ネットワークの識別番号|つまづきやすいポイントと攻略法 徹底解説!
この連載は、基本情報技術者試験の受験者を対象としたものです。
毎回1つのテーマにしぼって、多くの受験者がつまづきやすいポイントと攻略法を解説します。
今回のテーマはネットワークの識別番号です。
ネットワークの3つの識別番号
職場や家庭からインターネットを利用するときには、そこでやりとりされているデータで、3つのネットワークの識別番号が使われています。
「MACアドレス」「IPアドレス」「TCPポート番号」です。
MAC(Media Access Control)アドレス
MAC(Media Access Control)アドレスは、ネットワークの機能を提供するハードウェアに設定された48ビットの識別番号です。
20-88-10-8A-BC-D7のように、48ビットを8ビットずつ6つの部分に分け、それぞれを2桁の16進数にしてハイフンでつなぐ形式で示されます。
これらのうち、上位24ビットはハードウェアのメーカーの識別番号で、下位24ビットは製品のシリアル番号です。
MACアドレスは、職場や家庭のLAN内で、ホスト(コンピュータやルータなどの通信機器)を識別するために使われます。
IP(Internet Protocol)アドレス
IP(Internet Protocol)アドレスは、ホストに設定された32ビットの識別番号です。
ホストの識別番号であることは、MACアドレスと同様ですが、MACアドレスがLAN内の識別番号であるのに対し、IPアドレスはLANから外に出たインターネットの識別番号です。
110.232.196.233のように、32ビットを8ビットずつ4つの部分に分け、それぞれを10進数にしてドットでつなぐ形式で示されます。
これらのうち、上位はLANの識別番号で、下位はホストの識別番号です。
なお、現在は、32ビットのIPv4(IP version 4)から128ビットのIPv6(IP version 6)への移行段階にあり、両者が併用されています。IPアドレスの仕組みに関しては、次回の連載で詳しく説明します。
TCP(Transmission Control Protocol)ポート番号
TCP(Transmission Control Protocol)ポート番号は、通信を行うプログラムに設定された16ビットの識別番号です。
80や25のように、16ビット全体を10進数にして示します。よく使われるサーバ側のプログラムは、使用するプロトコルによってTCPポート番号が決められています。
たとえば、HTTPプロトコルを使うWebサーバのプログラムは80番であり、SMTPプロトコルを使うメールサーバのプログラムは25番です。
これらは、「well-known(よく知られた)ポート番号」と呼ばれます。クライアント側のプログラムは、ポート番号が決められておらず、1024番以降の番号が設定されます。
3つの識別番号の使われ方
ネットワークの3つの識別番号が、どのように使われているかを説明しましょう。
たとえば、図1に示したように、パソコンのWebブラウザから、いくつかのルータを経由して、Webサーバのプログラムにデータを送るとします。
パソコンから送出されたデータの宛先と差出人には、どちらも3つの識別番号があります。
宛先の識別番号は、MACアドレスがルータ1、IPアドレスがWebサーバ、TCPポート番号がWebサーバのプログラムです。
差出人の識別番号は、MACアドレスがパソコン、IPアドレスがパソコン、TCPポート番号がWebブラウザです。
ここで、注目してほしいのは、ホストを識別するMACアドレスとIPアドレスの使われ方です。
MACアドレスは、直接つながっている相手を識別するので、宛先がルータ1で差出人がパソコンです。
IPアドレスは、いくつかのルータを経由してたどりつく最終的な相手を識別するので、宛先がWebサーバで差出人がパソコンです。
ネットワークの階層と識別番号
前回の連載で、OSI基本参照モデルを取り上げました。
これは、ネットワークの仕組みやプロトコルを7つの階層に分けるという考え方です。
7つの階層の一番上にユーザーが乗っていて、階層を上から下にたどってデータが送信され、階層を下から上にたどってデータが受信されます。
ネットワークに3つの識別番号があることを知ると、階層をたどることきに、具体的に何が行われるかを理解できます。
