午後問題の歩き方 | 午後問題の読み方~ネットワーク

ネットワークの午後問題の多くは、午前問題に出題される様々な基礎知識を事例にしたものです。これといった傾向はないので、きちんと基礎知識を勉強しておくことが対策となります。

ここでは、平成23年度秋期午後問3 を例にして、どのような基礎知識が必要とされるのかを説明します。

 

ネットワーク図の見方を知っておこう

以下は、試験問題の冒頭に示されたD社のネットワーク図です。

これを見て、「ネットワーク図の見方を知りません」と怖気づいてしまった人はいませんか。

心配いりません。ネットワーク図には、統一された描き方などないからです。

ネットワークに機器が接続されている様子が、そのまま描かれているだけです。「基礎知識があればわかるはずだ」という自信を持って見てください。

 

基礎知識として、「ネットワーク」という言葉に対する正しいイメージを持ちましょう。

世間一般では、「ネットワーク≒インターネット」というイメージがありますが、ITエンジニアは、そう考えてはいけません。

ネットワークとは、社内のネットワークや、部署のネットワークなど、小さなグループのネットワークを意味します。この小さなネットワークの間をルータという機器でつなぐことで、ネットワークが広がっていくのです。

 

ネットワークのイメージがつかめれば、先ほどのD社のネットワーク図の内容がわかるでしょう。

D社には、ネットワークA、ネットワークB、基幹ネットワーク、DMZという4つのネットワークがあり、それぞれがルータおよびファイアウォール(このファイアウォールは、ルータの機能も持っているはずです)でつながれているのです。

 

ネットワークのイメージがつかめればIPアドレスもわかる

それでは、設問を見てみましょう。

設問1は、IPアドレスに関するものです。ここで、「ネットワークとは、小さなグループのネットワークである」というイメージを活かせます。

IPアドレスの上位桁は、ネットワークアドレス(ネットワークすなわち小さなグループを識別する番号)であり、下位桁はホストアドレス(個々の機器を識別する番号)です。同じネットワークにある機器は、ネットワークアドレスが同じです。サブネットマスクは、IPアドレスの上位桁と下位桁の区切りを示します。

これらの基礎知識で、設問を解いてみましょう。

 

 

IPアドレスもサブネットマスクも、32ビットの数値です。それを、8ビットずつ4つに区切って10進数に変換し、ドットで区切って示しています。

空欄aの選択肢ア~エに示されたサブネットマスクを32ビットの2進数で示すと、以下のようになります。

これらは、上位桁に1が並んだ部分がネットワークアドレスであり、下位桁に0が並んだ部分がホストアドレスであることを示しています。

 

  • ア 11111111.00000000.00000000.00000000
  • イ 11111111.11111111.00000000.00000000
  • ウ 11111111.11111111.11111111.00000000
  • エ 11111111.11111111.11111111.10000000

 

どのサブネットマスクが適切でしょう。ネットワークAに接続されたルータのIPアドレスは10.0.1.1であり、Webサーバ1のIPアドレスは10.0.1.200です。両者は、10.0.1までが同じです。

したがって、空欄aは、選択肢ウの255.255.255.0が適切だとわかります。

 

次は、空欄bです。

サブネットマスクが255.255.255.0なのですから、ホストアドレスは下位8ビットであり、2進数で00000000~11111111です。このうち、00000000と11111111は、機器に設定してはいけない約束になっているので、設定できるのは、00000001~11111110です。これを10進数で表すと、1~254になります。

したがって、ネットワークAの機器に設定できるIPアドレスは、10.0.1.1~10.0.1.254です。すでに他の機器(ここでは、ルータとWebサーバ1)に設定されているIPアドレスは使えないので、Webサーバ2に設定できるIPアドレスは、以下の10.0.1.2と10.0.1.3の2個です。

 

 

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用語の意味をしっかり覚えよう

ネットワークの午前問題には、基礎知識として用語の意味を問う問題がよく出題されます。

以下に、いくつか用語の例を示します。英語の用語は、日本語に訳して覚えてください。英語の略語は、何の略かを調べて、日本語に訳して覚えてください。

ここでも、ネットワークとは、ルータで区切られた小さなグループのネットワークことです。

 

