自分の持つ知識を総動員すれば、「④トランザクションの一時停止」と「②トランザクションの再開」があるので、これらの間に他の処理を行うのだろうと判断できるでしょう。
「①のチェックポイントレコードをログに書き出す」と「③バッファの内容をデータベースに書き出す」のどちらが先かは、チェックポイント時点の時点の処理なのだから、チェックポイントのログ(記録)を書き出すことが後だろう、と考えて、選択肢エの ④→③→①→②の順序がよさそうです。
実際の正解も、選択肢エです。

以上、試験対策講座の講師として、誠に勝手ながら、試験問題の講評をさせていただきました。

今回の試験に合格した人は、ここで気を緩めずに、本試験に向けて科目Bの学習を始めてください。
残念な結果になってしまった人は、ここで気を落すことなく、本試験に向けて科目Aと科目Bの両方を学習してください。
どちらも場合も、コツコツと学習を続けていれば、必ず良い結果が得られるはずです。

皆様のご健闘をお祈り申し上げます!

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