午後問題の歩き方 | 午後問題の読み方~ストラテジ系


2020-03-04 更新

午後問題の問 7 は、ストラテジ系の問題です。

つかみどころがない分野に思えるので、どうやって勉強すればよいか、悩んでいる人が多いでしょう。

そんな人には、ストラテジ系の午前問題を数多く解いて、そこに登場する用語の意味をしっかりと覚えることをお勧めします。

ストラテジ系の午後問題には、午前問題で取り上げられる用語の知識を、事例(架空の事例)に仕立てたものがよく出題されるからです。

 

ここでは、例として、平成 22 年度 春期 午後 問 7「事業の分析」を紹介します。

error 本記事ではわかりやすいよう、問題を一部抜粋引用しています

 

知らない用語に遭遇するたびに覚えよう

平成 22 年度 春期 午後 問 7「事業の分析」は、「SWOT分析」という用語に関する事例です。

まず、SWOT 分析に関する午前問題(平成 27 年度 秋期 午前 問 68 )を見てみましょう。

もしも、この問題を初めて見たのなら、「 SWOT 分析って何だろう?」と思うでしょう。そういう用語をどんどん覚えてほしいのです。

問 68 (平成 27 年度 秋期 午前)

経営戦略策定に用いられる SWOT 分析はどれか。

ア 競争環境における機会・脅威と事業の強み・弱みを分析する。
イ 競争に影響する要因と,他社の動き,自社の動きを分析する。
ウ 市場に対するマーケティングツールの最適な組合せを分析する。
エ 市場の成長性と占有率の観点から各事業の位置付けを分析する。

SWOT 分析の S 、W 、O 、T は、

  • Strength(強み)
  • Weakness(弱み)
  • Opportunity(機会)
  • Threat(脅威)

の頭文字を取ったものです。

SWOT 分析は、企業が事業戦略を立てるときに、自社の良い点と悪い点を整理する方法です。

単に良い点と悪い点をあげるのではなく、内部要因(資産や業務プロセスなど)と外部要因(競合他社や市場の動向など)に分けて、良い点と悪い点をあげるのが SWOT 分析のポイントです。

 

内部要因の良い点が「強み( Strength )」で、悪い点が「弱み( Weakness )」です。
外部要因の良い点が「機会( Opportunity )」で、悪い点が「脅威( Threat )」です。

どれも言葉の意味通りなので、それほど難しくないでしょう。この知識があれば、問題を解けます。

正解は、選択肢アです。さらに、この知識があれば、SWOT 分析を事例に仕立てた午後問題にも取り組みやすくなります。

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用語の意味を知らないと、つかみどころのない問題になってしまう

それでは、午後問題を見てみましょう。以下は、問題の冒頭部分です。

A 社の企画課が、自社の健康飲料事業の戦略を立てるために SWOT 分析を使って課題を考察する、という内容です。「 SWOT 分析とは何ですか」という問題ではありません。

「 SWOT 分析が何であるかを知っていれば、この事例で何をやっているかがわかりますよね」という問題です。

もしも、SWOT 分析を知らなければ、この問題は、つかみどころのないものになってしまうでしょう。SWOT 分析を知っていれば、問題の意図がわかり、容易に解けるはずです。

問7 事業の分析に関する次の記述を読んで,設問 1 ~ 3 に答えよ。

 SWOT 分析は,企業又は組織の強み,弱み,機会及び脅威を分析する手法であり,事業戦略を策定するために利用される。ある地域で食料品の生産及び販売をしている A社の企画課では,自社の健康飲料事業の戦略を策定するためにこの SWOT 分析を使って,内部環境や外部環境から導かれる課題を考察することにした。

 表 1 の強みのうち,業務プロセスに関する記述は,① と ② である。② の知的財産の件数や ④ の独占購入権は健康飲料事業のもつ資産に関する強みといえる。 しかし,K 氏の分析した強みの ③ については,  a  ,上司の指示どおりになっていないので見直す必要がある。弱みのうち,資産に関する記述は,  b  である。

表 1 A 社の健康飲料事業の強みと弱み
強み ① 生産業務を効率よく行っていることによって,売上総利益率を業界での上位に保っている。
② 知的財産の件数が,業界平均を上回っている。
③ 就業環境の改善を図るため,従業員満足度に関する調査・分析業務を 10 年以上継続しており,その結果を業務改善に結び付けるノウハウを蓄積している。
④ 売れ筋製品で使用している特殊な原料について,1社しかない供給業者との独占購入権を保有している。
弱み ① 情報システムのアプリケーション開発プロセスの効率が低い。
② 顧客の製品ブランドに対する好感度が,競合他社と比較して低い。
③ 本社スタッフ部門による営業支援が十分ではない。
④ 物流工程が,周辺環境に配慮したプロセスとなっていない。

a に関する解答群

ア A 社の健康飲料事業の内部で効果を上げているだけで,競合他社と比較すると劣っていることが明らかであり
イ A 社の健康飲料事業の内部で効果を上げているものの,競合他社と比較した強みかどうかは不明確であり
ウ 競合他社と比較した強みであることは間違いないが,A 社の健康飲料事業の内部で効果を上げているかは不明確であり
エ 競合他社と比較した強みであることは間違いないが,A 社の健康飲料事業の内部では明らかに効果を上げておらず

