基本情報技術者試験 科目A免除試験の講評 ~ 2025年12月14日実施
試験対策講座の講師として、誠に勝手ながら、2025年12月14日(日)に実施された基本情報技術者科目A免除試験(修了認定に係る試験)の講評をさせていただきます。
今回受験された人は振り返りの題材として、今後受験される人は対策の資料として、参考にしていただければ幸いです。
| 実施月 | 問題 | 解答 |
|---|---|---|
| 2025 年 12 月 | 問題 | 解答 |
問題の内容
表1は、今回の科目A免除試験の内容です。
問題の番号、分野、テーマ、難易度、および過去問題の再利用かどうかを示しています。
表1 今回の科目A免除試験の内容
| 番号 | 分野 | テーマ(分類) | 難易度 | 過去問題 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | T | 無限小数になる2進数(情報の基礎理論) | 中 | H26春問1 |
| 2 | T | 相関係数の説明(情報の基礎理論) | 中 | H19秋問7 |
| 3 | T | パリティビットの付加(情報の基礎理論) | 難 | H20春問10 |
| 4 | T | 最短経路の数(情報の基礎理論) | 中 | H30春問2 |
| 5 | T | 連結リストの特徴(アルゴリズム) | 中 | H21春問6 |
| 6 | T | クイックソートの説明(アルゴリズム) | 易 | H30秋問6 |
| 7 | T | 再入可能プログラムの特徴(ソフトウェア) | 難 | H27春問7 |
| 8 | T | 命令列の実行時間(ハードウェア) | 中 | H19春問19 |
| 9 | T | メモリインターリーブの説明(ハードウェア) | 易 | H23特別問12 |
| 10 | T | RAIDの分類(システム構成) | 中 | R01秋問15 |
| 11 | T | スケールアウトの説明(システム構成) | 易 | H30春問15 |
| 12 | T | MTBFとMTTRの説明(システム構成) | 中 | H27秋問14 |
| 13 | T | スラッシングの説明(ソフトウェア) | 易 | H27春問18 |
| 14 | T | ブラックボックステストのツール(ソフトウェア) | 易 | H25春問22(AP) |
| 15 | T | オープンソースソフトウェアの特徴(ソフトウェア) | 中 | H22秋問21(AP) |
| 16 | T | MIL記号で示された論理回路(ハードウェア) | 中 | H21春問24 |
| 17 | T | アンチエイリアシングの説明(マルチメディアとヒューマンインタフェース) | 易 | R06公開問6 |
| 18 | T | 主キーに必要な条件(データベース) | 中 | H25秋問30 |
| 19 | T | データ項目の命名規約(データベース) | 中 | H30秋問27(AP) |
| 20 | T | SQLのカーソルの説明(データベース) | 中 | H27春問27(AP) |
| 21 | T | DBMSがクエリを実行する順序(データベース) | 中 | H27春問30 |
| 22 | T | 共有ロックと専有ロック(データベース) | 中 | H26秋問30 |
| 23 | T | IPv4アドレスの表記(ネットワーク) | 中 | H25春問31 |
| 24 | T | OSI基本参照モデルの階層(ネットワーク) | 易 | H25春問33 |
| 25 | T | IPアドレスとサブネットマスク(ネットワーク) | 難 | H29秋問35 |
| 26 | T | OpenFlowを使ったSDNの説明(ネットワーク) | 中 | R04春問35(AP) |
| 27 | T | 格納型クロスサイトスクリプティングの説明(セキュリティ) | 中 | H30問24(ST) |
| 28 | T | ワークの検知方法(セキュリティ) | 中 | H27秋問43 |
| 29 | T | 署名鍵の役割(セキュリティ) | 中 | R04春問39(AP) |
| 30 | T | JVNの目的(セキュリティ) | 中 | R04秋問40(AP) |
| 31 | T | SIEMの機能(セキュリティ) | 易 | R01秋問43 |
| 32 | T | 廃棄する磁気ディスクの情報漏洩対策(セキュリティ) | 易 | H28春問45 |
| 33 | T | セッション乗っ取りの対策(セキュリティ) | 中 | H28春問41 |
| 34 | T | E-R図の説明((開発技術) | 易 | H27春問47 |
| 35 | T | 基底クラスと派生クラスの関係(開発技術) | 中 | H20秋問41 |
| 36 | T | 状態遷移図が適したシステム(開発技術) | 易 | H25春問46 |
| 37 | T | 構造化プログラミングの制御構造(開発技術) | 中 | H15春問53 |