【用語】DMZ(De Militarized Zone、非武装地帯)
インターネットと社内ネットワークの間に置かれるネットワークのこと。ここに、インターネットに公開するメールサーバ、DNSサーバ、Webサーバなどが設置される。
【用語】DNSサーバ(Domain Name System、ドメイン名システム)
www.seplus.jpのようなドメイン名とIPアドレスを変換する機能を持ったサーバのこと。
【用語】DHCPサーバ(Dynamic Host Configuration Protocol、動的に機器を設定するプロトコル)
パソコンなどの機器の起動時に、接続されたネットワークに合わせて、IPアドレスやサブネットマスクなどの設定を自動的に行うサーバのこと。
【用語】ブロードキャスト(一斉同報)
同じネットワーク内のすべての機器を宛先としてデータを送ること。DHCPサーバを使う機器は、起動時にブロードキャストを行うことでDHCPサーバを見つける。
【用語】プロキシサーバ(proxy=代理人)
パソコンなどの代理人として、インターネットとの通信を行うサーバのこと。セキュリティを高める機能と、アクセス効率を高める機能がある。

 

設問2の空欄cと空欄dを見てみましょう。用語の意味がわかっていれば、容易に答えを選べるはずです。午前問題に出題される用語の意味をきちんと覚えておけば、それが午後問題にも活かせるのです。

 

 

空欄cは、ネットワークBにある業務用PCが利用するDHCPサーバは、どのネットワークに設置すればよいかという問題です。業務用PCは、ブロードキャストを行うことでDHCPサーバを見つけます。したがって、DHCPサーバは、業務用PCと同じネットワークB(選択肢エ)に設置する必要があります。

 

空欄dは、プロキシサーバは、どのネットワークに設置すればよいかという問題です。プロキシサーバは、パソコンなどの代理人としてインターネットとの通信を行うのですから、インターネットに接続されたDMZ(選択肢ア)に設置します。

 

計算問題もよく出題されるので練習しておこう

ネットワークの午前問題には、計算問題が出題されることもよくあります。午後問題の設問にも、計算問題が出題されることがあります。以下は、設問2の空欄eです。

 

 

午前問題をきちんと練習していれば、この計算問題は、ネットワークの分野ではなく、ハードウェアの分野で「メモリの実効アクセス時間」を求める問題として解いた経験があるはずです。キャッシュのヒット率をHとすると、ヒットしない率は1-Hです。

したがって、平均応答時間の期待値は、30H + 110×(1-H)になります。

これが、キャッシュサーバ(プロキシサーバの機能)を利用しないときの平均応答時間である100の半分以下になるときを求めるのですから、以下の不等式を解けばOKです。

 

30H + 110×(1-H) ≦ 100÷2

 

H ≧ 0.75になるので、答えは選択肢カの75%以上です。

 

この設問でも、午前問題をきちんと練習しておけば、それを午後問題に活かせることを実感できますね。

 

 

 

6月11日(日)に実施された午前免除試験(修了試験)を受験された皆さん、結果はいかがだったでしょうか。

合格された方、おめでとうございます。

残念だった方、7月の午前免除試験で再チャレンジしてください。

午前免除試験に合格すれば、午後問題の学習に集中できます。その際には、この記事を大いにご活用ください。

 

それではまた、お会いしましょう!

 

『プログラムはなぜ動くのか』(日経BP)が大ベストセラー
IT技術を楽しく・分かりやすく教える“自称ソフトウェア芸人”

大手電気メーカーでPCの製造、ソフトハウスでプログラマを経験。独立後、現在はアプリケーションの開発と販売に従事。その傍ら、書籍・雑誌の執筆、またセミナー講師として活躍。軽快な口調で、知識0ベースのITエンジニアや一般書店フェアなどの一般的なPCユーザの講習ではダントツの評価。
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