「勉強する意欲がわきません」「基本情報を取得するメリットは?」|基本情報お悩み相談室


2025-06-23 更新

この連載は、基本情報技術者試験の受験者を対象としたものです。
毎回2つずつ、受験者が抱えているお悩みに、講師歴20有余年の私がお答えします。

お悩みの中には、技術的なものもあれば、精神的なものもあります。
どちらも解決して、スッキリした気分で受験勉強をしましょう。

お悩みを解決してくれる講師

矢沢 久雄

IT技術を楽しく・分かりやすく教える“自称ソフトウェア芸人”。
大手電気メーカーでPCの製造、ソフトハウスでプログラマを経験。独立後、現在はアプリケーションの開発と販売に従事。その傍ら、書籍・雑誌の執筆、またセミナー講師として活躍。軽快な口調で、知識0ベースのITエンジニアや一般書店フェアなどの一般的なPCユーザの講習ではダントツの評価。大手電機メーカーでPCの製造、ソフトハウスでプログラマを経験。独立後、現在はアプリケーションの開発と販売に従事。その傍ら、書籍・雑誌の執筆、またセミナー講師として活躍。軽快な口調で、知識0ベースのITエンジニアや一般書店フェアなどの一般的なPCユーザの講習ではダントツの評価。
■主な著書
「プログラムはなぜ動くのか(日経BP社)」「でるとこだけ!基本情報技術者(翔泳社)」など多数

【お悩み1】
会社に言われて受験しますが、なかなか勉強する意欲がわきません。どうしたらよいでしょうか?

これは、とても深刻なお悩みですね。
なぜなら、私の講師経験上、試験に合格できるかどうかは、本人の意欲にかかっているからです。

この教材で勉強すれば合格できるとか、この講師に教われば合格できるとか、そういうものはありません。
本人に「絶対に合格したい!」という強い意欲があれば合格できるのです。
ですから、どんなに会社に言われても、本人に意欲がなければ、合格は難しいでしょう。

これも、私の講師経験ですが、受講者に「絶対に合格したい!」という強い意欲を持たせることで、ほぼ全員が合格したという事例を、いくつか紹介しましょう。
なお、これらの事例の当時の試験は、年に2回(4月と10月)だけ実施されていました。

事例1

ある企業では、内定者向けに試験対策講座を行いました。
講座の冒頭で、その企業の採用担当者が「今度の10月の試験に落ちた人は、内定を取り消します」と言いました(実際には、取り消さなかったでしょう)。
その結果、10月の試験では、ほぼ全員が合格しました。

事例2

ある企業では、中堅社員に基本情報技術者試験を受験させましたが、驚くほど低い合格率でした。
ITエンジニアとしてバリバリ仕事をしている人たちなのに、なぜ合格できないのか? 不思議に思った社長は「試験に合格したら20万円のボーナスを出す」と言いました。
その結果、次の試験では、ほぼ全員が合格しました。

事例3

ある企業では、基本情報技術者試験に合格することを、新入社員全員の仕事としました。
新入社員たちは、自分たちで話し合って、仕事の成果(新入社員全員が試験に合格すること)を出すための計画を立てて実施しました。
4月の試験では、多くの人が合格しましたが、残念な結果になってしまった人もいました。
そこで、10月の試験に向けて、計画を立て直して実施しました。
合格した人が合格していない人をサポートする、という計画です。
その結果、10月の試験では、ほぼ全員が合格しました。

いかがでしょうか。

事例1は、合格しないと入社できないので「絶対に合格したい!」と思うはずです。
事例2は、ボーナスがほしいので「絶対に合格したい!」と思うはずです。
事例3は、サポートする側は「絶対に合格させたい!」と思い、サポートされる「絶対に合格したい!」と思うはずです。
だから、ほぼ全員が合格できたのです。

お悩みの内容は、会社に言われて受験するが勉強する意欲がわかない、ということですから、おそらく会社からは「絶対に合格したい!」と思わせるような気合い入れ(事例1)やご褒美(事例2)はないのでしょう。
それなら、一緒に勉強する仲間を作る(事例3)は、いかがでしょう。
一人では、意欲がわかなくても、仲間がいれば意欲がわきます。仲間と一緒に楽しく勉強できます。
もしも、どこかで受験対策講座があるなら、ぜひ参加してください。そこで、一緒に勉強する仲間に出会えます。

【お悩み2】
そもそもの話、なんで基本情報技術者試験を受けなければいけないのですか? 基本情報技術者試験を取得するメリットは何でしょう?