 

b に関する解答群

ア ①   イ ②   ウ ③   エ ④
オ ① と ②   カ ① と ③   キ ① と ④   ク ② と ③
ケ ② と ④   コ ③ と ④

設問 1 の空欄 a には、K 氏の分析した強みの ③ が、上司の指示通りになっていない理由が入ります。上司の指示は、以下のように「競合他社と比較した強みと弱みを列挙せよ」です。

 企画課の K 氏は,上司から自社の健康飲料事業の,競合他社と比較した強みと弱みを列挙し,それらを資産に関するものと業務プロセスに関するものとに分類するように指示を受けた。

上司の指示に対して、K 氏の分析した強みの ③ は、以下のようになっています。

ここには、競合他社と比較したことが示されていません。したがって、選択肢イの「 A 社の健康飲料事業の内部で効果を上げているものの、競合他社と比較した強みかどうかは不明確であり」が正解です。

③ 就業環境の改善を図るため,従業員満足度に関する調査・分析業務を10年以上継続しており,その結果を業務改善に結び付けるノウハウを蓄積している。

設問 1 の空欄 b には、弱みの ① 、② 、③ 、④ のうち、資産に関するものが入ります。

同じ問題文の中で、強みが業務プロセスに関するものと資産に関するものに分けられているのですから、弱みも同様のはずです。業務プロセスとは、仕事のやり方のことです。資産とは、企業が持っている人、物、金、情報のことです。

こう考えて、弱みの ① 、② 、③ 、④ を業務プロセスと資産のいずれかに分類すると、以下のようになります。

資産は、② だけなので、選択肢イが正解です。

弱み 分類
①アプリケーション開発プロセス 業務プロセス
②製品ブランドに対する好感度 資産
③営業支援 業務プロセス
④周辺環境に配慮したプロセス 業務プロセス

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結果に対する原因を答える国語の問題

設問 2

A 社の健康飲料事業の機会と脅威に関する次の記述中の      に入れる適切な答えを,解答群の中から選べ。

 K 氏は,A 社の健康飲料事業に関する SWOT 分析の機会と脅威を考察するための準備として,A 社の事業地域における健康飲料業界の収益性について分析を行うように上司から指示を受けた。K 氏は,ファイブフォース分析を使って,業界における,売り手の交渉力,買い手の交渉力,新規参入者の脅威,代替製品の脅威及び競争業者間の敵対関係の強さを分析して,業界の収益性や成長性を評価することにした。

 例えば,新規参入者の脅威は,国の規制に守られている場合や,多大な設備投資が必要な業界の場合に低くなる。また,売り手の交渉力は,売り手の提供する製品やサービスが特殊ではなく,買い手が売り手を多数の候補の中から選べる場合に弱くなる。代替製品の脅威は,提供している製品やサービスに代わるものが,ほかにあまりない場合に低くなる。売り手や買い手の交渉力が弱いほど,また新規参入者や代替製品の脅威が低く競争業者間の敵対関係が弱いほど,業界の収益性は高くなりやすいと考えられている。

 K 氏は,A 社の事業地域における健康飲料業界の分析を行って上司に報告した。
図は,K 氏と上司が完成させた分析結果である。

図 A 社の事業地域における健康飲料業界の分析結果

 

設問 2 の空欄 c 、空欄 d 、空欄 e は、どれも結果に対する原因が穴埋めになっています。「原因(空欄)」→「結果」という文章です。

これは、国語力が問われる問題です。問題文をよく読んで、選択肢の中から最も適切な原因を選んでください。

 

空欄 c は、問題文の以下の部分から、選択肢クの「特殊な設備が不要であり」→「参入が容易である」が適切だとわかります。

 例えば,新規参入者の脅威は,国の規制に守られている場合や,多大な設備投資が必要な業界の場合に低くなる。

空欄 d は、問題文の以下の部分から、選択肢ウの「供給業者の少ない固有の梱包資材が多く」→「売り手の交渉力が強い」が適切だとわかります。

 また,売り手の交渉力は,売り手の提供する製品やサービスが特殊ではなく,買い手が売り手を多数の候補の中から選べる場合に弱くなる。

空欄 e は、問題文の以下の部分から、選択肢アの「栄養補助食品などの競合製品が多く」→「代替製品は多数ある」が適切だとわかります。

 代替製品の脅威は,提供している製品やサービスに代わるものが,ほかにあまりない場合に低くなる。

 