| 38 | T | マッシュアップの説明(開発技術) | 易 | H22秋問48(AP) |
| 39 | T | スクラムイベントの順序(開発技術) | 中 | R05春問48(AP) |
| 40 | T | ペアプログラミングの説明(開発技術) | 中 | R03春問50(AP) |
| 41 | M | ファンクションポイント法の説明 | 易 | H27秋問54(AP) |
| 42 | M | EVMの管理対象 | 中 | R02秋問52(AP) |
| 43 | M | ミッションクリティカルシステムの説明 | 易 | H28春問55 |
| 44 | M | 重み付けによる評価 | 中 | R03秋問18(PM) |
| 45 | M | システム監査のサンプリングの説明 | 易 | H30秋問58(AP) |
| 46 | M | ITアウトソーシングの活用 | 易 | H30春問48(SG) |
| 47 | M | 非構造化データを構造化データに加工する処理 | 難 | R06公開問15 |
| 48 | S | 要件定義プロセスで実施すべきこと | 易 | H30秋問65 |
| 49 | S | 機会を活用し強みを生かす戦略 | 中 | H24春問66(AP) |
| 50 | S | 価格と需要の関係を示す1次式 | 中 | H30秋問68 |
| 51 | S | SFAの説明 | 易 | R03秋問70(AP) |
| 52 | S | コンカレントエンジニアリングの説明 | 中 | H26秋問72 |
| 53 | S | HRテックの説明 | 易 | R06公開問18 |
| 54 | S | MRPシステムの導入で改善される場面 | 中 | H23秋問74 |
| 55 | S | SEOの説明 | 易 | R03問73 |
| 56 | S | BCPの説明 | 易 | H21春問75(AP) |
| 57 | S | 時間を最も短くする加工順序 | 中 | H27春問78 |
| 58 | S | デルファイ法の説明 | 易 | H21秋問70(AP) |
| 59 | S | 利益の計算 | 中 | R07公開問19 |
| 60 | S | 請負契約に適したもの | 中 | H21春問79(AP) |
<表1について>
■分野
T=テクノロジ系、M=マネジメント系、S=ストラテジ系
(テクノロジ系は、カッコ内に問題のテーマの分類を示す)
■難易度
易=受講者のほぼ全員ができる問題、中=受講者の半数ぐらいができる問題、難=受講者の数名しかできない問題
(筆者の講師経験から設定)
■他
・過去問題の再利用である場合は出題された主な試験区分と年度を示す。
・基本情報技術者試験の過去問題ではない場合は「H18秋問7(AP)」のようにカッコの中に試験区分の略称を示す。
(略称)AP=応用情報技術者試験、SG=情報セキュリティマネジメント試験、PM=プロジェクトマネージャ試験、ST=ITストラテジスト試験
・旧制度の過去問題も、現行制度の略称で示す。
・公=基本情報の公開問題、免=科目A免除試験の過去問題を示す。
・同じ問題が複数の試験区分と年度で何度も再利用されている場合も、ここでは、1つの試験区分と年度だけを示す。
(科目A免除試験の過去問題の再利用よりも本試験を優先する)
過去問題の再利用
今回の試験も、これまでに実施された科目A免除試験と同様に、すべての問題が過去問題の再利用でした。
基本情報技術者試験の過去問題だけでなく、他の試験区分の過去問題や、かなり古い年度の過去問題が数多くあったことも、これまでと同様です。
表2は、今回を含めた直近3回の試験で再利用された過去問題の試験区分と問題数です。
基本情報技術者試験の過去問題が多いのは当然ですが、応用情報技術者試験の過去問題も数多く再利用されています。
表2 今回を含めた直近3回の試験で再利用された過去問題の試験区分と問題数
| 試験区分 | 6月8日 (前々回) |
7月27日 (前回) |
12月14日 (今回) |
|---|---|---|---|
| 基本情報技術者試験 | 34問 | 41問 | 38問 |
| 応用情報技術者試験 | 20問 | 14問 | 18問 |
| その他の試験 | 6問 | 5問 | 4問 |
問題の難易度
今回の科目A免除試験の問題の難易度は、易が22問、中が34問、難が4問でした。
易が90%できて、中が50%できて、難が25%できる(四択問題なので最低でも25%できます)とすれば、正解数の期待値は、22×0.9 + 34×0.5 + 4×0.25 = 37.8問です。
合格基準は、60問中36問以上の正解なので、ちゃんと勉強していれば、ギリギリですが合格点を取れたでしょう。
表3は、今回を含めた直近3回の試験の正解数の期待値です。
今回の問題は、直近の試験と比べて、同様の難易度だったといえます。
表3 今回を含めた直近3回の試験の正解数の期待値
| 試験実施日 | 6月8日 | 7月27日 | 12月14日 |