私は、IT企業の内定者さんや新入社員さん向けの試験対策講座の冒頭で、基本情報技術者試験に合格する意義を2つ伝えています。

1つは、これまでITをきちんと学習したことがないなら、試験勉強を通してITの基礎知識を幅広く得られる、ということです。
もう1つは、ITエンジニアであることを示す国家試験なので、プロとして仕事をするなら取得する必要がある、ということです。

現在の私は、IT関連の研修講師をしていますが、大学時代の専攻はITではありませんでした。

卒業研究のときに、たまたまITに関するグループに入ったので、そこでコンピュータやプログラミングに興味を持ち、IT企業に入社したのです。
現在のIT企業では、内定者期間に何度か研修がありますが、当時のIT企業は、内定が決まったら入社まで何もありませんでした。
ITをきちんと学んだことがない私は、不安になり「コンピュータは電気仕掛けの機械なのだから電子工学を学べばよい」と考えて、いくつかの本を買って勉強しました。
「これで大丈夫」と思って入社したら、まったく違う仕事でした。

そういうことがないように、現在では、内定者期間に基本情報者試験を題材にした研修があるのです。
基本情報者試験の内容が、入社後に大いに役立つからです。

私は、IT企業に入社した後も、すぐに基本情報技術者試験(当時は第2種情報処理技術者試験)を取得したわけではありません。
どちらかというと、試験には否定的でした。
それは、試験勉強をするのが面倒であり、試験に合格しなくても仕事を続けていられたからです。

その後、独立して1人で仕事をするようになった私は、対外的に自分がITの専門家であることを示す必要性を強く感じました。
そこで、基本情報技術者試験を手始めに、いくつかの試験を取得したのです。
忙しい仕事の合間の試験勉強は、とても大変なものでした。
こんなことなら、企業に勤務している内に試験を受けておけばよかった、と大いに後悔しました。

同じ後悔をしないように、ご質問者には、「なんで基本情報技術者試験を受けなければいけないのか?」などと考えずに、さっさと試験を受けて、対外的にもITエンジニアであると認められる人になってほしいと思います。

試験に落ちることが怖くて試験に否定的になる、という人もいるようです。
そんな人には、私の友人のY氏の話をしましょう。

Y氏は、同じ会社の仲間と一緒に、試験を受けることになりました。
最初の受験では、何人かが合格しましたが、Y氏は落ちてしまいました。
次の試験では、残された何人かが合格しましたが、Y氏は落ちてしまいました。次の試験も、その次の試験も、Y氏は落ちてしまいました。

ある日、夜中に目が覚めたY氏は、洗面所の鏡に向かって「なぜ自分は合格できないのか?」と自問しました。
すると、鏡の中の自分が「一生懸命勉強しないから、落ちても悔しくないからだ」と答えました。

Y氏は、仲間にも自分にも「仕事が忙しくて勉強時間が取れなかったから試験に落ちたのだ」という言い訳するために、一生懸命勉強しなかったのです。
だから落ちても悔しくない。そして、次の試験でもまた落ちる。その繰り返しです。

そう気づいたY氏は、一生懸命勉強して、見事に合格しました。

現在のY氏は、基本情報技術者試験だけでなく、いくつかの高度試験にも合格しています。

ある日、Y氏が「矢沢さんは、何回目の受験で合格したのですか?」と聞くので、私が「お陰様で1回で合格しました」と答えると、Y氏は「へえ。それでは、矢沢さんは、それ以上伸びないですね」と言いました。

私が「なぜですか?」と聞くと、Y氏は「落ちて悔しい思いをした経験がないからです」と自慢げに言いました。
私は、その通りだと思いました。

もしも、試験に落ちることが怖くて試験に否定的になっているなら、落ちたら悔しくてたまらないほど勉強してください。
もしも、落ちてしまっても、その悔しさがバネになって、次の試験では、必ずよい結果が得られるからです。


今回は、「勉強する意欲がわきません」と「基本情報を取得するメリットは?」というお悩みにお答えしました。
同じお悩みをお持ちの皆さんの参考になれば幸いです。

それでは、またお会いしましょう!

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