OSI基本参照モデルは7階層ですが、現在普及しているLANとインターネットのプロトコルは、4階層です。
図2に示したように、送信時には、アプリケーションの階層でアプリケーションデータ(プログラムの独自のデータ)が作られ、TCPの階層をたどるときにTCPヘッダ(TCPポート番号で宛先と差出人を示した情報など)が付加され、IPの階層をたどるときにIPヘッダ(IPアドレスで宛先と差出人を示した情報など)が付加され、イーサネットの階層でイーサネットヘッダ(MACアドレスで宛先と差出人を示した情報など)が付加され、それらがLANの通信ケーブルから送出されます。
受信時には、逆の順序でヘッダが除去され、アプリケーションデータがアプリケーションに渡されます。これが、階層をたどるときに、具体的に行われていることです。
ネットワークの識別番号に関する問題の攻略法(1)
ネットワークの識別番号に関する問題を見てみましょう。
以下は、MACアドレスの構成の問題(出典:H24秋午前問33)です。
問題(出典:H24秋問33)
ネットワーク機器につけられているMACアドレスの構成として、適切な組合せはどれか。
「ええっ、こんな問題が出るの!」と思われるかもしれませんが、実際に出ているのですから練習しておきましょう。
この記事の冒頭で説明したように、MACアドレスの上位24ビットはハードウェアのメーカーの識別番号で、下位24ビットは製品のシリアル番号です。ところが、問題の選択肢には、これらの言葉がありません。
これは、IT業界に限ったことではありませんが、たいがいの事物には、いくつかの別名があるものなのです。
こういうときは、用語の意味から素直に判断してください。
それが攻略法です。ハードウェアのメーカーの識別番号の別名は、「エリア(地域)ID」より「ベンダ(販売者)ID」の方が適切でしょう。
製品のシリアル番号の別名は、「IPアドレス」ではなく「固有製造番号」でしょう。
したがって、選択肢エが正解です。
なお、ベンダIDの別名として示されている「OUI」は、Organizationally Unique Identifierの略語であり、直訳すると「組織の固有の識別子」という意味です。
ネットワークの識別番号に関する問題の攻略法(2)
ネットワークの識別番号に関する問題を、もう1つ見てみましょう。
以下は、ネットワークでやりとりされるデータに付加される情報の問題(出典:H25秋午前問37)です。
問題(出典:H25秋午前問37)
1個のTCPパケットをイーサネットに送出したとき、イーサネットフレームに含まれる宛先情報の、送出順序はどれか。
ア 宛先IPアドレス,宛先MACアドレス,宛先ポート番号
イ 宛先IPアドレス,宛先ポート番号,宛先MACアドレス
ウ 宛先MACアドレス,宛先IPアドレス,宛先ポート番号
エ 宛先MACアドレス,宛先ポート番号,宛先IPアドレス
この問題の攻略法は、先ほどの図2の内容から、データがネットワークの階層をたどるときのイメージをしっかりつかむことです。
「TCPパケット(TCPセグメントという別名もあります)」とは、ネットワークの階層をTCPまでたどったデータのことであり、「アプリケーションデータ」に「TCPヘッダ」が付加されて、「TCPヘッダ」「アプリケーションデータ」という形式になっています。
「イーサネットフレーム」とは、ネットワークの階層をイーサネットまでたどったデータのことであり、TCPパケットに「IPヘッダ」と「イーサネットヘッダ」が付加されて、「イーサネットヘッダ」「IPヘッダ」「TCPヘッダ」「アプリケーションデータ」という形式になっています。
宛先と差出人の識別情報は、イーサネットヘッダがMACアドレス、IPヘッダがIPアドレス、TCPヘッダがTCPポート番号なので、「イーサネットヘッダ」「IPヘッダ」「TCPヘッダ」「アプリケーションデータ」の中にある宛先情報は、「宛先MACアドレス」「宛先IPアドレス」「宛先TCPポート番号」「アプリケーションデータ」です。
したがって、選択肢ウが正解です。
なお、この問題では、TCPポート番号を単に「ポート番号」と呼んでいます。
今回は、「ネットワークの識別番号」のポイントと攻略法を解説しました。
このテーマが苦手だった受験者の参考になれば幸いです。
それでは、またお会いしましょう!
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