|---|---|---|---|
| 正解数の期待値 | 37.3問 | 37.7問 | 37.8問 |
※60問中36問以上の正解で合格です。
問題解法テクニックを意識して解く
今回の試験で残念な結果になってしまった人の中には、まるきり点が足りなかったのではなく、あと2,3問で合格点だったという人が多いのではないでしょうか。
そんな人たちのために、今回の試験の問題を例にして、いくつか問題解法テクニックを紹介しましょう。
これらのテクニックを意識して問題を解けば、きっと、あと2,3問は正解できるでしょう。
【テクニック1】英語の意味から最も適したものを選ぶ
問20
埋込みSQLにおいて、問合せによって得られた導入表を1行ずつ親プログラムに引き渡す操作がある。この操作と関係の深い字句はどれか
ア CURSOR イ ORDER BY ウ UNION エ UNIQUE
この問題の選択肢に並んだ言葉がSQLとしてどのような意味を持つかを知らなくても、一般用語の英語としての意味ならわかるでしょう。
CURSORは、マウスやキー入力などの「位置を示すもの」です。
ORDER BYは、「~による順序」です。
UNIONは、「連合」です。
UNIQUEは、「唯一の」です。
これらの中で「問合せによって得られた導出表を1行ずつ親プログラムに引き渡す操作」に最も適したものを選んでください。
選択肢アのCURSOR(位置を示すもの)が最も適切でしょう。
実際の正解も、選択肢アです。
【テクニック2】自分の持つ知識を使って判断する
問28
ワームの検知方式の一つとして、検査対象のファイルから SHA-256 を使ってハッシュ値を求め、既知のワーム検体ファイルのハッシュ値のデータベースと照合する方式がある。この方式によって、検知できるものはどれか。
ア ワーム検体と同一のワーム
イ ワーム検体と特徴あるコード列が同じワーム
ウ ワーム検体とファイルサイズが同じワーム
エ ワーム検体の亜種に該当するワーム
この問題の中にある「SHA-256」が何であるかを知らなくても、「ハッシュ値」が何であるかを知っているでしょう。
ハッシュ値は、ファイルを構成するすべてのデータを使って計算された1つの値であり、ファイルの内容が改ざんがされていれば、値が一致しなくなるので検知できます。
つまり、ハッシュ値が同じなら、同じ内容のファイルなのです。
この知識を使って、選択肢を見てみましょう。ハッシュ値で照合するのですから、特徴あるコード列(ファイルの一部)、ファイルサイズ、亜種ではなく、同一の(同じ内容の)ワーム検体ファイルであるかどうかを検知できるはずです。
このように判断して、選択肢アを選んでください。
実際の正解も、選択肢アです。
【テクニック3】常識的な判断をして消去法で解く
問60
請負契約の下で、受注者が自己の雇用する労働者を発注者の事業所などで働かせる場合、適切なものはどれか。
ア 勤務時間、出退勤時刻などの労働条件は、発注者が定めて管理する。
イ 受注者が自らの指揮命令の下に当該労働者を業務に従事させる。
ウ 当該労働者は、発注者の指揮命令によって業務に従事するが、雇用関係の変更はない。
エ 当該労働者は、発注者の下で働く期間は、発注者との間にも雇用関係が生じる。
この問題に示された「請負契約」のことを詳しく知らなくても、常識的に考えて「他社(発注者)から依頼された仕事を、自社(受注者)が行うことだ」ということはわかるでしょう。
その考えで、選択肢の内容を見て、不適切なものを消していきましょう。
勤務時間は、自社で決めることなので、選択肢アは×です。
自社の労働者は、自社の指揮命令を受けるので、選択肢イは○であり、選択肢ウは×です。
自社の労働者には、他社と雇用関係がないので、選択肢エは×です。
実際の正解も、選択肢イです。
以上、試験対策講座の講師として、誠に勝手ながら、試験問題の講評をさせていただきました。
今回の試験に合格した人は、ここで気を緩めずに、本試験に向けて科目Bの学習を始めてください。
残念な結果になってしまった人は、ここで気を落すことなく、次回の科目A免除試験に向けて学習を続けてください。
どちらも場合も、コツコツと学習を続けていれば、必ず良い結果が得られるはずです。
皆様のご健闘をお祈り申し上げます!
label 関連タグ免除試験を受けた 74.9% の方が、科目A免除資格を得ています。
※独習ゼミは、受験ナビ運営のSEプラスによる試験対策eラーニングです。
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お客様の満足を何よりも大切にし、わかりやすい、のせるのが上手い自称ソフトウェア芸人。
主な著作物
- 「プログラムはなぜ動くのか」(日経BP)
- 「コンピュータはなぜ動くのか」(日経BP)
- 「出るとこだけ! 基本情報技術者」 (翔泳社)
- 「ベテランが丁寧に教えてくれる ハードウェアの知識と実務」(翔泳社)
- 「ifとelseの思考術」(ソフトバンククリエイティブ) など多数