計算で得た数字を使って評価する問題

ストラテジ系の問題も、以前に紹介したマネジメント系の問題も、国語の長文読解問題と算数の計算問題を合わせたような内容になっています。計算で得た数字を使って、物事を定量的に評価するためです。

この問題でも、設問 3 を解くために、ちょっとした計算が必要になります。

設問 3

A 社の健康飲料事業の収益性に関する次の記述中の      に入れる適切な答えを,解答群の中から選べ。

 K 氏は,分析した結果から,A 社の健康飲料事業の収益性は高くなりにくいと考えた。K 氏は,A 社の健康飲料事業を社内のほかの事業と比較するため,表 2 のデータを入手した。

図 A 社の事業地域における健康飲料業界の分析結果
単位 百万円
事業 売上 売上総利益 営業利益 経常利益
健康飲料事業 90 40 3 1
清涼飲料事業 240 90 10 11
加工食品事業 500 180 25 18

 表 2 から,A 社の健康飲料事業の収益性は,  f   ことが分かる。K 氏はこれまでの分析結果から考察した収益性と,表 2 から得た収益性から,A 社の健康飲料事業が単独で収益性を高めることは難しいと考えた。そこで K 氏は,A 社の清涼飲料事業や加工食品事業の強みを健康飲料事業に横展開することが必要ではないかと考え,  g   という取組みを考えた。

 

g に関する解答群

ア 健康飲料事業から撤退する
イ 健康飲料事業の生産業務を清涼飲料事業や加工食品事業にも応用する
ウ 清涼飲料事業,加工食品事業及び健康飲料事業のそれぞれの強みとなる業務を社 外に委託する
工 清涼飲料事業や加工食品事業の営業ネットワークを健康飲料事業でも利用する

空欄 f の選択肢には、「売上総利益率」「営業利益率」「経常利益率」という言葉があり、それによって A 社の健康飲料事業、清涼飲料事業、加工食品事業という 3 つの事業を比較する内容になっています。

 

「売上総利益率」「営業利益率」「経常利益率」とは何でしょうか。

もしも、知らなかったら、常識的な判断をしてみましょう。

 

3 つの事業は、それぞれ売上が違います。

したがって、表に示された 3 つの事業の「売上総利益」「営業利益」「経常利益」の数字を、そのまま比較することはできません。

 

そこで、「率」で比較するのです。

売上を同じとした場合の数字で比較するのが適切なので、

「売上総利益」「営業利益」「経常利益」を「売上」で割った数字が、「売上総利益率」「営業利益率」「経常利益率」である

と判断できます。

 

以下に 3 つの事業の「売上総利益率」「営業利益率」「経常利益率」を求めた結果を示します。

A 社の健康飲料事業の収益性の評価は、選択肢エの「売上総利益率は最も高いが、営業利益率と経常利益率は最も低い」が適切です。

事業 売上総利益率 営業利益率 経常利益率
健康飲料事業 44.4 3.3 1.1
清涼飲料事業 37.5 4.2 4.6
加工食品事業 36 5 3.6

設問 3 の空欄 g は、問題文にある「 A 社の清涼飲料事業や加工食品事業の強みを健康飲料事業に横展開することが必要と考え」に続く取り組みです。

「 A 社の清涼飲料事業や加工食品事業の強み」→「健康飲料事業に横展開」に最も合っているのは、選択肢エの「清涼飲料事業や加工食品の営業ネットワーク」→「健康飲料事業でも利用」です。

これは、国語の問題でしたね。

 

この記事で示したように、午後問題は、午前問題の知識を事例に仕立てたものです。

したがって、午前問題の学習は、そのまま午後問題の対策にもなります。あせらずに、コツコツと学習を続けてください。

それでは、またお会いしましょう。

 

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IT技術を楽しく・分かりやすく教える“自称ソフトウェア芸人”

大手電気メーカーでPCの製造、ソフトハウスでプログラマを経験。独立後、現在はアプリケーションの開発と販売に従事。その傍ら、書籍・雑誌の執筆、またセミナー講師として活躍。軽快な口調で、知識0ベースのITエンジニアや一般書店フェアなどの一般的なPCユーザの講習ではダントツの評価。
お客様の満足を何よりも大切にし、わかりやすい、のせるのが上手い自称ソフトウェア芸人。

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  • 「プログラムはなぜ動くのか」(日経BP)
  • 「コンピュータはなぜ動くのか」(日経BP)
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